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書籍詳細

今日の老年医学 2000

臨床と基礎

今日の老年医学 2000

日本老年医学会雑誌編集委員会 編

B5判 250頁

定価9,240円(本体8,400円 + 税)

ISBN978-4-498-05900-9

2000年04月発行

在庫なし

臨床医として今日理解しておくべき老年医学の基礎と臨床を最新の知見により解説したものである.
高齢者の総合機能評価法,薬物療法・抗血小板療法や動脈硬化・アルツハイマー型痴呆・骨粗鬆症・虚血性心疾患などにおける臨床上の問題点を解説するとともに,老年医学を支える基礎的医学を各第一人者が解説にあたった.
なお本書は「日本老年医学会雑誌」に掲載された「総説」と「展望」をもとに加筆し,単行本としてまとめたものである.



 本書は日本老年医学会雑誌第35巻(1998年)に連載された,「総説」および「老年医学の展望」を単行本としてまとめたものであります.日本老年医学会雑誌は日本老年医学会の機関誌でありますが,1964年に刊行を開始して以来,老年医学に関する情報発信基地の役割を担ってまいりました.1997年,蔵本 築 前編集委員長の後任として私が編集委員長に就任し,その機会に,本誌の情報発信基地としての役割をより明確にするために,従来の原著論文,症例報告,学会記録に加え,「総説」と「老年医学の展望」を各号1編ずつ掲載することに致しました.「総説」は老年医学における重要な,主として臨床的なテーマについて編集委員の先生方を中心に執筆して頂き,「老年医学の展望」は,老年医学の周辺領域の最新のトピックスを学会内外の第一線の研究者からわかりやすく解説して頂くことをねらいとしています.読者に便利なように,できるだけ多くの文献をあげて頂くことも方針の一つです.
 この企画は幸い会員の方々から好評を頂き,一冊の本にまとめては,というご示唆を各方面から頂きました.その結果,生まれたのが本書であり,第35巻の総説,展望の各12編,計24編を収録しております.本書に収められている論文の最初の原稿を頂いたのは今から2年位前のことになりますが,今回の出版に向けて,その後の進歩に伴う新しい知見を大幅に加筆して頂き全面的に改訂致しました.したがって,本書は現時点でもっとも新しい老年医学の情報を提供しうるものと考えております.
 わが国における急速な高齢化の進展は,医学,医療,福祉の領域にとどまらず,経済,文化のありかたにまで大きなインパクトをあたえ,社会構造そのものの抜本的な見直しが必要な状況となっています.このような状況を背景に,老年医学の重要性はますます高まっております.時あたかも西暦2000年,本書がわが国における老年医学の一層の発展に役立つことを念願しております.
 本書の刊行に際して,執筆者の先生方には編集委員会からの注文に快く応じて頂き,第一級の論文をご執筆頂いたことを深く感謝致します.また,種々の助言を頂きました日本老年医学会雑誌編集委員の方々,楽しく議論しながらテーマを一緒に考えた雑誌編集幹事の方々,本書の出版にご尽力頂きました中外医学社 青木三千雄社長,荻野邦義氏に感謝致します.

2000年3月1日
日本老年医学会雑誌編集委員長
東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授
大内尉義

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目 次

I.今日の老年医学
1.高齢者の総合機能評価 〈小澤利男〉
 1.背 景
 2.生活機能評価の方法
 3.評価の実際
  1)基本的ADL
  2)記憶・認知機能
  3)うつ状態の評価
  4)コミュニケーション・視聴力障害の評価
  5)社会状況の評価
  6)生活の質QOL(quality of life)
  7)その他
 4.総合機能評価の有用性

2.骨粗鬆症の予防と治療 〈折茂 肇〉
 1.骨粗鬆症の病態
  1)加齢に伴うCa代謝調節ホルモン,サイトカインの変化
  2)加齢に伴う骨芽細胞機能の低下
  3)高齢者の骨代謝は本当に低回転型か
  4)高齢者の骨吸収亢進をきたす成因
 2.骨粗鬆症の予防および治療の基本的考え方
  1)骨量低値群の同定
  2)fast loserの同定
  3)危険因子の同定
 3.骨粗鬆症の新しい診断基準
 4.治療方針
  1)薬物療法の開始時期・適応
  2)各種薬剤の薬理作用,骨粗鬆症治療における役割
  3)薬剤の選択と併用および投与期間
  4)治療の経過観察と判定

3.アルツハイマー型痴呆研究の最前線〈武田雅俊 篠崎和弘 西川 隆 工藤 喬 中村 祐 田中稔久〉
 1.アルツハイマー病の病態とアミロイドカスケード仮説
 2.アルツハイマー病の原因遺伝子
 3.プレセニリンとアルツハイマー病

4.高齢者の住環境の設計−最近の考え方− 〈野村 歓〉
 1.高齢者に対する住環境整備は何故必要か
 2.高齢者を取り巻く住宅事情
 3.最近の施策の展開
  1)社会システムとしての施策
  2)個別の施策
 4.ソフトの提供
 5.地域社会と住宅との関わり
 6.住宅施策と福祉施策との連携

5.老年病の縦断的研究 〈上田一雄〉
 1.老年者の生命予後
 2.循環器疾患の危険因子
 3.循環器疾患の動向と危険因子の管理効果

6.老年学分野における老化関連遺伝子の役割 〈三木哲郎〉
 1.早老症とは
 2.ウェルナー症候群とヘリカーゼ蛋白
 3.脳の老化とアルツハイマー病
  1)AD1=APP
  2)AD2=APOE
  3)AD3=presenilin-1(PS-1)
  4)AD4=presenilin-2(PS-2)
  5)多因子病としての孤発性アルツハイマー病
  6)日本人のFADの解析
 4.筋強直性ジストロフィーと三塩基反復配列病
  1)DM遺伝子
  2)三塩基反復配列と老化
 5.加齢に伴う遺伝子の変化(テロメア)
 6.実験動物での老化研究

7.高齢者の薬物療法
   -薬物動態学および薬力学の考え方-〈山田安彦 伊賀立二〉
 1.薬物動態学と薬力学
  1)薬物動態学
  2)薬力学
 2.高齢者における薬物動態学と薬力学
  1)高齢者における薬物動態の変動
  2)高齢者における薬力学の変動
 3.高齢者への処方設計上の留意点

8.高齢者薬物療法の問題点 -その実際,循環器用薬を中心に- 〈上田慶二〉
 1.高齢者における薬物体内動態と薬力学の変化
 2.高齢者における薬物療法の問題点
  1)多剤併用と服薬コンプライアンス
  2)医薬品の副作用の問題
 3.適切な薬物療法
  1)適切な処方のあり方
  2)多剤併用(polypharmacy)の対策
  3)服薬コンプライアンスと対策
 4.高齢者における循環器用薬使用法の実際
  1)うっ血性心不全の薬物療法
  2)急性心筋梗塞における血栓溶解療法
  3)不整脈の薬物療法
  4)高齢者の高血圧と降圧療法

9.高齢者虚血性心疾患治療の最近の進歩〈土居義典〉
 1.慢性虚血性心疾患の治療
  1)治療目標と高リスク患者の同定
  2)無症候性心筋虚血
  3)リスクの評価と是正
  4)心不全および虚血に対する薬物治療
  5)インターベンション治療
  6)冠動脈バイパス術
 2.急性心筋梗塞の治療
  1)治療目標と高齢者における問題点
  2)unrecognized myocardial infarction

10.高齢者における抗血小板療法 〈松田 保〉
 1.止血と血栓
 2.抗血小板療法とは
 3.抗血小板薬の種類
 4.抗血小板薬の適応
 5.高齢者の抗血小板療法
 6.抗血小板療法の効果

11.加齢と動脈硬化 〈北 徹〉
 1.動脈硬化の概念
 2.危険因子
 3.粥状動脈硬化の好発部位
 4.酸化LDLと血管内皮細胞傷害
 5.単球-マクロファージの泡沫化 (泡沫細胞形成)
 6.リゾフォスファチジルコリンと内皮細胞

12.老年医学教育 〈井口昭久 葛谷雅文 鈴木祐介 梅垣宏行〉
 1.日本の老年医学教育
 2.ヨーロッパにおける老年医学教育
 3.英国の老年医学教育
  1)卒前老年医学教育
  2)卒後老年医学教育
 4.アメリカにおける老年医学教育
 5.アジアにおける老年医学教育の現状

II.老年医学の展望
1.テロメア・テロメラーゼ研究の最近の進歩 〈井手利憲〉
 1.テロメアとテロメラーゼ
  1)テロメアDNA
  2)テロメアDNAの検出
  3)テロメラーゼ
  4)テロメラーゼ活性の測定
 2.正常細胞の分裂寿命と細胞老化
  1)テロメアDNAの短縮
  2)テロメア短縮と体細胞の分裂寿命
  3)遺伝的早老症とテロメア代謝異常
  4)細胞の老化(分裂停止)とヒト個体の老化
  5)細胞の老化(機能変化)とヒト個体の老化
  6)老化遺伝子と老化抑制遺伝子
 3.細胞の不死化・癌化
  1)ヒト細胞・組織のテロメラーゼ活性
  2)癌組織のテロメラーゼ
  3)テロメラーゼ導入による分裂寿命の延長・不死化

2.アポトーシス研究の最近の進歩 〈木崎治俊〉
 1.アポトーシスの分子機構
  1)Fas/Fasリガンドを介したアポトーシスの分子機構
  2)アポトーシスにおけるミトコンドリアの役割
  3)カスパーゼファミリーの多様性と機能
 2.アポトーシスと疾患
  1)免疫監視機構とアポトーシス
  2)癌とアポトーシス
  3)病理的侵襲とアポトーシス

3.ミトコンドリアDNAと老化 〈小澤高将〉
 1.ミトコンドリアDNA
 2.アポトーシス

4.生体に対するAGEの作用 〈永井竜児 堀内正公〉
 1.メイラード反応(グリケーション)とは
 2.AGEの定量法について
 3.AGEとエイジング
 4.AGE受容体
 5.AGEと活性酸素

5.新しい老化モデルマウスklothoの開発 〈黒尾 誠〉
 1.klothoマウスにみられる老化の表現型
  1)動脈硬化
  2)異所性石灰化
  3)骨粗鬆症
  4)皮膚の萎縮
  5)生殖細胞の成熟障害
  6)肺気腫
  7)下垂体の異常
  8)血液生化学検査
 2.klotho geneのクローニング
 3.外来性klotho遺伝子の発現による老化の表現型の救済

6.血管の老化とスカベンジャー受容体〈井上健司 村上 猛 山田佳彦 和田洋一郎 浜窪隆雄 児玉龍彦〉
 1.血管病変とスカベンジャー受容体
  1)アテローム性動脈硬化
  2)脳血管系におけるMATO細胞の発見
  3)アルツハイマー病:生体の恒常性維持における非可溶性老廃物処理の重要性
 2.スカベンジャー受容体の構造
  1)マクロファージスカベンジャー受容体の遺伝子クローニング
  2)スカベンジャー受容体ファミリー遺伝子の発見
  3)細胞接着,ファゴサイトーシスもつかさどるスカベンジャー受容体
 3.「常在」型と「動員」型のマクロファージ
  1)「常在」型マクロファージにおけるスカベンジャー受容体
  2)誘導されてくる「動員」型マクロファージ
  3)ミクログリアやマクロファージ系細胞におけるスカベンジャー受容体の発現調節
 4.スカベンジャー受容体欠損マウスで明らかにされた広範な役割
  1)動脈硬化のサイズをきめる
  2)脳の老廃物処理とアルツハイマー病
  3)スカベンジャー受容体欠損マウスにおける易感染性

7.熱ストレス蛋白ファミリーの生物学的機能 -その臨床における意義-〈松本昌泰 堀 正二〉
 1.ストレス蛋白の分類と機能
  1)HSP70ファミリー蛋白(HSP70s)
  2)HSP90ファミリー蛋白(HSP90s)
  3)HSP60ファミリー蛋白(HSP60s)
  4)その他のストレス蛋白
 2.ストレス蛋白と臨床病態
  1)脳虚血と細胞応答
  2)その他の病態

8.骨代謝とサイトカイン 〈松本俊夫 井上大輔〉
 1.破骨細胞の形成・機能と骨吸収の調節
  1)破骨細胞の分化と転写因子
  2)破骨細胞の形成・機能の調節とサイトカイン
  3)破骨細胞機能の発現と骨吸収
 2.骨芽細胞の分化と骨形成の調節
  1)骨芽細胞の分化と転写因子
  2)骨芽細胞の分化・機能の調節とサイトカイン

9.老化マーカー蛋白質SMP30の構造と機能〈藤田敬子 丸山直記〉
 1.SMP30はアンドロゲンによる発現制御を受けず雌雄ともに老齢ラット肝臓で減少する
 2.SMP30の一次構造
 3.SMP30の発現
 4.SMP30の遺伝子構造
 5.SMP30の生理機能

10.細胞周期の調節機序 〈岡山博人〉
 1.哺乳動物の細胞周期と制御因子
  1)G1-S制御
  2)G2-M制御
  3)チェックポイント制御
 2.細胞周期と癌
 3.老化と細胞周期

11.睡眠物質 〈藤谷靖志 裏出良博 早石 修〉
 1.睡眠物質とは
 2.プロスタグランジンD2
 3.アデノシン
 4.メラトニン
 5.インター・ロイキン1β(IL-1β)と腫瘍壊死因子(TNFα)
 6.ウリジン,ビタミンB12,酸化型グルタチオン

12.「環境ホルモン」と老化 -内分泌作用をもつ化学物質の老化に及ぼす影響-〈平林容子 井上 達〉
 1.生体に対する作用の特徴
 2.マウスの胚形成とwindow問題
 3.Ethinyl estradiolを用いた実験より
 4.植物ホルモンと老化
 5.環境科学物質と生命系

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