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書籍詳細

カダバーと動画で学ぶ頭蓋底アプローチ

カダバーと動画で学ぶ頭蓋底アプローチ

栗栖 薫 監修 / 井川房夫 編著 / 川原信隆 編著 / 後藤剛夫 編著

B5判 254頁

定価(本体12,000円 + 税)

ISBN978-4-498-22884-9

2017年05月発行

在庫あり

監修の序
この度,井川房夫准教授,川原信隆前教授,後藤剛夫講師の編集による『カダバーと動画で学ぶ頭蓋底アプローチ』が発刊されることとなりました.これまで数多くの手術書が発刊され,我々は勉強させて頂いてきました.
手術記録の中に描かれるきれいな図は「芸術」とまでいえるような素晴らしいものであり,非常に印象的でイメージを長く残しておくのに役立っています.一方最近では手術中の画像記録がビデオからDVDに代わり,その局面,局面でのデジタル画像をダウンロードして,手術記録に貼り付けることが多くなったと思います.手術顕微鏡下でのcadaver dissectionは微小解剖を学べる点,あるいは頭蓋底の解剖,白質線維の走行など実際に手術のシミュレーションも兼ねて研修できる点が,ただ手術ビデオを観て勉強するより遥かにより実地的です.
本刊は,それらのそれぞれの利点を活かし,また,制限をカバーして克服するものとして,これまでにない企画で構成されています.手術では,制限のある中で,できるだけ侵襲少なく,最大限の対応可能な手術アプローチや手術操作,術野の展開が要求されます.その局所の解剖学的オリエンテーションを得るために,必要でないところまで剥離や切開・露出を行うわけにはいきません.一方,カダバーを用いての勉強では,最終的には全て露出しても構わない状況で,アプローチのそれぞれの局面における展開を確認しながら,開放や切開,切離を進めていくことが可能です.それに,それぞれの手術アプローチにおける言語的な解説が加わることとなります.もちろん,ポイントになるそれぞれのモダリティーでの画像の術前の読み,更にはそれらを複合して作成されたシミュレーション画像も,最近では当たり前のように検討されています.それらが経験の少ない術者に,あたかも実際の手術に於ける術野の展開に近似した立体的手術局所解剖学を学ぶ機会となっています.
これらの要素を書籍と,Web上からアクセスすることにより動画も閲覧できて,手元にあるテキストを読みながら,PC上で動画を確認し,まるで手術室や解剖センターにいるかのような空間を生み出すことになります.まさに,紙媒体だけではなく,また,ビデオやDVDだけでなく,様々な情報媒体を応用しての新しい情報供与・応用による教育が実践できるわけです.将来大きく出版界に影響を与えるような試みとも取ることができます.
改めて,このような形での本書の作成と更に発刊決定をされました,編者と出版社に敬意を表すものであります.読者の皆様が,「複合された頭蓋底への手術アプローチに関する情報」を大いに活用して,限られた経験の中にあっても最大限の安全性と有効性を得ることができますことを,その結果として患者さんに最大限の益を与えることができますことを願ってやみません.

2017年4月
広島大学副理事・広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経外科学教授
栗栖 薫

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頭蓋底アプローチは症例が少なく,経験を積みたくても困難な領域でした.いつ必要になるかはわからないけれど,若いころからカダバーダイセクションコースへ参加し,頭蓋底の解剖を勉強してきました.しかし,一度や二度のコースへの参加では実践に役立たず,何度もコースへ参加する必要がありました.必要なアプローチの直前に,カダバーで同じアプローチをしておくのが理想ですが,なかなか理想通りにはいきません.
どんな達人,エキスパートでも生まれて初めての手術アプローチがあります.やったことがないアプローチは重圧もありますが,脳神経外科の醍醐味の一つで,それを乗り越えた時には大きな達成感が得られます.プロスポーツの選手が「プレッシャーを楽しむ」と言いますが,脳神経外科医もプレッシャーは自分を育ててくれることを知り,前向きに受け止める姿勢が大切だと考えます.プレッシャーに勝つためには事前に十分な準備をせざるを得ません.手術動画だけでなく,カダバー動画を繰り返し見ることは非常に有用です.
以前,福島孝徳先生のカダバーコースのあと,カダバー動画ビデオが配布されたことがありました.音声の入った芸術的な解剖コースは何度見ても新たな勉強になりました.また,九州大学の先生方がロートン先生から学んだ解剖動画をVHSビデオ動画シリーズに作成され,術前にVHSビデオを擦り切れるほど見て右脳に叩き込みました.患者さんを担当し,術前に解剖動画を見ることは本当に実践勉強になりました.これらの経験から私は,手術動画だけでなく,カダバー動画が脳神経外科医に絶対に役立つと確信し,本書を作成するに至りました.慣れていないアプローチの前に,本書の動画を是非何度も見ていただきたいと思います.現代はスマートフォンやiPadもあり,ネット環境が充実してきました.ただ,本書はカダバーダイセクションコースへの参加を全く省略するものではありません.自分自身でカダバーの解剖実践は必要ですが,その回数を減らすのに役立つと思います.
本書は頭蓋底外科エクスパートの一人である前横浜市立大学脳神経外科学教授 川原信隆先生と共同編集の機会を頂いておりましたが,かないませんでした.故川原信隆教授の教えと魂を受け継いだ本になれば幸せです.執筆をお願いした先生方は,日本の第一線でご活躍されている先生ばかりで,超ご多忙にもかかわらず,充実した内容に仕上げてくださり,この場を借りて厚く御礼申し上げます.本書は,豊富な図・写真とインターネットを利用した手術動画・カダバー動画を含み,ネット環境さえあればいつでもどこでも動画を見ることができます.必ずや先生方のお役に立てると確信しております.ひいては多くの患者様のお役に立てることができましたら幸いです.

2017年3月
井川房夫

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目次

I Anterior skull base, Transnasal

 1.Transsphenoidal approach
  1)手術
   1下垂体腺腫   〈川俣貴一〉
    TSSの実際
     1.セッティング
     2.鼻腔内操作
     3.蝶形骨洞内操作
     4.トルコ鞍底開窓・硬膜切開
     5.腫瘍摘出
     6.海綿静脈洞近傍の操作
     7.閉創
    症例3 非機能性下垂体腺腫

   2頭蓋咽頭腫に対するextended transsphenoidal approach
    (endoscopic endonasal transplanum-transtuberculum approach)  〈阿久津博義〉
    術前検査
     1.MRI
     2.下垂体部-鼻腔全体のCT(3方向)
     3.耳鼻科診察
     手術器械準備
     1.内視鏡
     2.手術器械
     3.ナビゲーション
    手術手技
    症例:鞍上部頭蓋咽頭腫症例

  2)カダバー   〈堀口健太郎〉
    Transsphenoidal approachの手術手技
     1.鼻腔解剖
     2.蝶形骨洞解剖
     3.硬膜内解剖

 2.Endoscopic endonasal anterior petrosal approach
  1)手術   〈後藤剛夫,大畑建治〉
    経鼻内視鏡下錐体骨解剖
    Endoscopic endonasal anterior petrosal approach
  2)カダバー   〈後藤剛夫,大畑建治〉

 3.Transclival approach
  1)手術   〈木下康之,富永 篤〉
    症例
     1.術前検査
     2.術前の準備
     3.手術
  2)カダバー   〈堀口健太郎〉
    Transclival approachの手術手技
     1.鼻腔-蝶形骨洞解剖
     2.斜台部解剖

 4.Trans-maxillary approach
  1)手術   〈中川隆之〉
    手術方法
     1.上顎洞開放
     2.蝶口蓋動脈同定
     3.蝶形骨洞開放,翼突管同定
     4.上顎洞後壁削除,正円孔同定
     5.翼口蓋窩の蝶形骨からの剥離
     6.V-Rラインでの骨削除,下顎神経同定
    症例
    症例動画
  2)カダバー   〈中川隆之〉
    カダバー1
     Step 1
     Step 2
     Step 3
     Step 4
    カダバー2

 5.Transbasal approach
  1)手術   〈岩味健一郎,齋藤 清〉
    適応
    疾患
     Transbasal approachに必要な解剖
     1.前頭蓋底解剖
     2.前頭蓋底硬膜
     3.前頭蓋底アプローチにより到達可能な解剖構造
    術前検討
    Anterior craniofacial approach(ACFA)
    手技のステップ
    前頭蓋底一塊切除
    手技のステップ
  2)カダバー   〈岩味健一郎,齋藤 清〉
    Transbasal approachに必要な解剖
    Anterior craniofacial approach(AFCA)
    手技のステップ

II Middle skull base

 1.Modified Dolenc approach
  1)手術   〈井川房夫〉
    体位,皮膚切開,開頭
    Modified Dolenc approachの実際
    Modified Dolenc approachの利点
  2)カダバー   〈野口明男〉
    手術手技
     1.皮膚切開
     2.開頭と第2骨片(orbito-zygomatic bar)の作成
     3.左extradural anterior clinoidectomy
     4.左Dolenc approach

 2.Extradural temporopolar approach
  1)手術   〈森 健太郎〉
    術前検査
    手術方法
    内頚動脈傍床部動脈瘤の手術
    脳底動脈先端部動脈瘤の手術
    閉頭と術後管理
    補足(海綿静脈洞からの出血のコントロール)
  2)カダバー   〈森 健太郎〉
    EDTPAの手術手技
    Cadaver dissectionの手順
     1.硬膜外操作
     2.硬膜内操作

 3.Pericavernous sinus approach 〈鮫島哲朗〉
    海綿静脈洞の基本解剖
    海綿静脈洞へのアプローチ(cavernous sinus triangles)
    Peri and cavernous sinus approach
     1.開頭および硬膜外からのアプローチ
     2.海綿静脈洞上壁からのアプローチ (前床突起の削除と海綿静脈洞上前壁の開放)
     3.海綿静脈洞外側壁からのアプローチ
     4.閉創

 4.Anterior petrosal approach
  1)手術   〈吉田一成〉
    適応
    必要な知識
    術前検査
     1.CT
     2.MRI
     3.Angiography
    手術手技
     1.体位,皮切・開頭
     2.中頭蓋底の剥離
     3.Anterior petrosectomy
     4.SPS,天幕離断
     5.閉創
    補足1 中大脳静脈の還流パターンと温存の工夫
    補足2 内耳道上後方へ進展した髄膜腫への対応
    手術症例提示
     1.三叉神経鞘腫(P type)
     2.錐体斜台部髄膜腫
  2)カダバー   〈吉田一成〉
    皮膚切開から開頭
    中頭蓋底の硬膜外剥離
    Anterior petrosectomy
    硬膜・天幕切開
    海綿静脈洞の開放

 5.Middle fossa approach
  1)手術   〈伊澤仁之,河野道宏〉
    術前検査
    手術
     1.術前準備,体位
     2.皮切,皮弁,側頭筋処置
     3.開頭
     4.硬膜外術野の展開
     5.内耳道の想定と開放
     6.錐体骨ドリリング
    閉創と術後管理
     1.閉創
     2.術後管理
  2)カダバー   〈伊澤仁之,河野道宏〉
    Cadaver dissectionの手順
     1.皮切・開頭
     2.中頭蓋底硬膜外操作
     3.錐体骨ドリリング

III Posterior skull base

 1.Posterior-combined petrosal approach
  1)手術
   1腫瘍手術   〈森迫拓貴,後藤剛夫,大畑建治〉
    手術手技
     1.体位
     2.皮切および有茎筋膜骨膜弁作成
     3.開頭
     4.S状静脈洞露出と錐体骨露出
     5.錐体骨削除
     6.硬膜テント切開
     7.硬膜内の観察
     8.閉創
    手術症例:頭蓋咽頭腫
    手術の実際
     1.体位
     2.皮切
     3.開頭
     4.硬膜切開,テント切開
     5.腫瘍摘出
     6.閉頭
     7.術後
   2血管障害手術   〈太田仲郎,谷川緑野〉
    CTPAの適応
    術前評価
    体位
    皮膚切開
    症例:27歳女性,椎骨脳底動脈合流部大型動脈瘤
    手術の実際
     1.浅側頭動脈(superficial temporal artery: STA)と後頭動脈(occipital artery: OA)の確保
     2.Posterior petrosectomy
     3.Anterior petrosectomy
   3Transmastoid approach   〈鮫島哲朗〉
    症例1:右聴神経鞘腫
     1.体位と皮切
     2.Mastoidectomy
     3.内耳道硬膜の露出
     4.内耳道硬膜の切開
     5.腫瘍圧減圧
     6.腫瘍皮膜の剥離
     7.閉創
  2)カダバー   〈鮫島哲朗〉
    側頭骨のランドマーク
    皮膚切開
    体位
    Part A:Mastoidectomy
     Step 1:皮膚切開と筋層の展開,ランドマークの確認
     Step 2:Mastoidectomyの基本手技
     Step 3:三半規管の削開と内耳道の露出
    Part B:Combined transpetrosal approach
     Step 1:体位と皮切
     Step 2:Mastoidectomyと開頭
     Step 3:Anterior transpetrosal approach
     Step 4:硬膜切開と主要解剖構造の観察
     Step 5:Total petrosectomy(錐体削開)

 2.Transcondylar approach
  1)手術   〈坂田勝巳,末永 潤,田中貴大,川原信隆〉
    拡大型後頭下開頭の変遷
    手術症例の呈示:大孔部髄膜腫
    術前画像所見
    手術所見
     1.第1段階:後頭下開頭
     2.第2段階:硬膜外操作
     3.第3段階:腫瘍摘出
     4.術後経過
  2)カダバー   〈坂田勝巳,田中貴大,末永 潤,川原信隆〉
    第1段階:皮膚切開および後頭下筋群
     1.後頭下筋層の解剖
     2.後頭下三角
     3.後頭蓋窩手術に必要な骨学
    第2段階:硬膜外操作
    第3段階:硬膜内操作

 3.Cervicocranial approach
  1)手術   〈山口 智〉
    Midline approachで対応可能な頭蓋頚椎移行部病変
    大後頭孔から環軸椎の手術解剖的特徴
    手術手技
     1.後頭骨下面からC2までの展開
     2.硬膜内操作における注意点
  2)カダバー   〈原田洋一〉
    硬膜外の解剖(皮膚切開〜筋肉剥離〜後頭骨)
     1.皮膚切開
     2.筋肉切開〜後頭骨露出
    椎骨動脈
    C1,C2神経
    後頭下開頭〜硬膜内の解剖

あとがき

索引

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執筆者一覧

栗栖 薫  広島大学副理事・広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経外科学教授 監修
井川房夫  広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経外科学准教授 編著
川原信隆  前横浜市立大学大学院医学研究科脳神経外科学教授 編著
後藤剛夫  大阪市立大学大学院医学研究科脳神経外科学講師 編著
川俣貴一  東京女子医科大学脳神経外科学講座教授・講座主任 
阿久津博義 筑波大学医学医療系脳神経外科講師 
堀口健太郎 千葉大学大学院医学研究院脳神経外科学助教 
大畑建治  大阪市立大学大学院医学研究科脳神経外科学教授 
木下康之  広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経外科学助教 
富永 篤  県立広島病院脳神経外科主任部長 
中川隆之  京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師 
岩味健一郎 愛知医科大学医学部脳神経外科学講師 
齋藤 清  福島県立医科大学医学部脳神経外科学教授 
野口明男  杏林大学医学部脳神経外科学講師 
森 健太郎 防衛医科大学校脳神経外科学講座教授 
鮫島哲朗  浜松医科大学医学部脳神経外科講師 
吉田一成  慶應義塾大学医学部脳神経外科学教授 
伊澤仁之  東京医科大学脳神経外科学分野助教 
河野道宏  東京医科大学脳神経外科学分野主任教授 
森迫拓貴  大阪市立大学大学院医学研究科脳神経外科学講師 
太田仲郎  札幌禎心会病院脳神経外科副部長 
谷川緑野  札幌禎心会病院副院長 
坂田勝巳  横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経外科部長・准教授 
末永 潤  横浜市立大学大学院医学研究科脳神経外科学講師 
田中貴大  横浜市立大学大学院医学研究科脳神経外科学 
山口 智  広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経外科学助教 
原田洋一  水戸ブレインハートセンター副院長 

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