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書籍詳細

運動負荷試験入門

運動負荷試験入門

斎藤宗靖 著

B5判 166頁

定価5,280円(本体4,800円 + 税)

ISBN978-4-498-03698-7

2001年09月発行

在庫なし

本書は1988年に刊行されて以来,啓蒙的かつ包括的な解説書としてロングセラーを続けてきた「心臓病と運動負荷試験」をアップデートに大幅な改訂を加え,今日では不要と思われる部分を削除して,一層分かり易く,実践的な書として出版したものである.
 運動負荷試験に必要な基礎的知識から方法,運動負荷試験心電図の解釈,特殊な病態に於ける本法の目的や方法,心肺運動負荷試験の実際など,必要にして十分な知識を臨床に役立つように解説した.内科医,循環器専攻を目指す若手医師,コメディカルの最適な入門書である.



 循環器病学は日進月歩である.病態学,診断学,治療学は5年経つとすでに古くなって改訂が必要になる.
 本書は1988年に刊行された「心臓病と運動負荷試験」を基にして,アップデートに大幅な改訂を加え,不要と思われる部分を削除して,書名も「運動負荷試験入門」と変えて出版に至ったものである.「心臓病と運動負荷試験」は初版が上梓されてから,すでに13年になるが,その間幸いにして循環器病学を目指す多くの若手医師やコメディカルの方々から好評をもって迎えていただいた.運動負荷試験は循環器を専攻する医師が,まず取り組まなければならない最も身近な診療分野であるにも関わらず,それまで啓蒙的かつ包括的な日本語の専門書がなかったことが,本書が長年にわたって受け入れられた理由ではないかと考えている.
 運動心臓病学exercise cardiologyは比較的完成された領域で,5年ごとに大きな進歩がみられるという世界ではないが,しかし初版以来13年が経過すれば,現状に合わなくなったところがここそこにみられるようになった.また運動心臓病学の領域でも,運動負荷心電図の自動解析は完全に日常診療の中に取り入れられたし,当時まだ数少ない施設でしか行われていなかった心肺運動負荷試験は,新しいコンピュータ化された呼気ガス分析装置の開発・普及に伴って,今ではどこの施設でも行えるルーチン検査になりつつある.
 最近の診断機器の発達,生化学検査の迅速化によって,日常診療の中で病歴・身体所見や基本的検査が疎かにされるようになったことを気にしている.近年,冠動脈造影検査は非常に身近な検査となっており,それによって虚血性心疾患のすべてがわかると考える傾向があるように思われる.確かに冠動脈造影は虚血性心疾患のgolden standardであるが,だからといって運動負荷試験のような基本的な検査が疎かにされるべきではない.心臓病は単に形態的な異常のみならず,機能的な異常を伴う疾患であり,循環系に何らかの侵襲を加えて初めてその異常が検出できることが多いからである.生体に対する侵襲の中では運動がもっとも生理的である.その意味でも運動負荷試験は将来とも循環器病学の重要な一領域として,循環器専門医のみならず,内科医としても一度は経験しなければならない検査である.
 本書が内科医や新たに循環器を専攻しようとする医師のみならず,コメディカルをも含めて,入門書として皆様のお役に立てば望外の幸せである.

2001年6月吉日
齋藤宗靖

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目 次

1 運動負荷試験の基礎
    A.健常者における運動反応(運動生理学)
      1.骨格筋の特性
      2.運動時の筋肉エネルギー代謝
      3.運動時の生体反応
        a.運動時の循環系の調節
        b.運動時の心血管反応
        c.運動と呼吸
      4.運動の種類
        a.動的運動と静的運動
        b.有酸素運動と無酸素運動
      5.最大酸素摂取量
    B.冠動脈・冠循環と心筋虚血
      1.冠動脈の解剖
        a.冠動脈
        b.冠静脈
        c.心室壁内細小動脈
        d.側副血行路
      2.心筋酸素供給と冠循環
        a.冠循環の調節機序
        b.心筋酸素消費と冠血流
        c.心筋酸素消費の臨床的な指標
        d.心筋酸素消費量指標の臨床的意義
      3.狭心症の発生機序
      4.不安定狭心症と急性冠症候群
        a.不安定狭心症の診断基準
        b.不安定狭心症の病態
        c.不安定狭心症の診断
    C.運動と心機能
      1.心機能の重症度分類
      2.運動と血行動態反応
        a.動的な運動における血行動態反応
        b.等尺性運動における血行動態反応
      3.不全心における運動反応
    D.運動負荷心電図の診断原理
      1.感度と特異度
      2.cutoff levelとROC曲線
2 運動負荷試験の方法
    A.運動負荷試験の目的
    B.運動負荷試験の方法
      1.運動負荷の方法
        a.運動の種類
        b.単一水準定量負荷と多段階負荷
        c.最大負荷と亜最大負荷
      2.症候限界性多段階トレッドミル負荷試験
        a.トレッドミル負荷試験のプロトコール
        b.トレッドミル負荷試験の適応
        c.トレッドミル負荷試験の禁忌
      3.トレッドミル負荷試験の実際
        a.トレッドミル負荷試験の実際
        b.トレッドミル負荷試験の中止基準
      4.等尺性運動負荷試験
        a.等尺性運動負荷試験の方法
        b.等尺性運動負荷試験の臨床的意義
    C.運動負荷試験の装置
      1.運動負荷関連装置
        a.運動負荷装置
        b.運動負荷試験用自動血圧計
        c.呼気ガス分析装置
      2.負荷心電図解析装置
    D.運動負荷心電図のとり方
      1.双極誘導法
      2.標準12誘導心電図の記録法
      3.運動負荷心電図誘導法と虚血の検出率
      4.きれいな心電図の取り方
    E.運動負荷心電図の記録と自動解析
      1.心電図コンピュータ解析と虚血の検出
      2.現在発売されている運動負荷心電図自動解析装置
      3.Marquette社製CASEによる心電図記録と解析パラメータ
      4.ST indexによる虚血の診断
3 運動負荷心電図の解釈
    A.運動負荷心電図の診断基準
      1.健常者における運動負荷心電図
      2.運動負荷心電図診断基準の提唱
        a.MASTERの陽性基準
        b.BELLETの基準
        c.GOLDBARGの基準
        d.その他の診断基準
      3.運動負荷心電図の各診断基準
        a.ST低下
        b.ST上昇
        c.陰性U波
        d.運動誘発不整脈
    B.心疾患の病態と運動負荷心電図
      1.冠動脈疾患の重症度と運動負荷心電図
      2.運動負荷試験における性差--女性の運動負荷心電図
        a.冠動脈疾患の有病率と性差
        b.運動負荷心電図の感度,特異度
        c.偽陽性率が高いことの説明
        d.鑑別診断
      3.脚ブロック症例の運動負荷心電図
        a.右脚ブロック
        b.左脚ブロック
      4.電解質,薬物と運動負荷心電図
        a.低カリウム血症
        b.低カリウム性アルカローシス
        c.ジギタリス
        d.抗狭心症薬とST変化
        e.その他の薬剤の影響
      5.Syndrome 「X」
      6.偽陽性ST低下の機序としての心筋障害
      7.左室肥大と運動負荷心電図
    C.心筋梗塞症患者における運動負荷心電図
      1.ST低下
      2.胸痛の出現
      3.ST上昇
      4.運動誘発不整脈
      5.運動耐容量・血圧反応など
4 特殊な病態と運動負荷試験
    A.高齢者の運動負荷試験
      1.加齢現象と運動
      2.高齢者における運動負荷試験
      3.高齢者における冠動脈疾患の診断
    B.不整脈と運動負荷試験
      1.運動時の電気生理的反応と不整脈
        a.運動誘発不整脈の機序
        b.運動時不整脈消失の機序
      2.運動誘発不整脈
        a.上室性不整脈
        b.心室不整脈
        c.房室ブロックおよび脚ブロック
        d.WPW症候群
    C.心臓リハビリテーションのための運動負荷試験
      1.運動負荷試験の目的
      2.運動負荷試験の方法
      3.呼気分析併用運動負荷試験とBORG指数
    D.弁膜症における運動負荷試験
      1.弁膜症の運動負荷心電図
      2.弁膜症における運動負荷試験の有用性
        a.大動脈弁狭窄症
        b.僧帽弁狭窄症
        c.大動脈弁閉鎖不全症
        d.僧帽弁閉鎖不全症
    E.血行再建術後の運動負荷試験
      1.血行再建術の適応決定
      2.冠動脈バイパス術の効果判定
      3.経皮的冠動脈形成術の効果
5 Cardiopulmonary Exercise Test--運動負荷試験における呼気分析の応用
    A.Cardiopulmonary Exercise Test--心肺運動負荷試験
      1.心肺運動負荷試験の意義
      2.心肺運動負荷試験の応用分野
      3.嫌気性代謝閾値(anaerobic threshold)
        a.骨格筋のエネルギー代謝
        b.嫌気性代謝閾値の考え方
        c.嫌気性代謝閾値の求め方
      4.心肺運動負荷試験のプロトコール
        a.トレッドミル プロトコール
        b.自転車エルゴメータ試験プロトコール
      5.心肺運動負荷試験の実際
        a.測定装置
        b.測定の実際
    B.心肺運動負荷試験の臨床応用
      1.慢性心不全
        a.WEBER,JANICKIによる心機能分類
        b.心機能分類と血行動態
      2.慢性肺疾患
        a.最大酸素摂取量の制限因子
        b.閉塞性肺疾患
        c.拘束性肺疾患
      3.心臓リハビリテーションにおける心肺運動負荷試験

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