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書籍詳細

医学論文の読み方2.0

医学論文の読み方2.0

論文を批判的に吟味し臨床適用するためのLetterの書き方

片岡裕貴 編著 / 稲垣雄士 編著 / 辻本 康 編著

A5判 290頁

定価4,840円(本体4,400円 + 税)

ISBN978-4-498-14814-7

2022年01月発行

在庫あり

“論文を読んで理解する”ということはどういうことか.本書は,そんな問いに答えてくれます.これまで一度も論文を書いた経験のない人でも,論文に対するコメントを“Letter”として投稿することで,ただ論文を読んで終わる「読み方1.0」から,読んだ論文を解釈し文章にすることで理解する「読み方2.0」へ進化させることができます.その具体的な方法について,成功例や失敗例など実際の事例を紹介しながら詳しく解説します.

医学論文の読み方2.0とは?

 本書は,これまでに論文を書いた経験がない普通の医療者が,臨床論文を「読める」ようになることを目的に編集されました.そのために,「論文を読んで理解することは,読んだ論文を解釈して文章にできることである」という視点から,これまでにない医療者の生涯学習スタイルを提案します.それが医学雑誌に掲載された論文に対して,Letterという形で意見を投稿することです.
 既存の論文の読み方では,乗り越えられていない問題点があります.論文の読み方に関する本には,多くの論文を書いた経験があるエキスパートが「自分のやり方はこうだ」とエキスパートオピニオンを述べる形式と,なんらかのツールを使ったEBMスタイルの読み方を述べる形式に大別されます.それぞれに一長一短はありますが,既存の本の最も大きな問題点は,それらを読んだ結果,実際に読者が「読める」ようになったか,という結果が検証されていないことです.本書のやり方の最大のメリットは,自分の解釈を人に伝える文章にすることで,その解釈が適切なのかどうかを,雑誌のエディターや論文の著者に判断してもらえることです.
 日々,更新される医学知識に追いつくため,定期的に集まって医学論文を読むジャーナルクラブが始まったのは,今から150年近く前のことです1.日進月歩で変化する医療と比べて,そのやり方はほとんど変わっていません.誰かが取り上げる論文を選び,概要を説明し,一部について深く読み込んで議論する.ある程度,論文を実際に書いたことがあって,読む力をもった指導者がいる環境であれば,このスタイルで問題ないでしょう.一方で,実際の日本の臨床現場には,現代の臨床医学の基盤言語となっている疫学や統計学に関する知識をもった指導者は少ないです.独りよがりに論文を読んでも,その読み方が適切なのかどうかが分からなければ,読む力を身につけることはできません.加えて,結果を過大評価したり,結果から言えないことを主張しているような論文に気づかないことで,誤った診療につながってしまう可能性もあるでしょう.
 本書は読むだけでLetterを書くために必要な知識を身につけられる本です.私たち医療者の多くは卒前教育において,いかに多くの知識を丸暗記して,それを試験で答えるか,という点のみで評価されてきました.そのため,既存の知識を適切に批判的吟味し,自分の意見を科学的な文章としてまとめるトレーニングを受けた人は少ないです.筆者らは「誰でもできる臨床研究」を合言葉に,2015年から現場のクリニカルクエスチョン(臨床疑問)を形にするいろんなワークショップを行ってきました.これまでの参加者は延べ数百人になります.一番大きな活動は,クリニカルクエスチョンをもとに適切な検索を行い,見つかった論文を評価して再現可能な形でまとめるシステマティック・レビューとよばれる研究のワークショップです2.システマティック・レビューは,研究をやったことがない,論文の探し方・読み方を知らない医療者が,最初に実施する研究としてはうってつけです.一方で,最終的に論文になるまでには年単位での時間がかかります.そのため,早ければ数日で結果が出て,かつ臨床にも研究にもつながる論文の読み方を学んでいただくプロジェクトとして,読んだ論文に対するコメントを雑誌にLetterとして投稿する試みも行っています3.本書では,その理論と実践結果をまとめました.
 本書の執筆者の多くは,これまでに論文を書いたことがなかった普通の医療者です.目次をご覧になっていただければ分かるかと思いますが,医師だけでなく,薬剤師,看護師,理学療法士,管理栄養士といったさまざまな職種の方が,本書で提案する読み方を通じて,いかに論文を読み解いたか,その結果をどのようにLetterとしてアウトプットしたのかを書いてくださっています.加えて,成功例だけでなく,失敗例についても,リカバリーショットの打ち方までを含めて書いていただきました.
 論文を読んで分かったつもりになって終わる「医学論文の読み方1.0」から,自分の考えを文章にすることで理解する「医学論文の読み方2.0」へやり方を変えてみませんか? 指導者がいる環境でも,指導者がいない環境でも,本書を通した実践により,読者のみなさんが論文をより深く「読める」ようになることを期待しています.そして,「読める」ようになることが,論文を臨床に活かし,患者さんへのケアの改善につながっていくことを願ってやみません.

片岡裕貴

 参考文献
 1. Linzer M. The journal club and medical education:over one hundred years of unrecorded history. Postgrad Med J. 1987;63:475-8.
 2. Tsujimoto H, Kataoka Y, Sato Y, et al. A model six-month workshop for developing systematic review protocols at teaching hospitals:action research and scholarly productivity. BMC Med Educ. 2021;21:98.
 3. Kataoka Y, Sakurai A, Mori H, et al. A workshop on writing letters to the editor. MedEdPublish. 2020;9(1). doi:10.15694/mep.2020.000006.1

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目 次

1部 Letterを書くということ
 1 Letterを書くことのメリット〈稲垣雄士 片岡裕貴〉
 2 科学的な文章の書き方〈百崎 良 片岡裕貴〉
 3 Letterの書き方〈片岡裕貴 辻本 康〉
 4 Risk of bias toolとは〈辻本 康 片岡裕貴〉
 COLUMN 研究デザインの判定法〈片岡裕貴 辻本 康〉
 5 RoB 1:ランダム化比較試験〈山本乃利男 辻本 康〉
 6 RoB 2:ランダム化比較試験〈對東俊介 辻本 康〉
 7 NOS:非ランダム化試験〈角田秀樹 片岡裕貴〉
 8 QUADAS-2:診断精度研究〈城下彰宏 片岡裕貴〉
 9 AMSTAR 2:システマティック・レビュー〈片岡裕貴 辻本 康〉
 10 AGREEII:診療ガイドライン〈和田義敬 片岡裕貴〉
 11 PROBAST:予測モデル研究〈渡部 純 堤 悠介〉
 12 QUIPS:予後因子研究〈阿南圭祐 辻本 康〉
 13 バイアスリスク以外で
 14 継続的な論文チェック〈辻本 康 片岡裕貴〉
 15 英語での文章の書き方〈藤原崇志 辻本 康〉
 16 文献管理ソフト(citation manager)〈宋 龍平 片岡裕貴〉
 17 知識以外に何が必要か?〈片岡裕貴 辻本 康〉
 18 初心者が陥りやすいミス〈辻本 康 片岡裕貴〉
 19 Letterを書くための作業シート〈片岡裕貴 辻本 康〉

2部 Letterの実践
 CASE 1 急性期脳卒中患者の頭部の位置管理〈對東俊介 辻本 康〉
 CASE 2 2型糖尿病で急性冠動脈症候群を発症した患者に対するリキセナチドの効果〈堤 悠介 辻本 康〉
 CASE 3 ICU関連神経筋合併症が及ぼす長期予後〈岡崎悠治 對東俊介〉
 CASE 4 炎症性腸疾患を基礎疾患にもつがん患者への免疫チェックポイント阻害薬の治療〈稲垣雄士 片岡裕貴〉
 CASE 5 妊婦に対するコンピュータを用いたオーダーメイドの食事カウンセリング〈岡見雪子 阪野正大〉
 CASE 6 股関節周囲骨折内固定時の透視撮影方法による被曝量の違い〈坂なつみ 阪野正大〉
 CASE 7 軽症・中等症の急性期脳梗塞患者に対する身体リハビリテーション介入のタイミングと介入頻度〈中尾真理 對東俊介〉
 CASE 8 脱水症児へのオンダンセトロン経口投与〈國吉保孝 渡部 純〉
 CASE 9 機能不全の血液透析用シャント治療における麻酔薬の代替的使用法〈小野寺美子 城下彰宏〉
 CASE 10 神経膠腫に対するテモゾロミド補助療法誘発悪心・嘔吐予防へのアプレピタントの上乗せ効果〈森尾佳代子 渡部 純〉
 CASE 11 Patient Experienceを用いたプライマリケアの質評価について〈角田秀樹 片岡裕貴〉
 CASE 12 腹腔鏡下胆囊摘出手術における声門上器具と気管挿管チューブの比較〈岡野 弘 對東俊介〉
 CASE 13 二次医療施設における不安障害患者に対するマインドフルネス認知療法〈岡 琢哉 渡部 純〉
 CASE 14 HPVワクチンで妊娠率が低下するという論文への反論Letter〈柴田綾子 片岡裕貴〉
 CASE 15 熱傷患者の鎮痛における持続リドカイン静注投与の併用〈板垣有紀 阪野正大〉
 CASE 16 低活動性せん妄の過小評価〈星野晴彦 阪野正大〉
 CASE 17 都市部のヘルスケアにおける看護師主導型高血圧症管理モデル〈真弓卓也 渡部 純〉
 CASE 18 ICUにおける強化運動リハビリプログラム〈篠原周一 片岡裕貴〉
 CASE 19 交絡因子? 中間因子?─DAGを使って考えた「第3の因子」〈吉岡貴史 片岡裕貴〉
 CASE 20 腹膜透析関連腹膜炎の再燃・再発・反復を予防するための抗菌薬延長戦略〈嶋村昌之介 辻本 康〉

3部 メタ疫学研究
 メタ疫学研究〈阪野正大 辻本 康〉

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執筆者一覧

片岡裕貴 京都民医連あすかい病院内科/京都大学大学院医学研究科地域医療システム学講座/京都大学大学院医学研究科医療疫学分野/SRWS-PSGメンター 編著
稲垣雄士 国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科 編著
辻本 康 京都大学大学院医学研究科健康増進・行動学分野/協立病院腎臓透析センター/SRWS-PSGメンター 編著
百崎 良 三重大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学分野/SRWS-PSGメンター 
山本乃利男 宮本整形外科病院/SRWS-PSGメンター 
對東俊介 広島大学病院診療支援部リハビリテーション部門/SRWS-PSGメンター 
角田秀樹 University of Pittsburgh Medical Center / Shadyside Family Medicine 
城下彰宏 一宮西病院呼吸器内科/SRWS-PSGメンター 
和田義敬 藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座/SRWS-PSGメンター 
渡部 純 自治医科大学外科学講座消化器一般移植外科学部門/自治医科大学地域医療学センター地域医療学部門/SRWS-PSGメンター 
堤 悠介 国立病院機構水戸医療センター救命救急センター/京都大学医学研究科医療検査展開学講座/SRWS-PSGメンター 
阿南圭祐 京都大学大学院医学研究科医療疫学分野/済生会熊本病院呼吸器内科/SRWS-PSGメンター 
阪野正大 精治寮病院精神科・神経科/名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野/SRWS-PSGメンター 
藤原崇志 倉敷中央病院耳鼻咽喉科/経済産業省医療・福祉機器産業室/SRWS-PSGメンター 
宋 龍平 岡山県精神科医療センター/株式会社CureApp/SRWS-PSGアドバイザー 
岡崎悠治 北広島町八幡診療所/SRWS-PSGメンター 
岡見雪子 滋賀医科大学NCD疫学研究センター/SRWS-PSGメンター 
坂 なつみ 帝京大学医学部整形外科/SRWS-PSGメンター 
中尾真理 東北大学大学院医工学研究科/リハビリテーション医工学分野 
國吉保孝 津軽保健生活協同組合健生病院小児科/SRWS-PSGメンター 
小野寺美子 旭川医科大学病院緩和ケア診療部・手術部 
森尾佳代子 神戸大学医学部附属病院薬剤部/SRWS-PSGメンター 
岡野 弘 国立病院機構横浜医療センター救急総合診療科/SRWS-PSGメンター 
岡 琢哉 聖十字病院 
柴田綾子 淀川キリスト教病院産婦人科 
板垣有紀 旭川赤十字病院外科/SRWS-PSGメンター 
星野晴彦 国際医療福祉大学成田看護学部看護学科 
真弓卓也 金沢大学大学院医薬保健学総合研究科/循環器内科学研究分野 
篠原周一 愛知健康増進財団 
吉岡貴史 福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター 
嶋村昌之介 手稲渓仁会病院腎臓内科 

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