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書籍詳細

至適透析をめざして

一歩進んだ透析治療

至適透析をめざして

太田和夫 監

B5判 250頁

定価(本体7,700円 + 税)

ISBN978-4-498-02463-2

1997年07月発行

在庫なし

日常生活に種々の制約を伴う透析患者に,より質の高く,効率のよい医療を提供すべく,至適透析をテーマに新しい透析医療の実際をわかり易く,具体的に解説したものである.至適透析の観点から,器材・装置・透析の導入と維持,種々の合併症,食事療法,運動療法,心理,高齢者や小児など,透析療法をめぐる様々の問題にアプローチし,その考え方,対策を示した.透析医療に新しい視点と解決を与える関係者必携の書である.



 Adequacy of dialysisが至適透析と訳され,学会で討議されるようになってから,もう10年くらいは経過していよう.現在用語としても十分定着している.しかし,それでは「至適透析とは」と改めて問われると,はたと言葉につまってしまう.まずこれを狭義に捉えれば,とりあえず透析の量と質ということになるが,広義に解釈すれば患者の立場からの至適性を無視するわけには行かない.この視点に立てば治療を簡便で安楽に短時間で終れるということが要求されよう.さらに社会的な因子を視野に入れれば経済性や環境に対する影響も考慮しなければなるまい.
 一方,どの程度のレベルに到達すれば至適といえるのかという問題もおきてくる.例えば機能面についてはヒトの腎機能を基準とし,これと量的,質的に同等でなければadequateとはいえないと考える人もでてくる.
 現在用いられているダイアライザーの機能は小分子除去能,例えばクレアチニンクリアランスで比較すればヒトの腎機能を少し凌駕するに至ったが,機能する時間が1週間にわずか3回,1回4時間であれば,その量は総計しても1週間168時間稼働しているヒトの腎臓の10%に満たない.これでは到底adequateとはいえない.このように考えると,とりあえず,adequacyとは現在使用しうるダイアライザーを用い,保険医療の範囲内でのadequacyということになってしまう.しかし,これでは夢がないので,膜や技術を改良し,新しい血液浄化法を開発するとともに,これらを安全に,低コストで実施可能にするなど各方面からadequacyの追求がなされている.
 本書を執筆した諸氏は,腎不全患者の生命維持に全力を尽くしてきた第一世代を継ぎ,透析医療の質的向上を目視して努力を重ねてきた第二世代に属している.言葉をかえれば日本の透析医療の至適性を追求してきた人達といっていいだろう.本書はこの至適透析という言葉の内容を広く捉え,各種の血液浄化療法の技術的な問題や,また患者の示す病態や合併症について至適性という面から解説がなされている.一読してわかるように彼らが心血を注いできた透析医療の理念と実態が,あるいはその背後にある基礎的な研究の積上げが,またこれまでの長い経験により裏付けられた透析治療における知恵が,随所に散りばめられており,読みごたえのある内容となっている.
 本書を通してえられた知識が研究に,また臨床に役立つことを心から願ってやまない.

1995年5月
太田和夫

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目 次

§1.QOLと至適透析 その問題点と解決法〈二瓶 宏〉
A.QOLとは?
B.治療技法からみたQOL
 1.透析効率
 2.生体適合性
 3.透析方法
C.合併症からみたQOL
 1.腎性骨異栄養症
 2.透析アミロイドーシス
 3.腎性貧血
D.社会生活からみたQOL
 1.日常生活
 2.家庭生活
 3.社会復帰

§2.何を至適透析の指標とするか〈佐中 孜〉
A.至適透析の概念
B.現状における至適透析
 1.透析療法の目的
 2.至適透析指標

§3.Kt/Vをどう活用するか〈新里高弘・前田憲志〉
A.Kt/Vの概念とその変遷
B.Kt/Vの新しい概念
C.Kt/Vの求め方
 1.Daugirdasの方法
 2.Shinzatoらの方法
 3.Daugirdasの方法とShinzatoの方法との比較
D.Kt/Vの臨床への応用

§4.透析療法における生体適合性と至適透析〈秋澤忠男・菅谷陽一〉
A.生体適合性の概念
B.至適透析からみた生体適合性
C.生体適合性の規定因子
D.生体適合性の実際
 1.滅菌法の影響
 2.血液回路や透析器からの溶出物
 3.血液と素材との接触に伴う反応
 4.透析液の汚染と単核球活性化
E.生体適合性向上への対策
 1.抗凝固法を利用した対策
 2.素材改良の試み
 3.透析液の浄化

§5.患者心理と至適透析の実際 
1.患者の精神医学的問題をどうとらえ,どう透析医療に役立てるか 〈春木繁一〉
 A.リエゾン-コンサルテーション精神医学,医療について
 B.サイコ-ネフロロジーとは
 C.日本でのサイコ-ネフロロジー
 D.透析療法導入期,維持期の患者の精神医学的問題
  1.透析に入る前の尿毒症の時期および透析導入期の精神症状,心理的態度
  2.維持期の精神症状,心理的態度
 E.腎移植の精神医学
  1.成功した腎移植はベストの精神療法である
  2.腎移植に伴う精神医学的問題(困難)
  3.透析医療の時期に注意してチェックしておいたら腎移植医療になってもレシピエントの精神医学的理解やその対応に役立つであろうと思われること
2.透析拒否症をどう克服するか 〈大倉誉暢〉
 A.透析拒否症の定義
  1.腎内科背景
  2.患者背景
 B.透析拒否症例
  1.疾患,透析への受容拒否症例について
  2.内因的,外因的精神障害に基づく透析拒否症
  3.社会的要因に基づく透析拒否
 C.透析拒否症克服のための試み
  1.患者,家族への接遇について
  2.患者の指導と教育のチーム医療
  3.患者の生きがい

§6.社会復帰と至適透析の実際 
1.社会資源をどう活用するか 〈木舟雅子〉
 A.社会資源 social resourcesとは何か
 B.主な社会資源と窓口
  1.医療費助成制度
  2.身体障害者手帳
  3.障害年金
  4.手当金
  5.教育・職業等
2.運動療法をどう進めるか 〈平野 宏〉
 A.至適透析療法からみた運動療法の有効性
  1.透析患者のPCM
  2.透析患者の動脈硬化
  3.透析患者の骨粗鬆症
 B.運動療法の実践と問題点
  1.運動負荷試験
  2.運動処方
3.食事療法をどう進めるか 〈水入苑生・小林みゆき・長谷川 昭〉 
 A.至適透析からみた食事療法
 B.食事療法の実際
  1.HD
  2.CAPD

§7.血液透析療法における至適透析
1.至適透析と透析措置の改良 〈金子岩和〉 
 A.透析措置の構成
  1.水処理措置
  2.透析液供給措置
  3.患者監視措置
 B.至適透析のための機能
  1.除水量制御機構
  2.処方透析
  3.自動プライミング-血液返血措置
  4.シングルニードル法(単針法)
  5.多機能型透析措置
 C.至適透析の実際
  1.血液透析法(HD)
  2.血液濾過法(HF)
  3.血液透析濾過法(HDF)
 D.透析措置の現状と今後
2.血液透析導入時 〈久永修一・斉藤 明〉
 A.血液透析導入の一般概念
 B.至適血液透析導入の概念
 C.至適血液透析導入の実際
  1.導入前の準備
  2.血液透析導入の時期
  3.導入期合併症とその対策 7
  4.ドライウェイトの設定
  5.透析条件の設定
  6.薬物治療
  7.栄養指導
3.血液透析維持期 〈鈴木正司〉
 A.治療経過による4つの時期の分類
 B.維持期の診療,看護上の注意点
  1.自己管理の指導の継続
  2.快適な透析治療の提供
 C.透析困難症への対策
  1.透析困難症の病因
  2.透析困難症への対策
 D.長期透析での合併症への配慮と指導
  1.透析液作成用の水に由来する合併症
  2.治療用薬剤に由来する合併症
4.ブラッドアクセス 〈内藤秀宗・宮崎哲夫〉
 A.ブラッドアクセスの問題点
 B.内シャント作製のこつ
  1.内シャント作製法
  2.グラフト移植のこつ
 C.内シャント,グラフトの維持
  1.穿刺時期・穿刺部位
  2.ブラッドアクセスの機能把握
 D.シャントトラブルへの対処法
  1.血栓形成(閉塞)
  2.狭窄
  3.静脈怒張
  4.静脈高血圧症(ソアサム症候群)
  5.スチール症候群
  6.動静脈瘤
  7.ゼローマー

§8.腹膜透析療法における至適透析
1.CAPD導入時 〈窪田 実〉
 A.CAPD療法の選択
  1.CAPD療法の適応
  2.CAPD療法の説明
 B.CAPD開始前の指導と準備
  1.患者に対する指導
  2.CAPD開始前の腎不全治療
  3.カテーテル挿入術
 C.CAPD開始から退院まで
  1.医学的管理
  2.在宅CAPD療法の準備
2.CAPD維持期 〈久保 仁・川口良人〉
 A.CAPD維持期の管理目標
 B.透析器としての腹腔
 C.至適透析の指標
  1.尿毒症症状の是正
  2.BUN・Cr
  3.クレアチニンクリアランス(CCr)
  4.尿素カイネティクモデルによる評価
  5.血清アルブミン濃度
 D.適正体重の維持
 E.至適透析を維持するためのPD処方
 F.腎性貧血の管理目標
 G.合併症と至適正
  1.腹膜炎・出口感染・皮下トンネル感染
  2.UF lossと至適透析
3.ペリトネアルアクセス 〈石崎 允〉
 A.ペリトネアルアクセスの問題点
 B.仙台型カテーテルの形状とその特徴
 C.仙台型カテーテル留置術のこつ
  1.カテーテルの小骨盤腔への挿入
  2.腹膜切開口のタバコ縫合と内部カフの固定
  3.皮下トンネルの作製と外部カフの固定
 D.シャワー浴とオープン入浴
  1.シャワー浴
  2.オープン入浴
 E.外部カフ感染を伴った出口部感染
 F.カテーテル置換術
 G.その他の外力によるカテーテル損傷
 H.仙台型カテーテルの開存率と出口部感染
 I.まとめ

§9.合併症と至適透析
1.中枢,末梢神経系疾患 〈中本雅彦〉
 A.中枢神経系疾患
  1.脳血管障害の危険因子とその治療
  2.脳血管障害急性期の治療ならびに至適透析
  3.脳血管障害慢性期の治療
  4.脳腫瘍
 B.末梢神経障害
  尿毒症性末梢神経障害
2.心筋梗塞・狭心症 〈水口 潤〉
 A.至適透析の概念と実際
  1.充分な尿毒症物質の除去
  2.血圧のコントロール
  3.透析液・ヘパリンおよび透析膜
  4.Ca代謝
 B.一般的治療概念
  1.狭心症の治療
  2.心筋梗塞の治療
 C.薬剤投与における注意点
  1.硝酸剤
  2.Ca拮抗薬
  3.β遮断薬
  4.抗血小板薬・抗凝固薬・血栓溶解剤
  5.カテコールアミン
 D.ケアの実際
 E.予防法の実際
  1.肥満
  2.高血圧
  3.高脂血症
  4.高尿酸血症
  5.喫煙習慣・ストレス
3.不整脈 〈伊東春樹〉
 A.透析患者の不整脈の特徴
  1.高K+血症による不整脈
  2.透析の刺激伝道系に与える影響
  3.透析例の突然死予測に対するホルター心電図と電気生理学的検査法
 B.不整脈の治療
  1.頻脈性不整脈
  2.徐脈性不整脈
  3.抗不整脈薬使用における注意
4.血圧異常 〈山門 実〉
I.高血圧
 A.透析患者における高血圧の成因
 B.高血圧を伴う透析患者の至適透析
 C.透析患者の降圧療法
  1.降圧薬の選択
  2.ケアの実際
II.低血圧
 A.透析患者における低血圧の成因
 B.低血圧を伴う透析患者の至適透析
 C.低血圧の薬物療法
5.消化管疾患 〈中島一朗・渕之上昌平・寺岡 慧・太田和夫〉
 A.至適透析の概念と実際
  1.保存的治療が可能な消化管疾患
  2.手術を要する消化管疾患
 B.一般的治療概念
  1.胃出血性腫瘍
  2.虚血性腸炎
  3.大腸窄孔
  4.薬剤投与上の注意点
  5.消化管手術後のケア
 C.予防法の実際
6.肝胆膵疾患 〈酒井義法・佐藤千史・秋葉 隆〉
I.肝臓
 A.透析患者における肝疾患の実際
 B.一般的治療概念
  1.急性肝炎
  2.劇症肝炎
  3.慢性肝炎
  4.肝硬変
  5.ヘモジデローシス
 C.ケアの実際
 D.寛解後のセルフケア
 E.予防法の実際
II.胆嚢
 A.透析患者における胆嚢疾患の実際
 B.一般的治療概念
  1.胆石
  2.胆嚢ポリープ
 C.薬剤投与における注意点
 D.ケアの実際
III.膵臓
 A.透析患者における膵臓疾患の実際
 B.一般的治療概念
  1.急性膵炎
  2.慢性膵炎
 C.薬剤投与における注意点
 D.ケアの実際
  1.急性膵炎
  2.慢性膵炎
 E.寛解後のセルフケアと予防
7.骨関節疾患 〈丸山弘樹・下条文武・荒川正昭〉
I.透析アミロイドーシス
 1.疾患概念
 2.至適透析の概念と実際
 3.一般的治療概念
 4.薬剤使用上の注意点
 5.リハビリテーション
 6.治療あるいは寛解後のセルフケア
 7.予防法の実際
II.腎性骨異栄養症
 A.線維性骨炎
  1.疾患概念
  2.至適透析の概念と実際
  3.一般的治療概念
  4.薬剤使用上の注意点
  5.PTX後の注意点
  6.予防法の実際
 B.無形成骨
  1.疾患概念
  2.至適透析の概念と実際
  3.薬剤使用上の注意点
  4.予防法の実際
 C.骨軟化症
 [アルミニウム(Al)骨症]
  1.疾患概念
  2.至適透析の概念と実際
  3.一般的治療概念
  4.薬剤使用上の注意点
  5.予防法の実際
 [鉄骨症]
  1.疾患概念
  2.至適透析の概念と実際
  3.一般的治療概念
  4.薬剤使用上の注意点
  5.予防法の実際
 D.混合型
8.感染症 〈中尾俊之〉
 A.至適透析と感染症
 B.コンプロマイズドホストとしての透析患者
  1.感染に対する生体防御機構
  2.透析患者における感染防御機構の障害
  3.透析患者における貧食能障害と易感染症
 C.一般的治療概念
  1.感染症へのアプローチ
  2.感染部位別にみた治療,ケア,予防の実際
  3.透析患者における抗菌薬の使用法
9.糖尿病 〈馬場園哲也・朝長 修〉
 A.糖尿病透析患者における至適透析の概念
 B.至適透析導入時期
 C.透析方法の選択
 D.維持透析期の管理
  1.食事療法・血糖コントロール
  2.ブラッドアクセス
  3.抗凝固剤
  4.腎性貧血
  5.血圧の管理
  6.眼合併症
  7.虚血性心疾患
  8.糖尿病性壊疽
  9.CAPDに関連した合併症
10.膠原病 〈頼岡徳在〉
 A.腎不全を呈する膠原病
  1.全身性エリテマトーデス(SLE)
  2.慢性関節リウマチ(RA)
  3.進行性全身性硬化症(強皮症:PSS)
  4.血管炎症候群
  5.皮膚節炎・多発性筋炎
 B.至適透析の概念と実際
  1.透析治療量
  2.心理面
  3.社会復帰
  4.結婚および妊娠
 C.一般的治療概念
 D.ケアの実際
  1.透析室,病因におけるケア
  2.在宅でのセルフケア
11.眼科疾患 〈須藤史子・高塚忠宏〉
 A.透析患者における眼合併症
  1.腎性網膜症・透析眼底
  2.網膜静脈血栓症
  3.高眼圧・緑内障
 B.糖尿病透析患者における眼合併症
  1.糖尿病網膜症
  2.血管新生緑内障
 C.透析患者の眼科手術
  1.透析導入と手術時期
  2.透析の管理
 D.透析患者への薬剤投与における注意点
  1.維持輸液
  2.ステロイド
  3.抗生物質
 E.眼科管理を伴う透析患者のマネージメント

§10.高齢者の至適透析 〈甲田 豊〉
A.高齢者透析の問題点と透析期間による差異
B.透析患者における高齢者の増加
C.高齢者の身体構成成分の変化
D.高齢透析患者の合併症
 1.腎性貧血
 2.骨関節症・透析アミロイド症
 3.脳血管障害
 4.悪性腫瘍
E.尿素カイネティクスからみた高齢者
F.高齢透析患者の食事療法
G.介護力の問題

§11.小児患者の至適透析
1.血液透析 〈川口 洋・伊藤克己〉
 A.小児における至適透析の概念
 B.小児の至適透析の実際
  1.透析導入基準と透析前準備
  2.ブラッドアクセスおよびダイアライザー(透析器),回路の選択
  3.透析管理および透析条件の設定
  4.透析下での栄養摂取
  5.循環器系
  6.就学・就職
2.CAPD 〈本田雅敬〉
 A.小児における至適透析の概念
 B.至適透析法の実際
  1.小児,特に乳幼児におけるCAPDの有用性
  2.透析方法
  3.小児におけるAPDの有用性
  4.成長および発達
  5.学童の肥満と運動
  6.学校適応と社会復帰

§12.至適透析治療をめざしたGCP〈森本紘章〉
A.医療の目標
B.治験と医療機関の関係
C.GCPとは
D.GCPの概要
 1.責任所在の明確化
 2.公開性の確保
 3.インフォームドコンセント
 4.記録の保存
E.透析医療におけるGCPの精神の適用

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