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書籍詳細

明日のアクションが変わる 循環器救急の真髄 教えます

明日のアクションが変わる 循環器救急の真髄 教えます

川上将司 著

A5判 418頁

定価(本体6,400円 + 税)

ISBN978-4-498-13432-4

2017年03月発行

在庫あり

「臨床実地ではエビデンスを“作る”能力ではなく“使いこなす”能力が必要」,という著者が,循環器救急の現場での急性期対応から薬物療法,補助循環など,選りすぐりの12テーマについて豊富な経験をもとにその“真髄”を語る.循環器科医、救急集中治療医、総合診療医のみならず,メディカルスタッフが病態の理解と現在のエビデンスの整理を行ったうえで,それらを臨床実地へいかに落とし込めばよいかを教えてくれる貴重な書

序文

プリミティヴな正義感をふりまわされるのは困る,とよくいわれる.
しかしボクにはそれが貴いものだと思っている.
白洲次郎





 この本は,循環器科医,救急集中治療医,総合診療医,そして循環器救急疾患に関わるコメディカルが,病態の理解と現在のエビデンスの整理を行った上で,それらを臨床実地へ如何に落とし込むか,その作業の架け橋になることを願って執筆しました.

 研究に勤しみ論文を執筆することは医学の発展には欠かせませんが,本人の臨床能力向上に直接結びつくわけではありません.臨床実地ではエビデンスを「作る」能力ではなく「使いこなす」能力が必要です.また専門医が自分の専門領域をどの範囲に設定するかという問題は議論が尽きませんが,やはり第一線の臨床医として生きていくためにはかなり広い守備範囲を持つ覚悟が必要です.これは,高齢化し多様化する現在の医療が私たちに要求している,不可避な現実でもあります.そして医師は多くの状況で医療チームを牽引する統率力を求められ,そのためには生涯をかけて人間的魅力を探求し続ける必要があるでしょう.

 臨床研修制度の改革により,わが国にも救急・集中治療医,総合診療医といった優秀なジェネラリストが育つための土壌が確立しつつある今日,各領域の専門家であるスペシャリストの存在意義も再定義されつつあります.臨床の現場で役に立たない専門医はその場から淘汰される時代がやってきました.若い先生方,コメディカルの方々は従来の固定観念に縛られない,今の自分自身が信じるアイデンティティーを大事にしてほしいと思います.

 卒後11年目となった今,CCUにローテートしてくれるレジデントへ,あの頃の自分が知りかったこと,失敗したことを同じ目線で伝えたいという思いで指導医としての日々を過ごしています.そして彼らがそれを咀嚼し発展させ,次の世代へ伝えていってほしいと思っています.

 この本には,筆者がレジデントと過ごすCCUの日常が詰めこまれています.目の前の患者さんと真摯に向き合う医療従事者の方々が,明日からも誇りをもって臨床の現場で働くために,この本が少しでも支えになれば幸いです.

 最後に,本書の企画・編集において中外医学社の宮崎雅弘様,田内滋人様にお世話になりました.お礼を申し上げます.

 2017年2月

 川上将司

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刊行によせて

 故・竹下彰(1940〜2009)九州大学循環器内科第2代教授は,2004年から4年間飯塚病院の非常勤臨床顧問をされていた.循環器内科医のみならず,初期研修医や総合診療科の我々にも定期的にレクチャーやベッドサイドの回診をしていただいた.エコーや心カテとは無縁の,病歴と身体所見から迫る循環器臨床の奥深さを知り,また,患者さんから学ぶ臨床医の姿勢をご教授いただいた.竹下先生の薫陶を受けた研修医の中から,飯塚病院で初期研修をし,後期研修を国立循環器病研究センターで行うという一種のコースができあがった.川上将司先生はその最後の弟子の一人である.

 一方,我々総合診療科では,2004年以降のすべての研修医に対してバイタルサインについてのレクチャー,血液ガスの解釈を教育しており,特に呼吸にこだわりをもたない研修医に対しては,William Stokes(1804〜1878)の故事を引き,19世紀以前の医者であると罵倒することもあった.川上医師は飯塚病院のERの指導医当直中に私から直接バイタルサインの教育を受けたとのことである.この循環器の本の最初が呼吸と血液ガス解析から始まっていることが,飯塚病院で研修を受けたという矜持を感じることができ,また強いメッセージ性を感じた.

 しかし彼は,国立循環器病研究センターで専門家としてさらなる進化を遂げ,教育者としての側面ももち合わせたのだと感じ取った.我々総合診療医が尻込みするようなIABPやPCPSの管理や,低体温療法などを実践的で学問的な裏付けのある文体でわかりやすく紹介してくれていた.この辺りも竹下先生が我々に示した姿勢であり,まさに,あの木曜日の昼に行われていた竹下カンファランスに参加した気分で私は読み進めることができた.

 さらに,右室梗塞,急性肺塞栓症,感染性心内膜炎による急性弁膜症などの臨場感溢れる症例提示と,マニュアルにはない,病態生理の理解をふまえた果敢な臨床判断は圧巻であった.私は謙虚に学びたいと思った.私の師匠の故・安部宗顕先生が研修医に説いていた 1.心の通った医療 2.観察と思索 3.病態生理の理解 というのが体現されていることを感じた.

 若い医師がこの本を手にとり,病態を理解し患者を救うための判断力を養成してほしい.研修医の頃は,マニュアルでその場をしのぎ,数字で物事を割り切ろうとする診療スタイルで終わってしまいがちである.次のステップがこの本である.

 2017年2月
 飯塚病院 総合診療科
 清田雅智



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巻頭言

 循環器治療の醍醐味は,急性期にダイナミックに変動する患者の病態を的確に判断し治療していくことにあります.循環不全(ショック)を呈するような場合は特に,診断・治療を,「時間との戦い」の中で進めていくことが求められます.国立循環器病研究センターCCUでは,年間約1000名の緊急入院患者を受け入れています.1977年開設以降,CCUに入院した症例に関するカンファレンスを毎朝行っています.このカンファレンスは,診断・治療内容をエビデンスに基づいて改めて「評価」し,臨床医にとって貴重な症例を「共有化」して活用していく,PDCAサイクル[Plan(計画:診断)→Do(実行:治療)→Check(評価)→Act(改善)]としての役割を担っているものと考えています.さらにカンファレンスでは,専門的知識とともに,併存疾患の多い高齢者・重症例での個々の病態把握にも努めるようにしています.

 「真髄」とは 物事の最もかんじんな点,本質 と定義されます.この「真髄」にたどりつくには,日々の症例の観察・経験と知識整理の積み重ねに尽きるのではないかと私自身は考えています.本書「明日のアクションが変わる 循環器救急の真髄 教えます」は,循環器救急・集中治療の第一線で活躍している著者らの知識と経験がたくさん詰まっています.特に「症例実況中継」では,初療室やカテーテル検査室あるいはカンファレンスで実際行われるであろうdiscussionの内容が再現されており,ここに本書の真髄があるように思います.

 目の前の患者さんのために最前を尽くし最良の医療を提供する,そのようなエキスパートを目指す読者の皆さんの一助になれば幸いです.

 2017年2月
 国立循環器病研究センター 副院長・心臓血管内科部門長
 安田 聡

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目次

第1話 知っておくべき臨床の常識・大原則
   1 「呼吸数」はバイタルサインの王である
   2 「とりあえず検査」体質をなくせ.検査前確率の重要性
   3 血液ガス分析というスピードスター
   4 コモン・イズ・コモン
   5 動かない勇気
第2話 ようこそ,循環器救急の世界へ
   1 Preparation
   2 Primary Survey+E3
   3 初期検査提出
   4 Secondary survey
   5 治療介入
第3話 電撃性肺水腫からはじめる急性心不全入門
   1 急性心不全とは:定義と診断基準
   2 急性心不全の診断におけるナトリウム利尿ペプチド
   3 クリニカルシナリオという共通言語
   4 収縮期血圧:もっとも単純で簡便な循環指標
   5 心不全の臨床像はNohria-Stevenson分類に基づいて整理する
   6 Nohria-Stevenson分類とForrester分類.何が違うのか
   7 Wet=うっ血の所見.うっ血は心不全の本態である
   8 急性心不全患者の初期のマネージメント:CHAMPを除外せよ
   9 心エコーの使い方:血行動態指標を意識する
  10 肺動脈カテーテルと対比させて覚える心エコー指標
  11 よく使う左心系の心エコー指標
  12 よく使う右心系の心エコー指標
 ◎症例実況中継 (1)
  13 電撃性肺水腫の呼吸管理:NPPVの使い方
  14 電撃性肺水腫ではCO2は貯留するのか?
  15 うっ血解除(decongestion)と利尿薬の話
  16 血管拡張薬はただの降圧薬ではない
  17 初期治療がうまくいかないときに知っておくべきこと
第4話 ST上昇型心筋梗塞のイロハとprimary PCI
   1 急性冠症候群とは:概念と分類
   2 急性心筋梗塞の定義:Universal definition
   3 心筋虚血の典型的な症状とは何か
   4 急性冠症候群を疑ったら
   5 急性冠症候群でみられるST変化
   6 ST上昇の誘導による冠動脈閉塞部位診断
   7 STE-ACSのタイムマネージメント
   8 Door-to-device timeのパラドックス
   9 Primary PCIの適応
  10 Primary PCIにおける抗血栓療法:抗凝固薬編
  11 ベアメタルステントと薬剤溶出性ステントの違い
  12 Primary PCIにおけるステントの選択
  13 Primary PCIにおける抗血栓療法:抗血小板薬編
 ◎症例実況中継 (2)
  14 プレホスピタル心電図は有効なのか
  15 STE-ACSにおける酸素投与
  16 ST上昇から責任病変を推測:前壁心筋梗塞の場合
  17 梗塞前狭心症の存在:プレコンディショニングの観点から
  18 不朽の名作:Killip分類
  19 カテーテルのアプローチ部位
  20 冠動脈造影とTIMI血流分類・心筋濃染グレード
  21 Primary PCIにおける血栓吸引療法は有効でない?
  22 Direct stentingは有効か?
  23 再灌流の指標となる促進心室固有調律
  24 Primary PCIと造影剤腎症予防のマネージメント
第5話 急性心筋梗塞の薬物療法を急性期管理の点から考える
   1 β遮断薬
   2 ACE阻害薬
   3 スタチン
   4 硝酸薬とCa拮抗薬
 ◎症例実況中継 (3)
第6話 「遅れてやってきた」心筋梗塞との戦い方
   1 発症から時間が経過した急性心筋梗塞に冠血行再建術は必要か
   2 肺動脈カテーテルと血行動態指標たち
   3 知っておくと便利な混合静脈血酸素飽和度
   4 肺動脈カテーテルは遺産? 循環器科医の本音
   5 強心薬は必要悪?
   6 大動脈バルーンパンピングの理論
   7 大動脈バルーンパンピングにエビデンスなし?
 ◎症例実況中継 (4)
   8 Frank-Starlingの法則
   9 心筋マーカーの推移を発症時期推定に活かす
  10 IABPの離脱のポイント
第7話 心停止後症候群と低体温療法
   1 心停止にまつわる基本事項
   2 突然死と心疾患の蜜月.特に冠動脈疾患
   3 心停止後症候群を知る
   4 低体温療法に強くなる
   5 低体温療法のプロトコール
   6 低体温療法中の管理で知っておくべきこと:PAD編
   7 低体温療法中の管理で知っておくべきこと:合併症編
 ◎症例実況中継 (5)
   8 胸骨圧迫は外傷?
   9 筆者の施設での低体温療法プロトコール
第8話 冠動脈が狭くなかったら考えること
   1 簡単にたこつぼ型心筋症とよばないで
   2 海外から逆輸入:たこつぼ型心筋症の報告
   3 たこつぼ型心筋症はたこつぼの形をしていなくてもよい
◎症例実況中継 (6)
   4 カテーテル室でたこつぼ型心筋症と確定できない場合
第9話 自信がもてるPCPS管理
   1 PCPSの名は
   2 PCPSのエビデンス
   3 PCPSを導入する
   4 PCPS維持中の血行動態評価の鉄の掟
   5 PCPS維持中の心機能回復をみる (1):右上肢の酸素分圧(PaO2)
   6 PCPS維持中の心機能回復をみる (2):呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2)
   7 PCPS維持中の心機能回復をみる (3):肺動脈カテーテルの数値
   8 PCPS維持中の心機能回復をみる (4):大動脈弁開放時間
   9 PCPS維持中の循環不全の改善をみる
  10 PCPS維持中に留意すべき合併症とその対策
  11 PCPSで循環が維持できないときに考えるべきこと
  12 心原性ショックと体血管抵抗
  13 PCPSの離脱:循環器救急領域の最大のイベント
 ◎症例実況中継 (7)
第10話 これだけは知っておくべき右室梗塞
   1 正常な右室について知っておきたいこと
   2 右室梗塞の認識はなぜ重要か
   3 右室梗塞の血行動態を理解する
   4 右室梗塞の心電図診断
   5 右室梗塞の診断基準
   6 右室梗塞の治療:補液だけが治療じゃない!
 ◎症例実況中継 (8)
第11話 急性肺血栓塞栓症の初期治療
   1 急性肺血栓塞栓症の病態
   2 急性肺血栓塞栓症の診断に症状・身体所見はあてになるのか
   3 急性肺血栓塞栓症の検査前確率とは
   4 急性肺血栓塞栓症の初期のマネージメント:診断編
   5 急性肺血栓塞栓症の初期のマネージメント:治療編
   6 急性肺血栓塞栓症の呼吸循環管理とヘパリン
   7 ショックを呈する急性肺血栓塞栓症:Primary reperfusion
   8 ショックのない急性肺血栓塞栓症の治療
   9 知っておきたい,心腔内血栓の意義
 ◎症例実況中継 (9)
第12話 感染性心内膜炎の脅威:急性弁膜症を診断する
   1 感染性心内膜炎診療は常に“challenging”である
   2 経食道エコーの重要性
   3 感染性心内膜炎の手術適応
 ◎症例実況中継 (10)
   4 大動脈弁閉鎖不全症:慢性の場合
   5 大動脈弁閉鎖不全症:急性の場合
   6 急性大動脈弁閉鎖不全症のマネージメント

索引

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