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書籍詳細

がんと認知機能障害 気づく,評価する,支援する

がんと認知機能障害 気づく,評価する,支援する

谷向 仁  編著

A5判 192頁

定価(本体3,200円 + 税)

ISBN978-4-498-22922-8

2020年09月発行

在庫あり

「がんとの共生」が当たり前になるなか,社会復帰を阻む新しい問題の一つとされているのが認知機能障害だ.近年,がんへの罹患や治療などに起因する認知機能障害の報告が増えてきている.しかし,本邦での認知度は決して高くなく,医療者の中でも知識に差があると言える.そのような現状を踏まえ,がん医療における認知機能障害のあれこれを1冊にまとめた.これからのがん治療・ケアをステップアップさせる新バイブルだ.

序文



 2007年4月にがん対策基本法が施行され,それに基づき同年6月に策定されたがん対策推進基本計画はすでに第3期を迎えています.第3期がん対策推進基本計画の分野別施策では,1.「がん予防」,2.「がん医療の充実」,3.「がんとの共生」があげられており,3.「がんとの共生」では,「がんと診断された時からの緩和ケア」をはじめとする5つの項目が具体的に示され,「がん患者等の就労を含めた社会的な問題」も含まれています.診断法および治療法の発展に伴うがんサバイバーの増加とともに,就労,就学などの社会復帰が推奨される中,医学的観点からは心身面のサポートに注目が集まりがちですが,認知機能についてはこれまであまり取り上げられてきませんでした.

 認知機能とは,人が当たり前のように日常生活を送り,様々な活動を行うことを根底から支える重要な機能として,身体機能,精神機能と並んでとても重要な役割をはたしています.医療現場においても,様々な意思決定場面において認知機能の影響が議論されることが増えてきています.がん医療における認知機能障害の背景として,脳転移や脳炎,髄膜炎,せん妄,認知症の併存などはよく知られていますが,近年,がんへの罹患,あるいは化学療法やホルモン療法などの治療による認知機能障害の報告も海外を中心に増えてきています.一方,我が国においてはその認知度はいまだに高くはありません.

 本書では,がん医療における様々な認知機能障害の現状について,まず知っていただくことを主たる目的とし,はじめにその概説と現時点での知見をまとめています.また,既によくご存じの方にはさらに進んで,鑑別・評価法,介入やケアの方法などについて理解を深めて頂けるよう構成しています.これらの執筆には,実際にがんの医療現場をよく知り,現在も診療を実践している多職種の先生方を中心にお願いしました.さらには,がんサバイバーの方々にもその体験をご執筆頂いています.また,付録として,我々が作成した啓発パンフレットについてもQRコードからダウンロードをしてご活用いただけるようにしております.本書を手に取っていただく方々の背景は様々であると思いますが,「がん医療における認知機能障害」について関心をもっていただくきっかけとなり,がん患者さんへの何らかの利益還元に繋がることを願っております.

 最後になりますが,これまでの診療を通して多くの学びを頂きましたがん患者の方々,忙しい中,臨床に即した内容をご執筆いただいた先生方,貴重な体験談をご執筆いただいた桜井なおみ様,前田留里様,そして,このようなチャレンジングな内容の書籍を発刊する機会を作ってくださいました,中外医学社 鈴木真美子氏,編集の労をお取りいただきました稲垣義夫氏をはじめとする関係者の方々,厚く御礼申し上げます.
 
 2020年7月 
 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
 京都大学医学部附属病院緩和ケアセンター/緩和医療科
 谷向 仁
 

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目 次


1章●がん医療における認知機能障害の重要性〈谷向 仁〉
 1.がん医療における認知機能障害の現状
 2.がんに伴う認知機能障害とケモブレイン

2章●がん医療における認知機能障害の文献レビュー〈華井明子〉
 1.がん関連認知機能障害の背景・症状評価
 2.認知機能障害に関する代表疾患別の研究
 3.認知機能障害に対する介入研究

3章●認知機能障害を示す様々な背景
 3-1 高齢者および認知症〈谷向 仁〉
  1.がん医療における現状(疫学や意義など)
  2.認知機能障害の特徴
  3.評価のポイントと注意点
  4.介入法と注意点(特にがん患者に関して)
 3-2 がん薬物療法に伴う認知機能障害〈平本秀二〉
  1.がん薬物療法における認知機能障害の現状と機序
  2.がん薬物療法における認知機能障害の特徴
  3.がん薬物療法における認知機能障害の評価のポイントと注意点
  4.がん薬物療法における認知機能障害に対する介入法とこれから
 3-3 放射線療法に伴う認知機能障害〈小川朝生〉
  1.現状,疫学
  2.放射線障害の特徴
  3.放射線障害と認知機能障害
  4.評価のポイントと注意点
  5.介入と注意点
 3-4 身体的苦痛が認知機能に与える影響〈佐伯吉規,川原玲子〉
  1.がんに伴う身体的苦痛と認知機能障害,その現状と意義
  2.疼痛が認知機能に及ぼす影響と特徴
  3.倦怠感,睡眠障害が認知機能に及ぼす影響と特徴
  4.呼吸困難と認知機能障害の関連,特徴
  5.身体的苦痛が精神的苦痛に与える影響とそのメカニズム
  6.評価および鑑別のポイントと注意点
  7.介入法と注意点
 3-5 支持療法に伴う認知機能への影響〈岡本禎晃〉
  A.医療用麻薬
   1.がん医療における現状
   2.認知機能障害の特徴
   3.評価のポイントと注意点
   4.介入方法と注意点
  B.抗精神病薬
   1.がん医療における現状
   2.認知機能障害の特徴
   3.評価のポイントと注意点
   4.介入法と注意点
 3-6 睡眠障害に伴う認知機能への影響〈足立浩祥〉
  1.がん医療における現状(疫学や意義など)
  2.認知機能障害の特徴
  3.評価のポイントと注意点
  4.介入法と注意点(特にがん患者に関して)
 3-7 精神的問題(不安,抑うつ)に伴う認知機能への影響〈倉田明子,岡本泰昌〉
  1.がん患者の不安・抑うつによる認知の質的な障害
  2.がん患者の不安・抑うつによる認知機能低下(量的障害)
 3-8 せん妄に伴う認知機能への影響〈奥山 徹〉
  1.がん医療における現状(疫学や意義など)
  2.認知機能障害の特徴
  3.評価のポイントと注意点
  4.介入法と注意点(特にがん患者に関して
  5.せん妄の予防
 3-9 てんかん,中枢神経病変に伴う認知機能への影響〈山田了士〉
  A.てんかん
   1.がん医療における現状
   2.高齢発症てんかん
   3.非けいれん性てんかん重積(NCSE)
  B.他の中枢神経病変
 3-10 ADHDによる認知機能への影響〈井上真一郎〉
  1.がん医療における現状
  2.認知機能障害の特徴
  3.評価のポイントと注意点
  4.介入法と注意点

4章●認知機能障害の存在による様々な影響
 4-1 就学・就労の問題〈小橋美月,松岡真里〉
  4-1-1 就学
   1.小児およびAYA世代とがん
   2.晩期合併症と認知機能障害
   3.就学における認知機能の影響
   4.認知機能障害に気づくために
   5.認知機能障害に対する取り組みの現状と課題
  4-1-2 就労〈平井 啓〉
 4-2 意思決定の問題〈小川朝生〉
  1.認知機能障害と意思決定能力
  2.意思決定支援の流れ
 4-3 体験者の声
  A.体験者の声 ?〈桜井なおみ〉
  B.体験者の声 ?〈前田留里〉

5章●認知機能障害の特徴と評価
 5-1 認知機能障害の特徴
  5-1-1 成人・高齢者における認知機能障害の特徴〈小川真?〉
  5-1-2 小児における認知機能障害の特徴〈田畑阿美〉
 5-2 認知機能障害の評価
  5-2-1 認知機能評価の目的〈小川真寛〉
  5-2-2 成人・高齢者に対する認知機能評価
   A.質問紙評価〈小川真?〉
    1.FACT-Cog
    2.Cognitive Symptom Checklist Work 21(CSC-W21)
   B.スクリーニング評価(MMSE, MoCA)〈小川真?〉
    1.Mini-Mental State Examination(MMSE)
    2.Montreal Cognitive Assessment(MoCA)
   C.知能〈馬場千夏〉
   D.記憶機能〈馬場千夏〉
   E.注意機能とワーキングメモリー〈馬場千夏〉
   F.遂行機能〈馬場千夏〉
  5-2-3 小児に対する認知機能評価〈田畑阿美〉
   A.観察・面接
    1.観察
    2.面接
   B.知能の評価
    1.日本版WISC-IV知能検査
    2.日本版WPPSI-III知能検査
   C.認知機能の評価
    1.日本版KABC-II
    2.日本版DN-CAS認知評価システム
   D.記憶の評価
    1.言語性記憶の評価
    2.視覚性記憶の評価
    3.包括的な記憶の評価
   E.注意とワーキングメモリーの評価
   F.視知覚・視覚認知の評価
    1.日本版フロスティッグ視知覚発達検査
    2.WAVES

6章●介入法(主に,ケモブレインを中心に)
 6-1 がん患者の認知機能障害に対する薬物療法〈貞廣良一〉
  1.認知症治療薬
  2.中枢神経刺激薬
  3.骨髄機能補助薬
  4.その他の薬剤
 6-2 非薬物療法
  6-2-1 成人や高齢者を対象とした非薬物療法〈小川真?〉
   1.患者教育
   2.認知トレーニング
   3.代償的方法
   4.ストレスマネジメント
  6-2-2 小児を対象とした非薬物療法〈田畑阿美〉
   1.患者本人への介入 −認知機能障害に気付く・評価する−
   2.家族への情報提供・指導 −支援する−
   3.教育機関への情報提供・指導 −支援する−

7章●今後の展望〈谷向 仁〉
 1.概念,診断基準の整備
 2.簡易なスクリーニング法の開発
 3.医療者および患者,家族への啓発
 4.相談体制の整備
 5.対応やケアの開発
 6.多職種連携とリハビリテーションスタッフの配置・育成
 7.病態解明に向けての研究促進

8章●評価尺度と啓発パンフレット
 ■ MoCA-Jの評価用紙
 ■ Rey-Osterrieth複雑図形
 ■ がん医療 認知機能障害啓発パンフレット

索引

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執筆者一覧

谷向 仁  京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻作業療法学講座 編著
      脳機能リハビリテーション学准教授 
      京都大学医学部附属病院緩和ケアセンター/緩和医療科 
華井明子  理化学研究所医科学イノベーションハブ推進プログラム 
平本秀二  三菱京都病院腫瘍内科・緩和ケア内科医長 
小川朝生  国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長 
佐伯吉規  がん研有明病院緩和治療科医長 
川原玲子  がん研有明病院緩和治療科部長 
岡本禎晃  市立芦屋病院薬剤科部長 
足立浩祥  大阪大学キャンパスライフ健康支援センター准教授 
      大阪大学医学部附属病院睡眠医療センター副センター長 
倉田明子  広島大学病院精神科・緩和ケアセンター診療講師 
岡本泰昌  広島大学大学院医系科学研究科精神神経医科学教授 
奥山 徹  名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学病院准教授 
      名古屋市立大学病院緩和ケアセンター副センター長 
山田了士  岡山大学大学院精神神経病態学教授 
井上真一郎 岡山大学病院精神科神経科助教 
小橋美月  社会福祉法人京都博愛会京都博愛会病院リハビリテーション科 
松岡真里  京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻看護科学コース 
      家族看護学講座成育看護学分野准教授 
平井 啓  大阪大学大学院人間科学研究科准教授 
桜井なおみ 一般社団法人CSRプロジェクト・キャンサー・ソリューションズ株式会社 
前田留里  NPO法人京都ワーキング・サバイバー 
小川真寛  神戸学院大学総合リハビリテーション学部作業療法学科准教授 
田畑阿美  京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻作業療法学講座助教 
馬場千夏  京都大学医学部附属病院リハビリテーション部 
      国立がん研究センター研究所免疫創薬部門特任研究員 

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