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著者略歴

河合修三（Shuzo Kawai）

1985年 関西医科大学卒業
　同大学皮膚科入局
1986年 　同大学皮膚科助手
1987年 倉敷中央病院皮膚科医員
1992年 　同病院皮膚科副医長
関西医科大学皮膚科助手
1996年 　同大学皮膚科医局長
　同大学皮膚科外来医長
1997年 　同大学皮膚科講師，病棟医長
2003年 　同大学退職
大阪府豊中市にて「皮フ科シュウゾー」開院
2013年 大阪皮膚科医会会長（〜2016年）
2016年 日本臨床皮膚科医会近畿副ブロック長
2018年 日本臨床皮膚科医会理事
日本フットケア技術協会会長

序文

　令和元年の本年は，小生が皮膚科医になって35年になる．この節目の年に，本著を発刊させていただけることに，これまでご指導を賜った先生方や医療従事者の方々，患者様，中外医学社様，家族に心から敬意と感謝を申し上げたい．
　日々の診療において，アトピー性皮膚炎やニキビで悩む方は多いが，その治療方法に長年大きな変化はない．アトピー性皮膚炎にはステロイド外用剤，ニキビにはアクネ菌に対する治療が一般的である．この方法で難渋する症例を何度も経験し，この現状を改善できないか，患者に喜んで頂ける治療方法はないものか，ずっと悩んできた．
　30年前，倉敷中央病院に赴任中，入浴時にナイロンタオルを使用すると，friction melanosis以外に背部にニキビが発生することが多いことに気づき，調査，研究した．アクネ菌よりもマラセチアの影響を強く受けていることが原因であった．その後，アトピー性皮膚炎にトラニラスト，痒疹にプランルカストが有効であることを知ったり，専門家から漢方について学んだ．そういった数々のピースが組み合わさったことで，多くの難治性皮膚疾患を改善できる治療手段につながった．
　本著で紹介したトラニラスト，柴胡清肝湯，プランルカスト，タクロリムス軟膏は，奇しくも，すべて日本で開発された薬剤である．日本発の薬剤を用いて提案する治療方法が，新しい時代に皮膚科医と患者が心寄せあう関係を築く一助になることを願う．
　
令和元年　秋
皮フ科シュウゾー
河合修三
　

目次

I　総論　─治療にあたって押さえておくべき基本的な考え方─
　1.当院での治療法と考え方
　2.皮膚疾患に対するマラセチアの関与
　3.マラセチアの影響を考えたアトピー性皮膚炎の治療
　4.年齢と部位を考えると皮膚疾患がわかる
　5.年齢と部位による皮脂量の違いからマラセチアの影響を考えた薬剤を選択する
　6.痤瘡はアクネ菌に対する治療で十分なのか
　7.コーチングを用いた皮膚科診療
　8.バリア説の説明の仕方

II　各論　─疾患別・症例にみる治療と処方─
　Chapter　I　湿疹皮膚炎
　　1.アトピー性皮膚炎
　　　A. 顔面の皮疹
　　　　症例1（生後1カ月　男児）：25/症例2（生後1カ月　男児）：27/
　　　　症例3（生後4カ月　女児）：28/症例4（6カ月　女児）：29/症例5（4カ月　男児）：30/
　　　　症例6（37歳　男性）：31/症例7（55歳　女性）：32/症例8（39歳　女性）：34/
　　　　症例9（45歳　女性）：35/症例10（53歳　女性）：36/症例11（23歳　男性）：38
　　　B. 躯幹，四肢の皮疹
　　　　症例12（4カ月　女児）：39/症例13（44歳　男性）：40/症例14（37歳　男性）：42/
　　　　症例15（27歳　男性）：43/症例16（53歳　女性）：45/症例17（61歳　男性）：47
　　2.眼科領域の皮膚炎
　　　　症例18（61歳　女性）：50/症例19（32歳　女性）：51/症例20（40歳　男性）：52/
　　　　症例21（46歳　女性）：53/症例22（37歳　女性）：54/症例23（82歳　女性）：56/
　　　　症例24（59歳　男性）：57
　　3.耳鼻科領域の皮膚炎
　　　　症例25（49歳　男性）：58/症例26（42歳　女性）：59/症例27（41歳　女性）：60/
　　　　症例28（13歳　男児）：61/症例29（51歳　女性）：62
　　4.手荒れ
　　　　症例30（42歳　女性）：65/症例31（35歳　女性）：66/症例32（25歳　女性）：68/
　　　　症例33（67歳　女性）：70/症例34（56歳　女性）：71
　　5.貨幣状湿疹
　　　　症例35（53歳　男性）：74/症例36（76歳　女性）：75/症例37（63歳　女性）：77/
　　　　症例38（34歳　男性）：78/症例39（51歳　女性）：81/症例40（5歳　男児）：82/
　　　　症例41（61歳　男性）：83
　　6.脂漏性皮膚炎
　　　　症例42（83歳　男性）：85/症例43（66歳　男性）：86/症例44（生後1カ月　男児）：87/
　　　　症例45（73歳　女性）：88/症例46（61歳　女性）：89/症例47（19歳　女性）：90
　　7.陰部の皮膚炎
　　　　症例48（27歳　男性）：91/症例49（39歳　男性）：93
　　8.酒さ様皮膚炎
　　　　症例50（39歳　女性）：96/症例51（52歳　女性）：98/症例52（62歳　女性）：99/
　　　　症例53（65歳　男性）：101
　　9.舌なめずり皮膚炎，口唇炎
　　　　症例54（8歳　男児）：103/症例55（31歳　女性）：104/症例56（40歳　女性）：105/
　　　　症例57（75歳　男性）：106
　　10.痒疹
　　　　症例58（12歳　女児）：107/症例59（4歳　女児）：109/症例60（6歳　男児）：110/
　　　　症例61（11歳　女児）：110/症例62（10歳　男児）：112/症例63（10歳　男児）：114/
　　　　症例64（5歳　男児）：115
　　11.色素性痒疹
　　　　症例65（66歳　女性）：116/症例66（59歳　男性）：117/症例67（78歳　女性）：119/
　　　　症例68（48歳　女性）：120/症例69（41歳　男性）：122/症例70（75歳　男性）：123/
　　　　症例71（78歳　男性）：124/症例72（36歳　男性）：125
　Chapter II　ニキビ
　　1.尋常性痤瘡
　　　　症例73（21歳　女性）：128/症例74（29歳　女性）：130/症例75（17歳　男性）：131/
　　　　症例76（21歳　女性）：132/症例77（23歳　女性）：133/症例78（19歳　男性）：134/
　　　　症例79（21歳　男性）：136/症例80（19歳　女性）：137/症例81（34歳　女性）：138/
　　　　症例82（18歳　男性）：139/症例83（23歳　女性）：140/症例84（22歳　女性）：141/
　　　　症例85（17歳　男性）：142/症例86（37歳　男性）：143/症例87（28歳　女性）：144/
　　　　症例88（30歳　女性）：145/症例89（28歳　女性）：146/症例90（24歳　男性）：147/
　　　　症例91（22歳　女性）：148
　　2.顔面以外の痤瘡
　　　　症例92（16歳　男性）：151/症例93　22歳　男性）：152/症例94（23歳　女性）：153/
　　　　症例95　25歳　男性）：154
　　3.新生児痤瘡
　　　　症例96（新生児）：156/症例97（新生児）：156/症例98（生後1カ月　女児）：158
　Chapter III　その他の皮膚疾患
　　1.足白癬と関連疾患
　　　　症例99（71歳　女性）：163/症例100（40歳　男性）：165/症例101（70歳　男性）：167/
　　　　症例102（79歳　男性）：168/症例103（78歳　男性）：169/症例104（79歳　男性）：170/
　　　　症例105（57歳　男性）：171/症例106（74歳　男性）：172/症例107（58歳　男性）：173/
　　　　症例108（77歳　男性）：174/症例109（43歳　男性）：175
　　2.穿孔性皮膚症（穿孔性毛包炎）
　　　　症例110（50歳　男性）：176
　　3.口腔，口唇の扁平苔癬
　　　　症例111（59歳　男性）：178/症例112（68歳　男性）：180/症例113（55歳　男性）：181/
　　　　症例114（87歳　女性）：182
　　4.DLE（円板状エリテマトーデス）
　　　　症例115（76歳　男性）：184/症例116（51歳　女性）：185
　　5.線状苔癬
　　　　症例117（7歳　男児）：186/症例118（6歳　男児）：187/症例119（3歳　女児）：189
　　6.駆虫後の疥癬による皮膚炎
　　　　症例120（76歳　男性）：190
　　7.サンゴ皮膚炎
　　　　症例121（23歳　女性）：193/症例122（47歳　女性）：194
　　8.苔癬状粃糠疹
　　　　症例123（9歳　女児）：195

索引

執筆者一覧

河合修三　皮フ科シュウゾー院長　著