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書籍詳細

頭痛治療薬の考え方、使い方 2版

頭痛治療薬の考え方、使い方 2版

竹島多賀夫

A5判 328頁

定価5,060円(本体4,600円 + 税)

ISBN978-4-498-22829-0

2016年10月発行

在庫なし(改訂3版2024年2月下旬刊行予定)

達人の治療戦略が詰まった頭痛診療の必携書,待望の改訂2版.抗CGRP抗体による片頭痛予防,可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による頭痛,新規発症持続性連日性頭痛・前庭性片頭痛,後発トリプタンの使用について…など,最新の知見を加えてアップデート.杓子定規な診療,処方にとどまらない,ガイドラインのその先の「さじ加減」が身につく!

•改訂2版の序•


 改訂2版を出版させていただくことになった.

 おかげさまで本書の初版は御好評をいただき,多くの方に読んでいただくことができた.読者の皆様より,単純な誤植から内容にかかわることまでさまざまな御指摘,御意見をいただき,分担執筆者からも,初版では紙数等の関係で記載しきれなかった事項や,その後の新知見を追記したいという希望もいただいていた.

 本年の3月に中外医学社から連絡をいただき,在庫が少なくなったので増刷が必要だが,誤植等の修正のみとするか,あるいは改訂2版にすることも可能であるがどうかということであった.初版の発刊は2014年11月であったので,1年半での改訂は少し早い気もしたが,頭痛研究は日進月歩で,新知

見も増えてきているので,多忙な分担執筆者には心苦しかったが,読者の皆様にお役にたてばと改訂2版にさせていただくことにした.

 最近の大きな話題としては,抗CGRP抗体による片頭痛予防と可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による頭痛があげられる.新規発症持続性連日性頭痛,前庭性片頭痛は国際頭痛分類第3版beta版の公開で注目され,その後のデータが集積しつつある.また,後発トリプタンがかなり広く使用されるようになったこともわが国の頭痛診療の変化の一つであろう.これらの項目を新しく追加,あるいは初版から大幅に改訂していただいた.

 頭痛治療に使用する薬剤の種類,使い方のミニマムエッセンシャルは慢性頭痛の診療ガイドラインや,各種医学雑誌の頭痛の特集をみれば明快に整理,記述されている.しかし,実際に頭痛の患者を診療していると,それぞれの患者では,標準的な治療方法,投与量ではうまくいかないこともある.薬剤の特性についてよく知り,うまく使えるようになると,頭痛の治療効果も上がり,患者や他の医師からの評判もよくなっていく.本書は頭痛に関する治療薬について,何でも書いてある本を目指した.初版の序文でも述べたが,本書は辞書的な使用も可能であるが,通読いただくことで自家薬籠中の物となる頭痛治療薬の種類が増え,治療の選択肢が増え,頭痛診療におけるバラエティーが拡大するであろう.

 「さじ加減」という言葉は,最近はネガティブな意味で使われることが多いかもしれないが,本来的な意味でのさじ加減は,それぞれの患者に応じて,薬の種類や用量を調整することであり,いわばテーラーメイドの治療を表す言葉であると思う.繰り返しになるが,ガイドライン,添付文書の記載に盲目的に従って,杓子定規に処方するばかりでなく,標準的な治療を踏まえたうえで,上手なさじ加減をして,頭痛をうまく治療する,そういう頭痛診療医になっていただくためのハンドブックとなれば幸甚である.改訂2版が読者と読者が診療する頭痛患者のお役にたつことを願ってやまない.


2016年10月
著者一同を代表して

竹島多賀夫

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•初版の序•


 わが国でも頭痛に興味をもつドクターが増えており,また,頭痛の正確な診断や有効な治療を求めて受診する頭痛患者も増えてきた.インターネットで頭痛外来を検索すると多数ヒットする.患者さんからの話や,講演会,研究会,学会等で接する情報からは,わが国の頭痛外来はまだまだ玉石混淆の感が否めない面があるが,頭痛に関する認知や関心が徐々に高まりつつあることは喜ばしい.

 欧米より10年遅れたが,2000年以降,わが国でも経口トリプタンが使用可能となり,日本頭痛学会,日本神経学会の働きかけにより,片頭痛予防薬もロメリジンに加え,バルプロ酸やプロプラノロールが公知申請で適応追加され,また,アミトリプチリンやベラパミルが保険診療における適応外使用が認められるようになった.群発頭痛の治療では2008年に,スマトリプタンの自己注射キットが認可され,ベラパミルやプレドニゾロンの予防療法薬の適応外使用が認められている.このようにわが国の頭痛医療の環境も整いつつある.2013年,日本頭痛学会,神経学会は慢性頭痛の診療ガイドライン2013を改訂公開し,さらに,2014年10月には日本頭痛学会から国際頭痛分類第3版beta版(ICHD―3β)の日本語訳が出版された.国際標準で頭痛を診断し,わが国で選択可能な治療法についてエビデンスに基づいた標準的治療法の情報にアクセス可能となっている.

 2013年末に,中外医学社の小川孝志氏から頭痛治療薬の本の監修の相談をいただいた.比較的少人数で分担執筆をということであった.以前から頭痛治療に使用する薬剤についての情報をまとめた本があればと考えていたので,すぐにお引き受けした.ガイドラインや国際頭痛分類を補完するような書籍にできればと考えた.執筆者には,親交のある関西の頭痛のエキスパートで,これからの日本の頭痛医療を担う先生方にお願いした.多くの頭痛患者をみておられ,頭痛学会の各種委員会等で活躍されている方ばかりである.それぞれの持ち味を生かし,エビデンスとそれぞれの臨床経験に基づいて,各治療薬の徹底解説をお願いした.I章は序章として片頭痛と群発頭痛のポイントをまとめ,II章 急性期治療薬,III章 予防薬,IV章 サプリメント,代替療法,漢方薬,非薬物療法の構成とした.詳細に記述されており辞書的な使用も可能であるが,通読いただければ,ほとんどすべての読者がこれまで知らなかった情報を得ることができると思われる.V章では,さまざまな頭痛の実際の治療について,テーマごとに執筆をお願いした.各種頭痛の治療,妊婦や小児,高齢者の頭痛の他,これまであまり取り上げられてこなかった一次性頭痛や,群発頭痛以外の三叉神経自律神経性頭痛についても,実際的な治療の解説をいただいた.

 本書では原則として,ICHD―3βに沿って記述していただいた.執筆者の多くは,ICHD―3βの翻訳にも協力いただいており,最新の情報を盛り込むことができたことも幸いであった.

 本書が頭痛診療に携わる多くの方に何がしかのご参考になり,わが国のオーソドックスな頭痛医療,国際標準の頭痛診断と,エビデンスに基づいた頭痛治療の普及に貢献することができれば,著者一同,望外の喜びである.


2014年10月
著者一同を代表して

竹島多賀夫

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目 次


I 序章
  1 片頭痛概論:分類と診断…〈粟木悦子〉
    A.片頭痛の疫学
    B.片頭痛の誘発・増悪因子
    C.片頭痛の分類と診断
    D.診断上の注意事項
  2 片頭痛のメカニズム(CSD,三叉神経血管説)…〈古和久典〉
    A.血管説
    B.神経説
    C.三叉神経血管説
    D.下降性疼痛調節系
    E.アロディニアと感作
    F.家族性片麻痺性片頭痛の原因遺伝子,片頭痛の疾患感受性遺伝子
    G.“片頭痛”脳
  3 群発頭痛,TACsの分類と診断…〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
    A.群発頭痛の診断
    B.発作性片側頭痛の診断
    C.短時間持続性片側神経痛様頭痛発作の診断
    D.持続性片側頭痛の診断
  4 国際頭痛分類,慢性頭痛の診療ガイドライン,頭痛ダイアリー…〈竹島多賀夫〉

II 急性期頭痛治療薬を知り尽くす
  1 急性期治療薬の種類と使用原則…〈西郷和真〉
    A.片頭痛急性期治療薬の種類
    B.片頭痛薬剤使用方法(タイミング,使用量,使用頻度)
    C.片頭痛急性期(発作期)の経過と内服薬のタイミング
    D.緊張型頭痛における急性期治療薬
    E.群発頭痛における急性期治療薬
  2 アセトアミノフェン…〈西郷和真〉
  3 NSAIDs…〈西郷和真〉
  4 インドメタシン…〈西郷和真〉
  5 COX―2阻害薬…〈西郷和真〉
  6 トリプタン治療総論…〈粟木悦子〉
  7 スマトリプタン経口錠…〈粟木悦子〉
  8 スマトリプタン非経口薬…〈粟木悦子〉
  9 ゾルミトリプタン…〈石崎公郁子〉
  10 エレトリプタン…〈石崎公郁子〉
  11 リザトリプタン…〈石崎公郁子〉
  12 ナラトリプタン…〈高橋牧郎〉
  13 アルモトリプタン,フロバトリプタン…〈高橋牧郎〉
  14 後発トリプタンの使用…〈竹島多賀夫〉
  15 エルゴタミン…〈古和久典〉
  16 ゲパント系薬剤…〈古和久典〉
  17 メトクロプラミド,ドンペリドン(経口)…〈中野俊也〉
  18 メトクロプラミド(静注,筋注)…〈中野俊也〉
  19 プロクロルペラジン,クロルプロマジン,ハロペリドール,ドロペリドール…〈中野俊也〉
  20 ジアゼパム(静注)…〈高橋牧郎〉
  21 ステロイド(静注)…〈菊井祥二・竹島多賀夫〉

III 頭痛予防薬を知り尽くす
  1 予防薬の種類(片頭痛/緊張型・群発)…〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
    A.片頭痛の予防療法
    B.緊張型頭痛の予防療法
    C.群発頭痛の予防療法
  2 予防薬の始め方・切り方(使用原則)…〈粟木悦子〉
    A.予防治療薬の使い分け
    B.予防薬を終了するタイミング
  3 ロメリジン,ベラパミル…〈中野俊也〉
  4 バルプロ酸,トピラマート…〈稲垣美恵子〉
  5 レベチラセタム,ガバペンチン,プレガバリン…〈高橋牧郎〉
  6 カルバマゼピン,クロナゼパム,ラモトリギン…〈高橋牧郎〉
  7 β遮断薬…〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
  8 三環系抗うつ薬…〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
  9 新規抗うつ薬(SSRI,SNRI,NaSSA)…〈中野俊也〉
  10 ACE阻害薬,ARB…〈中野俊也〉
  11 チザニジン…〈中野俊也〉
  12 オランザピン,その他の非定型抗精神病薬…〈中野俊也〉
  13 抗CGRP(受容体)抗体…〈古和久典〉

IV サプリメント,代替療法,漢方薬,非薬物療法
  1 リボフラビン,葉酸…〈古和久典〉
  2 マグネシウム(静注療法も含む)…〈古和久典〉
  3 Feverfew,Butterbur,その他のハーブ…〈古和久典〉
  4 漢方薬…〈西郷和真〉
  5 ボツリヌス毒素…〈西郷和真〉
  6 食事療法…〈石崎公郁子〉
  7 頭痛体操,鍼灸,カイロプラクティクス…〈高橋牧郎〉

V 頭痛治療戦略の実際
  1 慢性片頭痛の治療戦略…〈竹島多賀夫〉
    A.慢性片頭痛の診断
    B.慢性片頭痛の治療
    C.難治例のアプローチ
    D.難治性慢性片頭痛の対処法
  2 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の対処法…〈竹島多賀夫〉
    A.MOHの有病率と主要症状
    B.MOHの診断
    C.鑑別診断
    D.MOH治療の実際
    E.MOHの予防
  3 月経関連片頭痛,純粋月経時片頭痛の治療戦略…〈稲垣美恵子〉
    A.女性ホルモンと片頭痛
    B.純粋月経時片頭痛と月経関連片頭痛
    C.月経関連片頭痛の急性期治療
    D.月経関連片頭痛の予防療法
    E.月経困難症と片頭痛
  4 妊娠希望の片頭痛患者にどう対応するか…〈稲垣美恵子〉
    A.片頭痛の急性期治療
    B.片頭痛の予防薬物療法
  5 妊娠中の片頭痛・群発頭痛の治療…〈稲垣美恵子〉
    A.妊娠と片頭痛
    B.妊娠期の片頭痛急性期治療
    C.妊娠期の片頭痛予防療法
    D.群発頭痛と妊娠
    E.妊娠期の群発頭痛の治療
  6 授乳中の片頭痛・群発頭痛の治療…〈稲垣美恵子〉
    A.授乳期の片頭痛
    B.授乳期の片頭痛治療
    C.授乳期の群発頭痛と治療
  7 頭痛のない片頭痛の治療(閃輝暗点,腹部片頭痛など)…〈高橋牧郎〉
    A.閃輝暗点
    B.小児周期性症候群
  8 前庭性片頭痛の治療…〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
    A.臨床像
    B.鑑別診断
    C.治療
  9 緊張型頭痛の治療…〈竹島多賀夫〉
  10 反復性群発頭痛の治療…〈石崎公郁子〉
    A.急性期療法
    B.予防療法
    C.外科的療法
  11 慢性群発頭痛の治療…〈石崎公郁子〉
    A.薬物療法
    B.外科的療法
  12 インドメタシン反応性頭痛の治療のコツ…〈石崎公郁子〉
    A.発作性片側頭痛
    B.持続性片側頭痛
    C.その他の頭痛
  13 SUNCT/SUNAの治療…〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
    A.薬物治療
    B.外科的治療
  14 一次性雷鳴頭痛,性行為に伴う一次性頭痛,一次性運動時頭痛,RCVSによる頭痛の治療…〈菊井祥
    二・竹島多賀夫〉
    A.一次性雷鳴頭痛
    B.性行為に伴う一次性頭痛
    C.一次性運動時頭痛
    D.RCVSによる頭痛
  15 一次性穿刺様頭痛,貨幣状頭痛の治療…〈古和久典〉
    A.一次性穿刺様頭痛
    B.貨幣状頭痛
  16 睡眠時頭痛の治療…〈中野俊也〉
  17 新規発症持続性連日性頭痛…〈石崎公郁子〉
    A.臨床的特徴
    B.発症機序
    C.治療
    D.小児例への対応
  18 精神疾患と頭痛(精神科疾患による頭痛の対処と,精神科疾患が共存する一次性頭痛の治療上の注
    意)…〈粟木悦子・竹島多賀夫〉
    A.精神疾患による頭痛とその対処
    B.精神科疾患が共存する一次性頭痛とその治療上の注意
    C.精神疾患の共存と頭痛の予後
    D.精神疾患と頭痛治療薬の選択
    E.非薬物療法
  19 婦人科疾患と頭痛治療(経口避妊薬を服用している片頭痛患者の治療を含む)…〈稲垣美恵子〉
    A.月経異常(月経困難症・月経前症候群)と頭痛
    B.OCと頭痛
    C.片頭痛とOC
    D.更年期障害と頭痛
  20 高齢者の一次性頭痛: 二次性頭痛の鑑別と一次性頭痛の治療…〈竹島多賀夫〉
    A.高齢者の一次性頭痛の診断
    B.高齢者の一次性頭痛の治療
    C.高齢者で特に注意が必要な頭痛の共存症
  21 小児の一次性頭痛: 二次性頭痛の鑑別と一次性頭痛の治療…〈竹島多賀夫〉
    A.小児頭痛の治療
  22 三叉神経痛…〈西郷和真〉
    A.原因と分類
    B.診断
    C.治療
  23 後頭神経痛・他の頭頸部神経痛の治療…〈西郷和真〉
    A.後頭神経痛
    B.舌咽神経痛
    C.多発性硬化症(MS)による頭頸部の神経障害性疼痛
    D.ラムゼイ・ハント(Ramsay Hunt)症候群
    E.トロサ・ハント(Tolosa―Hunt)症候群
    F.傍三叉神経性眼交感症候群(レーダー症候群)
    G.再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチー(RPON)


索引

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執筆者一覧

竹島多賀夫 富永病院副院長 神経内科部長・頭痛センター長 
粟木悦子  鳥取県済生会境港総合病院神経内科特任部長 
古和久典  鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野准教授 
菊井祥二  富永病院神経内科副部長・脳卒中副センター長 
西郷和真  近畿大学総合理工学研究科准教授/医学部神経内科 兼任 
石崎公郁子 偕行会リハビリテーション病院内科・リハビリテーション科部長 
高橋牧郎  大阪赤十字病院神経内科部長 
中野俊也  鳥取大学医学部医学教育総合センター准教授 
稲垣美恵子 愛仁会千船病院産婦人科部長 

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頭痛治療薬の考え方、使い方 2版
   定価5,060円(本体4,600円 + 税)
   2016年10月発行
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