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書籍詳細

学校の運動器検診  子どもの身体と障害の診かた

学校の運動器検診 子どもの身体と障害の診かた

運動器の健康・日本協会 監修 / 内尾祐司  編著 / 高橋敏明  編著 / 武藤芳照  編著

A5判 194頁

定価(本体3,400円 + 税)

ISBN978-4-498-14558-0

2018年05月発行

在庫あり

学校の定期健康診断はきわめて重要だが、これまでの脊柱,胸郭の異常・疾病の検査に加え、平成28年4月から新たに運動器検診として四肢の状態が検診項目に加えられた。そこで本書では身体診察のポイントと,スクリーニングにより来院する子どもの運動障害の診かたを図や写真を多用してわかりやすく解説することを目的とした。学校医、養護教諭はもちろん、運動器検診に携わるすべての方々のお手元に置いて活用していただきたい書である。

監修のことば

学校の定期健康診断は,児童生徒等の健康の保持・増進と学校教育の円滑な実施のためにきわめて重要です.この学校健診のなかで,運動器については,これまで脊柱,胸郭の異常・疾病のみが検診の対象になっていましたが,平成26年の文部科学省省令により,平成28年4月からは四肢の状態が検診項目に加えられることになりました.この四肢を加えた運動器検診の導入は,日本の未来を担う子どもたちの運動器の健康を守るうえできわめて意義深いものです.
運動器検診の実際の手順としては,家庭で保護者が保健調査票にセルフチェックの結果を記入,異常があれば学校医が内科的な検診に加え運動器の直接検診を行う,その結果必要であれば整形外科に紹介受診させる,整形外科医は保護者を通じて受診報告書を学校に提出する,という方法が取られることになりました.すなわち,保護者,養護教諭,学校医,整形外科医など,多様な方々が運動器検診に関わるので,すべての方にとってわかりやすい運動器検診マニュアルの作成など周到な準備が行われたうえで平成28年4月のスタートを迎えました.スタート後の調査結果によれば,学校の運動器検診はほぼ円滑に運用されているようです.しかし,更なる運動器検診の充実を図るためには,現在の問題点を洗い出し,具体的な改善策を提示する必要があります.
以上のような背景をもとに,この度,わが国の運動器検診を推進してこられた内尾祐司先生,高橋敏明先生,武藤芳照先生の共同編集による本書の刊行が企画されました.本書には,運動器検診導入の経緯から実際の手順の詳細に至るまで,これまでの集大成ともいうべき内容に加え,今後に向けた数々の改善策が提示してあります.本書の刊行は,必ず運動器検診の更なる充実につながると確信しております.是非,学校の運動器検診に関わるすべての方々のお手元に置いていただき活用していただきたいと存じます.
本書の発刊が,学校の運動器検診の充実,ひいては日本の未来を担う子どもたちの運動器の健康の保持・増進に役立つことを願ってやみません.

2018年4月
公益財団法人 運動器の健康・日本協会
理事長 岩本幸英



編集者の序

本書には,日本の将来を担う子どもたちの運動器の健康を願い,健やかに育むために,この国を動かした人々の地道な努力と方策に関する叡智,そして予防に向けた切なる願いが収められている.
今や日本は,老年人口が総人口の約28%を占め,超高齢社会は現実のものとなっている.今後,団塊の世代の2世代目が老年人口に入っていく2053年には老年人口比率(高齢化率)は40%を超える一方,年少人口や生産人口は半減し,超高齢人口減少社会がさらに進行すると考えられている.
このような中,子どもたちの運動器にかかる健康上の問題は変化している.体躯は父母や祖父母世代に比べ良好で,より早熟化しているのに対して,体力・運動能力は低く,運動器外傷・障害が増えている.これは,子どもたちに「運動過多と運動不足」という運動習慣の二極化が影響し,その結果,運動過多の子どもたちには運動量の増加や技術の高度化によって運動器の外傷・障害を受ける機会が増える一方,運動不足や偏った運動・スポーツばかりをしている子どもたちには,運動器機能不全が発生している.
子どもたちの健康が,学校教育における学習能率の向上の基礎でもあり,さらには健康増進そのものが教育の目的につながるものとして,本邦で昭和33(1958)年に制定された学校保健法(後の学校保健安全法)は,全国規模で日本の将来を担う子どもの健康を守る法律であって,世界でも類を見ないものである.学校における定期健康診断(健診)では多くの疾患・障害が早期に発見され,早期の治療に結びついて多くの子どもたちを救ってきた.しかし,その法律が制定された昭和33年から半世紀たった今,運動器に関して学校保健(安全)法施行規則はその実態に即さなくなってしまった.
平成11(1999)年,児童生徒の運動器疾患・障害を早期発見する国家的な仕組み作りが必要であり,それを目標にした事業の必要性を説いた福田濶先生(元京都府医師会副会長)のFAXが編者の一人武藤芳照東京大学教授(当時)に届いたことから,一連の実態調査・研究が,「運動器の10年」日本委員会(現・公益財団法人運動器の健康・日本協会) 故杉岡洋一委員長の下,平成17(2005)年より始まった.10年に亘る地道な調査研究の結果,学校における運動器検診の必要性と意義が明らかとなり,科学的根拠に基づいた学校保健安全法施行規則の一部改正の要望が同委員会を通じて,文部科学省(中央教育審議会を含む),日本医師会,および政権与党等へ提出された.その後,関係機関のたゆまぬ尽力によって,平成26(2014)年4月30日,「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令(平成26年文部科学省令第21号)」が公布され,平成28(2016)年4月から脊柱及び胸郭の疾病及び異常だけでなく,「四肢の状態」が定期健診の必須項目に加えられたのである.
これは,あたかも吉田松陰先生が説いた「草莽崛起」が幕末の志士たちを突き動かし日本国のあり方を変えたように,と言えば大袈裟であろうか.無私の人々の地道な努力の積み重ねが,次第に社会の大きなうねりとなって,多種多様な人々の心を動かし,国の法規を変えるまでに至ったのである.たゆまぬ努力の根底には,“日本の将来を担う子どもたちの運動器の健康を願い,健やかに育みたい”,という一貫した崇高な理念と,“超高齢人口減少社会・日本であればこそ,その宝である子どもたちを大切に育むことは大人の責務である”,という不動の使命感があった.
本書には,この棘の道に情熱をもって取り組んでこられた専門家の珠玉の原稿が散りばめられている.健診に運動器検査が導入に至った経緯と意義,目的,運動器検査の具体的手順や,運動器検診での重要な疾患・障害のチェックポイントや事後措置の基準,運動器機能不全の現状と課題,そして運動器の今後など,各項目は学校健診における運動器検査には,是非,学校現場で理解・実践していただきたい事柄ばかりである.そして,運動器検診によって運動器の重要性を理解した子どもたちが大人になった時,「動く喜び・動ける幸せ」(運動器の健康・日本協会の標語)をその子どもたちにも伝え,有意義な人生を送ってほしいと願うものである.
編集者として,ご多忙の中,精力的に執筆作業を行い,玉稿をお寄せいただいた執筆者の皆様にここに厚く御礼申し上げる.
最後に,膨大な実務作業を忍耐強くかつ緻密に行っていただいた中外医学社の宮崎雅弘氏,稲垣義夫氏に改めて感謝したい.

2018年4月
内尾祐司
高橋敏明
武藤芳照

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目次

第1章 学校健診への運動器検査導入の経緯と意義・目的
 1.なぜ,今,運動器検診なのか:実態と問題点〈内尾祐司〉
  1.児童生徒等の運動器に関わる変化
  2.子どもを取り巻く大人の認識の実態
 2.法規改正の経緯〈内尾祐司〉
  1.学校保健安全法における健康診断の意義と運動器の位置づけ
  2.学校健診への運動器検査導入の経緯
  3.意義と期待される効果
 3-a▶学校医の立場から〈衞藤 隆〉
  1.学校医の受け止め方
  2.学校医からみた運動器検診の意義
  3.運動器検診に期待される効果
 3-b▶養護教諭の立場から〈木村三華〉
  学校における運動器啓発活動の実践事例〈金澤 良〉
 3-c▶スポーツ団体の立場から〈田名部和裕〉
  1.学生野球の黎明期と学生の健康管理
  2.全国大会の創設と救護班の設置
  3.大会参加の健康証明の問題
  4.学校の健康診断の目的
  5.投手の関節機能検査の実施
  6.運動器検診について
 3-d▶法律的立場から〈望月浩一郎〉
 3-e▶公衆衛生の立場から〈鎌田真光〉
  1.スポーツと運動器の痛み
  2.一次予防に向けた対策の方針

第2章 運動器検査の手順〈高橋敏明〉
 1.運動器検診の検査の手順の概要
 2.学校医のための各検査項目のチェックポイントと事後措置の決め方
 3.整形外科医のための医療機関での診察と方針
 4.よくあるQ&A

第3章 運動器検診で重要な疾患・障害(保健調査票の項目に沿って)チェックポイント,事後措置の基準
 1,側弯症〈川上紀明〉
 2,腰椎分離症〈川上紀明〉
 3.野球肩〈森原 徹〉
 4.野球肘
 4-a▶内側上顆障害〈森原 徹〉
 4-b▶‌外側障害:上腕骨小頭離断性骨軟骨炎〈森原 徹〉
 5.股関節障害 発育性股関節形成不全,ペルテス病,大腿骨頭すべり症〈平良勝章,柴田輝明〉
 6.膝関節スポーツ傷害
 6-a▶‌オズグッド─シュラッター病〈鬼木泰成〉
 6-b▶腸脛靱帯炎,鵞足炎〈鬼木泰成〉
 6-c▶半月板損傷〈鬼木泰成〉
 6-d▶靱帯損傷〈鬼木泰成〉
 6-e▶離断性骨軟骨炎〈鬼木泰成〉
 6-f▶膝蓋骨不安定症,反復性膝蓋骨脱臼〈鬼木泰成〉
 7.足部・足関節障害
 7-a▶足関節捻挫,足関節靱帯損傷〈鬼木泰成〉
 7-b▶有痛性外脛骨〈鬼木泰成〉
 7-c▶シンスプリント〈鬼木泰成〉
 7-d▶足部骨端症〈鬼木泰成〉
 7-e▶下肢疲労骨折〈鬼木泰成〉
 7-f▶足根骨癒合症〈鬼木泰成〉
 7-g▶扁平足障害〈鬼木泰成〉

第4章 運動器機能不全
 1.実態と検診における留意点,総合判定と事後措置,予防・改善〈立入久和,立入克敏〉
  1.実態
  2.検診における留意点
  3.総合判定と事後措置
  4.運動器機能不全を予防・改善するために
 2.児童生徒のためのストレッチングの方法と注意点〈板倉尚子〉
  1.筋肉のタイトネスとは
  2.児童生徒にタイトネスが起こる原因
  3.タイトネスが起こりやすい筋肉
  4.成長期におけるスポーツによるケガの特徴
  5.関節可動域が制限されることの弊害
  6.正しい姿勢と不良姿勢での関節可動域への影響
  7.関節可動域が制限される他の因子
  8.タイトネステストの方法と注意点
  9.代表的なタイトネステストとストレッチングの方法

第5章 運動器検診の今後
 1.今後の課題と充実のための方策〈内尾祐司〉
  1.運動器検査における課題
  2.充実のための方策
 2.スクリーニングから予防へ−スクール・トレーナー制度の整備に向けてー〈武藤芳照〉
  1.学校健診の変遷と予防への取り組み
  2.現代の児童生徒の身体の二極化現象
  3.学校での運動器疾患・障害の予防教育への具体的対応

付録〈内尾祐司〉
 ◆学校保健安全法施行規則の一部改正等について
 ◆学校保健安全法(抜粋)
 ◆学校保健安全法施行規則
 ◆運動器の学校保健調査票(見本)
 ◆各項目ごとの事後措置への判断の目安
 ◆よくある質問とその回答
 ◆教育資材一覧

索引

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執筆者一覧

運動器の健康・日本協会   監修
内尾祐司  島根大学医学部整形外科学教授 編著
高橋敏明  愛媛大学医学部附属病院地域医療支援センター准教授 編著
武藤芳照  東京大学名誉教授・東京健康リハビリテーション総合研究所所長 編著
衞藤 隆  東京大学名誉教授/日本学校保健学会理事長 
木村三華  順天中学校高等学校養護教諭 
金澤 良  岩倉高等学校養護教諭,保健体育科教諭 
田名部和裕 公益財団法人日本高等学校野球連盟理事/公益財団法人運動器の健康・日本協会事務局長 
望月浩一郎 虎ノ門協同法律事務所弁護士 
鎌田真光  ハーバード大学公衆衛生大学院研究員/東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻助教 
川上紀明  国家公務員共済組合連合会名城病院整形外科/脊椎脊髄センター長 
森原 徹  京都府立医科大学医学部整形外科学併任准教授 
平良勝章  埼玉県立小児医療センター整形外科科長 
柴田輝明  北本整形外科院長 
鬼木泰成  リハビリテーションセンター熊本回生会病院診療部長 
立入久和  たちいり整形外科院長 
立入克敏  たちいり整形外科会長 
板倉尚子  日本女子体育大学健康管理センター・理学療法士 

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