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書籍詳細

胎児発育不全

胎児発育不全

池田智明  編 / 金山尚裕  編 / 関沢明彦  編

A4判 196頁

定価(本体5,800円 + 税)

ISBN978-4-498-06090-6

2018年07月発行

在庫あり

周産期の死亡の原因となるだけでなく,生涯にわたって多くの疾患や障害に影響を与えるとされている“胎児発育不全”.近年では予防法と治療法に関する研究が進んできており,現代の周産期医療の中で最も注目を集めるこの分野をメインテーマとした本邦初の書籍.この一冊で胎児発育不全についての定義や医療上の問題点,実臨床の管理法や治療や予防などに関する最新の話題まで,エビデンスに基づいた解説とともに網羅することができる.



 胎児発育不全(fetal growth restriction)は,周産期医療における最も重要な問題の一つである.周産期死亡の原因として重要であるのみでなく,低身長,注意欠如・多動症,自閉症スペクトラム,学習障害などの発達障害,また成人となった後に糖尿病,高血圧,脂質異常症などのメタボリック症候群にも罹患しやすいとされている.さらに,わが国は,先進諸国の中で唯一,平均出生体重が減少している国であり,過去20年で約200g減少をみている.このように,現代の医療として重要な話題であるにもかかわらず,これまでわが国では,胎児発育不全をテーマとしたまとまった書籍は出版されてこなかった.

 そこで今回,われわれは,現時点における胎児発育不全をめぐる問題を網羅的にレビューし,一冊の本とした.それぞれの項目は,第一線で臨床,研究に当たっている医師にお願いした.

 第I章は,胎児発育不全の定義と,新生児期,乳幼児期,さらに成人にまでにわたる医療上の問題点について解説した.

 第II章は,多種類にわたる病因・病態の最新の説が述べられている.胎盤形成,胎児病,母体疾患などとの関連,胎児発育不全の動物モデル,さらに胎児発育不全に特有の胎盤病理所見が述べられている.

 第III章は,実臨床における管理方法についてアップデートな解説をした.各国,各地域で様々なガイドラインが作成されているが,コンセンサスが少ない印象がある.産婦人科診療ガイドライン産科編においても,明確な記載が比較的少ない.ここでは,体重曲線がわが国で2つある理由,胎児発育不全の妊娠初期からの予測法,胎児健康度の評価方法,妊娠のターミネーションの基準,分娩方法として経腟か帝王切開のどちらを選ぶべきか,新生児の管理方法について述べられている.

 第IV章は,新しい分野である.昨今,アスピリンをはじめ,予防法と治療法に関する研究が多く報告されるようになった.ホスホジエステラーゼ5阻害薬,スタチンやメトホルミンなどの臨床研究が開始され,胎児発育不全を子宮内で治療する方法が現実のものとなろうとしている.まさにパラダイムシフトが起こりつつある.

 以上のように,本書では,周産期医療の中で最も注目されている胎児発育不全についての最新情報をまとめ,エビデンスのある解説を試みた.わが国の周産期医療の発展のための試金石となれば幸いである.

2018年6月                 
編者一同

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目次

Chapter I ●定義・疫学
 1 ● 胎児発育不全の定義〈田中博明,二井理文〉
   定義
   分類
 2 ● わが国の出生体重の推移―ナショナルデータベースの解析から―〈吉田穂波,横山徹爾〉
   低出生体重児の現状と国際的動向
   LBW児増加要因の分析方法
   分析結果
   まとめ
 3 ● 胎児発育不全―新生児期の問題―〈板橋家頭夫〉
   SGAとは
   在胎期間別出生時体格値とは
   SGA児の疫学
   新生児期の合併症
   早産SGA児の短期予後に対する影響
 4 ● 死亡率や障害などへのインパクト(乳児〜幼児)〈森岡一朗,前山花織〉
   成長障害(低身長)
   運動発達遅滞
   神経発達症群
 5 ● DOHaD(developmental origins of health and disease)〈杉山 隆〉
   Barkar仮説からDOHaD仮説へ
   DOHaD仮説と倹約表現型仮説
   ヒトにおける疫学研究
   DOHaDの分子機構:エピジェネティクス
   オランダの飢饉におけるエピジェネティクスとより最近の考え方

Chapter II ●病因・病態
 1 ● 胎盤形成の異常〈草開 妙,中島彰俊,齋藤 滋〉
   胎盤形成とは
   妊娠高血圧腎症の発症機序:“two—stage disorder”theory
   Autophagyとは
   胎盤形成不全の原因:オートファジー抑制
   胎盤形成不全の原因:免疫機構の破綻
   今後の研究課題
 2 ● 胎児異常〈佐村 修,岡本愛光〉
   染色体異常と胎児発育不全
   18トリソミー
   13トリソミー
   21トリソミー
   ターナー(Turner)症候群
   微小重複/欠失による胎児発育不全
   CPM(confined placental mosaicism)胎盤限局性モザイク
   Russell Silver(ラッセル・シルバー)症候群
   Smith Lemli Opitz症候群
   Cornelia de Lange(コルネリア デ ランゲ)症候群
 3 ● タバコ,アルコール,薬剤,栄養〈田中佳世,田中博明〉
   タバコ
   アルコール
   薬剤
   栄養
 4 ● 先天感染と胎児発育不全〈瀬山貴博,中山敏男,永松 健,藤井知行〉
   FGRの原因となる先天性感染症
   先天性サイトメガロウイルス感染症
   先天性トキソプラズマ感染症
   先天性風疹感染症
   先天性ヘルペス感染症
   先天性梅毒
   ジカウイルス感染症
 5 ● 多胎妊娠と高度生殖医療〈前川 亮,杉野法広〉
   多胎妊娠と胎児発育不全
   高度生殖医療と胎児発育不全
 6 ● 合併症妊娠と胎児発育不全〈菅 幸恵,安日一郎〉
   FGRの原因となる母体合併症
   妊娠高血圧症候群
   自己免疫疾患
   甲状腺機能異常
   糖尿病合併妊娠
 7 ● 凝固・線溶〈大平哲史,塩沢丹里〉
   先天性血栓性素因
   後天性血栓性素因
 8 ● 実験動物と胎児発育不全モデル〈三好剛一〉
   FGRモデル動物
   母獣栄養制限モデル
   子宮血流制限モデル
   胎盤障害モデル
   胎児奇形モデル
   小動物用超音波高解像度イメージングシステム
 9 ● 胎児発育不全と胎盤〈市川千宙,竹内 真〉
   FGRにおける胎盤の大きさと肉眼所見
   超音波所見と胎盤病理の関連
   FGRの分類

Chapter III ●管理・予知
 1 ● 推定体重と2つの体重曲線〈小口秀紀〉
   超音波断層法による推定体重の測定
   2つの胎児発育標準曲線
   超音波検査によるFGRの診断
 2 ● 胎児発育不全,妊娠高血圧症候群の予知法〈日高庸博,加藤聖子〉
   母体生化学マーカー
   母体背景因子からの評価
   超音波断層法による予知
   複数のパラメータの組み合わせによる予知
 3 ● 超音波ドプラ法による評価と管理〈宮下 進〉
   「血流速度」の生理学的意義
   血流速度計測の実際
   胎児発育不全(FGR)における血流速度計測と意義
   血流速度波形異常と児予後
   血流速度波形異常と分娩のタイミング
 4 ● 胎児心拍数陣痛図〈安田 俊,経塚 標,藤森敬也〉
   早発型FGRと後発型FGR,それらの急性期・慢性変化を捉えるパラメータとCTGに関して
   FGR管理におけるCTG
 5 ● 胎動チェック,バイオフィジカルプロファイルスコア,羊水量,その他〈小野政徳,飯塚 崇,藤原 浩〉
   胎動チェック
   バイオフィジカルプロファイルスコア(BPS)
   羊水量
   新技術
 6 ● 胎児発育不全児のターミネーションの基準(1)〈戸田 薫,上塘正人〉
   胎児循環の特徴
   低酸素刺激に対する胎児循環の変化
   超音波ドプラ法による血流評価
   分娩時期決定のためのRCT
 7 ● 胎児発育不全児のターミネーションの基準(2)〈小谷友美〉
   ターミネーション基準の検討
   海外の診療ガイドラインにおけるターミネーション基準について
   その他のターミネーション基準について
   ステロイド投与の可否
 8 ● 胎児発育不全の分娩方法:経腟分娩か,帝王切開か?〈味村和哉,遠藤誠之〉
   SGA児の分娩転帰
   分娩前テストと分娩転帰
   分娩誘発
   帝王切開
 9 ● 分娩時の管理〈川合健太,金山尚裕〉
   各国のガイドラインについて
   分娩前の評価について
   分娩中の評価について
 10 ● 新生児管理〈中村友彦〉
   身体的特徴
   神経学的所見と精神運動発達
   診察上の注意点
   出生後のリスクとその対応
 TOPICS 胎児発育不全における画像検査〈真川祥一,二井理文〉

Chapter IV ●予防・治療
 1 ● アスピリン〈徳中真由美,関沢明彦〉
   アスピリン効果発現の機序
   アスピリン内服開始の至適時期
   アスピリンの効果的投与量
   アスピリン内服の副作用
   アスピリン内服を勧める対象
   最近のアスピリン研究
 2 ● ホスホジエステラーゼ5阻害薬〈真木晋太郎,梅川 孝,池田智明〉
   PDE5阻害薬
   PDE5阻害薬タダラフィルを用いたFGR治療:基礎検討
   PDE5阻害薬の周産期領域での臨床応用:これまでの報告
   PDE5阻害薬タダラフィルを用いたFGR治療:臨床研究
   PDE5阻害薬タダラフィルを用いたHDP治療:臨床研究
   多施設共同第II相試験
 3 ● プラバスタチン〈熊澤惠一,木村 正〉
   妊娠高血圧症候群の治療方法―治療方法開発の試み
   将来の展望
 4 ● メトホルミンなど〈小野良子,吉田 純,桂木真司〉
   メトホルミン
   メラトニン
 5 ● 胎児発育不全における治療薬開発の歴史〈中田雅彦〉
   母体酸素吸入の試み
   母体への栄養素投与の試み
   胎児へ直接栄養の可能性
   L—arginine―PDE5阻害薬以外のNO産生促進の可能性
   成長ホルモンやIGF—Iの可能性

付録(超音波胎児計測項目と基準値,新生児評価項目)

索引

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執筆者一覧

池田智明  三重大学医学部産科婦人科学教授 編
金山尚裕  浜松医科大学医学部産婦人科学病院長 編
関沢明彦  昭和大学医学部産婦人科学講座教授 編
田中博明  三重大学医学部産科婦人科学助教 
二井理文  三重大学医学部産科婦人科学 
吉田穂波  神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール設置準備担当教授 
横山徹爾  国立保健医療科学院生涯健康研究部部長 
板橋家頭夫 昭和大学病院長/昭和大学特任教授 
森岡一朗  日本大学医学部小児科学分野主任教授 
前山花織  神戸大学大学院医学研究科小児科学分野  
杉山 隆  愛媛大学医学部産科婦人科学教授 
草開 妙  富山大学医学部産科婦人科学 
中島彰俊  富山大学医学部産科婦人科学講師 
齋藤 滋  富山大学医学部産科婦人科学教授 
佐村 修  東京慈恵会医科大学産婦人科学講座准教授 
岡本愛光  東京慈恵会医科大学産婦人科学講座主任教授 
田中佳世  三重大学医学部産科婦人科学 
瀬山貴博  東京大学医学部産婦人科学 
中山敏男  東京大学医学部産婦人科学 
永松 健  東京大学医学部産婦人科学准教授 
藤井知行  東京大学医学部産婦人科学教授 
前川 亮  山口大学大学院医学系研究科産科婦人科学講師 
杉野法広  山口大学大学院医学系研究科産科婦人科学教授 
菅 幸恵  国立病院機構長崎医療センター産婦人科 
安日一郎  国立病院機構長崎医療センター産婦人科部長 
大平哲史  信州大学医学部産科婦人科学講師 
塩沢丹里  信州大学医学部産科婦人科学教授 
三好剛一  国立循環器病研究センター再生医療部、三重大学病院臨床研究開発センター 
市川千宙  大阪府立病院機構大阪母子医療センター病理診断科 
竹内 真  大阪府立病院機構大阪母子医療センター病理診断科主任部長 
小口秀紀  トヨタ記念病院周産期母子医療センター産科副院長 
日高庸博  九州大学病院総合周産期母子医療センター講師 
加藤聖子  九州大学医学研究院生殖病態生理学分野教授 
宮下 進  獨協医科大学病院総合周産期母子医療センター産科部門教授、福島県立医科大学医学部 
安田 俊  周産期小児地域医療支援講座講師、公立岩瀬病院産婦人科部長 
経塚 標  福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座助教 
藤森敬也  福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座教授 
小野政徳  金沢大学医薬保健研究域医学系産科婦人科学講師 
飯塚 崇  金沢大学医薬保健研究域医学系産科婦人科学助教 
藤原 浩  金沢大学医薬保健研究域医学系産科婦人科学教授 
戸田 薫  鹿児島市立病院総合周産期母子医療センター産婦人科 
上塘正人  鹿児島市立病院総合周産期母子医療センター産婦人科部長 
小谷友美  名古屋大学大学院医学系研究科産婦人科学講座准教授 
味村和哉  大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学助教 
遠藤誠之  大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講師 
川合健太  浜松医科大学医学部産婦人科学 
中村友彦  長野県立こども病院病院長 
真川祥一  三重大学医学部産科婦人科学 
徳中真由美 昭和大学医学部産婦人科学講座助教 
真木晋太郎 三重大学医学部産科婦人科学 
梅川 孝  三重大学医学部産科婦人科学助教 
熊澤惠一  大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学、東京大学医学部附属病院女性診療科・産科助教 
木村 正  大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教授 
小野良子  榊原記念病院産婦人科 
吉田 純  榊原記念病院産婦人科副部長 
桂木真司  榊原記念病院産婦人科部長 
中田雅彦  東邦大学大学院医学研究科産科婦人科学講座教授 

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