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書籍詳細

小児漢方治療入門

小児漢方治療入門

橋本 浩 著

A5判 164頁

定価(本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-498-06922-0

2018年03月発行

在庫あり

わが国伝統の漢方医学(和方)と中医学の正確な理解の下に,小児の日常診療に漢方薬を生かすための考え方を惜しみなく紹介する.漢方医学の基礎から,証のとり方・考え方,小児特有の症状と病態に応じた方剤選択のノウハウ,代表的方剤の詳細な解説まで.中国での勤務歴も長く中医学への造詣も深い著者が送る,はじめての本格派小児漢方入門書.

橋本 浩

昭和62年奈良県立医科大学卒業
卒業後は同大学小児科に入局し,小児科・新生児科(NICU)を研修し,国立療養所福井病院小児科にて一般小児科診療,血友病の診療,障害児医療に従事しつつ内科や整形外科病棟の管理当直で経験を積み,その後は診療所にて総合小児科と内科の診療を実践し,平成19年3月から上海市にてセントミカエル病院(中文名称:上海天檀普華医院)などで,欧米やアジア各国の医師と協力して,日本人のみならず世界各国の人々を対象とした内科,総合診療科,小児科を担当.平成23年3月に帰国後,北海道の別海町立病院小児科および三重県の伊賀市立上野総合市民病院総合診療科・小児科の嘱託医を経て,平成27年7月から奈良県の生駒市立病院小児科に常勤医として移籍し,小児科および総合診療科・内科の外来に加え,ERやICU管理当直も担当した.
アレルギー疾患をはじめ,血液疾患,感染症,神経疾患,神経発達障害など様々な分野を総合的に診療してきた経験があり,新生児から高齢者まで外来や入院での診療を実践中.産科救急にも対応する新生児科医でもある.
平成29年春から,東大阪生協病院にて,小児科,内科および総合診療科の医師として,多彩な診療活動に従事している.
平成30年2月より八雲町熊石国民健康保険病院小児科・内科

主な著書:
中外医学社 『かぜ診療の基本』『子どもの心を診る医師のための発達検査・心理検査入門』『医療従事者のための臨床小児栄養学入門』
ミネルヴァ書房 『暮らしの科学シリーズ 花粉症 治療とセルフケアQ&A』
秀和システム 『発達心理学がよ〜くわかる本』
日本実業出版社 『早わかり科学史』
風見書房 『お母さんのための小児科講座』
河出書房新社 『図解だれでもわかるユビキタス』
羊土社 『ナースのためのパソコン“超”入門』   など

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はじめに

 平成元年の3月,私は花粉症に苦しんでいました.どんな薬を使っても,症状は改善しませんでした.ところが,小青竜湯を服用すると30分もしないうちに鼻水が止まり,鼻づまりもなくなりました.数日後,スギ花粉の飛散する様子がはっきり見えた直後,私は激しい痒みを眼に感じました.そこで,越婢加朮湯を1包内服したところ,20分もしないうちに眼の痒みはもちろん,浮腫と充血もさっと消退してしまいました.このような経験から,私は漢方薬に興味をもつようになり,たくさんの本を買いあさって読みました.そして,詳しい医師に出会うと,知りたいことを次々に質問し,教えていただきました.
 その甲斐があってか,10年もすると自分なりに自信をもって,いろいろな年齢の患者,つまり,乳児から高齢者まで,いろいろな疾患に漢方治療を西洋医学的治療と併用するようになりました.
 平成19年の春,私は上海の病院に勤務するようになりました.そこで,世界各国の医師と一緒に診療活動を行い,幹細胞移植に関与するなど様々な経験をしました.そして,当時は上海中医科薬科大学の内科講師をされていた王福波中医師など,多数の中医学の専門家の教えを仰ぐことができ,漢方医学と中医学には様々な違いがあることを知りました.そして,中医学家たちが西洋医学との融合・協業を目指していることを知り,中国の様々な分野の医学書を読み,それぞれの専門家に教えを請いました.こうして,私はいろいろな中医学の考え方を知り,「中国は漢方の本場だ」あるいは「中国には漢方薬の点滴もある」などという嘘をいう人々を信用しなくなりました.
 中医学では腹証と呼ばれる所見は考慮されません.腹証を重視するのは江戸時代に確立した和方という日本の伝統医学であり,それが明治時代になって日本政府に漢方医学と呼ばれるようになり,和方の薬は漢方薬と呼ばれるようになりました.したがって,必ず腹証を重視して処方する医師が,「小児疾患の中医学的治療をする」というのは,論理的に話が合いません.随証療法という言葉も,日本語と中国語で表記が同じでも,その意味には本質的な違いがあります.
 過去に出版された漢方薬の参考書の多くは,その辺りのことを意識せずに両者を混同していたり,両者に対立する考え方があるという事実を無視したもの,さらには,私からすればあり得ない話が書かれていたりするものすらあります.
 そこで,私は,西洋医学を中心にした日常診療において,できるだけ多くの医師に漢方薬を有効に使ってもらいたいと思い,漢方医学と中医学の違いがわかりやすく部分の解説を含む,初心者向きの参考書を出したいと思いました.それを実現したものが,本書であり,難しい話をできるだけわかりやすく西洋医学の視点で理解できるように工夫をしました.少しでも多くの医師とその患者さんたちに役立てば幸いです.
 最低でも,「漢方薬なんか効くわけがない」と頭ごなしに言い切って,効果がないことを科学的に証明しない低レベルに陥ってはいけません.
 本書の基本的な構成は中国で出版されている中医学と西洋医学の融合医療の教科書をお手本にしています.しかし,その内容は中医学とは全く異なる日本の漢方医学と西洋医学の融合を目標とするものになっています.漢方医学を西洋医学的な視点で視ることを考えた理由は,その方が面白い話になると考えたからです.興味のない方にも興味を持ってもらえるように工夫したつもりです.また,「桂皮はシナモンである」という日本の間違った常識にもメスを入れています.

2018年 新春
橋本 浩

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目 次

はじめに

第1章 小児漢方総論
 1 小児漢方とその歴史
  コラム 韓国の伝統医学──東方医学
 2 日本の漢方医学と中国伝統医学である中医学の違い
  コラム 甘過ぎるお茶
 3 小児の漢方医学的特徴と薬効別基本処方
  基本事項
  基本処方
   1.免疫調整作用をもつ漢方薬の方剤
   2.鎮咳作用や喀痰喀出作用のある漢方薬
   3.消化機能改善作用をもつ漢方薬
  コラム 抗アレルギー作用をもつ漢方薬
   4.水分代謝調節作用をもつ漢方薬
   5.成長を助ける作用をもつ漢方薬
  コラム ステロイド様作用をもつ漢方薬
   6.情緒安定作用をもつ漢方薬
 4 漢方薬の主な副作用
 5 小児薬用量
  コラム 日本と中国との生薬の違い
 6 服薬指導
   1.服薬へのモチベーションを高める
   2.服用方法の工夫
   3.母子同服
 7 適応外使用の問題
  コラム 漢方エキス製剤の強みと弱み

第2章 小児の証のとり方
 1 証と弁証・随証治療
 2 基本的な証
  ・陰陽
  ・虚実
  ・寒熱
  ・表裏
  コラム 中医アロマセラピーや漢方アロマセラピーは実在し得ない
 3 気血水とは?
  コラム 脳がない医学理論
 4 身体診察所見から得られる証
   1.脈証(脈診によって知る証)
   2.舌証(舌診によって知る証)
   3.腹証(腹診によって知る証)
 5 主な生薬の証
  コラム 中医学の基本的な考え方について

第3章 小児に使う主な漢方処方の方剤解説
  ・安中散(あんちゅうさん)
  ・温清飲(うんせいいん)
  ・越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
  コラム おじさんの膝とおばさんの膝
  ・葛根湯(かっこんとう)
  ・加味逍遥散(かみしょうようさん)
  コラム 蒼朮と白朮
  ・甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
  ・桔梗石膏湯(ききょうせっこうとう)
  ・桂枝湯(けいしとう)
  ・桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
  ・桂枝人参湯(けいしにんじんとう) 
  ・桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
  ・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  コラム 桂枝と桂皮とシナモン
  ・啓脾湯(けいひとう)
  ・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
  ・五苓散(ごれいさん)
  ・柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
  ・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
  ・柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
  ・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
  ・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
  ・小建中湯(しょうけんちゅうとう)
  ・小柴胡湯(しょうさいことう)
  ・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
  ・消風散(しょうふうさん)
  ・真武湯(しんぶとう)
  ・大建中湯(だいけんちゅうとう)
  ・治頭瘡一方(ぢずそういっぽう)
  ・中建中湯(ちゅうけんちゅうとう)
  コラム 忍冬の話
  ・人参湯(にんじんとう)
  ・排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)
  ・麦門冬湯(ばくもんどうとう)
  ・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  ・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
  ・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
  ・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  ・麻黄湯(まおうとう)
  ・麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
  ・麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
  ・抑肝散(よくかんさん)
  ・六君子湯(りっくんしとう)
  ・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
  ・六味丸(ろくみがん)
  コラム 中国の小児科と六味丸の使用状況

第4章 主な小児疾患に対する漢方処方
 1 上気道炎・インフルエンザおよび急性気管支炎
  コラム 広告記事が載る日本の医学雑誌
 2 耳鼻咽喉科疾患
  ・アレルギー性鼻炎
  ・鼻副鼻腔炎
  ・咽頭扁桃炎と扁桃炎
  コラム 中耳炎・反復性鼻出血・耳下腺炎と漢方治療
 3 嘔吐・下痢・胃腸炎
  コラム 大酒家をフォローできる漢方薬
 4 腹痛・便秘
 5 気管支喘息
 6 蕁麻疹
 7 湿疹・アトピー性皮膚炎
  コラム 皮膚科でよく使われる方剤
 8 夜尿症
 9 ネフローゼ症候群
  コラム 慢性糸球体腎炎
 10 浮腫・脱水・熱中症
 11 起立性調節障害
 12 不整脈
 13 夜泣き・夜驚症・チック
 14 過換気症候群
 15 痙攣・てんかん
 16 神経性食思不振症・摂食障害
 17 不登校・家庭内暴力
 18 発達障害
 19 重症心身障害児
 20 肥満・糖尿病
 21 冷え症
 22 小児悪性腫瘍
 23 整形外科疾患・成長痛
 24 急性肝炎・慢性肝炎
  コラム 中国での利巴韦林(リバビリン)の使われ方
 25 外科疾患
 26 思春期の生理痛・婦人科疾患
 27 泌尿器科疾患
 28 眼科疾患
  コラム 小児救急における漢方治療と医師としての心得

参考文献

索引

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執筆者一覧

橋本 浩 八雲町熊石国民健康保険病院小児科・内科 著

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