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書籍詳細

ビッグデータが医療を変える

ビッグデータが医療を変える

北風政史 著

A5判 150頁

定価(本体2,400円 + 税)

ISBN978-4-498-04860-7

2018年04月発行

在庫あり

近年、経済やマーケティングの世界、身近な天気予報などの分野でビッグデータが用いられるようになり、医学や医療の世界においてもPrecision Medicine = F(ビッグデータ)の時代へ向け、仮説主導の統計的手法から、データマイニング(発掘)による研究手法へと変化しつつある。そこで本書では筆者らの十数年間にわたるビッグデータ解析の証跡をたどりながら、医学・医療におけるビッグデータ解析から生まれる新たな研究手法の可能性を探る。

■著者略歴

北風政史

現  職 国立循環器病研究センター臨床研究部長
昭和49年 4月 京都大学工学部機械工学科に入学
同 3年次終了にて大阪大学医学部3年次に編入学(学士入学)
昭和56年 3月 大阪大学医学部卒業
昭和60年 3月 大阪大学医学部博士課程(第一内科)終了
昭和61年10月 米国Johns Hopkins University医学部附属病院内科心臓部門に留学
平成9年 4月 大阪大学医学部助手(第一内科)
平成13年 6月 国立循環器病センター 心臓血管内科部長
平成17年10月 国立循環器病センター 臨床研究開発部長および臨床研究センター 副センター長(併任)をへて現在、臨床研究部長
大阪大学医学部 臨床教授、鳥取大学大学院医学系研究科 客員教授、
中国第4陸軍軍医大学 心臓血管内科 客員教授、中国南方医科大学 客員教授、滋賀医科大学 客員教授をつとめ現在に至る

【専門分野】
循環器内科学、心臓分子生物学、ゲノム医学

【免許・学位・資格など】
医師免許(厚生省、現厚生労働省)、内科認定医(日本内科学会)、
循環器専門医(日本循環器学会)、認定産業医(日本医師会)

【受賞など】
1.平成元年 10月 第4回日本ME大会秋季大会:Young Investigators Award 第一位受賞
2.平成2年 3月 第54回日本循環器学会:Young Investigators Award優秀賞 受賞
3.平成4年11月 第64回American Heart Association 学術集会:Melvin L. Marcus Young Investigators Award 第一位受賞
4.平成5年 4月 日本心臓財団研究奨励賞 受賞
5.平成9年 7月 循環器病振興財団 バイエル循環器病研究奨励賞 受賞
6.平成10年3月 第62回日本循環器学会にて第23回佐藤賞 受賞
7.平成20年9月 第56回日本心臓病学会Clinical Research Award (内科治療部門)受賞
8.平成24年3月 米国心臓病学会(ACC)The Simon Dack Award for Outstanding Scholarship

【学会など】
日本循環器学会(社員、FJCS)、日本内科学会、日本心臓病学会(FJCC、評議員)、日本心不全学会 (理事)、日本高血圧学会、日本冠疾患学会(理事)、日本抗加齢医学会(評議員)、日本血管生物医学会(評議員・監事)、American Heart Association(fellow、評議員)、American College of Cardiology(FACC、評議員)、International Society of Heart Research, Japan Section(理事)、European Society of Cardiology(fellow、評議員)

【編集委員など】
Circ J(Associate Editor), Journal of the American College of Cardiology(Editorial Board, Deputy Editor), Cardiovascular Drugs and Therapy(Associate Editor), Circulation(Editorial Board, past), Am Journal Physiology(Associate Editor)など多数

【役職】
1.平成18年 6月〜20年1月 厚生労働省 薬事・食品衛生審議会臨時委員
2.平成18年 6月〜20年1月 厚生労働省 副作用・感染等被害判定第二部会員
3.平成18年12月〜22年3月 国立高度専門医療センター組織再編検討準備室員
4.平成20年 1月〜27年12月 独立行政法人日本学術振興会科学研究費委員専門委員
5.平成26年 4月〜28年3月 科学技術振興機構 研究開発戦略センター俯瞰委員
6.平成28年 1月〜31年3月 国立大学法人東北大学特定臨床研究監査委員会委員

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緒 言

医療におけるTailor-made Medicineが提唱されて幾久しいですが、現場におけるTailor-made Medicine実現への道程はまだまだ遠いのが実情です。というのは、生物学・基礎医学は解析的な手法で生命現象の真実を明らかにする学問であるのに対して、実臨床・臨床医学は、統計的な手法で患者さんや健常人をとりまく事実を明らかにする学問であるため、その成果が導出されるまで時間と手間が掛かりすぎることが原因です。さらに、臨床医学から導出された臨床的事実はあくまでも平均的であり、個人差・病態差・社会的要因差などのいろいろな条件が付いてくると、組み合わせの爆発を起こして解析ができなくなってしまいます。たとえば、定期的な運動が冠動脈疾患を抑制するというエビデンスが臨床試験の結果として出てきたとして、その結論は、1.性別により、2.年齢により、3.肥満度により、4.高血圧の有無により、5.冠動脈疾患の有無により変化する可能性がありますが、その各々の場合分けに対するエビデンスの確からしさを十分担保しません。つまり、80歳代男性で肥満はないが、高血圧と糖尿病と痛風のある人に対して、運動が冠動脈疾患を抑制するか否かは、そのような集団を対象にして再度臨床試験をしなくてはいけなくなるわけで、これらの循環器疾患危険因子のすべての組みあわせに対して、臨床研究の成果を出すことはできないのは自明です。このため、実臨床、特に循環器領域では、Tailor-made Medicineや近年注目されているPrecision Medicineの実現がなかなか成就しないのです。
では、どうすればいいのでしょうか?それは今まさに行われている日本中・世界中の医療内容を詳細に解析し、そのエッセンスを抽出することです。そのためには、今現在行われている医療のすべてを記述することが必要となりますが、従来そのようなことは不可能でした。というのは、患者さんに関する情報をすべて記載できるノートもコンピュータもありませんでしたし、そのようなデータをカルテなどから書き写す手段もなかったのです。しかしながら、近年、ビッグデータが経済やマーケティング、天気予報などの分野で用いられるようになり、医療においてもビッグデータ集積・解析の必要性が認識されるようになってきました。また、電子カルテの普及により、理屈の上では比較的簡単にビッグデータが収集できるようになってきました。でも、その医療ビッグデータをどのように使うのか、また本当にそこから成果が出てくるのか、などたくさんの疑問が残ります。医療ビッグデータを集めたのはいいが、役に立たないようであればなんの意味もないからです。そこで、本書では筆者らの十数年間にわたるビッグデータ解析の証跡をたどりながら、医療においても十分にビッグデータが役に立つことをここにまとめたいと思います。
私が循環器内科医師であるため、循環器病を例にした事例がたくさん出てきますが、これらはほかの分野すべての医療・医学に演繹できることであると信じております。また、ビッグデータ集積・解析が医学のみならず、医学と共同関係にある薬学・製薬・健康産業に対して広く・大きく・深くインパクトを与え、社会全体をいい方向に変えるものであると期待しています。そうしないと、我が国の医療界は大きく世界の潮流に遅れをとることになります。医療・医学・薬学・IT業界の皆さん、ぜひ、この本を手にされた皆さん、医療ビッグデータをもとにした医学・医療を真剣に考えてみませんか?本書がその一助になれば幸いです。

2018年4月
国立循環器病研究センター 臨床研究部
北風政史

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目 次

第1章 科学としての医療・医学とはなにか?
 1 医療の科学性は必然か?
 2 医学のなかの科学性
 3 医学という学問に内在する科学と技術
 4 医学における研究とは
 5 医学・医療は自然科学か、それとも応用科学か
 6 医学における基礎研究とは
 7 医学における臨床研究とは

第2章 医学研究の進展方向と実臨床への展開
 1 医学・医療の宿命としての生体の多様性
 2 その原因は出口研究としての創薬研究
 3 出口研究としての大規模臨床研究
 4 出口研究としての科学の新しい方向性
 5 次世代の科学とは
 6 次世代科学としての数理科学・データ中心科学
 7 第3の科学の実例
 8 第4の科学の実例
 9 出口研究としての医学研究の将来像
 10 医学研究の最終的ゴール・医療の最終的ゴール

第3章 数理医学のあり方
 1 医学・医療を数理科学で扱えるか
 2 医科学構造の中での生理学の位置づけ
 3 生理学から臨床研究へ
 4 数理医学を普遍化する
 5 数理医学を現実化する
 6 The Lancetへの挑戦
 7 The Lancetからの返事
 8 The Lancetへの反論
 9 The Lancet:希望と挫折

第4章 新たな数理医学への挑戦
 1 BNPと心不全
 2 一次予防や先進治療における数理医学の広がり

第5章 医学とデータマイニング
 1 データマイニングへ至る道
 2 データマイニングの考え方
  1.データ数はどれぐらい必要ですか?
  2.データの形式はどうするのがいいのですか?
  3.データ品質はどのようなことが問われますか?
  4.データ前処理とは何ですか?
 3 医学におけるデータマイニングの必要性
 4 医学におけるデータマイニング─心不全
 5 医学におけるデータマイニング─心筋梗塞
 6 医学におけるデータマイニング─生活習慣病
 7 医学・医療におけるデータマイニングの総括

第6章 データマイニングから基礎研究へ
 1 糖尿病と心不全
 2 心不全症例における糖尿病・IGT
 3 心不全と糖尿病・IGTに関する基礎研究
 4 心不全と糖尿病・IGTが関係するメカニズム
 5 ヒスタミンH2受容体拮抗薬と心不全
 6 医学における基礎研究・臨床研究の在り方

第7章 医療・医学のビッグデータを如何に集めるか
 1 医学領域におけるビッグデータ
 2 循環器領域におけるビッグデータ
 3 循環器領域のビッグデータ活用の利点と課題

第8章 ゲノムにおけるビッグデータ
 1 心不全モデル動物におけるDNAマイクロアレイ解析
 2 ヒト不全心筋を用いたマイクロアレイ解析
 3 心不全におけるSNP解析の可能性

第9章 基礎医学と臨床医学の往還
 1 今後の医学研究のあり方
 2 臨床医学の科学化

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