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書籍詳細

咳のみかた、考えかた

咳のみかた、考えかた

倉原優 著

A5判 250頁

定価(本体4,000円 + 税)

ISBN978-4-498-13034-0

2017年04月発行

在庫あり

院内でそれを聴かない日はないといってよいほどごくありふれた臨床症状でありながら、患者さんのQOLに大きく影響し、さまざまな疾患の可能性を内包している厄介な「咳」の診療についてまとめた本です。咳を診療する前の鉄則、咳の診断ツール、各疾患の各論、鎮咳薬の使い方、実際の戦略の組み立て、著者が出会った珍しい咳嗽など、「咳」についてあらゆる角度から徹底的に解説を行いました。

著者略歴
倉原 優
国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科医師.2006年滋賀医科大学卒業.洛和会音羽病院を経て2008年より現職.日本呼吸器学会呼吸器専門医,日本感染症学会感染症専門医,インフェクションコントロールドクター.自身のブログで論文の和訳やエッセイなどを執筆(ブログ「呼吸器内科医」 http://pulmonary.exblog.jp/).

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はじめに
私は咳嗽が嫌いです.私とて3週間におよぶ遷延性咳嗽の経験があるのですが,本当にアレはしんどい.息を吸うたびに胸がピリピリ・イガイガして,ゴホンゴホン! 会議中でも人前でも,胸のピリピリ・イガイガは容赦なく襲いかかってきます.
ある質的研究によれば,咳嗽を訴えて外来を受診する患者さんは,平均6.5個の鑑別疾患を頭に浮かべているとされています.彼らは決して医学の勉強をしているわけではなく,この鑑別疾患の中には巷の情報から得た無用の心配ごとも含まれています.一方,医師は平均2.8個しか鑑別疾患を挙げません.ありゃ,6.5個と比べるとえらい少ないですね.
どれだけ鑑別疾患を挙げられるか,という順位を医師間で競っているわけではありませんし,慢性咳嗽の鑑別疾患を20個列挙できたら名医という簡単なものでもありません.この本を読んでいただければ,患者さんの咳嗽にまつわるエピソードにどれだけ傾聴できたかということが,慢性咳嗽の原因に至る最も確実な道しるべであるかわかっていただけると思います.
―――今も地球のどこかで咳嗽で苦しむ患者さんがいる.そのことを忘れずに咳嗽診療を続けていきたいと思います.
執筆の企画発案をいただきました中外医学社の岩松宏典様に感謝申し上げます.また,執筆に協力していただいた当院の片山加奈子先生,市立福知山市民病院総合内科川島篤志先生,西村康裕先生にも心よりお礼申し上げます.世界を舞台に活躍するテキスタイルデザイナー・アーティストの谷川幸さん(C.a.w Design Studio代表),中学校・高校時代のクラスメイトというよしみで2回目のデザインを引き受けてくれてありがとう.私が咳に抱くイメージにぴったりの美しい装丁になりました.そしていつも私にパワーをくれる妻の実佳子,長男の直人,次男の恵太もありがとう.
2017年3月
倉原 優

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目次

第1 章 咳嗽とは何なのか
   1.咳嗽という漢字
   2.咳嗽の定義
   3.咳嗽のメカニズム
   4.知っておきたい咳嗽パラメータ

第2 章 咳嗽の概論
   1.急性咳嗽
   2.遷延性咳嗽・慢性咳嗽の原因疾患
   3.咳嗽グラフ
   4.喀痰の有無
   5.咳嗽発生時間帯

第3 章 咳嗽を診療する前の鉄則
   1.あらゆる疾患が咳嗽を呈しうる
   2.咳嗽のレッドフラグ
   3.患者さんのQOL を第一に考える

第4 章 咳嗽の診断ツール
   1.問診
   2.咳嗽強度,咳嗽関連QOL
   3.身体所見
    1)バイタルサイン
    2)鼻の観察
    3)口腔咽頭の観察
    4)聴診
    5)四肢診察
    6)視診
   4.検査
    1)胸部X 線写真
    2)呼吸機能検査
    3)呼気一酸化窒素濃度(FeNO)
    4)気道過敏性検査
    5)気管支平滑筋収縮誘発咳嗽反応検査(メサコリン咳誘発検査)
    6)咳受容体感受性検査(カプサイシン咳感受性検査)
    7)モストグラフ
    8)血液検査
    9)喀痰・咽頭ぬぐい液検査
    10)気管支鏡検査
    11)複数の検査の組み合わせによる慢性咳嗽の判定

第5 章 急性咳嗽疾患
   1.かぜ症候群などの急性気道感染症
   2.キラー咳嗽疾患

第6 章 遷延性咳嗽・慢性咳嗽疾患各論
   1.感染後咳嗽: 百日咳,マイコプラズマ,クラミドフィラ
    1)百日咳
    2)マイコプラズマ
    3)クラミドフィラ
   2.結核,非結核性抗酸菌症,肺アスペルギルス症
    1)結核
    2)非結核性抗酸菌症
    3)肺アスペルギルス症
   3.喘息
   4. 好酸球性気道炎症疾患: 咳喘息,アトピー咳嗽,非喘息性好酸球性気管支炎
    1)咳喘息
    2)アトピー咳嗽
    3)非喘息性好酸球性気管支炎
    4)好酸球性気道炎症疾患のまとめ
   5. 副鼻腔気管支症候群(sinobronchial syndrome: SBS),気管支拡張症
   6. 上気道咳症候群(upper airway cough syndrome: UACS,後鼻漏症候群,鼻炎を含む)
   7. 好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis: ECRS)
   8.胃食道逆流症
   9.COPD
   10.慢性誤嚥
   11.特発性肺線維症
   12.喫煙咳嗽
   13.薬剤性咳嗽
    1) ACE 阻害薬
    2)フェンタニル
    3)薬剤性気管支攣縮
    4)薬剤性肺障害
   14.somatic cough syndrome(SCS),心因性咳嗽
   15. cough hypersensitivity syndrome(CHS),laryngeal hypersensitivity(LH)
   16.気道異物

第7 章 非特異的鎮咳薬
   1. 中枢性麻薬性鎮咳薬: コデインリン酸水和物(リンコデ),ジヒドロコデインリン酸,
        オキシメテバノール(メテバニールⓇ)
   2.中枢性麻薬性鎮咳薬: 塩酸モルヒネ
   3. 中枢性非麻薬性鎮咳薬: デキストロメトルファン(メジコンⓇ,アストマリⓇ,シーサールⓇ)
   4. 中枢性非麻薬性鎮咳薬: ジメモルファン(アストミンⓇ,ジメモルミンDS Ⓡ),
        チペピジン(アスベリンⓇ),エプラジノン(レスプレンⓇ),
        ペントキシベリン(トクレスⓇ,ガイレスⓇ),ベンプロペリン(フラベリックⓇ),
        クロフェダノール(コルドリンⓇ),ノスカピン(ノスカピンⓇ)
   5.ハチミツ,ハチミツコーヒー
   6.マクロライド系抗菌薬長期療法
   7.対症療法としての吸入薬
   8.漢方薬(麦門冬湯,小青竜湯,清肺湯,柴朴湯)
   9.その他

第8 章 実際の戦略の組み立て
   1.フローチャート
    1)鑑別診断に入る前に喫煙やACE 阻害薬をやめてもらう
    2)感染後咳嗽のチェック
    3)レッドフラグの確認
    4)聴診
    5) GERD,アトピー咳嗽,咳喘息,SBS,UACS の鑑別を試みる
    6)治療介入
   2.治療的診断
    1)マクロライド系抗菌薬
    2)吸入薬+ヒスタミンH1 受容体拮抗薬
    3)プロトンポンプ阻害薬(PPI)
    4)非特異的鎮咳薬
    5)慢性咳嗽スーパーカクテル

第9 章 珍しい咳嗽たち
   1.咳嗽の原因はもっと上にあった
   2.にわとりが先か,卵が先か
   3.咳嗽の原因はまさかの大動脈に
   4.遠い日の記憶

COLUMN
   ・咳嗽の速度は?
   ・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は咳嗽に効く?
   ・インターネット調査が明かす慢性咳嗽診療の難しさ
   ・布団歴
   ・神社歴
   ・心臓喘息ではピークフロー値は低下しにくい?
   ・もう少しモストグラフ
   ・咳喘息 vs アトピー咳嗽,現場ではどう診断すればよいのか?
   ・緑膿菌のquorum-sensing
   ・deflation cough
   ・びまん性嚥下性細気管支炎
   ・有望な鎮咳薬 P2X 3 受容体拮抗薬
   ・末梢性鎮咳薬ベンゾナテート
   ・慢性咳嗽にボツリヌス毒素が効く!?

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倉原優 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科 著

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