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書籍詳細

内科初診外来 ただいま診断中!

内科初診外来 ただいま診断中!

鋪野紀好 著

A5判 192頁

定価4,620円(本体4,200円 + 税)

ISBN978-4-498-02086-3

2020年04月発行

在庫あり

本書では、内科の初診外来におけるコモンな症候や症状で診断が想起できない場合、どのような戦略的アプローチを行うべきかについて、Semantic Qualifier, 解剖学的アプローチ、Pivot and Cluster Strategyなど、具体的な診断戦略を挙げながら分析的かつ、わかりやすく解説。他の成書ではあまり扱わないテーマや手法による診断推論も展開され、研修医のみならず、専攻医〜指導医レベルの医師にとっても実践的に役立つ書となっている。

著者略歴
鋪野 紀好 (しきの きよし)
千葉大学医学部附属病院総合診療科 兼 総合医療教育研修センター

2008年 千葉大学医学部 卒業
2010年 千葉市立青葉病院 初期研修 修了
2011年 千葉大学医学部附属病院総合診療科 シニアレジデント
2012年 千葉大学医学部附属病院総合診療科 医員
2013年 ‌千葉大学医学部附属病院総合診療科 特任助教 兼 総合医療教育研修センター
2015年 千葉大学大学院医学研究科博士課程 修了(医学薬学府先進医療科学専攻)
2017年 ‌千葉大学医学部附属病院総合診療科後期研修プログラム責任者(家庭医療コース)
2018年 ACP Japan Chapter PRC委員
米マサチューセッツ総合病院 医療者教育学 修士課程(2020年6月卒業見込)
2019年 千葉大学医学部附属病院総合診療専門研修 副プログラム責任者
日本内科学会専門医部会幹事(講演会担当)
日本病院総合診療医学会評議員
2020年 ‌千葉大学医学部附属病院卒後臨床研修 副プログラム責任者(協力病院スタートプログラム)

〈座右の銘〉
Where there is a will, there's a way.

〈著書〉
50のCommon Diseaseから学ぶ診断推論 外来での思考プロセスとマネジメント(メディカル・サイエンス・インターナショナル,2018年)

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巻頭言
本書に目を通して深い感慨に包まれた.聖マリアンナ医大総診で取り組み始め,千葉大総診で発展させた二十年間の診断方略を,気鋭の門下生が忠実に再現してくれたからである.あまりに次元の異なる例えで恐縮だが,もし孔子が論語を紐解いたら,このような感慨を抱くのであろうか.
ウオークイン中心の聖マリアンナ医大では,コモンディジーズにさえ精通していれば,引き算診断によって稀な疾患まで対処できたが,紹介患者中心の千葉大病院ではバイオサイコソーシャル全方位に難化し,担当医を窮地に立たせることが多くなった.そのようなケースに初学者でも挑戦できるように考案したさまざまな診断方略を収めたのが本書である.キーワードの選択とSQへの昇華,バイアスを意識しながらの早期疾患想起,アンカリングした仮説と得られる情報の距離による仮説の棄却,患者の受療閾値から予想する病態の深刻度,患者再現VTRをイメージした病歴の映像化,疾患仮説ありきの身体診察,プラセボ効果による心因疾患除外など,すべては学習者に診断の醍醐味を体験してもらうための方略である.当教室員である鋪野紀好君は元来速筆であり,溢れる才能でこれらを見事にまとめ上げてくれた.
診断推論の方略開発と実践に注力した四半世紀であるが,診断に拘ると全人医療が疎かになるという声を何度も耳にした.私どもの診療が全人医療かどうかは別として,診療における医師と患者,双方の満足度を同時に上げるのは診断がつく外来であり,また全人医療を妨げる陰性感情の多くが,自身の診断能の低さに対する嫌悪感を無意識に患者に投影し,患者が“difficult”だと感じてしまう,問題のすり替えに起因する.もちろん患者医師関係を良好に保つためには,難しいと感じる状況を減らすための診断以外の方略も重要であり,本書でも章を別立てしている.さらに本書は他科へのコンサルテーション方略まで紹介しており,大学病院というサブスペシャリスト軍団の中で,私どもジェネラリスト部門が心掛けた生き残り術にも触れた一冊である.
診断推論学に先端医療のような派手さや目を見張る進展はないかもしれないが,日々進化しているのも事実である.本書は千葉大総診エバンジェリストによる現時点での私どもの診断推論学の集大成であり,さらなる高みを目指して版が重ねられることを切に願っている.
千葉大学大学院医学研究院診断推論学教授
千葉大学医学部附属病院総合診療科科長
生坂 政臣


序 文
私に本書執筆の話が舞い込んだのは,第16回日本病院総合診療医学会学術大会であった.同学会で獨協医科大学病院総合診療科教授の志水太郎先生とシンポジウム「診断戦略開発カンファレンス」をさせて頂いた.この時のカンファレンスでは本書でも述べられているSemantic QualifierやVINDICATE+P,Pivot and Cluster Strategyなどの診断戦略が繰り広げられ,それを目の当たりにした現担当者が本書の企画を思いついたとのことであった.人はいつ何時みられているかは分からず,いつ何処にチャンスが転がっているのかは分からないなあ,と強く感じたのを鮮明に覚えている.
本書を解説するにあたり,私が総合診療と出会った時のことを話したい.私が入学してまもなく,生坂政臣教授をトップに迎え総合診療部(現在は総合診療科)が開設した.それから4年が経ち,総合診療部での臨床実習を迎えた.当時の実習期間は5日間,それでも正味にすると丸3日間と非常に短期間の実習である.そんな中で私が目の当たりにしたのは,原因不明とされる患者が,医療面接と身体診察,それと少々の検査で次々と診断されていく現場であった.それはドラマチックで,エキサイティングで,まるで私が幼少期から愛してやまないコナンドイルの「シャーロック・ホームズ」の現場を目の当たりにしているようであった.患者の病歴一つ一つは診断という扉を開けるための鍵なのである.それを研ぎ澄まされた洞察力で,探し出し,突き進んでいく.私はこの時「総合診療」に魅せられてしまった.そこからは心変わりすることなく,総合診療の道を突き進むことを決意した.
臨床研修が盛んな千葉市立青葉病院で2年間の多くの経験を得て,意気揚々と千葉大学医学部附属病院総合診療科でのシニアレジデントになった.しかしながら,これまでの経験では無力のままであることに気づかされた.診断推論を追求するためには,戦略が不足していることを感じ取った.診療後も夜な夜な英語論文や成書を読み漁り,鑑別疾患のレパートリーを学んだ.指導医と白熱したディスカッションを通じて,臨床推論がなんたるかを経験した.そして,生坂先生からは診断学がみせる輝きを教えてもらった.
ここで培った10年の経験は,日々の医学生や研修医の指導に十分なほど活用された.この診断学を通じて,ジェネラルな診療ができる医師が自分の身近で増えてきていることを体感した.そんな中で,「果たして今自分の身の回りだけで満足していいのか?もっとジェネラルマインドを広げることはできないか?」そう考えていた矢先に,本書の企画が舞い込んだ.自分としてはこれまで千葉大学総合診療科で学んできたスキルを還元できるとても良い機会だと思った.
本書籍の特徴としては、Semantic Qualifier,解剖学的アプローチやVINDICATE+P,Pivot and Cluster Strategyなど,診断を想起できない時にどのように考えているかについて分析的に述べている.これらの診断戦略を習得すれば,内科外来で診断に困ることはないだろう.さらに,診断学を突き詰めるために,患者受療行動,診断エラー,Difficult Patient,基質疾患と精神疾患の鑑別など,他の成書では扱わない分野からの診断推論が展開されることも本書の魅力であろう.専攻医レベル〜指導医レベルでも,新しい発見になることを期待してやまない.
最後に,中外医学社の宮崎雅弘氏の懇切丁寧な編集作業と,より良い書籍を世に出すための熱意がなければ,本書は成立しなかった.本書作成の礎となる臨床推論を教えてくださった私の師である生坂政臣先生,日々共に学んでいる先輩・後輩・友人,そして陰ながら支えてくれる妻へ,この場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたい.
2020年春
千葉大学大学院医学研究院診断推論学
千葉大学医学部附属病院総合診療科
鋪野 紀好

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目次

Part.1 診断推論のキホン1
1.SQを使って臨床推論をしてみよう!
 1.SQとは
 2.SQの有用性
 3.診断が思いつかない時こそSQを活用する
 4.SQに置き換えてみよう!
 5.実際にSQで検索してみよう
 6.SQを立てる時のコツ

2.VINDICATE+Pで攻める!
 1.VINDICATE+Pとは?
 2.どういう時にVINDICATE+Pを使うのか?
 3.VINDICATE+Pのウィークポイントは?

3.解剖学的アプローチのコツ
 1.解剖学的アプローチとは?
 2.解剖学的アプローチでは再現性を持って解剖をあげること!
 3.解剖構造を想起し,そこを手がかりに鑑別をあげる!
 4.VINDICATE+Pとどっちがいいの?
 5.解剖学的アプローチが適しているのは

4.前向き推論と後ろ向き推論
 1.前向き推論と後ろ向き推論とは?
 2.後ろ向き推論の利点
 3.後ろ向き推論の欠点
 4.前向き推論の利点
 5.外来でしか前向き推論はトレーニングできないの?

5.system 1とsystem 2を使いこなす─dual process theory
 1.Dual process theoryとは?
 2.System 1とは?
 3.System 2とは?
 4.System 1とsystem 2の利点と欠点
 5.System 1とsystem 2を相補的に組み合わせる!

6.ピボット・クラスター戦略を活用しよう!
 1.Pivot and Cluster Strategy(PCS)とは?
 2.Pivot and Cluster Strategyのメリットは?
 3.ピボットとクラスターの距離を測るべし(disease map)
 4.正確にピボットするには?
 5.クラスターをおさえるには?
 6.クラスターを作ったら

7.疾患仮説を意識した病歴聴取をしよう!
 1.あなたはルーチンに病歴聴取をするのか?
 2.早期に疾患仮説を立てないと…
 3.早期に疾患仮説を立てるメリット

8.引き算診療による診断推論をマスターしよう!
 1.引き算診療とは?
 2.なぜ引き算診療なのか?
 3.事例を通じて引き算診療を学ぶ

9.小人探しで疾患を絞り込む!
 1.小人探しとは
 2.見逃せない疾患
 3.診断不明に陥りがちな疾患

10.問診から患者の日常生活を映像化(イメージ)せよ!
 1.あなたは問診をした時に,患者のイメージができるか?
 2.患者をイメージしながら問診するメリットは?
 3.どういった場面をイメージして問診するか?

11.患者受療行動を活用した診断推論
 1.患者受療行動とは?
 2.行動科学を知ろう!
 3.受療閾値を考えてみよう!
 4.受診頻度から重症度を判断する!
 5.Unusualな受療行動に要注意!

12.疾患仮説に基づく身体診察をしよう!
─Hypothesis Driven Physical Examination
 1.あなたは漫然と身体診察をしてないか?
 2.HDPEって何?
 3.事例からHDPEを考える
 4.HDPEの注意点

13.診断エラーとバイアス!
 1.診断エラーとは何か?
 2.診断エラーってそんなにあるの?
 3.診断エラーの要因は?
 4.情報収集,情報統合のエラーを回避するには?
 5.システムエラーとは?
 6.システムエラーの要因は?
 7.ケースの振り返り
 8.陰性感情のコントロールには?

14.器質疾患と心因性疾患を見極める!
 1.精神疾患の診断は器質疾患の除外ではない
 2.積極的によくある精神疾患を診断する
 3.器質疾患と精神疾患の見極めのポイントは?

15.ICTツールを使って適切な診断にたどり着こう!
 1.医学知識を詰め込むのはフルイ?
 2.どうやって検索するのか?

16.Difficult Patientに対応しよう!
 1.Difficult Patient(対応困難な患者)とは?
 2.Difficult Patientがもたらす問題
 3.Difficult Patientの要因分析と対応方法
 4.Difficult Patientへの対応スキルを獲得するために

17.他科との交渉術〜コンサルテーションの流儀!
 1.他科コンサルテーション,アナタは上手にできていますか?
 2.結論から入らない,ダラダラコンサルテーション例
 3.相手のメンツを立てるべき
 4.相手に重要性をわかってもらう工夫
 5.Pertinent positive/negativeを意識する
 6.自信がなければハッキリ伝える

18.SQバンドル
 1.時間経過
 2.部位
 3.進行形式
 4.視診
 5.筋骨格
 6.神経
 7.胸部
 8.皮膚
 9.消化器
 10.生殖器
 11.頭頸部
 12.症状の程度/種類

Part.2 実際の症例で見てみよう
症例1 頭が痛い,吐き気がする,目が見えにくい
症例2 全身がピリピリして痛い
症例3 胸の痛み,息苦しさ
症例4 両下肢の痺れ
症例5 発熱,頸部痛
症例6 右肩の痛み,右脇腹の痛み,発熱

巻末資料(SQバンドル)
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