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書籍詳細

イラストで理解する みんなの血液内科学

イラストで理解する みんなの血液内科学

渡邉純一 著

B5判 220頁

定価(本体5,000円 + 税)

ISBN978-4-498-22510-7

2018年07月発行

在庫あり

 はじめまして.埼玉医科大学総合医療センター血液内科の渡邉と申します.

 この度,2冊目の本を執筆させていただけることになりました.前作である『血液内科 ただいま診断中!』は医師,特に若手医師や非血液専門医の先生を主な対象として「診断学」を中心に記述しました.多くの先生の手に取っていただき,お役に立っているということで大変嬉しく思っております.

 2冊目の本は主に医学生を対象に「血液学の面白さ」「血液学の病態生理」などの要点をわかりやすく伝えたいと考え,書かせていただきました.特に母校の血液内科で学生に指導をしながら,「こういうところの理解が足りない」「このような勘違いを学生はしている」ということを多くの学生に還元したいと思い作成しました.

 執筆にあたり,いくつかの学生向けの教科書を購入して読みましたが,わかりやすいものの情報が多く,初学者・学生には確かに難しいかもしれないと思いました.また,血液内科は新しい薬が続々開発されるなど治療の進歩が早く,教科書の記載と実際に病棟でみる治療法が異なっているということも学生が混乱する理由になるようでした.

 この教科書は実臨床でも役立つようにという考えで作成すると同時に,医学生時代に国試対策委員長として国家試験対策を行った経験から,「国家試験」にも役立つ本を執筆したつもりです.理解しやすく,狙った知識が比較的簡単に手に入ることを狙いとして,1項目1ページまたは2ページで,知りたい内容がそこにあるような形にしました.そして半分はイラストにすることで気楽に読めて,理解しやすくしたいと考えました.

 その狙いは血液内科を学び始めた医学生が「頭でイメージしやすい」ようにすることで,血液内科という分野がそれほど難しくなく,考え方によっては楽しいことを伝えることです.わかりやすくするために,細かい内容を省いて大まかな記載をしているところもあります.むしろ単純化することを心がけました.この本だけでも国家試験に必要な知識は網羅しますが,大筋を理解できることが最大の目標です.この本で「他の教科書が読みやすくなる」ようになればと思っています.そして血液内科という領域を理解し,楽しむ助けとなる本になれば幸いです.

渡邉純一





あとがき

 本書を執筆するにあたり,母校の医学生に聞きました.「血液内科の教科書としてどのようなものが欲しいか?」と.

 学生からは次のような意見をいただきました.

 1.成書である疾患に対して第一選択の治療法は〇〇であると書かれているのに,実際の病院実習では異なる治療が行われているケースが多い.個々の治療法の特徴(長所,短所など)とそれを踏まえた上で治療選択肢がわかる本.

 2.検査や症状からどういった考えを基に治療方針,検査方針を決めていくのかがわかる本.

 3.血液内科の専門の医師が学生にどのような考えで病院実習をして欲しいのかがわかる本.国家試験で出したくなる手技や病気,研修医になるにあたって求められる心構えはどのようなものかがわかる本.

 4.国試に受かる,臨床現場で実際にどのように動けばよいのかがわかる本.

 5.治療の選択を理解することが難しいので,治療アルゴリズムなどが理解できる基礎となる考え方がわかる本.

 この中で2.検査や症状からどのような考えを基に検査方針,治療方針を決めているかについては,自分の本で恐縮ですが『血液内科 ただいま診断中!』が実際の臨床に即していてわかりやすいと思います.必要な情報(疫学データ,臨床データ)と診断に至るまでの上級医と指導医の会話でできていますので,実際の臨床現場の動きのイメージはできるのではないかと思います.

 1.と5.については以下のことが重要になります.

 1つ目は「抗癌剤治療の進歩」です.血液内科領域は次々と新しい薬が出てくるため治療法が変わりやすいのです.この2〜3年間でも数種類の新規薬剤が出てきております.標準治療が変わるかどうかはわかりませんが,再発・難治と呼ばれる状況では治療選択肢が増える可能性が高いです.

 2つ目は「患者さんの状態」です.これは病気の状態ではなく,年齢や合併症などのことです.抗癌剤治療は「毒を持って毒を制する」ようなものです.副作用などがあり,使い方を間違えれば患者さんの命を縮めることになりかねません.それゆえ血液内科医は「患者さんの合併症」「患者さんの体力」などを総合的に判断して,治療強度などを考えます.また,注射薬でいくのか,内服薬だけでいくのかも,通院が楽にできる患者さんか,通院も一苦労か…というような視点で考えます.

 3つ目に「病気の状態」があります.例えば広がり具合(病期)によって治療が変わるのは感覚的にわかると思います.しかし,標準治療が効かない(効きにくい)グループというのがわかっていたらどうでしょうか? 逆にこの治療法が効きやすいグループがわかっていたら….治療法は変えざるを得ません.

 4つ目に,「患者さんのメリット」があるかないかをみて,最大多数の患者さんにメリットがあるものを治療アルゴリズムとしています.最大多数の患者さんのメリットを判断するには「統計学的なデータ」が必要です.治療アルゴリズムは「このグループとこのグループを比較した結果,こっちの方がよい」という臨床研究が存在するのが一般的です.これはできるだけ記載したつもりですが,グループに入れることができない場合は「専門家の判断」で推奨される治療というものもあります.

 治療については「個々」のメリット,デメリットを書くには治療法が多すぎるため(また発展するため),考え方のみで許して頂きたく存じます.

 3.血液内科の医師がどういう考え方で病棟実習をして欲しいか…ということに関しては,私見でしかありませんが「自分のビジョン」を持って実習をして欲しいと思っています.研修医も同じです.自分の持っているビジョンによって「同じ研修」「同じ実習」でも異なる学びがあると思います.医師国家試験に受かるだけであれば,大した病棟実習はいらないかもしれません.しかし,「こんな医師になりたい」というビジョン(診療科ではないですよ)があれば,そのような医師になるために何を学ぶべきか見えてくるのではないでしょうか?

 国家試験に出る,出ないについては問題作成を行う先生やストック問題というものもありますが,「大きく揺るがない,最重要の考え方」があるものは問題が出しやすいです.例えばCMLはBCR—ABL融合遺伝子によって起きる疾患ですので,「原因遺伝子のこと,治療はこれを抑える(TKI)こと」などは揺るがないものですので出しやすいと思います.

 逆に出しにくいのは「急性骨髄性白血病の患者さんに対して同種移植を行うか?」というような問題でしょうか.再発した場合は全員が同種移植になりますが,再発していない場合は医師と患者の判断になります.選択肢が患者さんによって異なる可能性が高いものは,医師国家試験の問題には出せないと思います.

 研修医というよりは医師の心構えですが,「患者さんを診なさい」ということだと思います.「患者さん」からの問診,診察で鑑別診断が上がり,検査の結果を受けて診断が決まります.患者さんの状態・考え方などで治療法も変わります.全て患者さんが中心であり,医師は治療のサポート役です.治療経過も1人1人の患者さんでまったく同じことはありませんし,訴えも異なります.そこから学び取ること,気がつくこともいろいろあると思います.「この患者さんではどうするか」を中心に様々なことを考えると,学びも増えてよい医師になることができるのではないでしょうか.

 国家試験に受かる知識はこの本でも十分だと思います.ただ,この本は「血液学を学ぶはじめの一歩」になればと思っています.当初の目的どおり,他の教科書を読むにあたっても,血液内科という領域を理解しやすくできたのではないかと思っています.

 最後に医師としての勉強は「これで大丈夫」ということはありませんので,血液内科という領域だけでなく,自分の理想の医師像に向かって勉強を続けて頂ければと思います.

 この本を手に取っていただき,ありがとうございました.

渡邉純一

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CONTENTS

総論
 1 血液内科とは
 2 血液内科の楽しさ
 3 ベイズの定理と診断学
 4 血液内科における診断学
 5 血液内科の治療
 6 血液とは
 7 血球分離と末梢血検査
 8 赤血球について
 9 赤血球の膜蛋白とヘモグロビン
  おまけ1 腫瘍の免疫回避機構
 10 鉄代謝とヘプシジン
 11 白血球の分類
 12 顆粒球の機能と機能異常
 13 単球・マクロファージの機能・分布・機能異常
 14 リンパ球の機能と機能異常
 15 T細胞レセプター・B細胞レセプター・免疫グロブリンの多様性
 16 血小板とその機能
 17 血小板機能不全と抗血小板薬
 18 凝固系と二次止血
 19 抗凝固と線溶系
 20 骨髄と造血機能
 21 造血幹細胞と血球分化
  おまけ2 造血ニッチ
 22 胸腺・脾臓・リンパ節の構造と機能
 23 リンパ節におけるリンパ球活性化の仕組みと悪性リンパ腫

症候学・診断学
 24 貧血
 25 出血傾向
 26 リンパ節腫脹
 27 脾腫
 28 血栓症
  おまけ3 CAR‒T
 29 末梢血血球算定と血液像検査
 30 骨髄穿刺と骨髄生検
 31 リンパ節生検の適応と検査項目
 32 フローサイトメトリー(表面マーカー)の原理と見方
 33 重要な細胞表面マーカー(学生でも覚えておいたらよいもの)
 34 フローサイトメトリーの目的
 35 染色体分析(G分染法とFISH法)
 36 有名な染色体異常とその面白さ
 37 遺伝子検査(特にサザンブロットとPCR)
 38 遺伝子検査(遺伝子変異解析やマイクロアレイ,次世代シーケンサーなど)
 39 HLA検査
 40 血小板機能検査とクロスミキシングテスト
 41 血液内科における画像検査
  おまけ4 FLT3変異

治療
 42 抗癌剤総論
 43 一般的な血液抗癌剤治療の考え方
 44 放射線治療(放射線免疫療法を含む)
 45 免疫抑制療法の考え方
 46 輸血療法,ヒト血液由来成分の補充療法
 47 サイトカイン療法
  おまけ5 抗体医薬あれこれ
 48 感染症治療と予防(発熱性好中球減少症を中心に)
 49 造血幹細胞移植の考え方
 50 自家移植と同種移植(ドナーソースも併せて)
 51 急性GVHDと慢性GVHD

赤血球系
 52 鉄欠乏性貧血の診断
 53 鉄欠乏性貧血の原因と治療
 54 小球性貧血の鑑別と鉄代謝マーカー
 55 巨赤芽球性貧血の症候と診断
 56 ビタミンB12欠乏性貧血の治療と経過観察
 57 溶血性貧血とその診断
  おまけ6 NF‒kBシグナル
 58 溶血性貧血の病型診断
 59 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の特徴と治療
 60 溶血性貧血+血小板減少(Evans症候群かTTPか)
 61 発作性夜間血色素尿症(PNH)の原因と診断
 62 PNHの症状と治療
 63 遺伝性球状赤血球症(HS)とは
 64 その他の国試対策用の遺伝性溶血性貧血
 65 造血不全の疾患
 66 赤芽球ろうとは
 67 再生不良性貧血(AA)の病態
 68 AAの診断と重症度
 69 AAの治療
 70 骨髄異形成症候群(MDS)とは
 71 MDSの症候と診断
 72 MDSの病型分類
  おまけ7 Clonal Hematopoiesis of Indeterminate Potential(CHIP)
 73 MDSに特徴的な異形成(カテゴリーAの異形成を中心に)
 74 MDSに特徴的な染色体異常と遺伝子異常
  おまけ8 MDSのドライバー変異
 75 MDSの予後
  おまけ9 エピジェネティック,RNAスプライシングなど
 76 MDSの治療の基本
 77 低リスクMDSの治療
 78 高リスクMDSの治療
  おまけ10 5q‒症候群

白血球系
 79 急性白血病と慢性白血病
 80 急性白血病とは
 81 急性白血病の治療
 82 急性白血病に対する抗癌剤治療と支持療法
  おまけ11 チロシンキナーゼ
 83 急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)
 84 AMLの発症メカニズムと遺伝子変異
 85 反復遺伝子異常を伴うAML
  おまけ12 MAPキナーゼカスケード
 86 AMLの予後評価
 87 急性前骨髄球性白血病(APL)とその治療
 88 CBF白血病の治療
  おまけ13 家族性造血器腫瘍
 89 その他のAMLの治療
 90 ALLの分類と治療
 91 慢性骨髄性白血病(CML)とその特徴
 92 CMLの症状と検査結果・リスク分類
 93 CMLの治療薬
 94 CMLの治療反応性
 95 骨髄増殖性腫瘍(MPN)とは
 96 真性多血症(真性赤血球増加症: PV)とは
 97 PVの治療
 98 本態性血小板血症(ET)とその治療
 99 原発性骨髄線維症(PMF)の特徴と治療
  おまけ14 JAK/STAT経路
 100 好酸球増加症候群(HES)と関連疾患
 101 慢性リンパ性白血病(CLL)と類縁疾患
 102 CLLの診断と病期・予後分類
  おまけ15 B細胞受容体とブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)
 103 CLLの治療
 104 悪性リンパ腫とは
 105 悪性リンパ腫の診断と病期診断
 106 CHOP療法とサルベージ治療
 107 低悪性度リンパ腫とは
 108 低悪性度リンパ腫の予後指標
 109 MALTリンパ腫とその治療
 110 濾胞性リンパ腫の治療
 111 LPL/WMについて
  おまけ16 アポトーシスシグナル(BCL‒2)
 112 中等悪性度非ホジキンリンパ腫とは
  おまけ17 MYD88
 113 DLBCLの予後指標と予後因子・治療
 114 MCLの予後と治療
  おまけ18 サイクリンなど
 115 高悪性度リンパ腫とは
 116 T細胞リンパ腫
 117 PTCLについて
 118 ATLLの特徴
  おまけ19 c‒Mycに関して
 119 ATLLの分類と治療
 120 HTLV‒1キャリア対策
 121 ホジキンリンパ腫とは
 122 多発性骨髄腫とは
 123 骨髄腫の多段階発癌と染色体異常
  おまけ20 免疫チェックポイント阻害薬
 124 骨髄腫の病期分類と予後
 125 多発性骨髄腫の治療(ボルテゾミブとレナリドミド)
 126 多発性骨髄腫の新薬
 127 形質細胞が関与する疾患(POEMS症候群と原発性アミロイドーシス)
 128 血球貪食症候群(HPS)とは
 129 リンパ節腫脹をきたす良性疾患(キャッスルマン病など)
  おまけ21 ユビキチンとプロテアソーム
 130 伝染性単核球症(IM)の診断と抗原・抗体の推移
  おまけ22 IMiDsのメカニズム

止血血栓
 131 特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)の病態と治療の原則
 132 ITP治療の流れと治療薬のメカニズム
 133 播種性血管内凝固(DIC)とそのメカニズム
 134 DICの診断と治療
  おまけ23 p53シグナル
 135 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
 136 溶血性尿毒症症候群(HUS)と非典型HUS(aHUS)
 137 血友病
  おまけ24 学生向け医療統計
 138 von Willebrand病(vWD)
  おまけ25 P値,信頼区間
 139 抗リン脂質抗体症候群(APS)
  おまけ26 相関,寄与率,多変量解析
 140 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
  おまけ27 生存曲線
 141 血栓症を起こす先天性疾患

参考文献

あとがき

索引

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執筆者一覧

渡邉純一 埼玉医科大学総合医療センター血液内科 著

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