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書籍詳細

実践 多職種連携教育

実践 多職種連携教育

寺崎文生  監修 / 赤澤千春  監修 / 駒澤伸泰  編集

A5判 304頁

定価3,960円(本体3,600円 + 税)

ISBN978-4-498-10912-4

2020年02月発行

在庫あり

多職種連携教育の必要性が叫ばれて久しいが,多職種連携は残念ながら円滑に進んでいるとはいいがたい.その原因は,1.他職種の業務がわからない,2.どのような連携が必要かわからない,3.どのような連携教育があるのかわからない,以上の3つの「ない」にある.これらを明らかにし,学ぶ側にも教える側にも資する,「多職種連携教育」テキストの決定版!

巻頭言

 多職種連携教育が叫ばれて久しい.その臨床現場におけるゴールはチーム医療である.
 これまで長い間医師を頂点とする医療が行われてきた.それが今,医療者が対等な立場で協力して医療を行う多職種連携,すなわちチーム医療が実践されようとしている.これはごく必然的な時代の潮流である.
 第一に医師の仕事量がoverflowしていることである.一人の患者に対応する時間は格段に増加している.単に医療が高度化したことだけでなく,患者の要求がより多くかつ厳しくなったことは成熟社会では当然のことである.第二に医学や医療の中で,看護学や薬学等がその専門性を発揮する環境が増えたことである.これは看護学校から看護学部に,薬学部が4年から6年制になったのも偶然の一致ではない.第三は,当然のことであるが,一人の患者に対して,バラバラに医療を行うこと自体が間違っており,このことがこれまでスルーされていたこと自体が不思議である.
 このような理由から,チーム医療が行われるべき素地が十分に整ったのであるが,実際には現場でそれほど進んでいないのを感じる.これを推進させるには,医師の意識改革,看護学部・薬学部の構造改革が必要であると思う.医師の意識改革を進めるには,医学部における教育が重要であることは言うまでもない.
 これまで多職種連携教育に関する書籍はほとんどなかった.医学部教員も手探りで多職種連携教育カリキュラムを作成しているのが現状である.系統的に,理論的に学部教育を行うことが,よりよいチーム医療を実践できる近道である.幸い医学部では,学部教育と卒後教育を行う教員が同一である場合が多い.現在多職種連携教育を受けている学生が,医療のリーダーとして活躍する時まで待っていられない.だから,現役の医学部教員が多職種連携教育を学ぶ必要がある.本書からそれを学べば,チーム医療は飛躍的に進むであろう.

 本書が医師だけでなく,すべての医療者,さらにはこれから医療職に就く学生にとって,多職種連携教育やチーム医療の理解の一助になれば幸いである.

大阪医科大学医学教育センター長
河田 了

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目次

序章 なぜ多職種連携教育が必要なのか
 1 現代医学の発展過程 〈駒澤伸泰〉
  現代医学の疾患傾向の変化
  科学的病因論の成立
  パターナリズムと患者の権利
 2 現代医学教育の問題点と多職種連携の意義 〈駒澤伸泰〉
  現代医学教育の問題点
  多職種連携教育の意義
  多職種連携教育の課題
 3 多職種連携教育の基本的な進め方 〈駒澤伸泰〉
  多職種連携教育の障壁と解決方法としてのシミュレーション教育
  多職種連携から部署間連携へ

第1章 それぞれの医療者の役割と成長過程
 1 医療職の専門分化〜職能集団の成立過程をたどる〜 〈恒川幸司〉
  医療専門職とは?
  医療専門職の分化史
  医療専門職の分化と連携は,社会的ニードの産物である
 2 医療者になるには 〈駒澤伸泰〉
  医療職とは
  医療資格の多くは国家資格
 3 医師になるには 〈駒澤伸泰〉
  医師の業務・役割とは
  医師になるには
  免許取得後の研修
 4 歯科医師の役割と育成過程 〈大森実知 中野旬之〉
  歯科医師の業務・役割
  歯科医師になるには
  免許取得後の研修
 5 看護師の役割と育成過程 〈道重文子〉
  看護師の業務・役割
  看護師になるには
 6 保健師の役割と育成過程 〈吉田久美子〉
  保健師の業務・役割
  保健師になるには
 7 助産師の役割と育成過程 〈竹 明美〉
  助産師の業務・役割
  助産師になるには
  助産師の研修制度
  専門資格
  専門職団体
 8 薬剤師の役割と育成課程 〈⻆山香織〉
  薬剤師の業務・役割
  薬剤師になるには
  卒業後の薬剤師の生涯研修制度
 9 臨床検査技師の役割と育成過程 〈竹田真由〉
  臨床検査技師の業務・役割
  臨床検査技師になるには
  専門資格
 10 診療放射線技師の役割と育成課程 〈寺口佐與子〉
  診療放射線技師の業務・役割
  診療放射線技師になるには
 11 臨床工学技士の役割と育成課程 〈寺口佐與子〉
  臨床工学技士の業務・役割
  臨床工学技士になるには
 12 理学療法士,作業療法士の役割と育成過程 〈冨岡正雄 佐浦隆一〉
  理学療法士の業務・役割
  理学療法士になるには
  理学療法士の卒後教育とキャリアプラン
  作業療法士の業務と役割
  作業療法士になるには
  作業療法士の卒後教育とキャリアプラン
 13 義肢装具士,歯科技工士の役割と育成過程  〈竹 明美〉
  義肢装具士の業務・役割
  義肢装具士になるには
  義肢装具士の専門職団体
  歯科技工士の業務・役割
  歯科技工士になるには
  歯科技工士の専門職団体
 14 救急救命士の役割と育成過程  〈冨岡正雄 西本泰久〉
  救急救命士の業務・役割
  救急救命士になるには
  メディカルコントロール体制の充実
 15 言語聴覚士,視能訓練士の役割と育成課程 〈大橋尚弘〉
  言語聴覚士の業務・役割
  言語聴覚士になるには
  視能訓練士の業務・役割
  視能訓練士になるには
 16 柔道整復師,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師の役割と育成過程 〈竹 明美〉
  柔道整復師の業務・役割
  柔道整復師になるには
  柔道整復師の専門職団体
  あん摩マッサージ指圧師,鍼灸師(はり師,きゅう師)の業務・役割
  あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師になるには
  あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師の専門職団体
 17 管理栄養士の役割と育成課程 〈大橋尚弘〉
  管理栄養士の業務と役割
  管理栄養士になるには
 18 介護福祉士,社会福祉士,精神保健福祉士の役割と育成課程 〈大橋尚弘〉
  介護福祉士の業務・役割
  介護福祉士になるには
  社会福祉士の業務・役割
  社会福祉士になるには
  精神保健福祉士の業務・役割
  精神保健福祉士になるには
  医療ソーシャルワーカーとは
 19 専門医制度とは何か 〈駒澤伸泰〉
  新専門医制度
  後期専門研修と「専攻医」
  基本19領域とサブスペシャルティ22領域へ
  専門医資格取得までの流れ
 20 専門看護師制度とは何か 〈道重文子〉
  専門看護師制度
  専門看護師の役割
  専門看護師になるには

第2章 それぞれの部署や状況における多職種連携
 1 病棟における連携:多職種連携チームについて 〈勝山あづさ〉
  病棟における多職種連携の必要性
  病棟における多職種連携チームの役割
 2 病院と地域における連携 〈勝山あづさ〉
  病院・地域連携における多職種連携の必要性
  病院と地域をつなぐ多職種連携システム
 3 救急外来における連携 〈冨岡正雄 高須 朗〉
  救急外来の特徴
  救急外来の診療:来院から診察まで
  救急外来の診療:多職種の連携
 4 検査室における連携 〈松村洋子〉
  検査室のチーム医療への貢献
  検査室の役割と多職種連携の実際
  検査部のチーム医療の一例 ─パニック値対応
  多職種連携による医療の質の向上を目指す
 5 手術室における連携 〈駒澤伸泰〉
  「周術期管理チーム」という多職種連携の必要性
  初期臨床研修制度と周術期管理チーム─システム改善による連携促進の1例
  手術室における多職種連携の特徴
  共通目標である患者予後と安全を理解することが第一
 6 集中治療室における連携 〈駒澤伸泰〉
  集中治療室(ICU)の役割
  ICUにおける多職種連携
 7 鎮静管理における多職種連携 〈駒澤伸泰〉
  現代の鎮静医療安全の現状
  鎮静の有害事象の原因と多職種連携によるシステム改善と個人努力の必要性
  鎮静多職種連携構築のために
 8 産科医療における連携 〈竹 明美〉
  産科医療の特徴
  施設での多職種連携
  地域との多職種連携
 9 小児医療における連携 〈瀧谷公隆〉
  小児病棟における多職種連携の必要性
  各職種の役割
 10 在宅医療(home medical care)における連携 〈大橋尚弘 真継和子〉
  在宅医療における多職種連携の必要性
  在宅医療において多職種連携が必要な局面
 11 緩和医療における連携 〈駒澤伸泰〉
  緩和医療における多職種連携教育の必要性
  緩和医療における多職種連携教育の方法
 12 院内急変対応における連携 〈駒澤伸泰〉
  すべての医療者に共通の心肺蘇生
  院内急変対応時の多職種連携
  急変時多職種連携の基本となるチームダイナミクス
 13 患者さんの搬送時の連携 〈駒澤伸泰〉
  患者さんの搬送時こそ多職種連携が必要
  患者さんの搬送時の具体的注意点
 14 災害発生時における連携 〈冨岡正雄 近藤国嗣〉
  病院が被災した場合
  病院外での災害
 15 災害慢性期(生活期)における連携 〈冨岡正雄 栗原正紀〉
  災害後の医療ニーズの変化
  医療ニーズに合わせた支援活動の仕組み
  慢性期(生活期)の医療支援
  慢性期(生活期)の医療支援の連携
 16 病院薬剤部,地域薬局の連携 〈中村敏明 ⻆山香織〉
  薬剤師(病院,地域薬局)の多職種連携
  病院薬剤師の多職種連携
  地域包括ケアシステムにおける連携
  これからの薬剤師と他職種との連携
 17 地域医療における連携 〈仲下祐美子〉
  地域医療連携の必要性
  地域医療構想
  地域医療連携の推進─大阪府における地域連携クリティカルパスの例
  地域包括ケアシステム
  地域医療および地域包括ケアシステムにおける多職種連携の特徴
 18 産業保健活動における連携 〈山埜ふみ恵 土手友太郎〉
  産業保健活動における連携
  産業保健活動における多職種連携に対する社会的ニーズ
  産業保健活動に関わる多くの職種
  看護職を中心とした場合の産業保健スタッフと多職種の連携体制
 19 学校保健における連携 〈川上ちひろ〉
  学校での多職種連携“チーム学校” 
  学校保健とは
  子どもたちをめぐる問題
  性的な問題を起こした生徒の事例
  医療-教育の連携に向けて:岐阜大学での多職種連携教育実践

第3章 さまざまな多職種連携教育の実践方法
 1 多職種連携教育の原理 〈今福輪太郎〉
  多職種連携とその教育の必要性
  多職種連携の形態
  多職種連携教育の基本的理念
  IPEとIPWのつながり
 2 多職種連携教育の注意点 〈今福輪太郎〉
  多職種連携教育企画・運営の際の注意点
  卒前IPEの実施に関わる障壁
 3 臨床教育とシミュレーション教育に共通の経験型学習論理 〈駒澤伸泰〉
  経験型学習論理とシミュレーション教育
  教育者に求められるファシリテーターとしての能力
 4 多職種連携教育法に対するシミュレーション教育法の活用 〈駒澤伸泰〉
  多職種連携教育に対するシミュレーション教育法の意義
  シミュレーション教育におけるPBLとシミュレーターの比較
  ノンテクニカル育成のためのシミュレーション教育の意義
 5 合同授業 〈土肥美子〉
  合同講義の内容とその意義
 6 合同実習 〈大橋尚弘 佐野かおり〉
  合同実習の意義
  合同実習を充実した多職種連携学習の場とするには
 7 合同PBL(1)人生の最終段階における医療 〈大橋尚弘〉
  人生の最終段階における医療での多職種連携の必要性
  人生の最終段階における医療について合同PBLを行う意義
  人生の最終段階における医療についての合同PBL例とその学び
 8 合同PBL(2)出生前診断 〈竹 明美〉
  学部生の合同PBLの試行
  目標設定
  教育マテリアルと教育試行
  効果
  試行評価
 9 合同PBL(3)地域医療 〈川上ちひろ〉
  地域医療と多職種連携教育
  岐阜大学で行っている地域医療(在宅医療)を学ぶ多職種連携教育
  地域医療を多職種で学生時代に学ぶ意味
 10 合同PBL(4)災害時対応 〈⻆山香織〉
  災害時を想定した多職種連携教育の必要性
  災害時を想定した多職種連携教育と体験型学習
  PBLDで学ぶ災害時対応と多職種連携の実践例
  災害時対応をテーマとしたPBLDの可能性
 11 合同PBL(5)産科周術期管理 〈駒澤伸泰〉
  組織内多職種連携教育のためのシミュレーション
  産科周術期管理向上のためのPBL
  多職種連携PBL教育効果を高めるための受講後アンケートの活用
 12 臨床現場での(in situ)シミュレーション 〈駒澤伸泰〉
  臨床現場での(in situ)シミュレーショントレーニングの意義
  臨床現場での(in situ)シミュレーショントレーニングの注意点
 13 多病院合同型ワークショップ 〈駒澤伸泰〉
  多病院合同訓練による相互評価と気付き
  多職種連携はエビデンスを超える
 14 シミュレーターを用いた院内急変対応教育 〈駒澤伸泰〉
  多学部参加型のシミュレーターを用いた院内急変対応教育
  多学部参加型の院内急変対応教育の例
  多学部参加型の院内急変対応教育の意義
 15 早期臨床体験実習と多職種連携教育 〈駒澤伸泰〉
  早期臨床体験実習の意義
  早期臨床体験実習で多職種連携教育の視点を養う
 16 臨地実習(基礎看護学実習) 〈原 明子 土肥美子〉
  臨地実習の意義
  臨地実習(基礎看護学実習)
 17 公衆衛生看護学実習 〈草野恵美子〉
  実習の概要と多職種連携に関する特徴
  行政における公衆衛生看護学実習の例と工夫
 18 臨地実習 〈土肥美子〉
  学習目標および評価の設定
  多職種連携に関する実習目標を達成するために
 19 多職種連携教育の学習目標設定 〈川上ちひろ 今福輪太郎〉
  多職種連携教育で何を学ぶのか
  国や教育機関のポリシーから学習目標を考える
  現実的な学習目標をどう設定すればよいか
 20 多職種連携教育の評価方法 〈川上ちひろ 恒川幸司〉
  評価とは
  多職種連携教育での評価
  評価方法
  評価尺度を用いた評価
  評価をどう生かすのか
 21 教育の質改善のためのIR的考え方 〈恒川幸司〉
  教育の質改善とは
  教育効果の測り方
  IRとは
  多職種連携教育におけるIRの実践例

 総括 〈赤澤千春〉

 索引

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執筆者一覧

寺崎文生  大阪医科大学医学教育センター副センター長,教授 監修
赤澤千春  大阪医科大学看護学部教授 監修
駒澤伸泰  大阪医科大学医学教育センター副センター長,講師 編集
恒川幸司  岐阜大学医学教育開発研究センター 
大森実知  大阪医科大学口腔外科学教室 
中野旬之  大阪医科大学口腔外科学教室講師 
道重文子  大阪医科大学看護学部教授 
吉田久美子 大阪医科大学看護学部教授 
竹 明美  大阪医科大学看護学部講師 
⻆山香織  大阪薬科大学臨床薬学教育研究センター准教授 
竹田真由  岐阜医療科学大学保健科学部講師 
寺口佐與子 大阪医科大学看護学部准教授 
冨岡正雄  大阪医科大学リハビリテーション医学教室准教授 
佐浦隆一  大阪医科大学リハビリテーション医学教室教授 
西本泰久  京都橘大学健康科学部教授 
大橋尚弘  大阪医科大学看護学部 
勝山あづさ 大阪医科大学看護学部 
高須 朗  大阪医科大学救急医学教室教授 
松村洋子  大阪医科大学附属病院中央検査部講師 
瀧谷公隆  大阪医科大学医学教育センター副センター長,教授 
真継和子  大阪医科大学看護学部教授 
近藤国嗣  東京湾岸リハビリテーション病院院長 
栗原正紀  長崎リハビリテーション病院院長 
中村敏明  大阪薬科大学臨床薬学教育研究センター教授 
仲下祐美子 大阪医科大学看護学部准教授 
山埜ふみ恵 大阪医科大学看護学部 
土手友太郎 大阪医科大学看護学部教授 
川上ちひろ 岐阜大学医学教育開発研究センター講師 
今福輪太郎 岐阜大学医学教育開発研究センター講師 
土肥美子  大阪医科大学看護学部准教授 
佐野かおり 大阪医科大学看護学部講師 
原 明子  大阪医科大学看護学部 
草野恵美子 大阪医科大学看護学部准教授 

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   定価3,960円(本体3,600円 + 税)
   2020年02月発行
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