ログアウト中です。

トップページ腎臓 > よくわかる腎不全

書籍詳細

よくわかる腎不全

病態・合併症・治療

よくわかる腎不全

北岡建樹 著

B5判 114頁

定価3,850円(本体3,500円 + 税)

ISBN978-4-498-02477-9

2000年01月発行

在庫なし

腎不全,尿毒症という多彩な病態を理解し治療にあたるには膨大な知識を必要とするが,本書はその基本的知識をわかり易く整理し,透析に携わる方々に広く役立つよう解説したものである.腎不全,透析療法にはさまざまな合併症が加わる.それらの概念を治療指針を示しながら日常の臨床の場で活用できるよう最新の知識,進歩により述べている.初心者に理解し易いよう図表を多用したのも本書の特色である.



 わが国で透析治療を受けている患者は現在では16万人を超え,年々増加傾向を示している.この理由は糖尿病による末期腎不全患者あるいは高齢者や高血圧による腎機能障害を原因とした末期腎不全患者が増加していることが原因である.この結果,新規に導入される透析患者は年々高齢化し,さまざまな合併症を伴うことになる.良好に透析治療を管理するだけでなく,QOLの上からも大きな問題となっている.

 腎不全は大きく急性腎不全と慢性腎不全に区別されるが,いずれも腎機能が廃絶すれば最終的には尿毒症という病像が認められる.腎不全-尿毒症という多彩な症候の病態を理解する上で膨大な知識を必要とする.末期腎不全では尿毒症という共通の病像があるが,これに原因疾患に特有の病像や加齢に伴った病態が加わることになる.さらに透析治療に導入され,慢性的に継続されると治療自体による特別な合併症や病態が加わる.このように腎不全だけの病像ではなく,複雑に修飾された病像や病態が認められるわけである.したがって,透析治療の管理上,腎不全から透析治療における合併症とその病態の基本的な知識を理解しておくことは,透析医療関係者には必須の事柄であるといえる.

 本書では,腎不全の病態を中心に,さまざまな合併症についての概念と治療の指針を初心者にも理解できるように簡潔に概論した.透析療法による合併症を含めて,日々の臨床の場でも活用できるように,図表を多用し理解を容易にすることに努めたつもりである.年々進歩する透析治療の最新の知識についていくには並大抵のことではないが,いい透析治療をめざす上では必要なことである.初心者にとってこのような膨大な知識を身に付けることは本人の努力もさることながら,教育担当のスタッフにとっても多大な労力が必要であり,本書が初心者教育に少しでも役立つことを希望する.

平成9年6月 父の命日に
望星病院 北岡建樹

すべて見る

目 次

 §1.腎臓の構造と機能
     腎臓の構造
     ネフロン
     腎臓の働き
        1.代謝老廃物の排泄機能
        2.体液量と体液組成の維持機能
        3.内分泌機能としての役割
      memo  人間以外の腎臓はどうなっているのか
 §2.腎不全の概念と分類
     腎機能の評価
        1.急性腎不全
        2.慢性腎不全
      memo  GFRと尿素窒素,血清クレアチニン濃度の関係
      memo  急性腎不全と慢性腎不全の違い
 §3.腎不全の原因
     急性腎不全の原因
        1.腎前性の型
        2.腎性の型
        3.腎後性の型
      memo  急性腎不全の鑑別
     代表的な急性腎不全の原因
        1.横紋筋融解症
        2.溶血性尿毒症症候群(HUS)
        3.多臓器不全(MOF)
     慢性腎不全の原因
     内科的な疾患
        1.慢性糸球体腎炎
        2.糖尿病性腎症
        3.腎硬化症
        4.慢性腎盂腎炎
        5.膠原病とくにSLE
        6.アミロイドーシス
        7.多発性骨髄腫
        8.痛 風
        9.急速進行性腎炎
        10.妊娠中毒症
      memo  ネフローゼ症候群
     泌尿器科的な腎疾患
      memo  慢性腎不全の原因疾患の変遷
 §4.腎不全の病期分類
     急性腎不全の病期分類
        1.発症期
        2.乏尿期,無尿期
        3.利尿期
        4.回復期
      memo  急性腎不全の乏尿・無尿の成因
     慢性腎不全の病期分類
        1.腎予備能力の低下期
        2.代償性腎不全期
        3.非代償性腎不全期
        4.尿毒症期
      memo  腎疾患の治療的分類
 §5.腎不全の経過と治療方針
     急性腎不全
     慢性腎不全
      memo  透析療法への導入の基準
 §6.尿毒症
        1.精神・神経系の障害
        2.循環器系の障害
        3.呼吸器系の障害
        4.免疫系の障害
        5.造血器系の障害
        6.消化器系の障害
        7.骨関節の障害
        8.皮膚障害
 §7.尿毒症毒素
      memo  尿毒症毒素
 §8.腎機能増悪因子
        1.水・電解質異常
        2.循環器系障害
        3.感染症
        4.尿路閉塞
        5.腎毒性薬物
        6.代謝異常,その他
      memo  hyperfiltration theoryとhypermetabolism theory
 §9.腎不全の合併症
 §10.体液の異常
     体液量
     電解質組成とその働き
     ナトリウム
     カリウム
     カルシウム
     リ ン
     マグネシウム
      memo  水分の調節機構
     腎不全における水分代謝異常
      memo  Naの調節機構
     腎不全におけるNa代謝異常
      memo  Kの調節機構
     腎不全におけるK代謝異常
      memo  Ca・Pの調節機構
     腎不全におけるCa・P代謝の異常
     腎不全におけるMg代謝の異常
 §11.酸塩基平衡異常
     酸塩基平衡における腎臓の役割
     腎不全における酸塩基平衡の異常
      memo  アニオンギャップ
     急性腎不全における酸塩基平衡の異常
      memo  アシドーシスの影響
      memo  慢性腎不全の酸塩基平衡異常の特徴と治療
 §12.心血管系の合併症
     血圧異常
        1.高血圧
        2.腎不全の高血圧
        3.透析治療中の高血圧
        4.低血圧
        5.透析期低血圧
        6.常時低血圧症
     心不全
     心外膜炎
     不整脈
     動脈硬化症
     虚血性心疾患
 §13.呼吸器系の合併症
 §14.消化器系の合併症
     ウイルス性肝炎
 §15.内分泌系の合併症
     エリスロポエチン
     ビタミンD
     その他
     女性化乳房症
     心房性Na利尿ペプタイド・心房性Na利尿ホルモン
 §16.骨・関節の合併症
     二次性副甲状腺機能亢進症の発生機序
     腎性骨症の分類
        1.線維性骨炎
        2.骨軟化症
        3.無形成骨
        4.骨粗鬆症
        5.アミロイド骨症
     腎性骨症の診断と治療方針
      memo  異所性石灰化
      memo  腎性骨症の骨代謝異常のメカニズム
 §17.血液系の合併症
        1.腎性貧血
        2.治療抵抗性貧血
     出血傾向
      memo  血小板機能異常
 §18.免疫系の異常
     腎不全に認められる免疫不全の原因
     免疫系の異常の影響
        1.感染症
        2.MRSA感染症などの院内感染症
        3.二次性腎嚢胞
 §19.脳・神経系の合併症
        1.尿毒症脳症
        2.透析脳症
     不均衡症候群(D症候群)
      memo  不均衡症候群と透析困難症
     末梢神経障害
     自律神経障害
 §20.微量金属の異常
     アルミニウム
      memo  アルミニウムの侵入経路
        アルミニウムの除去法
     亜  鉛
     3価クロム
 §21.皮膚合併症
     全身掻痒症
 §22.栄養・代謝系の障害
     高脂血症
     脂質代謝異常の原因
      memo  リポ蛋白とアポ蛋白
     低栄養
 §23.腎不全アミロイドーシス
     透析アミロイドーシス
     破壊性脊椎関節症
     手根管症候群
      memo  血液-膜間反応
 §24.透析治療法に関係する特殊な合併症
     CAPDに関係した合併症
     血液透析治療に関係した合併症
        ブラッドアクセスの合併症
        透析液とエンドトキシン
        モノカイン仮説(サイトカイン仮説)
 §25.糖尿病性腎症による腎不全
     体液量の過剰,溢水
     眼合併症
     動脈硬化症
     神経・筋障害
     栄養障害
     副甲状腺機能低下症による腎性骨症
     糖尿病性腎症の生存率
     
参考文献
略語一覧
索 引

すべて見る

執筆者一覧

北岡建樹  著

すべて見る
  • テキスト・教科書
  • 考え方・使い方
  • J-IDEO
  • J-IDEO定期購読
  • ClinicalNeuroscience
  • 広告掲載をお考えの方へ
  • 企画応募フォーム
  • 動画閲覧・ファイルダウンロード
  • 採用情報
  • X
  • note小
  • Facebook
  • JIDEOバックナンバー
  • テキスト・教科書
  • グリーンノート
  • 考え方使い方

株式会社中外医学社 〒162-0805 東京都新宿区矢来町62 TEL 03-3268-2701/FAX 03-3268-2722