序

　本書は，神経内科の診療に必要な知識を，図表を多用し，簡潔に覚えやすくまとめた医学生・研修医向けの本である．大石は米国神経内科専門医，米国脳波専門医，米国医師免許証，日本神経学会認定医，日本内科学会専門医，医学博士などの資格を持ち，医学生・研修医の教育を日米で行ってきている．望月は日本神経学会認定医，日本内科学会指導医，医学博士などの資格を持ち，医長として研修医の指導に日夜没頭しているバリバリの現役である．研修医が必ず知っておくべきこと，間違えやすいことなどをよく把握しており，実際に患者を受け持った時に役立つエッセンスが本書には詰まっている．厚生省研究班の診断基準も多く採用し，国家試験の勉強にも適している．携帯できるようにポケット判にまとめ，必要な情報を効率よく得られるように心掛けた．原則として，薬剤は一般名をアルファベットで，商品名をカタカナで表記した．

1997年８月
日本大学医学部神経内科助教授
大石　実

目　次

１章　解剖
　1.区分
　2.解剖
　3.伝導路
　4.血管系

２章　診断へのアプローチ
　1.問診
　2.診察
　3.神経疾患の診断のすすめ方

３章　神経障害の諸症状
　1.頭痛
　2.認知障害
　　Ａ．せん妄
　　Ｂ．痴呆
　　Ｃ．代表的な知能検査
　　Ｄ．健忘疾患
　3.意識障害
　4.痙攣と失神
　5.失語，失行，失認
　6.めまい
　7.嗅覚障害
　8.視覚障害
　9.顔面筋筋力低下
　10.構音・嚥下障害
　11.味覚障害
　12.運動麻痺
　13.しびれ
　14.不随意運動
　15.歩行障害
　16.排尿障害

４章　検査
　1.髄液検査
　2.放射線学的検査
　　Ａ．頭部単純撮影
　　Ｂ．脊椎単純撮影
　　Ｃ．頭部CT・MRI
　　Ｄ．脳血管撮影
　　Ｅ．脊髄MRI
　　Ｆ．脊髄造影(ミエログラフィー)，脊髄造影後CT
　　Ｇ．筋肉(骨格筋)CT
　　Ｈ．核医学検査
　　Ｉ．脳血流検査
　3.脳波
　4.筋電図
　　Ａ．末梢神経伝導速度(NCV)
　　Ｂ．反復神経刺激検査
　　Ｃ．針筋電図
　5.誘発電位検査
　　Ａ．聴覚誘発電位(AEP)
　　Ｂ．視覚誘発電位(VEP)
　　Ｃ．体性感覚誘発電位(SEP)
　6.超音波診断法
　7.生検
　8.生化学的検査

５章　感染症
　1.髄膜炎
　2.脳炎
　3.脳膿瘍
　4.神経梅毒
　5.脳真菌症
　6.脊髄前角炎
　7.横断性脊髄炎
　8.破傷風
　9.後天性免疫不全症候群(AIDS)
　10.HAM(HTLV-1associated myelopathy)
　11.らい(Hansen病)
　12.プリオン病
　13.遅発性ウイルス感染症

６章　血管障害
　1.脳血管障害
　　Ａ．脳血管障害の分類
　　Ｂ．脳血管障害急性期の診断と治療
　　Ｃ．脳梗塞急性期の治療
　　Ｄ．脳梗塞慢性期の治療
　　Ｅ．脳循環・代謝改善薬
　　Ｆ．血管性痴呆
　　Ｇ．TIA(一過性脳虚血発作)
　　Ｈ．脳(実質内)出血
　2.くも膜下出血
　3.Willis動脈輪閉塞症(もやもや病)
　4.線維筋性形成異常症
　5.脳アミロイド血管症
　6.脳血管炎
　7.脳静脈洞血栓症
　8.高血圧性脳症

７章　腫瘍
　1.頭蓋内腫瘍
　2.脊髄腫瘍

８章　外傷
　1.頭部外傷
　2.脊椎・脊髄の外傷
　3.末梢神経損傷

９章　変性疾患
　1.大脳
　　Ａ．Alzheimer病
　　Ｂ．Pick病
　2.基底核，中脳
　　Ａ．Parkinson症候群(parkinsonism)
　　Ｂ．Parkinson病
　　Ｃ．汎発性Lewy小体病
　　Ｄ．舞踏病
　　Ｅ．ジストニー
　　Ｆ．進行性核上性麻痺(PSP)
　　Ｇ．corticobasal degeneration
　　Ｈ．Fahr病
　3.小脳，脳幹，脊髄
　　Ａ．脊髄小脳変性症(SCD)
　4.運動ニューロン
　　Ａ．筋萎縮性側索硬化症(ALS)
　　Ｂ．球脊髄性筋萎縮症(Kennedy-Alter-Sung症候群)
　　Ｃ．Werdnig-Hoffmann病
　　Ｄ．Kugelberg-Welander病

10章　脱髄疾患
　1.多発性硬化症(MS)
　2.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
　3.白質ジストロフィー

11章　代謝性疾患
　1.先天性代謝異常
　2.Wilson病

12章　中毒性疾患
　1.中毒の救急処置
　2.金属中毒
　3.有機リン殺虫剤中毒，サリン中毒
　4.薬物中毒
　5.一酸化炭素中毒
　6.ボツリヌス中毒

13章　発作性疾患
　1.機能性頭痛
　　Ａ．片頭痛
　　Ｂ．緊張型頭痛
　　Ｃ．群発頭痛
　2.てんかん
　3.Meniere病
　4.ナルコレプシー

14章　ミエロパチー(脊髄症)
　1.脊椎骨異常
　2.亜急性連合性脊髄変性症
　3.脊髄空洞症
　4.放射線脊髄症

15章　末梢神経疾患(ニューロパチー)
　1.分類
　2.Guillain-Barre症候群
　3.慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)
　4.アミロイドニューロパチー
　5.圧迫性ニューロパチー
　6.遺伝性感覚性ニューロパチー
　7.Bell麻痺
　8.急性間欠性ポルフィリン症
　9.Charcot-Marie-Tooth病
　10.Dejerine-Sottas病

16章　筋疾患，神経筋接合部疾患
　1.先天性筋ジストロフィー
　2.先天性ミオパチー
　3.進行性筋ジストロフィー
　4.筋緊張性ジストロフィー
　5.周期性四肢麻痺
　6.内分泌性ミオパチー
　7.糖原病
　8.炎症性筋疾患
　　Ａ．多発筋炎，皮膚筋炎
　　Ｂ．封入体筋炎
　　Ｃ．サルコイドーシス
　　Ｄ．リウマチ性多発筋痛
　9.神経筋接合部疾患
　　Ａ．重症筋無力症
　　Ｂ．Eaton-Lambert症候群

17章　形態異常，奇形
　1.形態異常，奇形

18章　全身性疾患
　1.悪性腫瘍
　2.膠原病，他
　3.低ナトリウム血症
　4.ビタミン欠乏
　5.CO2ナルコーシス
　6.尿毒症
　7.肝性脳症
　8.Reye症候群
　9.糖尿病
　
附　公費負担が可能な特殊疾病
　
索引

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