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書籍詳細

精神科レジデントハンドブック 第3版

精神科レジデントハンドブック 第3版

平安良雄 編集

B6変型判 330頁

定価4,180円(本体3,800円 + 税)

ISBN978-4-498-22900-6

2017年06月発行

在庫あり

レジデントとして精神科診療に携わるうえで必要とされる基礎的かつ実践的な知識を簡明に記載し,実際の臨床で必要かつ十分な内容をわかりやすくコンパクトにまとめた診療マニュアル.あわせて診療に必要となる関連領域の知識をも盛り込み,精神科レジデントとして1冊持っていれば精神科の後期臨床研修に十分に対応できる書.2014年に刊行した2版以降の診療技術,最新の知見,とくにDSM−5に準拠させ現場の需要に応える第3版!

3版の序

 精神科医に限らず,臨床医にとって重要な要素を3つ挙げるとしたら,態度,知識,技術と考えています.診療において精神科医がとるべき態度は,常に患者さんを中心に考えるとともに,精神症状の緩和や軽減だけでなく,患者さんの社会機能向上に努め,社会参加をゴールとし,患者に寄り添う真摯で謙虚な姿勢です.知識については解説するまでもありませんが,先達の貴重な経験から最新の医学や科学的研究まで,生涯にわたって広く学習することが必要です.治療技術としては何よりも精神療法についての修練を絶やさないことだと考えます.精神療法の基本はコミュニケーション力であり,精神科医にとってのコミュニケーション技術は,一般社会人としてそれとは異なるものであるということも理解する必要があります.また,診断技術としては,器質性疾患の鑑別能力を高めることです.
 医師としてまた専門医としての将来を決定する期間は初期研修から後期研修に至る5,6年です.この期間に態度,知識,技術の3つの要素を妥協することなく徹底的に磨くことが大切です.平成30年度から,新専門医制度がスタートし,また,精神保健指定医の取得要件も改正される予定です.精神科医に求められる医療水準はますます高くなっていきます.患者さん中心の医療を実践し,たとえ完治できる見込みが薄くても,患者さんの社会参加を目標に優れた医療を提供できる精神科医を目指してください.本書がその一助になれば幸いです.

2017年5月
平安良雄


初版の序

 50年近い議論の末,平成17(2005)年度から精神科専門医制度がスタートしました.それと同時に専門医としてふさわしい精神科の研修が議論されています.横浜市立大学医学部では,約40年前から,2年間のローテーション研修の後に専門科に進むという今では当たり前となったシステムを維持してきました.当横浜市立大学医学部精神医学教室では,神経科医師の会を中心として,入局後の精神科医としての修養が合理的に効率的に行われるように努めてきました.しかし,これまでのシステムは,指導する側からのパターナリズムに依存した仕組みであったことは否めません.本書は横浜市立大学附属の2つの病院に所属しているシニアレジデントによって企画された精神科専門医を目指す医師のためのレジデントマニュアルです.この企画に沿って各項目を横浜市立大学医学部精神医学教室でシニアレジデントの指導に当たる教員が分担して執筆しました.特に,現場で役に立つ知識と考え方や対応の方法を具体的にまとめることに努めました.診療技能の向上には,まず知識,そして実践での観察力,判断と診療計画,実践とその後の振り返り,欠如していた知識の習得,これらのプロセスの繰り返しです.時には同時にいくつかの工程が進行することもあります.診療は料理のようにマニュアルを見ながら実践することはできませんが,診療中に湧きあがった疑問の整理に本書が役に立てば幸いです.

2009年4月
平安良雄

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目 次

I. 総論
 1 精神科面接 〈平安良雄〉
  1.面接の重要性
  2.面接に必要な技量
  3.面接前に確認できること
  4.面接の進め方
  5.場所
  6.態度・言葉遣い
  7.初回面接の着目点
  8.質問のしかた
 2 状態像の把握〈小田原俊成〉
  1.外見
  2.行動
  3.話し方
  4.感情
  5.思考内容
  6.思考過程
  7.知覚
  8.知性
  9.洞察
 3 診療録の書きかた 〈高橋雄一〉
  1.そもそも診療録とは
  2.よい診療録を書くための基本
  3.何をどのように書けばよいのか
  4.その他の重要事項
  5.精神保健福祉法に関する入院診療録の記載例
 4 症状評価尺度〈青山久美〉
  1.統合失調症の評価尺度
  2.うつ病の評価尺度
  3.躁病の評価尺度
  4.不安症の評価尺度
 5 診断―操作的診断と従来診断について〈小田原俊成〉
  1.従来診断と操作的診断
  2.個々の疾患における従来診断と操作的診断
  3.初診時の診断と診断の見直しについて
 6 治療計画と手順 〈勝瀬大海〉 
  1.診断の確実性はどうか?
  2.標準的な治療法は何か?
  3.治療計画を組み立てる
  4.インフォームドコンセントをとる
  5.入院について判断する
 7 精神療法〈平安良雄〉
  1.意義
  2.分類
  3.支持的精神療法
  4.認知療法
 8 薬物療法
  a.抗不安薬・睡眠薬〈野本宗孝〉
   A.抗不安薬
    1.代表的な薬剤,分類
    2.用法用量,標的症状,副作用,副作用時の対策
    3.処方する際に患者へ説明,伝えておくべきこと
    4.処方例
    5.切り替え方法
    6.妊娠・授乳中の注意
   B.睡眠薬
    1.代表的な薬剤,分類
    2.用法用量,標的症状,副作用,副作用時の対策
    3.処方する際に患者へ説明,伝えておくべきこと
    4.処方例・切り替え方法
    5.妊娠・授乳中の注意
  b.抗うつ薬〈岸田郁子〉
    1.抗うつ薬の種類と特徴
    2.抗うつ薬治療の要点と注意点
    3.副作用とその対策
  c.抗精神病薬〈須田 顕〉
    1.非定型抗精神病薬(第2世代抗精神病薬)
    2.定型抗精神病薬(第1世代抗精神病薬)
    3.薬剤の選択
    4.クロザピン(クロザリル)について
    5.抗精神病薬の副作用
    6.併用薬・合併症・妊娠がある患者への使用
    7.減量・中止について
  d.気分安定薬〈石井美緒〉
    1.代表的な気分安定薬
    2.双極性障害以外の疾患に対する有効性

II. 各論
 1 統合失調症スペクトラム障害
  a.急性期 〈平安良雄〉
    1.疫学
    2.病態の把握
    3.診断
    4.治療
    5.治療環境の選択基準
    6.家族・本人への説明
    7.予後
    8.医師による治療以外の資源の活用
  b.慢性期・リハビリテーション〈中村亮太〉
    1.疫学
    2.病態の把握
    3.診断
    4.治療
    5.治療環境の選択基準
    6.家族・本人への説明
    7.予後
    8.医師による治療以外の資源の活用
 2 うつ病〈岸田郁子〉
  a.診断と治療
    1.疫学と成因
    2.診断
    3.治療
    4.治療の選択
    5.経過と予後
    6.家族への心理教育と医療以外の支援
  b.社会復帰・職場復帰
    1.うつ病:回復期の治療ポイント
    2.復職の手順
    3.その他の重要事項
 3 双極性障害〈須田 顕〉
    1.疫学
    2.病態の把握と診断
    3.鑑別診断と他の精神疾患の合併
    4.治療
    5.家族・本人への説明および心理社会的治療
    6.予後
 4 不安症・強迫症・身体症状症〈浅見 剛〉
  A.不安症(群)
   A-1 パニック症
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
   A-2 広場恐怖症
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
   A-3 社交不安症(社交恐怖)
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
   A-4 全般性不安症
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
  B.強迫症
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
  C.身体症状症
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
 5 心的外傷およびストレス因関連障害群〈藤田純一〉 
  A.反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
  B.脱抑制型対人交流障害
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
  C.心的外傷後ストレス障害(PTSD)
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
  D.急性ストレス障害
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
  E.適応障害
    1.病態の把握
    2.診断,鑑別診断
    3.治療
 6 物質(アルコール・薬物)関連障害 〈青山久美〉
    1.物質関連障害と行動嗜癖
    2.疫学
    3.面接の基本
    4.病態の把握
    5.診断
    6.精神疾患の合併
    7.治療
    8.医療以外の資源の活用
    9.治療環境の選択基準
    10.届出義務
    11.予後
 7 境界性パーソナリティ障害〈浅見 剛〉
    1.疫学
    2.病態の把握
    3.診断
    4.治療
    5.治療環境の選択基準
    6.家族・本人への説明
    7.予後
    8.医師による治療以外の資源の活用
 8 食行動障害および摂食障害〈廣内千晶〉
    1.疫学
    2.病態の把握
    3.診断
    4.治療
    5.治療環境の選択基準
    6.家族・本人への説明
    7.予後
    8.医師による治療以外の資源の活用
    9.診療上「してはいけないこと」
 9 認知症〈勝瀬大海〉
    1.定義
    2.疫学
    3.病態の把握
    4.診断
    5.治療
    6.治療環境の選択基準
    7.家族・本人への説明
    8.予後
    9.医師による治療以外の資源の活用
 10 脳器質性精神障害 〈千葉悠平〉
    1.定義
    2.診療にあたっての基本的な考え方
    3.分類
    4.疫学
    5.診断についての考え方
    6.検査の考え方
    7.治療の考え方
    8.患者および家族への説明について
 11 神経発達症群〈藤田純一〉
    1.神経発達症鑑別
    2.主な疾患について
    3.成人期の神経発達症群について
 12 精神科救急の対応
  a.興奮・激越への対処法〈六本木知秀〉
    1.アセスメント
    2.心理的介入
    3.チームによる対応
    4.行動制限
    5.薬物による対処法
  b.自殺企図・希死念慮 〈日野耕介〉 
    1.近年の動向
    2.自傷行為と自殺企図について
    3.希死念慮を抱える患者への対応
    4.自殺未遂者への対応
    5.薬物過量内服をめぐる問題について
 13 コンサルテーション・リエゾン・緩和ケア 〈吉見明香〉
    1.有効なコンサルテーションのために
    2.機能障害時の薬剤投与について
    3.その他の理由での注意点
    4.せん妄
    5.緩和ケア
 14 児童・思春期患者への対応〈高橋雄一〉
    1.子どもの精神疾患
    2.子どもの診療を行う上での留意点
    3.子どもの診察の実際
    4.主な子どもの状態像と対応
 15 社会資源の活用〈泉 桃子〉
    1.在宅生活を支える制度
    2.施設入所の活用
    3.入院による医療
    4.経済面を支える制度
    5.精神障害者保健福祉手帳
    6.日中活動の場
 16 脳波検査〈中川牧子〉
    1.脳波の定義と臨床的意義
    2.脳波判読の基本
    3.精神科診療における脳波検査
    4.実際の脳波
 17 心理検査〈藤田英美〉
    1.心理検査の種類と代表的な検査
    2.心理検査の導入
    3.結果のフィードバック
    4.心理検査の限界
 18 心理療法〈小林 陵〉
    1.心理療法とは?
    2.心理療法の分類
    3.心理療法の導入
    4.心理療法の限界
    5.心理療法の治療構造
    6.導入後の主治医の役割
    7.心理療法の終結
 19 精神保健福祉法〈小田原俊成〉
    1.入院治療のポイント
 20 精神障害をもつ患者の看護─医師と協働する─〈廣島のぶ子〉
    1.「精神障害をもつ患者」を理解すること
    2.精神科看護師の役割とは?
    3.精神科に携わる医療者に求められることは?
    4.精神障害をもつ患者の看護とは?
    5.精神障害をもつ患者の退院支援・訪問支援
    6.精神科医療チームとして

付録
 1 学会・カンファレンスでのプレゼンテーション〈野本宗孝〉
    1.学会でのプレゼンテーション
    2.カンファレンスでのプレゼンテーション
 2 指定医・専門医の取得〈吉田晴久〉
    1.精神保健指定医
    2.精神科専門医
 3 有用な書籍およびサイト〈井上佳祐〉
    1.書籍
    2.サイト

索引

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執筆者一覧

平安良雄  横浜市立大学医学部精神医学教室教授 編集
小田原俊成 横浜市立大学保健管理センター長・教授 
高橋 雄一 横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター准教授 
青山 久美 横浜市立大学附属病院児童精神科助教 
勝瀬 大海 横浜市立大学医学部精神医学講師 
野本 宗孝 横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター診療講師 
岸田 郁子 医療法人社団清心会藤沢病院臨床研究担当長 
須田  顕 横浜市立大学医学部精神医学助教 
石井 美緒 横浜市立大学附属病院精神科助教 
中村 亮太 横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門 
浅見  剛 横浜市立大学医学部精神医学講師 
藤田 純一 横浜市立大学附属病院児童精神科講師 
廣内 千晶 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター助教 
千葉 悠平 横浜市立大学医学部精神医学教室客員研究員・ 
      スタンフォード大学医学部精神医学客員助教・医療法人積愛会横浜舞岡病院 
六本木知秀 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター助教 
日野 耕介 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター助教 
吉見 明香 横浜市立大学附属病院緩和医療部助教 
泉  桃子 横浜市立大学附属市民総合医療センター医療相談支援担当 
中川 牧子 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター助教 
藤田 英美 横浜市立大学附属病院精神科心理室 
小林  陵 横浜市立大学附属病院精神科心理室 
廣島のぶ子 横浜市立大学附属市民総合医療センター看護師長 
吉田 晴久 横浜市立大学附属病院精神科助教 
井上 佳祐 横浜市立大学付属市民総合医療センター精神医療センター助教 

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精神科レジデントハンドブック 第3版
   定価4,180円(本体3,800円 + 税)
   2017年06月発行
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