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書籍詳細

ここが知りたい定位脳手術・電気刺激療法Q&A

ここが知りたい定位脳手術・電気刺激療法Q&A

伊達 勲  編著

B5判 260頁

定価12,100円(本体11,000円 + 税)

ISBN978-4-498-32834-1

2019年04月発行

在庫あり

いまや世界中で行われるようになった定位脳手術・電気刺激療法について基礎からよく遭遇する症例までQ&Aで解説する。これから定位脳手術・電気刺激療法に取り組む医師はもちろん、すでに実践している医師にとっても、知識の整理・蓄積に役立つ書となっている。

はじめに

 脳神経外科には6つの大きなサブスペシャリティがある.そのうちの1つが機能的脳神経外科といわれる分野であり,不随意運動や痛みなどを伴う機能的疾患(パーキンソン病がその代表的疾患である)に対して,定位脳手術という手段を用いて,脳深部の小さな領域を細い針で凝固したり,電極で刺激したりすることによって治療が行われてきた.岡山大学脳神経外科はこの分野に50年以上前から取り組み,教室の重要なテーマの1 つとして基礎・臨床の両面から業績をあげてきた.電極を脳内に埋め込み,胸部の皮下に設置したパルス発生器のスイッチを入れることによって脳の局所を刺激する脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)が行われるようになったこの20年で,この治療法は世界中に広まることとなった.
 定位脳手術を中心とする機能的脳神経外科に興味をもつ若手脳神経外科医が増えている.それは,MRIが高性能になり電気刺激の電極を埋め込む位置が術前にきわめて正確に同定できるようになったことや,デバイスの発達のため,より効果の上がる術後調整が可能となって治療成績が向上していることなどが大きな要因と思われる.また,他のサブスペシャリティでは無症候の患者(未破裂脳動脈瘤,一部の良性脳腫瘍など)に治療を行う場合も多いが,機能的脳神経外科においては,症候性の患者に治療することがほとんどであり,その症候が術後改善することによる,患者の,そして施術した医師の喜びがきわめて大きいことも取り組む若手医師が増えている理由の1つであろう.
 本書は,定位脳手術・電気刺激療法について関心があり,この分野に取り組んでみようという脳神経外科医に,Q&A方式で情報を提供し,この分野への参画を期待するものである.もちろんすでに定位脳手術を行っている脳神経外科医,あるいはこれから脳神経外科専門医をめざす医師にも知識の整理,あるいは蓄積に大いに役立つものと期待する.岡山大学脳神経外科で50年以上にわたって取り組んできたノウハウをできるかぎり盛り込むように努力したが,すべての分野をカバーできるわけではなく,他施設に執筆を協力していただいた部分もある.執筆者全員に深く御礼を申し上げる.

2019年4月
伊達 勲

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目次

I.定位脳手術の最近の動向
 A.定位脳手術の歴史
  Q1 岡山大学ではいつ頃からパーキンソン病に対する定位脳手術を開始しましたか?
     そしてどのような発展をとげてきましたか?
  Q2 どのような疾患に定位脳手術が行われていますか?
  Q3 定位脳手術の手術方法の変遷について教えてください.
  Q4 代表的な大規模試験について教えてください.
 B.その他の不随意運動症に対する定位脳手術と最新の治療
  Q5 パーキンソン病以外でDBSが有効な疾患について教えてください.
  Q6 最近Focused ultrasoundという方法で,振戦を有する患者の一側の視床を熱凝固する方法が
     発表されています.現況を教えてください.
  Q7 MRgFUSと同様にガンマナイフという方法もあると聞きました.
  Q8 最近進行期パーキンソン病に対して,胃瘻を用いた治療法があると聞きました.教えてください.
 SIDE MEMO 1.パーキンソン病の運動症状以外の症状ついて

II.定位脳手術に必要な器材
 A.MRI
  Q9 3T—MRIは定位脳手術の精確性を劇的に変えたと聞きました.現況を教えてください.
  Q10 定位脳手術で必要なシークエンスについて教えてください.
  Q11 体動が激しい患者がいます.術前のMRIはどのように撮影したらいいでしょうか?
 B.レクセルフレーム
  Q12 レクセルフレームの使い方について教えてください.
 C.ワークステーション
  Q13 定位脳手術に使うワークステーションにはどのようなものがありますか?
  Q14 共通する基本的設定方法を教えてください.
  Q15 間接法と直接法について教えてください.
 D.針電極
  Q16 針電極はどのようなものを使いますか?
 E.記録装置
  Q17 DBSの際の電気活動の記録装置はどのようなものを使いますか?
 F.凝固器具
  Q18 凝固器具はどのようなものを使いますか?
  Q19 凝固のための練習には何を用いればよいですか?
 G.生検
  Q20 組織生検のためにはどのようなものを使いますか?
 SIDE MEMO 2.DBSと植え込み型心臓電気デバイスとの併用

III.定位脳手術のターゲット部位
 A.直接路—間接路
  Q21 大脳基底核回路はパーキンソン病の病態理解に重要と聞きました.教えてください.
  Q22 主な標的と,その適応となる疾患を教えてください.
  Q23 破壊術と電気刺激の違いについて教えてください.
 B.視床下核
  Q24 STNの標的設定方法を教えてください.
  Q25 視床下核は凝固して破壊しても大丈夫ですか?
 C.淡蒼球内節
  Q26 GPiの標的設定方法を教えてください.
 D.その他のターゲット
  Q27 他にどのような標的があるのですか?
 E.STNとGPiのすみわけ
  Q28 STNとGPiそれぞれの電気刺激療法の効果を比較した論文はありますか?
 SIDE MEMO 3.硬膜動静脈瘻でパーキンソン病症状を呈した!

IV.パーキンソン病に対する治療の実際
 A.パーキンソン病症状
  Q29 パーキンソン病の振戦はどのようなものですか?
  Q30 歩行の特徴について教えてください.
  Q31 正常圧水頭症の歩行とはどのように違いますか?
 B.薬物治療から外科治療へ
  Q32 薬物療法の基本を教えてください.
  Q33 Wearing offとは何ですか?対処法を教えてください.
  Q34 どのタイミングで手術を考えますか?
  Q35 岡山大学の手術適応を教えてください.
  Q36 Camptocormiaで困っているパーキンソン病患者がいます.手術適応はありますか?
 C.術前評価
  Q37 パーキンソン病症状の評価に使われるUPDRSについて教えてください.
  Q38 ビデオの撮影方法によい方法はありますか?
  Q39 術前評価のうち,高次脳機能に関するものはどのようなものがありますか?
     それをなぜ調べるのですか?
  Q40 SF—36,PDQ質問表などはなぜ必要なのでしょうか?
  Q41 特異度の高い画像検査は何がありますか?
  Q42 DATシンチグラフィなどの画像検査は手術を行う際の指標になりますか?
  Q43 どのような疾患と鑑別が必要ですか?
 D.手術の実際
  Q44 手術説明はどのように行っていますか?
  Q45 手術当日の薬物はどのようにしたらいいですか.
  Q46 DBS手術当日の薬物を中止するにあたり,どのような注意が必要ですか?
  Q47 ターゲットの選択方法について教えてください.
  Q48 デバイスは何を選択したらいいですか?
  Q49 レクセルフレームの装着のコツを教えてください.
  Q50 手術室当日に行っている画像検査のステップはどうなっていますか?
  Q51 手術室内のセッティングではどのような工夫をしていますか?
  Q52 精確な手術を行うためにはどのようにすればよいですか?
  Q53 電気活動のレコーディングの方法を教えてください.
  Q54 運動関連反応の記録はどのように行っていますか?
  Q55 髄液漏防止にはどのような対策を行っていますか?
  Q56 IPGの埋め込みの工夫はありますか?
  Q57 実際に手術にかかる時間はどのくらいですか?
  Q58 手術の麻酔はどのようにしますか?
  Q59 手術当日の夜に気を付けることはありますか?
  Q60 極度の前屈のためにレクセルフレームがベッドにはまりません.どうしたらいいですか?
  Q61 手術の途中で不穏になりました! どのように対処すればよいですか?
  Q62 電気のノイズが多いときはどう対応しますか?
  Q63 テスト刺激で副反応が出現しました.どのように対応したらよいですか?
  Q64 マイクロエレクトロードとDBS電極の入れ替えが上手にできません.どうしたらよいですか?
 E.術後管理
  Q65 術後はどのように薬物を調整していますか?
  Q66 術後の薬物の減量について注意点はありますか?
  Q67 刺激調整はいつから始めますか?
  Q68 刺激調整のコツを教えてください.
  Q69 患者が術後,症状変動で不安になっています.どのように対処したらいいですか?
 F.外来・リハビリ
  Q70 術後のリハビリテーションの重要性について教えてください.
  Q71 明らかに症状は改善していますが,満足感が得られていません.どうしたらいいでしょうか?
  Q72 DBSの長期効果について教えてください.

V.パーキンソン病患者の脳深部刺激療法後の心理面に及ぼす影響
 A.高齢者における脳深部刺激療法
  Q73 高齢者のパーキンソン病患者に対する定位脳手術は安全に行えますか?
     文献的にどれくらいの報告がありますか?
 B.認知機能に対する影響
  Q74 パーキンソン病患者の手術後の高次脳機能は悪化しますか?
  Q75 パーキンソン病患者の認知機能が改善することはありますか?
  Q76 パーキンソン病患者で認知症を合併している場合,定位脳手術の適応はありますか?
 SIDE MEMO 4.パーキンソン病の症状の1つ「病的賭博」

VI.本態性振戦に対する治療の実際
 A.術前評価
  Q77 本態性振戦では,パーキンソン病患者の振戦とどこがちがいますか?
  Q78 本能性振戦にもパーキンソン病のUPDRSのように術前に評価するようなスコアがありますか?
 B.手術の実際
  Q79 標的部位はどこになりますか.
  Q80 DBSと凝固術の選択はどうしますか?
  Q81 パーキンソン病の定位脳手術の手術方法との違いを教えてください.
  Q82 トラクトグラフィが手術に有用であると聞きました.教えてください.
 C.刺激調整
  Q83 Vim—DBSの場合の刺激調整について教えてください.
  Q84 本態性振戦以外の振戦に対して手術適応はありますか?

VII.ジストニアに対する治療
 A.術前評価
  Q85 ジストニアとはどのような疾患ですか?
  Q86 ジストニアの神経症状をどのように術前評価すべきですか.
  Q87 ジストニアのスケールはどのようなものがありますか?
  Q88 特にDBSの効果の高いジストニアはありますか?
  Q89 書痙,痙性斜頸はどこに分類されますか?
 B.手術の実際
  Q90 ジストニアではどこをターゲットにしますか?両側ですか一側ですか?
  Q91 パーキンソン病の手術とはどのような違いがありますか?
  Q92 書痙の手術方法について教えてください.
 C.刺激調節
  Q93 ジストニアの術後,刺激はどのように調整しますか?

VIII.電極・刺激装置の選択
  Q94 DBSは3社の電極が使用できると聞きました.各社の特徴を教えてください.
  Q95 充電式・非充電式のメリットとデメリットは何ですか?
  Q96 最近よくディレクショナルリードということばを耳にします.どういったものですか?
  Q97 MICC刺激方法とは何ですか?教えてください.

IX.DBSの合併症
 A.合併症
  Q98 DBSの合併症にはどのようなものがありますか?
  Q99 出血を予防するためにはどうすればよいですか?
  Q100 IPGが感染しました.どのように対処したらいいですか?
  Q101 DBSの手術後に硬膜下血腫を生じました.その場合どのように対処したらよいでしょうか.
  Q102 視床下核手術後,精神症状が出現したり,増悪したりすることがあります.どのように対応すればよいですか?
 B.刺激による副反応
  Q103 電気刺激により構音障害が出現します.どのように対処したらいいですか?

X.脊髄刺激療法
 A.総論
  Q104 脊髄刺激療法(SCS)とは何ですか?
  Q105 SCSの作用機序を教えてください.
  Q106 SCSが有効な疾患を教えてください.
  Q107 SCSの新しい刺激方法について教えてください.
  Q108 SCSの年齢制限はありますか?
  Q109 SCSの禁忌はありますか?
 B.術前評価
  Q110 SCSの適応となる疾患の種類と患者選択を教えてください.
  Q111 疼痛の評価方法について教えてください.
  Q112 SCSは病期のいつの時点で行うのが良いですか?
 C.治療の実際
  Q113 SCSの治療の実際(治療アルゴリズム)はどうなっていますか?
  Q114 SCS手術のセッティング方法はどのようにしますか?
  Q115 SCSのパンクチャートライアルとサージカルトライアルはどう違いますか?
  Q116 電極の選択について,経皮的棒状リードとパドルリードはどう違いますか?
  Q117 電極留置の手技のコツや注意点を教えてください.
  Q118 SCSにおいて鎮痛効果を得るために適切な電極位置はどこですか?
  Q119 SCSのトライアルはどのように行いますか?トライアルの結果後どのようにして刺激装置の埋め込みを決定しますか?
  Q120 刺激装置を殿部に植え込む場合はどのようにしますか?
  Q121 SCSの手術合併症にはどんなものがありますか?
 D.刺激調整
  Q122 SCSの刺激調整を効率よく行うにはどうすればよいですか?
  Q123 SCSの刺激調整時に体位はどのように影響しますか?
  Q124 SCSにおいて,高頻度刺激・バースト刺激はどのように調整しますか?
  Q125 SCSの効果が減弱した場合,どのような原因を考え,どのように対応すればよいでしょうか?
  Q126 SCS術後の患者ケアについてどのような点に注意すればよいですか?

XI.痙縮に対するITB療法
 A.痙縮に対する治療の実際
  Q127 痙縮とはどのような病態ですか.
  Q128 痙縮を治療する目的を教えてください.
  Q129 痙縮の治療にはどのようなものがありますか? その利点と欠点を教えてください.
  Q130 痙縮の臨床的評価方法(スコア化)を教えてください.
 B.ITB治療の実際
  Q131 ITB療法の対象となるのはどのような患者でしょうか?
  Q132 ITB療法のトライアルはどのように行いますか?
  Q133 ITBポンプ埋め込み術のセッティングについて教えてください.
  Q134 側弯が非常に強い患者がいます.手術時のコツを教えてください.
  Q135 リフィルの際に穿刺が難しい患者がいます.良い方法はありますか?

XII.電気刺激療法・再生療法の可能性
 A.電気刺激療法は神経再生を促す
  Q136 電気刺激療法は神経新生を促すとは本当ですか?
  Q137 脳梗塞に対する電気刺激と神経新生について教えてください.
  Q138 認知症についてはいかがでしょうか?
  Q139 パーキンソン病ではどうでしょうか?
 B.パーキンソン病に対する再生療法
  Q140 パーキンソン病に対する再生療法は何を目的としていますか?
  Q141 パーキンソン病に対する再生療法の歴史を教えてください.
  Q142 これから行われるパーキンソン病の再生療法にはどんなものがありますか?
  Q143 パーキンソン病にリハビリが効果的と聞きますが,本当ですか?
  Q144 パーキンソン病のリハビリの治療効果に関する基礎研究はありますか?
  Q145 パーキンソン病を含め,脳障害に陥った患者に対して,どのような期待がもてますか?

XIII.定位脳手術の未来
  Q146 ブレインマシンインターフェースとは何ですか?
  Q147 SEEGとは何ですか?
  Q148 反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)
      はどのようなものですか?

索引

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執筆者一覧

伊達 勲  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科教授 編著
上利 崇  倉敷平成病院倉敷ニューロモデュレーションセンター 
岡崎三保子 岡山赤十字病院脳神経外科 
亀田雅博  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
貴島晴彦  大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科 
金 一徹  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
桑原 研  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
近藤聡彦  静岡てんかん・神経医療センター脳神経外科 
齋藤洋一  大阪大学大学院医学系研究科脳神経機能再生学共同研究講座 
佐々木達也 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
佐々田 晋 津山中央病院脳神経外科 
新光阿以子 姫路赤十字病院脳神経外科 
田尻直輝  名古屋市立大学大学院医学研究科・医学部脳神経生理学 
伊達 勲  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
橋本洋章  大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科 
平田雅之  大阪大学国際医工情報センター臨床神経医工学寄附研究部門 
平松匡文  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
細本 翔  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
守本 純  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
安原隆雄  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 
若森孝彰  倉敷平成病院臨床心理士 

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   定価12,100円(本体11,000円 + 税)
   2019年04月発行
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