序
筆者が総合内科の門を叩いてから約10年が経過したが,その時から比べると総合内科に関する良書は爆発的に増え,また研修施設も増えたため,以前よりも総合内科が学びやすくなったことは間違いない.これも全国で総合内科を実践されている指導医の先生方の努力の結晶であると思う.
そのような中である日,筆者のもとに総合内科に関する本の執筆依頼が届いた.「教育に熱心な先生がいると聞いたので,ご依頼させていただきました.」とのことで,本当にありがたいお話であった.この分野には心の底から尊敬できる偉大な指導医が多数おり,そのようなスーパードクターからみると並みの総合内科医である筆者が何を書けるか考えてみた.
日常診療に於いて,総合内科医の診療に触れたことのある医師であれば当たり前であることも,専門研修のみを受けてきた医師からするとなかなか理解の及ばないことがあると度々感じることがあった.このような状況をふまえ,自分が経験した症例を通じて,日常的にみられるが,あまり知られていない事例を中心に(一部マニアックな症例も含まれていますが,ご愛嬌でお許し願いたい),100例を厳選した.実際に筆者が経験し,ピットフォールを回避できた症例集である.医学生,初期研修医,後期研修医,総合内科を研修しなかった専門診療科の先生方,開業医の先生方を対象に,なるべく読みやすいように,短く,簡潔にという点に重点を置いて解説した.本書を通じて,内科的なマネジメントが向上し,最終的に患者さんをHAPPYにできるような診療を実践できる医師が一人でも増えることを願っている.
なお,細心の注意を払って執筆したが,一人で書き上げたため,至らない点もあるかと思う.是非,多々ご指摘,ご叱正を頂けたらありがたいと思っている.
本書の執筆に当たり多くのアドバイスをくださった西崎光弘先生,徳田 安春先生,土田 浩生先生,川田 剛裕先生,岡 秀昭先生,西迫 尚先生,松本 謙太郎先生,半田 寛先生にこの場を借りて感謝申し上げます.また,発展途中であり,まだまだ未熟な筆者にこのような出版の貴重な機会を与えてくださった中外医学社の関係者の方々にこの場を借りて御礼申し上げます.この本の執筆を通して,自分の成長を実感できました.
最後になるが,いつも陰ながら支えてくれている妻 悠香と長女 茉侑にも心から感謝を申し上げたい.ありがとう.
2017年4月
根本 隆章