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書籍詳細

こういうことだったのか!! DIC

こういうことだったのか!! DIC

ある集中治療医の解釈

小尾口邦彦 著

A5判 222頁

定価2,970円(本体2,700円 + 税)

ISBN978-4-498-16638-7

2022年02月発行

在庫あり

日本国内で,また日本と世界で,その考え方や取り組み方が大きく異なるDIC(disseminated intravascular coagulation: 播種性血管内凝固症候群).この違いが,DICに関する疑問が膨らみ,敬遠される一因と言える.本書では,説明しづらい事柄を,軽妙な語り口で分かりやすく伝えることに定評のある著者が,新たな視点でDICを紐解いた.これまでの疑問が氷解し,「DICはおもしろい」と思える1冊.

はじめに

 集中治療室は多くの若手医師であふれます.そこで働く筆者は,彼らとのコミュニケーションをエンジョイしています.様々な大学,様々な研修病院出身の彼らからの情報を通じて,他病院で行われる新しい試みをゲットできることがあります.有名医師のコツが手に入ることもあります.
 初期研修病院次第で重症患者管理はかなり異なると感じます.
その最たるテーマがDIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固症候群)です.

 DICについて一切教わりませんでした
 DICへ即薬剤介入と習いました
 DICへ積極輸血を習いました
 エビデンスがないのでDICの治療は不要と習いました

 バックグラウンドが異なる若手医師が受けたDIC教育はおそろしく異なります.エビデンス云々についても,具体的に聞くと答えはなく,「エビデンスがない」という言葉が一人歩きしていると感じます.DIC学の第一人者は,DICの一般的な認識が「disseminated international confusion(播種性国際的混乱)」「disseminated intracerebral confusion(播種性脳内混乱)」であると嘆きます1).
 DICのテキストはDICエキスパートによってのみ書かれてきたといって過言ではありません.
 筆者は,DICに興味がありますが,DICエキスパートではない集中治療医です.あえて,エキスパートではない筆者が「なぜ若手医師へのDIC教育の違いが生まれたのか?」を紐解いてみたいと考え筆者なりにまとめました.
 若手医師がDICを理解する一助となることを願います.

2022年2月
小尾口邦彦

1)Iba T, Levy JH, Raj A, et al. Advance in the management of sepsis-induced coagulopathy and disseminated intravascular coagulation. J Clin Med. 2019; 8: 728.

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目 次

CHAPTER 01 アンチトロンビンをめぐる物語

 ●頻用される言葉は元の意味が忘れられる
 ●止血メカニズムとアンチトロンビン
 ●DICとアンチトロンビン
 ●KyberSept試験(2001年)の概要と結果
 ●なぜアンチトロンビンは重症敗血症に対して効果を発揮できなかったのか?
 ●海外においてはDVT予防目的のヘパリン投与が重視される
 ●低用量ヘパリン併用はなぜアンチトロンビンの効果を減弱させるのか?
 ●日本において行われた敗血症性DICに対するアンチトロンビンの効果を検証したopen-label RCT(2013年)

CHAPTER 02 プロテインCの10年

 ●活性型プロテインCとは
 ●PROWESS試験とKyberSept試験
 ●PROWESS試験
 ●ついにプロテインCは承認された
 ●国際敗血症診療ガイドライン初版(SSCG2004,2004年)に推奨記載!!
 ●アメリカと日本の医薬品価格決定や支払い制度の違い
 ●DIC合併の有無で検討したPROWESS試験サブグループ解析
 ●死亡リスクが低い重症敗血症へのプロテインCの効果を検証したADDRESS試験
 ●プロテインCとヘパリン併用を検証したXPRESS試験
 ●小児を対象としたRESOLVE試験
 ●SSCG2008におけるプロテインC記載
 ●最終決戦 PROWESS-SHOCK試験
 ●筆者なりのプロテインC総括

CHAPTER 03 TFPI,お前もか

 ●重症敗血症に対するTFPIの効果を検証した第III相試験 OPTIMIST試験
 ●重症市中肺炎に対するTFPIの効果を検討 OPTIMIST試験サブグループ解析
 ●仮説はRCTにより実証されるか? 重症市中肺炎へのTFPIの効果を検証した第III相試験 CAPTIVATE試験

CHAPTER 04 老舗ヘパリン最強?

 ●KyberSept試験(2001年)の復習
 ●OPTIMIST試験(2003年)の復習
 ●なぜヘパリン単剤が最強となるのか?
 ●敗血症への未分画ヘパリンの効果を検証したRCT HETRASE試験
 ●敗血症へのヘパリンの効果と安全性に関するシステマティックレビュー・メタ解析
 ●システマティックレビュー・メタ解析への危惧

CHAPTER 05 日の丸DIC治療薬トロンボモジュリンの戦い

 ●トロンボモジュリンとは
 ●トロンボモジュリンの国内第III相試験 ART-123試験
 ●トロンボモジュリン国際第IIb相試験
 ●トロンボモジュリンは世界初の敗血症治療薬となるか! 敗血症関連凝固障害へのトロンボモジュリンの有効性を検証した第III相試験 SCARLET試験
 ●介入の遅れに足をすくわれた可能性がある
 ●SCARLET試験のeditorialにおいて
 ●SCARLET-2試験

CHAPTER 06 DIC治療薬国内第III相試験を振り返る

 ●日本は創薬大国
 ●日本で認可されたDIC治療薬を振り返ってみよう
 ●DIC治療薬国内第III相試験のまとめ

CHAPTER 07 DIC離脱率をDIC治療薬試験のprimary endpointとすることは適切なのか?

 ●DIC離脱率
 ●ダナパロイド治験で登場したDICスコア改善度
 ●DIC診断基準をDIC離脱診断基準として予後評価に利用できるのか?
 ●Dichotomization(二分法)
 ●DIC離脱率をグラフでイメージすると
 ●厚生省DIC診断基準・急性期DIC診断基準において血小板数ファクターが大きい
 ●急性期DIC診断基準をDIC離脱判定に用いるとき低特異度は問題とならないのか
 ●DIC離脱判定日の設定
 ●トロンボモジュリン薬事審議においても,DIC診断基準をDIC離脱診断基準とすることに疑義があった
 ●なぜダナパロイド・トロンボモジュリン・遺伝子組み換えアンチトロンビンの国内治験・薬事審議において短期指標・代用指標であるDICスコア改善度・DIC離脱率が重視されたのか?

CHAPTER 08 日本版敗血症診療ガイドラインDIC治療薬推奨

 ●SSCG2004・2008・2012
 ●日本版敗血症診療ガイドライン

CHAPTER 09 なぜ敗血症あるいはDICをテーマとする臨床試験は難しいのか?

 ●Heterogeneity
 ●敗血症死亡率はここ20年間で劇的に改善した!!
 ●細菌検査能力の向上も重症敗血症治療薬開発の逆風となる?
 ●介入まで時間がかかりすぎる
 ●1回だけのRCTで決めてよいのか?
 ●国際共同治験の参加国・参加施設数が多すぎる
 ●日本と世界の乖離

CHAPTER 10 DIC診断基準

 ●厚生省DIC診断基準
 ●急性期DIC診断基準
 ●ISTH overt DIC診断基準
 ●予後予測における3診断基準の比較
 ●日本版敗血症診療ガイドラインにおけるDIC診断基準推奨
 ●DIC診断基準策定の難しさ

CHAPTER 11 それって本当にDIC?

CHAPTER 12 DICの病型分類

 ●DICの病型分類
 ●FDPとD-dimerの復習

CHAPTER 13 DICの治療

 ●DIC病型分類
 ●線溶抑制型DIC(敗血症性DIC)への抗凝固療法
 ●補充療法
 ●線溶亢進型(線溶優位型)の治療
 ●抗線溶療法

CHAPTER 14 外傷性DIC

 ●外傷に伴う大出血
 ●外傷性DIC

CHAPTER 15 産科DIC

 ●分娩時異常出血
 ●産科危機的出血
 ●羊水塞栓症
 ●狭義と広義の産科DICがある

CHAPTER 16 敗血症・DIC臨床試験を理解するために最低限必要な統計の知識

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小尾口邦彦 京都市立病院集中治療科部長 著

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