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書籍詳細

呼吸機能の臨床

検査法から症例検討まで

呼吸機能の臨床

鈴木俊介 他編著

B5判 326頁

定価9,240円(本体8,400円 + 税)

ISBN978-4-498-03095-4

1996年09月発行

在庫なし



 呼吸機能は難しくてよく理解できないという話を聞きます.これは,呼吸生理では数式を使うことが多く,そのためはじめから呼吸機能を敬遠したり,あるいはそれを勉強する機会が少ないためではないでしょうか? この度,中外医学社より呼吸機能検査のテキストを作る機会をいただき,専門分野の異なる二人が知恵を出し,わかりやすい呼吸機能のテキストを目標に編集作成しました.
 いろいろな呼吸器疾患において患者の訴える症状や身体所見は(例えば,呼吸困難,喘鳴,チアノーゼなど),生体内に起きている生理学的現象(気道狭窄,低酸素血症,肺組織の硬化など)に基づいています.生理学的な現象の多くは呼吸機能検査で知ることができます.したがって,呼吸機能を検査することによって,患者の体内で起きている病態生理をよく理解できます.呼吸機能は,気道,肺組織,胸郭,神経,筋などの病変でいろいろ変化します.1つの呼吸機能検査で,気道・肺・胸郭に生じている病変を充分とらえることはできません.いくつかを組み合わせることによって,はじめて全体像を理解することが可能となります.もちろん,経過を観察する際には,1つの検査でも充分な場合があります.
 本書の構成は,はじめに呼吸器の構造について解説し,ついで検査法を配し,基本的な知識を理解していただき,後半では症例を呈示し,その呼吸機能検査成績を実際に即してどのように解釈するかについて解説し,さらに各疾患の呼吸機能の特徴をまとめました.もちろん,多くの読者は,呼吸機能は学生教育を含めてある程度理解されていると思われるので,後半の症例から読み始め,肺機能検査の方法やその意味付けについて詳しく知りたいときには,前半の検査法の項に戻ることも一つの方法と思います.
 近年公表された各種の気管支喘息ガイドラインでは,患者の自覚症状,理学所見のみでは喘息の病状を過小評価する危険性があるため,呼吸機能検査とくにピークフローあるいは一秒量を評価法に加えるよう薦めています.これらの点に鑑み,本書では「ピークフローによる気管支喘息の管理」の項を別に設けて,気管支喘息の管理の実際的な方法を解説しました.
 医学教育における1〜2時間の講義では,臨床における呼吸機能の問題点を考えるのには不充分であり,卒後それなりに時間をかけて勉強する必要があります.今,呼吸機能がわかりにくいと思われている方は,少し時間をかけ本書を使って勉強されることをお薦めします.本書で呼吸機能を勉強することにより,患者の病態生理がより正確に理解でき,日常診療の役に立つことを,著者らは念じてやみません.
 最後に,本書の編集に多大なるご尽力をいただいた中外医学社荻野邦義氏に深く感謝致します.

1996年7月
鈴木俊介永井厚志

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目 次

§1.呼吸器の構造〈永井厚志〉
 A.呼吸器系の構造
  1)呼吸器系の発生
  2)気 道
  3)肺胞実質
  4)肺血管
  5)肺リンパ管
  6)胸膜,縦隔
  7)呼吸筋
  8)自律神経系
 B.呼吸器のモルフォメトリー
  1)気道系
  2)細 葉
  3)肺 胞
  4)肺動脈

§2.呼吸機能検査
1呼吸機能検査入門〈鈴木俊介〉
 A.呼吸機能検査の必要性
 B.呼吸機能検査の使い方
 C.機器,測定手技の精度
 D.記号,数字の表し方
 E.正常値
2スパイロメトリー〈鈴木俊介〉
 A.概 念
 B.原 理
  1)肺活量,肺気量分画
  2)努力性呼出曲線
  3)フローボリューム曲線
 C.方 法
  1)機 器
  2)測定時の注意
  3)肺活量の測定
  4)努力性呼出曲線の測定
  5)MVVの測定
  6)測定値の表し方
 D.意 義
  1)肺活量の規定因子
  2)一秒量の規定因子
  3)フローボリューム曲線
  4)閉塞性疾患における障害
 E.適 応
 F.評 価
  1)肺活量
  2)一秒量
3肺気量〈平本雄彦〉
 A.概 念
 B.原 理
  1)閉鎖回路法の原理
  2)開放式窒素洗い出し法
 C.方 法
  1)閉鎖回路法
  2)開放式窒素洗い出し法
 D.病態生理,適応
  1)病態生理と意義
  2)適 応
 E.評 価
4換 気〈鈴木俊介〉
 A.概 念
 B.定義,測定原理
 C.測定法
 D.評 価
5肺拡散能力〈平本雄彦〉
 A.概 念
 B.原 理
 C.方 法
  1)1回呼吸法
  2)恒常状態法
 D.病態生理,適応
  1)病態生理と意義
  2)適 応
 E.解釈,評価
6メカニックス(換気力学)〈鈴木俊介〉
 A.概 念
 B.抵 抗
 C.コンプライアンス,肺圧量曲線
 D.動肺コンプライアンス
 E.胸郭・呼吸筋
 F.ボディプレチスモグラフィー
 付.食道バルーンの測定法
7ガス分布〈進藤千代彦〉
 A.不均等分布の概念
 B.窒素洗い出し法の原理
 C.ガス分布の測定法
  1)単一呼吸法
  2)多呼吸洗い出し法
 D.意義,適応
  1)単一呼吸法
  2)多呼吸洗い出し法
 E.解釈,評価法
  1)単一呼吸曲線の評価
  2)多呼吸洗い出し法の評価
8血液ガス〈金澤 實 松原弘明 副島研造〉
 A.概 念
 B.原 理
  1)血液中のO2
  2)O2解離曲線
  3)血液中のCO2
  4)CO2解離曲線
 C.動脈血の採取と測定条件
  1)採血方法
  2)採血条件
 D.意義,適応
  1)動脈血ガス測定の意義
  2)低O2血症の原因
 E.解釈,評価
  1)PaO2,PaCO2の正常値
  2)血液ガス異常を呈する疾患
9酸塩基平衡〈中村守男 石坂彰敏 金澤 實〉
 A.概 念
  1)relativeconstantalkalinity
  2)疾患や運動と酸負荷
 B.原 理
  1)酸,塩基とは
  2)緩衝系
  3)Henderson-Hasselbalchの式
  4)生体での調節
 C.測定方法
  1)pH(または水素イオン濃度,[H+])
  2)PaCO2
  3)HCO3-濃度(重炭酸イオン濃度)
  4)BB(bufferbase)
  5)BE(baseexcess)
 D.意義と評価
  1)代謝性アシドーシス
  2)代謝性アルカローシス
  3)呼吸性アシドーシス
  4)呼吸性アルカローシス
  5)significancebandと酸塩基平衡ダイアグラム
10呼吸調節〈木村 弘〉
 A.概 念
 B.原理および方法
  1)CO2換気応答(HCVR)
  2)低酸素換気応答(HVR)
 C.意義,適応
 D.解釈,評価
11気道過敏性の検査〈鈴木俊介〉
 A.概 念
 B.原 理
 C.方 法
  1)エアロゾルの発生および吸入方法
  2)吸入薬剤
  3)気道反応の検出
  4)測定法
  5)解析法
 D.意義,適応
 E.評 価
12ポリソムノグラフィー〈赤柴恒人〉
 A.概 念
 B.測定方法
  1)脳波,眼電図,筋電図の測定
  2)呼吸(気流)の測定
  3)換気運動の測定
  4)ガス交換の測定
  5)心電図の測定
  6)その他の指標
 C.適 応
  1)慢性閉塞性肺疾患
  2)拘束性換気障害
  3)換気中枢の障害
  4)SAS
 D.評価,解析
  1)睡眠段階(睡眠構築)
  2)気流と換気運動
  3)酸素飽和度
13運動負荷検査〈藤本繁夫 田中繁宏〉
 A.概 念
 B.目的,適応と禁忌
  1)目 的
  2)適応と禁忌
 C.測定項目と原理
  1)測定項目
  2)原 理
 D.方 法
  1)検査に用いる機種
  2)負荷量の設定方法
 E.運動負荷検査の解釈と評価
  1)どの程度の運動能力があるか?
  2)換気反応から何がわかるか?
  3)心拍数に余力があるかどうか?
  4)運動筋への酸素輸送は保たれているか?
  5)肺でのガス交換能はどうか?
  6)1回心拍出量の増加に障害はないか?
14換気血流シンチグラム〈川上憲司〉
 A.概 念
 B.原 理
  1)換気分布
  2)血流分布
  3)エアロゾル吸入シンチグラフィ
 C.方 法
  1)換気シンチグラフィ
  2)肺血流シンチグラフィ
  3)99mTc-エアロゾルシンチグラフィ
 D.意義,適応
  1)換気シンチグラフィ
  2)肺血流シンチグラフィ
  3)換気血流ミスマッチ
  4)エアロゾル吸入シンチグラフィ
 E.解釈,評価
  1)換気シンチグラフィ
  2)血流シンチグラフィ
  3)吸入シンチグラフィ

§3.ピークフローを用いた気管支喘息の管理〈田村 弦〉
 A.理論的有用性
 B.測定機器と測定法
 C.標準値と日内変動
 D.気管支喘息管理での意義
 E.意義の認識法
 F.ピークフロー測定の実例

§4.症例による実際
1気管支喘息〈宮沢直幹 鈴木俊介〉
  症例 喘鳴発作(81歳,男性)
  解説
2肺気腫〈永井厚志〉
  症例 労作時呼吸困難,動悸(64歳,男性)
  解説
3慢性細気管支炎〈安井修司〉
  症例 咳,痰,労作時の呼吸困難(73歳,男性)
  解説
4上気道閉塞〈赤柴恒人 永井厚志〉
 1.肺 癌
  症例 喘鳴,呼吸困難(58歳,男性)
 2.Munchausen'sstridor
  症例 呼吸困難,吸気時の喘鳴(15歳,男性)
  解説
5気管支拡張症〈安井修司〉
  症例 咳,痰,労作時呼吸困難(41歳,男性)
  解説
6間質性肺炎〈安井修司〉
  症例 乾性咳嗽,労作時呼吸困難(74歳,男性)
  解説
7過敏性肺臓炎〈永井厚志〉
  症例 咳,労作時呼吸困難(46歳,女性)
  解説
8サルコイドーシス〈沼田万里 鈴木俊介〉
  症例1 胸部X線写真異常陰影(46歳,男性)
  症例2 咳嗽,呼吸困難(65歳,女性)
  解説234
9慢性好酸球性肺炎〈鈴木俊介〉
  症例 咳嗽(50歳,女性,主婦)
  解説
10肺 癌〈赤柴恒人〉
  症例 咳,痰,労作時呼吸困難(61歳,女性)
  解説
11ARDS〈石坂彰敏 金澤 實〉
  症例 咳嗽,呼吸困難(56歳,男性)
  解説
12肺塞栓症〈佐山宏一 金澤 實〉
  症例 呼吸困難(56歳,男性)
  解説
13肺動静脈瘻〈赤柴恒人〉
  症例 労作時の呼吸困難(29歳,女性)
  解説
14肝肺症候群〈鈴木俊介〉
  症例 呼吸困難(64歳,男性)
  解説
15胸膜疾患〈鈴木淳一 鈴木俊介〉
  症例 胸部X線写真上の異常(52歳,男性)
  解説
16神経筋疾患〈進藤千代彦〉
  症例1 筋力低下(60歳,男性)
  解説
  症例2 右横隔神経麻痺(64歳,男性)
  解説
17肺結核後遺症〈佐久間哲也 木村 弘〉
  症例 下腿浮腫,呼吸困難感(62歳,男性)
  解説
18睡眠時無呼吸症候群〈新島眞文 木村 弘〉
  症例 いびき,夜間睡眠中の呼吸停止(44歳,男性)
  解説
19原発性肺胞低換気症候群〈新島眞文 木村 弘〉
  症例 夜間の無呼吸(70歳,女性)
  解説
20運動負荷検査の実際〈田中繁宏 藤本繁夫〉
  症例1 労作時の呼吸困難(Hugh-JonesIII度)(70歳,男性)
  解説
  症例2 労作時の呼吸困難(Hugh-JonesIII度)(68歳,男性)
  解説

日本人の呼吸機能標準値〈鈴木俊介〉
日本人のピークフロー標準値〈鈴木俊介〉
欧州人の呼吸機能標準値〈鈴木俊介〉

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