ログアウト中です。

トップページ > 世界一やさしい! 尿路結石の本

書籍詳細

世界一やさしい! 尿路結石の本

世界一やさしい! 尿路結石の本

Evan R. Goldfischer 著 / 柴垣有吾 監修 / 冨永直人 監訳 

A5判 200頁

定価3,520円(本体3,200円 + 税)

ISBN978-4-498-22452-0

2020年06月発行

在庫あり

腎尿路結石の診療に携わってきた経験豊かな著者が,自ら尿路結石を患った経験を元に医師と患者の両目線で書いた,尿路結石の攻略本.もともと一般の患者向けであったため,その解説は明快でわかりやすい.一方で,内容は診療から治療・ケア,予防方法までを網羅.医療者にとっても専門的過ぎず,かつ平易過ぎず,手軽に必要な知識を得ることができる.絶妙なさじ加減で,医療者と患者どちらにとっても価値ある1冊である.

序 文


● 私個人の結石による激痛との苦闘の経験
 出産よりもさらに痛いものは数少ないと言われているが,尿路結石もその一つである.尿路結石の痛みは,大の大人を跪かせることで知られているが,実際私も発症したことがあり,その痛みを経験している.
 私は屋台の食べ物が大好きであるが,味見の前には大抵の場合,注意をはらい,加熱されているかを常に確認する.タイのバンコクを旅行中も,茶燻製アヒル肉を見つけ,試しに食べてみたのであった.最高に美味だったがホテルへの帰路,少しお腹に痛みを感じだし,ゴロゴロと鳴って,熱い汗が滴り落ちた.次に何が起きたか,もうおわかりだろう.トイレに直行し,それから12時間,人生で経験したことのないような最悪で,爆発的な下痢を経験した次第であった.
 翌朝,ありがたいことに熱は下がり,空港に行って米国に戻った.私自身医師なので,この最悪な食中毒の間は水分補給を続けるべきことはわかっていたが,何かを飲んでも常にすぐにお腹を通過してしまう状況であった.私は旅行をしていたので,何か潜在的にお腹の調子を悪くするような物を飲むのが怖く,水分摂取をやめてしまった.ただただ,バンコクから家に帰るまで,再びトイレに行くようなことがないことを望んでいたのだ.そんな訳で,飛行機に乗るまでに私はすでに干からびており,機内の乾燥した空気が状況をさらに悪化させたことは言うまでもない.
 翌日仕事に戻り,患者に外科的処置を行っている,まさにその最中,尋常じゃない痛みを肋骨と臀部の間の側面(脇腹ともいわれる)に感じ,それは鼠径部まで広がった.本当に耐え難い痛みで,手術室の床にうずくまってしまった.看護師に連れられて救急部(ER)に駆け込んでいる間に,一緒に手術をしていた者が別の外科医を呼び,手術を終了させてくれていた.トイレに行って尿に血が混じっているのを見たとき,すぐに尿路結石(renal calculusとも呼ばれる)を疑った.CTを撮り,膀胱から1 cm上部の尿管に直径3 mmの結石が嵌頓しているのがわかった(Chapter 2でこれらの医学用語がわかるようになる).宝石の石ほどのこの小さな結石が,コルクのように働いて,腎臓からの尿の排泄を堰き止め,苦悶するほどの痛みを引き起こしたのである.
 私の尿路結石の種類は,もっとも一般的なもの,そう,カルシウム結石であった.バンコクでの食中毒が元で生じた脱水が,原因としてもっとも疑われた.医師として,また尿路結石症の診断と治療の専門医として,約70%の確率で尿とともに排泄されると思っていた.だから,痛みを和らげる鎮痛薬を内服して,水をたくさん飲んで,あとは根比べをしたわけである.実はその夜,オペラ「蝶々夫人」公演のチケットをもっており,見逃すわけにはいかなかったのだ.第一幕の終了時,ソプラノ歌手が高音域のドの音を出した後(ガラスは割れなかったが,私の結石を砕いてくれたかも!),トイレに行き,結石を排出し,席に戻って残りの舞台を楽しんだ.
 数年後,2度目の尿路結石との苦闘があった.繰り返すが,脱水が原因であった(医者の不養生!).このように自分自身の教訓から多くを学び,今なお新たな尿路結石を発症するリスクがあるので,どんな環境であろうとも水分補給を十分に行うことが必要と感じている.そして,実際にそれを実行している.どんな日でも,それが患者を診ている日でも旅行している日でも,横に水のボトルを置いている.
 もしあなたの尿路結石が落ち着いているように思われるなら,それはすでに排出されたか,あるいは痛みが一時的に引いているかのどちらかである.さあ,今あなたは,尿路結石の再発をいかに減らすかに関する情報を求めて本書を読んでいるわけであり,正しい場所にたどり着いたと言えよう.本書は尿路結石の治療および予防に際し,言わば必要な地図である.
 考えてみてほしい.主治医があなたに糖尿病や心臓病など,尿路結石以外の別の病気の診断を下したら,あなたはその病気について学んだことを実践して,できれば健康を維持し,また悪化を避けるために,ライフスタイルを改善するはずである.また,主治医が,あなたには重大な心臓発作のリスクがあるために体重を減らす必要があると言ったら,あなたは1〜2?を落とすために必要なことを,学ぶことであろう.尿路結石と診断されたとしても違いはない.あなたは生涯,そう,一生涯にわたって付き合う疾病であると診断されているわけであり,今から一緒に学んでいく必要がある.
 この本は診断から治療まで,尿路結石について知っておくべきことを呈示しているだけでなく,この“地獄”の苦痛を再び味わうリスクを減らすためにあなた自身でできるさまざまなライフスタイルの改善法をも示している.これは非常に重要である.なぜなら尿路結石が多いほど,腎臓病を発症するリスクが高くなり,逆に尿路結石のリスクが減ると,後年に慢性腎臓病を発症するリスクも低くなるからである.
 本当にこの痛みを再び経験したくない場合は,この本に掲載している指導と情報を確認することが大切である.4つの主要な尿路結石の相違点,それらが形成される理由,それらがどのように除去されるか,また再び形成されるのを防ぐために何を食べたり飲んだりすべきかが示されている.本書は,臨床医向けの科学的な参考資料ではなく,患者向け​​のガイドを意図しており,尿路結石症専門医とのコンサルテーションに代わるものではないことをご理解いただければ幸いである.
 面白いことに,尿路結石はヒポクラテスの誓いにも言及されている.
「戴石術は,必ず之を専門家の手に委ね.」

Evan R. Goldfischer, MD, MBA

すべて見る

目次

Chapter 1 なぜ私に尿路結石ができたのでしょうか?(冨永直人,吉岡まき) 
 1 なぜ結石はできるのか 
  A.他の疾患や病態はないか?
  B.薬や食事に原因はないか?
  C.遺伝していないか?
  D.尿路結石とメタボリックシンドローム 
 2 私のはどんなタイプの結石ですか?  
 3 結石の兆候と症状はどんなものですか?  
 4 数字が物語る結石の実態  

Chapter 2 尿路系の基礎知識,疾患および受診の流れ(瀧 康洋,谷澤雅彦)
 1 基礎知識  
 2 腎・泌尿器系の疾患  
  A.尿路感染症
  B.失禁
  C.間質性膀胱炎
  D.慢性腎臓病
  E.腎不全
  F.膀胱癌
  G. 腎盂腎炎 
  H.前立腺肥大症
  I.前立腺炎
  J.タンパク尿
  K.尿閉
 3 相談するならばプライマリケア医? 泌尿器科医? 
 4 泌尿器科医を探す方法  
  A.基本的な流れ
  B.経歴・治療の実践内容を知ろう
 5 受診時に気をつけること 
  A. 病歴  
  B. 受診時に用意すべきもの 

Chapter 3 検査の種類と内容 (大山友香子,龍華章裕)
 1 検尿  
  A.最適な検尿方法
  B.酸性かアルカリ性か
 2 血液検査 
 3 尿酸値の測定  
 4 基本的な生化学検査(包括的代謝パネル) 
 5 どのようにして結石が形成されるのか 

Chapter 4 あなたが結石を発症する確率は? (村澤 昌,小禄雅人)
 1 リスクとなりうる因子 
  A.年齢
  B.遺伝的素因
  C.性差
  D.妊産婦 
  E.非活動的な人々
  F.肥満手術と尿路結石
 2 尿からのメッセージ 
  A.日頃からできること
  B.尿の成分
 3 関連する病態 
  A.痛風
  B.原発性副甲状腺機能亢進症
  C.癌 
  D.尿細管性アシドーシス
  E.サルコイドーシス
  F.炎症性腸疾患
  G.髄質性海綿腎 
  H.膀胱尿管逆流 
  I.腎臓および尿路閉塞
 4 尿路感染症のABC 

Chapter 5 結石の形成 (山田将平,小波津香織) 
 1 シスチン結石(Cystine Stones) 
 2 ストルバイト結石(感染結石 Struvite Stones) 
 3 尿酸結石 
 4 カルシウム結石 
 5 サンゴ状結石(Staghorn Calculi) 
 6 入院後に生じる結石 

Chapter 6 結石の診断 (安達崇之,大石大輔)
 1 受診先はどこか 
 2 診察と検査 
 3 問診時に確認すべき尿路結石の症状 
 4 画像検査を受ける 
  A.超音波検査
  B.造影剤を使用しないCTスキャン(単純CT)
  C.造影剤を使用したCTスキャン(造影CT)
  D.静脈性腎盂造影(IVP)
  E.逆行性腎盂造影
  F.腹部X線検査(KUB)

Chapter 7 結石の治療(角 浩史,相田紘一朗) 
 1 手術以外の排石 
  A.投薬による自然排石
  B.驚くべき排石法
  C.代替療法(非科学的民間療法)
 2 結石の手術 
  A.Edward Lyonと膀胱鏡検査
  B.尿管鏡検査:低侵襲手術  
  C.衝撃波治療:非侵襲的治療 
  D.経皮的腎結石摘出術:低侵襲手術
  E.開腹手術
  F.結石の種類による治療法の違い
 3 薬による痛みの緩和 
  A.トラドール(ケトロラク)
  B.アセトアミノフェン/オキシコドン合剤
  C.ジラウジッド(ヒドロモルフォン)
  D.モルヒネ
  E.オキシブチニン
  F.ピリジウム(フェナゾピリジン)

Chapter 8 食事と結石(藤田陽子,小島茂樹)
 1 結石予防と食事療法の考え方
  A.脂肪食を避ける 
  B.好物を外す無理はしない 
  C.シュウ酸に気をつける
  D.プリン体に気をつける
  E.カルシウムの落とし穴
  F.塩と結石
 2 脱水と結石 
  A.一杯のコーヒーと結石
  B.脱水のサイン
 3 小括 
 4 選ぶのはあなた 
  A.適切なステップを踏んだ人の経過 
  B.適切なステップを踏まない人の末路
  C.尿路結石リスクは当初低くても,上がりうる

Chapter 9 カルシウム結石の予防(喜多洋平,上原温子)
 1 採石・検査 ― 結石の種類を知るために  
  A.結石分析  
  B.検査
 2 カルシウム結石とわかったら 
  A.食事
  B.ソーダをやめる
  C.飲水量を増やす
  D.塩をひかえる
  E.カルシウムの摂取量を見直す
  F.オレンジは食べたほうが良いか?
  G.クエン酸を多く摂るには
  H.タンパク質を控える
  I.低脂肪食を継続する 
  J.大豆を制限する
  K.サプリメントをやめる
  L.制酸薬に注意
  M.シュウ酸の少ない食事を心がける
 3 薬物療法 
 4 まとめ 

Chapter 10 ストルバイト結石の予防(牧野内龍一郎,内田大介)
 1 ストルバイト結石の特徴  
 2 尿路感染症の予防
  A.食事
  B.尿を溜めすぎない ─ 行きたいときに行こう! 
  C.細菌の侵入を防ぐ正しい拭い方
  D.陰部は毎日きれいに
  E.性交後の排尿  
 3 薬剤 

Chapter 11 尿酸結石の予防(丑丸 秀,上原圭太)
 1 食事 
  A.基本的な考え方
  B.スープ 
  C.メインディッシュ
  D.低タンパク食のためカロリーを上げる
 2 尿pHの数当てゲーム  
  A.基本的な考え方
  B.炭酸水素ナトリウム 
  C.pHと結石・他の治療法

Chapter 12 シスチン結石の予防(井上友彦,寺下真帆)
 1 食生活
  A.基本的な考え方 
  B.メチオニン
  C.尿pHを上昇させるには 
 2 薬剤
  A.チオプロニン
  B.ペニシラミン
  C.カプトプリル

Chapter 13 尿路結石と生きる(韓 蔚,仲田真由美)
 1 いんちき治療と真の治療を見わける  
 2 有益な情報と詐欺的情報  
  A.FDAホームページ
  B.詐欺的情報の特徴 
  C.民間療法
  D.インターネット上の医学情報
 3 サポートを得る
  A.オンラインフォーラム 
  B.サポート体制の構築
  C.サポートグループ

リソース(大迫希代美,久道三佳子)

用語集(田邉 淳,久道三佳子)

すべて見る

執筆者一覧

Evan R. Goldfischer                       著
柴垣有吾      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授  監修
冨永直人      川崎市立多摩病院腎臓・高血圧内科 部長   監訳 
吉岡まき      川崎市立多摩病院泌尿器科 主任医長 
瀧 康洋      稲城市立病院腎臓内科 
谷澤雅彦      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 講師 
大山友香子     藤田医科大学腎臓内科 
龍華章裕      名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学 
村澤 昌      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 助教 
小禄雅人      新健幸クリニック 
山田将平      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 
小波津香織     聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 助教 
安達崇之      豊見城中央病院 腎臓内科 
大石大輔      用賀アーバンクリニック 
角 浩史      川崎市立多摩病院腎臓・高血圧内科 医長 
相田紘一朗     聖マリアンナ医科大学腎泌尿路外科 助教 
藤田陽子      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科  
小島茂樹      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 助教 
喜多洋平      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 
上原温子      Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health, MPH candidate 
牧野内龍一郎    聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院腎臓・高血圧内科  
内田大介      宇都宮記念病院腎臓内科 
丑丸 秀      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 
上原圭太      那覇市立病院腎臓リウマチ科 医長 
井上友彦      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 
寺下真帆      川崎市立多摩病院腎臓・高血圧内科 
韓 蔚       聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 
仲田真由美     聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 
大迫希代美     名古屋第二赤十字病院 移植・内分泌外科 
久道三佳子     稲城市立病院腎臓内科 
田邉 淳      聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 助教 

すべて見る
  • テキスト・教科書
  • 考え方・使い方
  • J-IDEO
  • J-IDEO定期購読
  • ClinicalNeuroscience
  • 広告掲載をお考えの方へ
  • 企画応募フォーム
  • 動画閲覧・ファイルダウンロード
  • 採用情報
  • X
  • note小
  • Facebook
  • JIDEOバックナンバー
  • テキスト・教科書
  • グリーンノート
  • 考え方使い方

株式会社中外医学社 〒162-0805 東京都新宿区矢来町62 TEL 03-3268-2701/FAX 03-3268-2722