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書籍詳細

覚醒下手術 ことはじめ

覚醒下手術 ことはじめ

中田光俊 編著

B5判 226頁

定価(本体8,000円 + 税)

ISBN978-4-498-32832-7

2019年03月発行

在庫あり

脳機能を温存しながら安全かつ最大限に病変を摘出することを可能とする覚醒下手術について、手術の流れに沿って、手技から運動・感覚・言語のモニタリング、視覚機能や高次脳機能評価まで精緻に解説した書.覚醒下手術に関わる医療者必携の一冊.

発刊にあたって

 私が,覚醒下手術を初めて見たのは2007年だったと記憶しています.当大学で行われたグリオーマの手術でした.以後大学での覚醒下手術は多くありませんでしたが,脳腫瘍治療担当医師として年に数回の覚醒下手術を行っていました.2013年7月にフランス モンペリエのDuffau教授を訪ね,覚醒下グリオーマ摘出術を見学させていただきました.手術顕微鏡もナビゲーションも使用しない,覚醒下でのタスクに対する患者さんの反応を頼りにしたマクロの手術でした.テクノロジーが進歩してグリオーマ摘出術に多くの医療機器・技術が導入されている昨今の状況の中にあって,肉眼のみで患者さんの反応および術者の知識と経験に依存した手術は強い衝撃でした.覚醒下手術チームの木下雅史講師,作業療法士の中嶋理帆助教が時期を違えてそれぞれDuffau教授の下で留学生活を送り,また言語聴覚士の沖田浩一氏が同施設に見学に赴き,最先端の覚醒下手術を学びました.これに伴い当施設での覚醒下手術件数は増加しました.しかしながら,我々の覚醒下手術の経験はまだ200件程度です.この200件は毎回が発見で,独自で創意工夫を重ねてきました.運動・感覚・言語のモニタリングのみならず,視覚機能や高次脳機能評価を行うようになって,最近は全国から多くの先生方に見学に来ていただくようになりました.そのような状況の中で,まだまだ少ない経験であっても,覚醒下手術の立ち上げを施設で担う先生方,また施設の覚醒下手術チームの構成メンバーに向けてきっと役立つ本が作れると考え,本書をまとめました.執筆者は当施設の覚醒下手術チームメンバーで,関連するパートをそれぞれ専門分野の観点から担当していただきました.少しでもわかりやすくするために図を多く挿入し,術中videoを多用し専用サイトから閲覧できるようにしました.
 また,本書は手術室に持ち込んで,術中に困った時に役立つ本をイメージしています.覚醒下手術に関わる多くの医療者に是非広く読んでいただき,少しでも役に立つことができましたらこの上ない喜びです.
 本書の出版に当たり,短い期間で,担当分を書き上げた当院の覚醒下手術チームメンバーに感謝いたします.また,金沢大学の覚醒下手術の黎明期を担われた林 裕 先生(石川県立中央病院脳神経外科部長)と故 濱田潤一郎先生(金沢大学脳神経外科前教授)に感謝いたします.最後に,編集を担当していただきました中外医学社 佐渡眞歩氏,中畑 謙氏には大変お世話になりました.この場を借りまして厚くお礼申し上げます.

2019年 2月
金沢大学医薬保健研究域医学系脳・脊髄機能制御学 教授
中田光俊

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本書の動画視聴方法

1 はじめに 〈中田光俊〉
 I 覚醒下手術のエビデンス
 II 手術コンセプトの変化
 III 皮質マッピングと皮質下マッピング

2 白質神経線維の基礎知識 〈中田光俊〉
 I 電気刺激で認める症状
 II 主な白質神経線維

3 覚醒下手術の準備・コツ 〈中田光俊〉
 I 覚醒下手術ことはじめ10箇条
 II 手術の同意と説明
 III 施設認定の手順

4 トラクトグラフィの作成法 〈木下雅史〉
 I DTIトラクトグラフィの原理
 II 綺麗なトラクトの描き方
 III 限界

5 覚醒下手術の流れ 〈木下雅史〉
 I 手術場の入室から退室まで
 II 手術に使用する道具
 III 局所麻酔の場所,使用薬剤,使用量
 IV 全身麻酔下での手術:皮切と開頭範囲の決定
 V 覚醒下手術と全身麻酔下の手術

6 タスク者の準備 〈中嶋理帆〉
 I タイムスケジュール
 II 機能評価・検査法
 III タスクの練習

7 覚醒下手術の麻酔 〈松久大希〉
 I 術前診察
 II 覚醒下手術に対する麻酔管理のリスクファクター
 III 入室から退室までの流れ
 IV 麻酔における問題点

8 覚醒下手術の手術手技 〈木下雅史〉
 I 覚醒させるタイミング
 II 刺激強度の決定法
 III タスクのnegative control
 IV Cortical mappingの意義と詳細
 V 脳表面処理
 VI Subcortical mappingの意義と詳細
 VII Subpial dissection
 VIII タスクをかける基準
 IX タスク陽性の判断とコツ
 X 摘出するか否かの判断
 Ⅺ 覚醒終了の基準

9 覚醒下手術のタスク
〈1〉タスクの考え方とタスク施行の工夫 〈中嶋理帆〉
 I タスクの考え方
 II タスク施行の工夫
〈2〉運動 〈中嶋理帆〉
 I 皮質局在と運動の特徴
 II 白質線維と運動の特徴
 III 錐体路
 IV タスクの方法
 V 出現する症状と判別方法
〈3〉感覚 〈中嶋理帆〉
 I 皮質局在と感覚
 II 白質線維と感覚
 III 術中タスクと誘発される症状
〈4〉言語 〈沖田浩一〉
 I タスク者の役割
 II 皮質局在と言語
 III 白質神経線維と言語
 IV 術中タスクの方法と誘発される症状
〈5〉視覚 〈木下雅史〉
 I 術中出現する視覚障害とその責任領域
 II 術中タスクの方法と出現する症状
 III 視野障害,視空間認知障害,視覚失認の違いと検出法
〈6〉高次脳機能 〈中嶋理帆〉
 I 皮質・白質線維と高次脳機能
 II タスクの方法・出現する症状と判別方法
 III 術中の高次脳機能評価における偽陽性

10 覚醒下手術の電気モニタリング 〈中出祐介〉
 I 術中モニタリングの基礎
 II 術中モニタリングに必要な機器,機材
 III 術中モニタリングの実際

11 症例提示 〈木下雅史〉
〈1〉運動領域
〈2〉補足運動野領域
〈3〉感覚領域
〈4〉言語領域
〈5〉視覚領域
〈6〉高次脳機能

12 ピットフォールと対応策
〈1〉麻酔科的視点 〈松久大希〉
 I 合併症の種類と対処法
 II 換気困難
 III 再導入時における気道確保確立までの経緯
 IV 再挿管に難渋する場合
〈2〉脳神経外科的視点 〈中田光俊〉
 I 寒気
 II 悪心
 III 疼痛
 IV 痙攣
 V 精神的不安
 VI 脳圧亢進
 VII 新たな神経症状の出現
 VIII 意欲低下
 IX 血圧上昇による腫瘍内出血
〈3〉タスク者的視点 〈中嶋理帆〉
 I タスク判定に難渋する場合
 II タスクの種類とピットフォール
〈4〉検査者的視点 〈油野岳夫〉
 I 電気刺激の注意点
 II 術中モニタリング検査の陽性判定
 III MEPでどれだけ落ちると不可逆的なのか
 IV アラーム時の注意点
 V 実際のMEPモニタリング波形の提示
 VI トラブルシューティング

13 術後急性期の症状 〈木下雅史〉
 I 術後急性期の症状と原因
 II 術後の錐体路症状と補足運動野症状との見極め
 III 緊急の対応を要する症状
 IV 経過観察でよい症状

14 術後検査計画 〈中嶋理帆〉
 I 術後評価の目的
 II 術後の評価法と時期
 III 日常生活・社会生活への影響
 IV 機能回復の見込み

15 おわりに〜覚醒下手術の今後の展望〜 〈中田光俊〉
 I 改善点
 II 発展の方向性

索引

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執筆者一覧

中田光俊 金沢大学医薬保健研究域医学系脳・脊髄機能制御学 教授 編著
木下雅史 金沢大学医薬保健研究域医学系脳・脊髄機能制御学講師 
中嶋理帆 金沢大学医薬保健研究域保健学系リハビリテーション科学領域助教 
松久大希 金沢大学医薬保健研究域医学系麻酔・集中治療医学助教 
沖田浩一 金沢大学附属病院リハビリテーション部言語聴覚士 
中出祐介 金沢大学附属病院検査部副臨床検査技師長 
油野岳夫 金沢大学附属病院検査部臨床検査技師 
篠原治道 金沢大学医薬保健研究域医学系脳医科学専攻機能解剖学分野客員教授 

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