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書籍詳細

新しい小児外来疾患のみかた、考えかた

新しい小児外来疾患のみかた、考えかた

西村龍夫 著

A5判 168頁

定価(本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-498-14544-3

2017年02月発行

在庫あり

プライマリ・ケア医療は日々進化しています。各種の迅速検査によってより正確な診断が可能となり、感染症やアレルギーに関する新知見も多く登場しています。そのような時代の流れのなかで、“従来の小児医療”は時に過剰であり、子どもたちの成長・発達の妨げになりかねず、保護者もそのデメリットに気づくことは難しいでしょう。本書は、今までの「当たり前」に代わる新たな視点の小児外来診療のあり方を提言します。

はじめに

 プライマリ・ケアの小児医療を担っているのは,主に中小市民病院の小児科や開業医である.毎日多くの小児患者が受診し,さまざまな医療行為を受けている.しかし,それは子ども達の成長・発達を支え,家族の生活の質を向上させることに結びついているのだろうか?
 筆者が病院を退職し,現在のクリニックでプライマリ・ケアの診療を始めたのは1998年であるが,当時は発熱の子が来院すれば抗菌薬を処方し,咳には咳止め,鼻が出れば抗ヒスタミン薬,少しでも喘鳴(ぜいぜい)があれば気管支拡張薬を処方するのが当然の治療であった.できるだけ多くの病気を発見すること,軽い風邪でも悪化を防ぐために“治療”してあげることこそ,プライマリ・ケアの小児科医の使命だと考えられていたのである.
 その後プライマリ・ケアの医療は劇的に進化することになった.数分で血液データが出せるようになり,各種の迅速検査でウイルスや溶連菌など感染症の原因も分かる.より正確な診断や判断によるリスク管理が可能となっていった.これまで手探りで行っていたさまざまな治療はあまりにも過剰で,メリットがないばかりか,子ども達の成長・発達の妨げになったり,保護者に「治療しなければならない」と思わせることで,家族の負担を増していたのである.さらに,感染症,アレルギーに関するさまざまな新しい知見は従来の診療スタイルに見直しを迫っている.
 しかし,医師の裁量権は大きく,プライマリ・ケアの教育システムもきわめて乏しい.“従来の医療”を続けていても,保護者にはデメリットはみえにくく,逆に心理的エラーから,治療に依存することになってしまう.不安な保護者はさまざまな薬を求めて,医療機関を繰り返し受診することになり,医師も経済合理性から,どうしても“治療”を優先するスタイルになりがちである.プライマリ・ケアに従事する医師こそ,時代の流れに沿って,診療スタイルを変えて行かなくてはいけないのだ.
 小児外来疾患は“風邪を診れば良い”という簡単なものではない.次世代を担う子ども達の成長と発達を支えるという,あまりにも重大な使命を帯びている.従来の治療優先の考えを捨て,新しい視点で診療を始めようではないか.この本がそのきっかけになることを願っている.

2017年2月
にしむら小児科 西村龍夫

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著者略歴


西村龍夫(にしむら たつお)

昭和40年8月14日生
平成3年 奈良県立医科大学卒業
奈良県立医科大学小児科学教室で臨床研修
榛原(はいばら)町立榛原総合病院 小児科
奈良県立奈良病院 小児科 を経て
平成10年より にしむら小児科で開業

開業以来,小児科外来の診療に必要な研究を進めています.発熱の中に存在する深部重症細菌感染症,(occult bacteremiaや細菌性髄膜炎)のリスクマネジメントや抗菌薬の適正使用,乳児のRSウイルス感染症,咳嗽の原因としての副鼻腔炎の調査,風邪薬の効果,外来小児科学会員を対象にした診察や投薬の調査,乳幼児喘鳴の実態調査,食物アレルギーでの制限食の実態調査,等を行っています.

平成16年10月より病児保育室“げんきっ子”
平成21年4月より発達支援ルーム“みらい”
平成27年4月より小規模認可保育所“つくし”を開設.

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もくじ

プロローグ
   症例●生後10ヵ月男児主訴:鼻汁と咳嗽
1.子どもと家庭
 1 子どもだけをみない
   症例1●生後7ヵ月男児主訴:発熱
   症例2●1歳男児主訴:鼻汁と咳嗽
 2 子育て環境の変化
 3 余裕のない母親
   症例3●1歳男児主訴:発熱
 4 価値観の押し付けはやめよう
   症例4●4歳男児主訴:発熱
   症例5●2歳3ヵ月女児主訴:こだわりの強さ
2.現代の子どもの病気
 1 生物進化と子ども
   症例6●2歳男児主訴:発熱
 2 ミスマッチ病
   症例7●生後1ヵ月男児主訴:発熱,鼻汁,咳嗽
   Column1 ワクチンは不自然?
 3 咳をする子どもたち
  A.生物進化と上気道の構造
  B.咳反射の起源
  C.集団生活が作る咳感染症
  D.鼻副鼻腔炎
  E.咳の鑑別
  F.喘鳴の考え方
   症例8●1歳2ヵ月女児主訴:鼻汁,咳嗽,喘鳴
 4 なぜアレルギーが増えた?
  A.食物アレルギーと認知エラー
  B.RAST検査の功罪
  C.IgEの起源
  D.皮膚とアレルギー
  E.医原病としての食物アレルギー
   Column2 カルト化を防ごう
  F.アレルギーを防ぐ
  G.食物アレルギーの危険性
  H.アレルギーは治療よりも予防
   症例9●生後7ヵ月男児主訴:口周囲の発赤
   症例10●生後9ヵ月女児主訴:全身じんましん
   Column3 ゼロリスクの罠
3.小児科外来に必要な知識と設備
 1 専門医から総合医へ
 2 小児科医のアイデンティティ
   症例11●生後9ヵ月男児主訴:微熱,鼻汁,咳嗽
   症例12●2歳男児主訴:耳痛
 3 全身状態の把握
   症例13●生後7ヵ月男児主訴:発熱
 4 診療に必要な設備
 5 習得すべきテクニック
  A.診察の手順
  B.血液検査
  C.耳垢の取りかた
4.子どもの病気にどう対処するか
 1 まずはワクチンを
 2 医療的介入は最小限度に
 3 子どもの風邪
  A.発熱を主症状とする子ども
   症例14●生後5ヵ月男児基礎疾患なし
  B.咳を主症状とする子ども
   症例15●1歳7ヵ月女児基礎疾患なし
   Column4 肺炎じゃないでしょうか?
  C.喘鳴を主症状とする子ども
   症例16●1歳3ヵ月男児基礎疾患なし
  D.気管支喘息診断の問題点
   Column5 微量採血でアレルギーを調べてみよう
   Column6 開業小児科医の内情公開
 4 アレルギーは予防できるか?
  A.アトピー性皮膚炎とは何か
   Column7 生物の領域
  B.食物アレルギー予防プログラム
   Column8 食物少量投与の効果
   Column9 慎重さが作るアレルギー
   Column10 公衆衛生の発達と細菌

索引

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執筆者一覧

西村龍夫  著

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