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書籍詳細

緩和治療薬の考え方,使い方 ver.2

緩和治療薬の考え方,使い方 ver.2

森田達也 著

A5判 280頁

定価(本体3,800円 + 税)

ISBN978-4-498-01797-9

2017年09月発行

在庫あり

痛み、吐き気、食欲不振、呼吸困難、消化管閉塞、便秘、倦怠感、眠気、不眠、不安、抑うつ、せん妄……緩和ケアの現場で日々直面する患者さんの苦痛の訴えの数々。それらに適切に対処し、効果的な緩和治療を行うための考え方と薬の使い方について、エビデンスと長年の臨床経験に基づき明快にまとめた。改訂第2版ではすべての記述を見直し、現時点での最新情報にアップデートを行った。

森田 達也(もりた たつや)

聖隷三方原病院副院長 緩和支持治療科 部長
1992年 京都大学医学部卒業
1994年 聖隷三方原病院ホスピス科
2003年 聖隷三方原病院緩和ケアチーム医長
2005年 聖隷三方原病院緩和支持治療科部長
2012年 京都大学臨床教授
2014年 聖隷三方原病院副院長

主要学会活動(2017年現在)
日本緩和医療学会暫定指導医
Editorial board of Journal of Pain and Symptom Management,
Journal of Palliative Care, Journal of Palliative Medicine
Associate editor of Japanese Journal of Clinical Oncology
Editor of Textbook of Palliative Medicine and Supportive Care(2nd ed)


白土 明美(しらど あけみ)

聖隷三方原病院 ホスピス科 医長
2002年 宮崎医科大学医学部卒業
2008年 聖隷三方原病院ホスピス科
2010年 宮崎大学医学部付属病院緩和ケアチーム
2013年 聖隷三方原病院臨床検査科
2016年 聖隷三方原病院ホスピス科

主要学会活動(2017年現在)
日本緩和医療学会緩和医療専門医

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2版への序

当時ありきたりでない緩和治療の本にしようと思って筆をとり(パソコンに向かい),なんとか「緩和治療薬の考え方,使い方」初版の原稿を書き終わったのが2013年9月,あっという間に4年が経とうとしている.筆者の願いが通じたようでありがたいことに本書は多くの読者が受け入れてくれた.最初に,感謝を伝えたい.2版にむけて手入れをしていたところ,むむっと思うところや明らかな誤りもみつけたが,読者諸氏には寛容に大人の対応をしていただいていたことと思い,重ねて感謝をお伝えしたい.
わずか数年の間であるが,緩和治療の領域でも多くの新薬が上市され,既存薬もこれまた多くのエビデンスが明らかになった.
フェントスやオキファストの使用が一般的となり,アセリオが緩和治療のみならずいたるところで痛みの緩和に一役かっている.ロゼレム・ベルソムラが位置づけを模索しており,アブストラル/イーフェンはそれなりには使われるようになった.末梢性μ受容体拮抗薬のナルデメジンが上市され,ヒドロモルフォンとタペンタが位置づけをこれまた模索することとなる.
エビデンスとしては,WHOの弱オピオイドラダーはいらないと結論され,オピオイド開始時の制吐薬の予防投与も国内のプラセボ比較試験で見直された.消化管閉塞に対するソマトスタチンのプラセボ比較試験や,せん妄に対するセレネース・リスパダールのプラセボ比較試験ではいずれも効果がないとの結果が出された.治療薬そのものとは少し離れるが,苦痛緩和のための鎮静では国際的に概念そのものが問いなおされている.
本書は,そのような動き盛んな緩和治療業界を横目に見つつも,1つの新薬,1つのエビデンスに一喜一憂することなく,どっしりと「まあこの辺は妥当だろう」と筆者が信じる内容を記載した.全章にわたって加筆修正を行い,今きかれたら正直に答えるだろうという内容を記載した.本書がひきつづき,緩和治療に関わる多くの仲間たちにとって,ところどころクスッとしながら読めるものであればありがたい.
2版のさいごに,緩和治療薬に関する筆者の考えを少し書いておきたい.
緩和治療は,今,何かで苦しんでいる患者の「苦しみを和らげる」ための医学である.
したがって,緩和治療薬を投与し(ようと)したことで,(精神的にも)よけいに患者が苦しんだ,ことになることは避けなければならない.薬物療法は想定される有害事象の見込みとバランスよく行われるべきであり,害が起こる確率は小さければ小さいほどよい.複数の効果が同等な選択肢の中では,つねに,起こりうる害が少ない方法を選択するべきである.
一方で,「エビデンスがないから」といって,緩和治療薬をかたくなに投与しなかったことで,患者が何もしてもらえないと心から落胆することも許されない.例えとして抗がん治療と比べて緩和治療薬の特徴をいえば,一般的に毒性が低く,アウトカムが使用後にすぐわかり,状況によって毎日修正が可能なことである.臨床試験で「効果がなかった」結果でも,対象集団があまりに不均一だったり(=その薬剤の効果のある病態とない病態とが混じっていたり),重症度がばらばらだったり(=軽度な患者が多すぎたり),そもそも必要な患者数がなかったりすることがよくある.したがって,臨床試験で効果がなかったからといって,臨床試験の本当の意味を理解すればするほど,「目の前の苦しんでいる患者」に,何か「試みてもいい」妥当な方策がみつかることが多い.
効果と害のバランス,科学と現場のバランス,すべてにバランスが必要である.
ガイドラインやマニュアルが整いだした現在だからこそ価値のある,バランスの良い一冊,経験知と科学がほどよくまじりあった1冊,薬物療法の背景にある哲学をもった1冊でありたいと願っている.

2017年7月
森田達也



はじめに

筆者がはじめて本格的な緩和ケア専門施設(聖隷ホスピス)に足を踏み入れたのは医学部6年生の1991年だったと思う.いまからわずかに20年ほど前のことである.その時点で利用可能であったオピオイドはオキシコンチン・経皮吸収フェンタニル登場前なのでモルヒネとフェンタニル注射薬だけだった.抗精神病薬は非定型抗精神病薬登場前だったので,セレネース,コントミン,ヒルナミンであった.抗うつ薬はSSRI,SNRIの登場前でアナフラニールを点滴して使用していた.いまや緩和治療の「標準治療薬」とされているサンドスタチンの消化管閉塞の適応はなく,鎮痛補助薬として保険適応を持っている薬剤もなかった.そのような中,医師たちは限られた薬剤で症状緩和を図っていた.
今日,緩和領域に限らず,毎年毎年数多くの新しい薬剤が登場する.緩和ケア領域でも多くの臨床試験が行われるようになり,数年前までは「効果がある」とされていた治療が「効果がない」ことが示唆されることもみられるようになった.
緩和治療の薬物療法を行う上で,個々の薬剤に関する知識を蓄積することが求められている.そんな中,本書は,既存の緩和ケアの出版物にない「デジャブー感のない」ものを目指した.特に気を付けたことがいくつかある.
1つ目は,臨床研究の知見をなるべく取り入れて解説したことである.臨床研究はいわゆる個々の領域で古典といわれる代表的なものはおおむね含め,そのうえで,最近の知見として目につくものを紹介した.これらのうちのいくつかは出版後に知見を覆す研究がまた得られると思われるが,緩和ケア領域でも臨床研究の知見を患者さんに反映することの重要性を感じていただければと思う.
2つ目は,一般の医師にとって整理されにくい精神科領域の記述を多くした.特に精神科医にとってはよくみる常識的な内容だが,一般の医師は何度みても頭に残らない内容を視覚的に表現できるように心がけた.この点については,20年にわたって公私ともにご指導いただいている我が国のサイコオンコロジーグループの先生方に感謝したい.
3つ目は,間違いも含めて,筆者の考えを前面に出した.今やあたりさわりのないことは巷に多くある緩和ケアの教科書やマニュアルで情報が得られるので,それらの本には記載されないストーリーを筆者の体験をふまえて書いた.この点については,筆者の理解不足で明らかな誤りもあると思いますが,お許し下さい.
本書が,緩和ケアに関わる医師をはじめとするみなさんの知識の補充と,少し楽しみながら見てもらえるものになれば幸いです.最後になりますが,本書を書こうという気になったのは,白土明美先生(聖隷三方原病院臨床検査科)が図表の作成・資料の整理などを手伝ってくれると手を挙げてくれたからです.心より感謝します.また,本書の製剤に関する多くの箇所について医師にはわからない点を丁寧に対応してくれた伊藤智子さん(聖隷三方原病院薬剤部)に感謝します.

2014年1月
森田達也



謹告 

本書記載の治療法,薬剤の投与量や投与方法などにつきましては最新かつ正確を期するよう努めておりますが,医学・医療は常に進歩しており,記載された内容が正しい内容でなくなることもございます.
 したがいまして,実際の治療に際しては常に細心の注意を払われるようお願いいたします.本書の記載内容がその後の医学・医療の進歩により本書刊行後に変更された場合,従来の治療法や医薬品による不測の事故に対し,著者ならびに出版社はその責を負いかねます.

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目次

§1 痛みに対する薬
 1.オピオイド総論
  A.ものすごく単純化したオピオイドのイメージ
  B.古典的WHOラダーと現代版ラダー
  C.現実的な使用パターン
  D.オピオイドの特性についてのエビデンスのまとめ
  E.オピオイドの特性に従った使い分け
  F.オピオイドの換算
  G.オピオイドの副作用対策
  H.EAPCの推奨と系統的レビューのまとめ
  I.日本緩和医療学会の疼痛ガイドラインの推奨文
 2.オピオイド各論
 Overview
  A.オキシコドン
  B.フェンタニル
  C.モルヒネ
  D.トラマドール
  E.メサドン
  F.レペタン
  G.その他のオピオイド:タペンタ,ヒドロモルフォン

§2 痛みの治療薬:鎮痛補助薬
 Overview
  A.リリカ
  B.トリプタノール
  C.ケタラール
  D.サインバルタ
  E.キシロカイン
  F.テグレトール

§3 非オピオイド鎮痛薬
 Overview
  A.アセトアミノフェン
  B.経口NSAIDs:ロキソニン,ナイキサン,モービック,セレコックス
  C.非経口NSAIDs:ボルタレン坐薬,ロピオン

§4 呼吸困難の治療薬
 Overview
  A.モルヒネ
  B.コデイン
  C.抗コリン薬

§5 悪心嘔吐の治療薬
 Overview
  A.プリンペラン
  B.ノバミン
  C.抗ヒスタミン剤(ポララミン,トラベルミン)
  D.多次元受容体拮抗薬(MARTA),ノルアドレナリン,セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

§6 食欲不振の治療薬
 Overview
  A.ナウゼリンと六君子湯
  B.ステロイド製剤: リンデロン,ヒスロンH
  C.いろいろな組み合わせとEPA製剤

§7 消化管閉塞の治療薬
 Overview
  A.サンドスタチン
  B.ブスコパン

§8 便秘の治療薬
 Overview
  A.カマグ(マグミット)
  B.プルゼニド(センノシド)
  C.ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)
  D.モニラック,ラクツロース
  E.オピオイド開始時
  F.便秘に有効な漢方薬
  G.アミティーザ
  H.ナルデメジン(スインプロイク)

§9 倦怠感・眠気の治療薬
 Overview
  A.精神賦活薬:リタリン,モダフィニル,ベタナミン
  B.眠気に対するその他の薬
  C.リンデロン

§10 不安・抑うつの治療薬
 Overview
  A.ベンゾジアゼピン系抗不安薬: ソラナックス,ワイパックス,リボトリール
  B.SSRIとSNRI
  C.鎮静系抗うつ薬:トリプタノール,テトラミド,リフレックス

§11 不眠の治療薬
 Overview
  A.超短時間作用型睡眠薬:マイスリー,ルネスタ
  B.短時間作用型睡眠薬:レンドルミン(ブロチゾラム)
  C.中時間作用型睡眠薬:ロヒプノール
  D.デジレル
  E.ロゼレム
  F.ベルソムラ

§12 せん妄の治療薬
 Overview
  A.セレネース
  B.セロクエル
  C.リスパダール
  D.コントミン
  E.ジプレキサ,ルーラン,エビリファイ
  F.テトラミド

§13 鎮静の治療薬
 Overview
  A.ドルミカム
  B.フェノバール
  C.坐薬で使用する鎮静薬:セニラン,ダイアップ,ワコビタール

資料
  A.聖隷三方原病院麻薬フォルダオーダーセット
  B.緩和ケア病棟入院時指示の一覧
  C.院内製材

column
 NNTとNNH
 緩和ケアにおける有効率の定義
 テトラミド坐薬の調剤方法

索引

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執筆者一覧

森田達也 聖隷三方原病院部長・副院長 著

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