IgA腎症の病態と治療
富野康日己 監修 / 川村哲也 編集 / 鈴木祐介 編集
B5判 320頁
定価7,480円(本体6,800円 + 税)
ISBN978-4-498-22446-9
2019年11月発行
在庫あり
IgA腎症の病態と治療
富野康日己 監修 / 川村哲也 編集 / 鈴木祐介 編集
B5判 320頁
定価7,480円(本体6,800円 + 税)
ISBN978-4-498-22446-9
2019年11月発行
在庫あり
その発症メカニズムや疫学などの基本的知識から,最新の治療方針や生活管理まで,IgA腎症を診るうえで必要になる知識を包括的に解説した.執筆者には基礎と臨床の現場で今まさに活躍している人にお願いし,IgA腎症の病態解明に長年携わってきた第一人者に監修いただいた.各項目はポイントを押さえながらも丁寧に掘り下げ,かつ分かりやすくまとめている.腎臓専門医にはもちろん,かかりつけ医にもお薦めしたい1冊だ.
はじめに ─ 監修者としてIgA腎症への想いを込めて ─
IgA腎症は,わが国に高頻度に認められる指定難病であるが,私にとって基礎・臨床のライフワークとなった疾患である.この疾患がフランスから初めて報告されたのが,私が大学へ入学した1968年であるから,これまで50年以上経過したことになる.わが国では東京慈恵会医科大学 酒井紀らにより初めて報告されたのが1972年である.私は1974年大学卒業後市立札幌病院病理部において初めてIgA腎症を目にした.恩師故白井俊一からは,「蛍光顕微鏡でグリーンに輝くIgAは,何をきっかけにどこで作られ,どのようにして沈着したのか,その後どのようになるのかなど,どのような病態が潜んでいるのかをよく考えよ」と教えられた.しかし,その病態解明には相当の時間を要している.臨床的には,どのような病変によって血尿やタンパク尿,腎機能低下を呈するのかが大きな問題と考えられた.
IgA腎症の病態解明には,この50年間の基礎医学の大きな進歩が関与してきた.IgA腎症研究は蛍光抗体法での観察から始まったが,その後の基礎研究技法の進歩には目を見はるものがあり,IgA腎症研究においてもその恩恵を受けてきたわけである.病理学・免疫学・分子生物学・遺伝学などの進歩が,その代表である.IgA腎症の確定診断には腎生検組織の検索が必須である.これまで国内外の病理組織分類の比較検討がなされてきたが,日常診療に有益な分類が求められている.これまで基礎研究者と腎臓を専門とする臨床医(腎臓専門医)の多くの先達により,IgA腎症の発症機序並びに進展・増悪機序の解明がなされてきた.かなりの分野で解明がなされたが,必ずしもすべてが明らかにされたわけではないことから,さらなる研究の進歩が期待される.
一方,IgA腎症の治療についてはこれまで抗生物質や抗炎症薬,抗血小板薬,線溶薬,口蓋扁桃摘出術(扁摘),副腎皮質ステロイド,免疫抑制薬などが用いられてきた.レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬も用いられてきたが,どの治療も末期腎不全透析療法への進展を完全に抑え切れてはいない.扁桃摘出(扁摘)+ステロイドパルス療法は,オールジャパンで行ってきた臨床研究であり,その効果が報告されている.国際的にも認知されることを望んでいる.最近,扁桃・腸管を中心とする基礎研究の成果に基づいた新規分子治療薬が開発され効果をあげつつあり,今後一層の進歩が期待される.また,国内外のIgA腎症診療ガイドラインの比較検討やメガデータのAI(artificial intelligence:人工知能)による詳細な解析は,既存の治療法をみつめ直し新規治療法を開発するために大いに期待される手法である.
私は,IgA腎症発表後50年間行われてきたわが国における基礎と臨床の研究成果について,一区切りとしてまとめてみたいと考えていた.今回,『IgA腎症の病態と治療』を監修させていただく機会をいただき大変感謝している.お忙しいなか東京慈恵会医科大学川村哲也教授と順天堂大学鈴木祐介教授に編集をお願いした.現在,基礎・臨床に活発に取り組んでおられる執筆者を選んでいただき大変感謝している.本書は,IgA腎症について疑問が生じたときにはポイントを絞り読破し,また病態生理と治療の全体を学びたいと考えたときには通読していただきたい.腎臓における基礎研究者と腎臓専門医,日常臨床にかかわっている「かかりつけ医」の研究と診療の参考にしていただければ,刊行に携わった一人として望外な喜びである.しかし,記載の過不足もあると思われるので,読者のみなさんの忌憚のないご意見をいただきたい.
最後に,ご多忙のなか編集・執筆にご協力いただきました諸先生に深謝いたします.諸事ご協力いただきました中外医学社の皆様に厚くお礼申し上げます.なお,本書では報告者等への敬称は略させていただきました.
2019年初秋 都庁舎を眺めつつ
富野康日己
目 次
I IgA腎症の基礎と臨床 〈富野康日己〉
1 IgA腎症の発見・歴史
A. 国際的研究会の歴史
B. 国内研究会の歴史
2 IgA腎症の定義
II 疫学・症候・検査
1●疫学 〈小池健太郎〉
1 国際的な地域差
2 本邦におけるIgA腎症疫学
A. 成人
B. 小児
2●国際レジストリーの動向 〈松崎慶一〉
1 国際レジストリーと最新の知見
A. VALIGA study
B. IgA Nephropathy Global Template
2 わが国発の国際レジストリー構築に向けて
3●症候・検査
1 学校検尿とIgA腎症スクリーニング 〈中西浩一〉
1 学校検尿の歴史
2 学校検尿により発見される検尿異常の頻度
3 学校検尿の有用性
4 IgA腎症の自然歴
2 成人検尿とIgA腎症スクリーニング 〈松崎慶一〉
1 健康診断における検尿の枠組み
2 検尿異常に対する二次スクリーニング
3 基幹病院におけるIgA腎症の診断
4 パーソナルヘルスレコードへの期待
3 バイオマーカーによる診断の可能性 〈柳川宏之〉
1 尿所見異常
A. 持続的顕微鏡的血尿
B. 肉眼的血尿
C. 間欠的または持続的タンパク尿
D. その他尿中バイオマーカー
2 血液検査異常
A. 血清IgA
B. IgA/C3比
3 臨床項目からのIgA腎症診断予測の検討
4 新規バイオマーカーと臨床データを組み合わせた診断スコア法
III 病態生理
1●発症の分子機構
1 粘膜免疫異常の関与 〈二瓶義人〉
1 腎炎惹起性IgA産生におけるMucosa-Bone marrow axis
2 粘膜でのIgA産生
3 MyD88とTLRの関与
4 粘膜面におけるAPRIL/BAFFの関与
2 骨髄異常 〈今澤俊之〉
1 IgA腎症の病態に骨髄異常は関与するのか?
2 骨髄異常の存在を示唆する症例と基礎研究
3 骨髄由来細胞とメサンギウム細胞
3 APRIL/BAFFの関与 〈武藤正浩〉
1 APRIL,BAFFの基礎
2 IgA腎症とAPRIL,BAFF
3 APRIL,BAFFをターゲットとしたIgA腎症の新規治療
4 IgA腎症における細胞性免疫異常 〈小林政司〉
1 遺伝的背景と細胞性免疫
2 IgA産生と細胞性免疫
3 IgA腎症とT細胞サブセット
4 IgA腎症患者の腎組織と細胞性免疫
5 口蓋扁桃摘出と細胞性免疫
5 IgA腎症の発症に関わる抗原刺激 〈清水芳男〉
1 細菌・ウイルス抗原とIgA腎症
A. 扁桃病巣疾患としてのIgA腎症
B. 細菌
C. ウイルス
2 食物抗原とIgA腎症
A. セリアック病とは?
B. 抗原となる食物
3 ガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)説の登場
A. IgA腎症の病因におけるGd-IgA1と細菌・ウイルス・食物抗原との関わり
2●進行の分子機構
1 異常IgAの沈着機序 〈高畑暁子〉
1 Gd-IgA1のもつ病的意義
2 Gd-IgA1がどのように糸球体に沈着するか
3 モデルマウスにおけるIgAの沈着
4 糸球体IgA沈着とCX3CR1+パトローリングモノサイトの関わり
5 Gd-IgA1-IC形成および糸球体沈着のkey molecule: AIM
2 メサンギウム細胞増殖・基質増加機序 〈福田顕弘,藤元昭一〉
1 IgA腎症の病因および進展機序
2 IgA1のメサンギウム細胞への沈着機序
3 IgA1沈着によるメサンギウム細胞の活性化
4 IgA1沈着による補体の活性化
3 上皮細胞障害 〈山田博之,淺沼克彦〉
1 糸球体上皮細胞(ポドサイト)
2 IgA腎症とポドサイト障害
3 メサンギウム細胞とポドサイトのクロストーク
4 ポドサイトと尿細管のクロストーク
4 ネフロン数 〈佐々木峻也,神崎 剛,坪井伸夫〉
1 日本人におけるネフロン数
2 ネフロン数のサロゲートマーカー
3 生体におけるネフロン数の推算
3●バイオマーカー
1 糖鎖異常IgA分子の特徴 〈高橋和男〉
1 IgAの構造
A. IgAと糖鎖修飾
B. IgA1ヒンジ部糖鎖とその生合成
C. 糖鎖異常IgA1とは?
2 糖鎖異常IgA1の特徴
A. 抗原性
B. 分子複合体の形成
C. 補体反応性
D. クリアランス異常
E. 臨床的意義
2 免疫複合体の特徴・成因 〈鈴木 仁〉
1 IgA1分子異常
2 糖鎖異常IgA1と免疫複合体形成
3 糖鎖異常IgA1特異的抗体
4 IgA1分子の自己凝集
5 IgA1-IgA受容体複合体
6 糖鎖異常IgA1免疫複合体の病態における重要性
7 IgA腎症におけるMulti-Hit Mechanisms
3 その他のバイオマーカー 〈中山麻衣子〉
1 血清IgA/C3比
2 サイトカイン
3 micro RNA
A. 診断における有用性
B. 疾患活動性の評価
4●遺伝解析
1 疾患感受性遺伝子 〈後藤 眞〉
1 IgA腎症とGWAS
2 IgA腎症とHLA領域の遺伝子群
3 IgA腎症と補体制御遺伝子
4 IgA腎症の感受性遺伝子座と重複する疾患
5 IgA腎症の感受性遺伝子座と遺伝的リスクスコア
6 家族性IgA腎症のゲノム解析
2 糖鎖異常に関する遺伝的素因 〈上田裕之〉
1 糖鎖異常IgA1の遺伝性に関する報告
2 血清Gd-IgA1値に関連する遺伝子多型
5●環境因子
1 衛生仮説 〈深尾勇輔〉
2 常在細菌叢(上気道・腸管) 〈長澤康行〉
1 Hemophilus属とIgA腎症
2 齲蝕菌とIgA腎症
3 歯周病とIgA腎症
4 口腔内細菌叢の重複感染とIgA腎症
5 ウィルス感染とIgA腎症
6 腸内細菌叢とIgA腎症
7 扁桃の持続刺激としての喫煙とIgA腎症の関わり
8 口腔内感染と病巣扁桃感染との関わり
3 病巣感染 〈高原 幹〉
1 パラインフルエンザ菌に対する免疫寛容の破綻
2 病巣扁桃における抗体産生
3 病巣扁桃におけるT細胞の関与
4 扁桃病巣疾患として捉えたIgA腎症の発症機序
IV 腎予後と関連する臨床的指標
1●タンパク尿と血尿 〈河内瑠李,平野景太〉
1 腎予後との関連からみたさまざまな時相におけるタンパク尿
2 腎予後との関連からみた血尿の意義
2●血清IgA/C3の有用性 〈佐藤大介〉
1 診断に関する有用性
A. 血清IgAの上昇
B. 血清C3の低下
C. 小括
2 進展との関連性
3●血圧 〈春原浩太郎,坪井伸夫〉
1 IgA腎症の自然経過
2 高血圧と腎予後との関連
3 腎予後予測モデル
4 血圧への治療介入
4●代謝性因子─脂質異常,尿酸,肥満─ 〈小此木英男〉
1 脂質異常
2 尿酸
3 肥満
5●高齢発症 〈岡林佑典〉
1 加齢に伴う腎臓の変化
2 高齢IgA腎症の特徴
3 IgA腎症の腎予後における加齢の影響
4 高齢IgA腎症の治療
V IgA腎症の病理
1●典型例から鑑別診断まで 〈遠藤陽子,清水 章〉
1 IgA腎症の病理
A. 光学顕微鏡所見(光顕)
B. 蛍光抗体法(IF)所見
C. 電子顕微鏡(電顕)所見
2 IgA腎症の鑑別疾患
A. IgA血管炎
B. IgAの沈着する抗糸球体基底膜抗体腎炎
C. ブドウ球菌感染関連糸球体腎炎
D. Antineutrophil cytoplasmic antibody(ANCA)関連血管炎
E. 膜性腎症
F. 単クローン性のIgA沈着
G. 肝臓疾患に合併するIgA腎症
3 他の糸球体疾患との合併例
A. 糖尿病性腎症
B. 抗凝固薬関連腎症
2●組織学的重症度分類(日本分類)とOxford 分類の比較 〈城 謙輔〉
1 Oxford分類の成立過程
A. IgA腎症に必須の病理パラメータの選択とその定義,評価法
B. 病理パラメータの評価の再現性と組織分類への導入
C. エビデンスに基づく組織分類の作成
2 わが国の組織学的重症度分類の成立過程
3 Oxford分類とわが国の組織学的重症度分類の比較
4 今後の課題
3●血尿の病理 〈山中宣昭〉
1 IgA腎症の概念と血尿
2 糸球体性血尿と非糸球体性血尿
3 低真空走査電子顕微鏡LVSEMによる光顕標本観察
4 LVSEMによるIgA腎症の検討
5 IgA腎症における糸球体基底膜の異常
4●病理所見と腎予後 尿細管間質,血管病変を含めて 〈片渕律子〉
1 Oxford分類
2 Oxford分類のValidation study
3 Oxford conference後の動向
A. 半月体working group:Oxford分類の改定
B. FSGS working group
4 尿細管間質病変
5 血管病変
VI 長期臨床経過における問題点
1●寛解に至らない症例の特徴 〈白井小百合〉
1 腎予後予測因子としてのタンパク尿
2 病理組織像と腎予後
3 血尿と腎予後
4 寛解に至らない症例の特徴
2●長期寛解後再発症例の特徴 〈東原 舞〉
1 IgA腎症の長期経過
2 長期寛解後再発症例の臨床病理学的特徴
3●急性発症症例の特徴 〈中西浩一〉
1 糸球体疾患の臨床分類
2 肉眼的血尿
3 急性腎炎症候群
4 ネフローゼ症候群
5 急速進行性腎炎症候群
4●小児からの移行期医療 〈服部元史〉
1 移行期医療とは
A. 移行期医療の背景
B. 移行の定義
C. 移行期医療が必要な理由
D. 移行期医療の動向
2 腎臓病領域における移行期医療の動向
A. 移行期医療の啓発
B. 移行期医療の実態調査
C. 移行期医療ガイドの作成
D. 実践的な移行期医療支援ガイドの必要性
E. IgA腎症と微小変化型ネフローゼ症候群の移行期医療支援ガイド
3 小児期発症IgA腎症の移行期医療
A. IgA腎症の長期予後
B. 小児IgA腎症の成人診療科へのスムーズな転科を妨げる要因
C. 成田研究班によるIgA腎症の移行期医療支援ガイド
VII 鑑別診断
1●IgA血管炎 〈藤元昭一〉
1 疾患概念
2 病因
3 疫学
4 症状・徴候,検査所見
5 病理所見
6 診断と分類基準
7 治療
A. 腎外症状に対する治療
B. 腎炎を合併した場合の治療
8 予後
2●二次性IgA腎症 〈牧田侑子〉
1 IgA腎症の病因
2 肝性IgA腎症
3 B型肝炎とIgA腎症
4 Crohn病とIgA腎症
5 関節リウマチとIgA腎症
6 IgA血管炎とIgA腎症
VIII 治療・生活管理
1●治療
1 国内外ガイドラインの比較 〈金子佳賢,成田一衛〉
1 Kidney Disease: Improving Global Outcomes(KDIGO)
2 Cochrane共同計画
3 IgA腎症診療指針第3版
4 エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2017
5 ガイドラインにおける今後の課題
2 IgA腎症診療指針─第2版と第3版の違いを含めて─ 〈宮崎陽一〉
1 IgA腎症診療指針第3版の要旨
A. 組織学的重症度分類
B. 臨床的重症度分類
C. 透析導入リスクの層別化
D. リスク群ごとの治療指針の提案
2 第2版と第3版における組織分類の比較
A. 第2版組織分類
B. 第2版と第3版組織分類における“透析導入リスク”の比較
3 IgA腎症診療指針第3版の問題点と今後の課題
3 小児IgA腎症の治療 〈島 友子〉
1 小児IgA腎症の予後不良因子
2 小児IgA腎症における自然寛解と治療の選択
3 小児IgA腎症の治療研究
A. 高度タンパク尿/びまん性メサンギウム増殖を示す重症小児IgA腎症の治療研究
B. 軽度タンパク尿/微小変化・巣状メサンギウム増殖を示す軽症小児IgA腎症の治療研究
4 小児IgA腎症治療ガイドライン
5 扁桃摘出
4 ステロイド治療の考え方 〈佐藤祐二〉
1 2015年までの報告
2 ガイドラインとシステマティック・レビュー
3 2015年以降の国際共同ランダム化比較試験
A. STOP-IgAN研究
B. TESTING研究
C. 代表的な研究のまとめ
5 Budesonideに代表されるIgA腎症新規分子治療薬の動向 〈狩野俊樹,鈴木祐介〉
1 Budesonide(NEFECON)
2 Atacicept・Blisibimab
3 Rituximab
4 Fostamatinib
5 Bortezomib
6 Eculizumab・Avacopan・LNP023
6 Tonsil induced autoimmune/inflammatory syndrome(TIAS)
としてのIgA腎症 〈原渕保明,高原 幹〉
1 上気道粘膜免疫臓器としての口蓋扁桃
2 IgA腎症扁桃におけるIgA過剰産生
3 扁桃からの糖鎖不全IgA産生
4 扁桃T細胞の腎へのホーミング
5 扁桃を病巣としたIgA腎症の発症機序
7 扁桃摘出術の有用性(臨床研究による知見を中心に) 〈小松弘幸〉
1 IgA腎症に対する扁桃摘出術およびステロイドパルス療法併用のオーバービュー
2 扁摘の有用性を判断する上で注意すべき点
3 これまでの扁摘および扁摘パルス療法の治療成績
4 扁摘パルス療法の詳細に関する最新の知見
A. 発症から治療開始までの期間と治療効果との関係
B. 扁摘のタイミング
C. ステロイドパルス療法のコース数および投与間隔
D. 組織所見の重症度と治療効果との関連
E. 臨床的寛解後の再燃への影響
F. 腎移植後再発例への応用
G. 小児IgA腎症例での効果
H. 治療に伴う副作用の検討
I. 他治療の上乗せ効果の有無
5 扁摘および扁摘パルス療法の問題点と今後の展望
8 免疫抑制薬の有用性 〈森山能仁〉
1 代謝拮抗薬
A. アザチオプリン
B. ミゾリビン
C. ミコフェノール酸モフェチル
2 アルキル化薬:シクロフォスファミド
3 カルシニューリン阻害薬
9 RAAS阻害薬の有用性 〈木原正夫〉
1 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)が腎に及ぼす影響
A. RAASの作用
B. ブラジキニンの作用
2 RAAS阻害薬とその腎保護作用
A. アンジオテンシン変換酵素阻害薬
B. アンジオテンシンII受容体拮抗薬
C. 直接的レニン阻害薬
D. MR受容体拮抗薬
3 IgA腎症患者を対象とした臨床研究からみたRAAS抑制薬の有用性
A. ACEiを用いた主な臨床研究
B. ARBを用いた主な臨床研究
C. ACEi+ARB併用した主な臨床研究
D. DRI,MR拮抗薬
4 わが国のガイドライン EPAと低用量アスピリンなどの抗血小板薬 〈平橋淳一〉
1 IgA腎症と抗血小板薬
2 IgA腎症における治療介入の意義
3 ω-3 PUFAsによるIgA腎症治療の歴史
4 ω-3 PUFAsの抗炎症作用のメカニズム
5 アスピリンとEPAの併用療法の意義と実際 IgA腎症における
腎移植成績 〈角田洋一,奥見雅由,田邉一成〉
1 疫学
2 再発の診断
3 成績・予後
4 予防・治療
2●生活管理
1 食事療法の留意点 〈菅野義彦〉
1 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版
2 食事指導のポイント
3 IgA腎症患者における食事管理
2 生活指導の留意点 〈仲谷慎也,石村栄治〉
1 運動について
2 肥満
3 禁煙
4 禁酒
3 妊娠・出産時の留意点 〈藤田亜紀子,山縣邦弘〉
1 IgA腎症患者の妊娠に関するわが国のガイドラインの現状
2 IgA腎症患者の妊娠に関する報告例
3 IgA腎症患者が妊娠を希望する場合
4 IgA腎症患者の妊娠が判明した場合
5 薬剤管理
6 血圧管理
7 妊娠中の腎機能評価
8 妊娠中のタンパク尿評価
9 腎代替療法導入後の妊娠・出産
10 出産後の管理
索引
執筆者一覧
富野康日己 順天堂大学名誉教授、医療法人社団松和会常務理事 監修
川村哲也 東京慈恵会医科大学教授・臨床研修センター長 編集
鈴木祐介 順天堂大学医学部腎臓内科学教授 編集
小池健太郎 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科助教
松崎慶一 京都大学環境安全保健機構健康科学センター助教
中西浩一 琉球大学大学院医学研究科育成医学講座教授
柳川宏之 順天堂大学医学部腎臓内科学助教
二瓶義人 順天堂大学医学部腎臓内科学
今澤俊之 国立病院機構千葉東病院腎臓内科部長
武藤正浩 順天堂大学医学部腎臓内科学助教
小林政司 日本医科大学アレルギー膠原病内科助教
清水芳男 順天堂大学医学部附属静岡病院腎臓内科先任准教授
高畑暁子 順天堂大学医学部腎臓内科学
福田顕弘 大分大学医学部内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座助教
藤元昭一 宮崎大学医学部血液・血管先端医療学講座教授
山田博之 千葉大学大学院医学研究院腎臓内科学
淺沼克彦 千葉大学大学院医学研究院腎臓内科学教授
佐々木峻也 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
神崎 剛 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科助教
坪井伸夫 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科准教授
高橋和男 藤田医科大学医学部解剖学II講座教授
鈴木 仁 順天堂大学医学部腎臓内科学准教授
中山麻衣子 順天堂大学医学部腎臓内科学
後藤 眞 新潟大学大学院医歯学総合研究科腎・膠原病内科学准教授
上田裕之 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科講師
深尾勇輔 順天堂大学医学部腎臓内科学
長澤康行 兵庫医科大学腎・透析内科講師
高原 幹 旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座講師
河内瑠李 足利赤十字病院腎臓内科
平野景太 足利赤十字病院副院長・腎臓内科部長
佐藤大介 順天堂大学医学部腎臓内科学助教
春原浩太郎 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科助教
小此木英男 東京慈恵会医科大学総合診療内科准教授
岡林佑典 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科助教
遠藤陽子 日本医科大学解析人体病理学助教
清水 章 日本医科大学解析人体病理学教授
城 謙輔 東京慈恵会医科大学病理学講座客員教授
山中宣昭 東京腎臓研究所所長・日本医科大学名誉教授
片渕律子 加野病院副院長
白井小百合 聖マリアンナ医科大学・横浜市西部病院腎臓・高血圧内科部長
東原 舞 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科助教
服部元史 東京女子医科大学腎臓小児科教授
牧田侑子 順天堂大学医学部腎臓内科学
金子佳賢 新潟大学大学院医歯学総合研究科腎・膠原病内科学講師
成田一衛 新潟大学大学院医歯学総合研究科腎・膠原病内科学教授
宮崎陽一 東京慈恵会医科大学第三病院腎臓・高血圧内科診療部長・教授
島 友子 和歌山県立医科大学小児科学講座講師
佐藤祐二 宮崎大学医学部付属病院血液浄化療法部准教授
狩野俊樹 順天堂大学医学部腎臓内科学
原渕保明 旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授
小松弘幸 宮崎大学医学部医療人育成支援センター教授
森山能仁 東京女子医科大学腎臓内科准教授
木原正夫 順天堂大学医学部腎臓内科学准教授
平橋淳一 慶應義塾大学医学部総合診療科講師
角田洋一 東京女子医科大学泌尿器科講師
奥見雅由 東京女子医科大学泌尿器科准教授
田邉一成 東京女子医科大学泌尿器科教授
菅野義彦 東京医科大学腎臓内科学分野主任教授
仲谷慎也 大阪市立大学大学院医学研究科代謝分泌病態内科学講師
石村栄治 大阪市立大学大学院医学研究科腎臓病態内科学特任教授
藤田亜紀子 筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学
山縣邦弘 筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学教授
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