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書籍詳細

ER・ICU 100のdon'ts−明日からやめる医療ケア

ER・ICU 100のdon'ts−明日からやめる医療ケア

志馬伸朗  総編集 / 小尾口邦彦 編集 / 江木盛時 編集 / 石丸裕康 編集 / 大下慎一郎 編集

A5判 264頁

定価4,180円(本体3,800円 + 税)

ISBN978-4-498-06686-1

2016年12月発行

在庫あり

ER・ICUの現場において,日々の習慣だからというだけで行っている医療行為が数多くある.
本書では,今まで疑問も持たず妄信的に適用してきた診療手技や医療ケアを改めて見直し,本当に効果的かどうかを考えた.
手技・ケアの中には実は根拠が薄く,患者の手助けにならないものもある.
それらNG度をスタンプで示し,ひと目で分かるようにビジュアル面も工夫した.
無駄をなくし,意味ある医療ケア提供する,指針となる1冊だ.

オカンが,“あかん”!?

 医師による診療行為とは,医師の有する専門特性(知識,経験,技術)を駆使して,疾病や損傷を被った患者さんの回復の手助けをしたり,発症や悪化を防いだりすることである.
 しかし,専門特性の確立と維持の道は容易でない.知るべき知識は増え続け,新規器材や機器を使いこなす技術革新は予断を許さない.そんな中で,易きに流れる傾向を甘受することは,そう難しいものではない.
 易き,とは,いわゆる“ルチーン”,や“言い伝え”,を,現場の流れや上級医師の指令に抗うことなく,妄信的に,熟考せず,適用することである.問題は,この内容が,適切な診療行為と良好な患者転帰に真に結びつくものであるか否かである.
 はたして医療界に存在する種々のルチーンは,最新の臨床的エビデンスをもとに,益と害の双方が客観的に評価され,さらには患者や医療従事者の負担,医療経済への影響も加味して適切なものと確認されたものなのだろうか? そんな問いかけがいま必要ではないかと考えた.
 “いつもこうしている”事項を見直してみよう.オカンに見つかったら,ほんまは“あかん”って,叱られそうなことがないか,もう一度確かめてみよう.そして可能であれば,実践を変えてみよう.本書が,その様な行動変容の1つのきっかけになればありがたい.

2016年晩夏と呼べる10月に,台風接近から時速250kmで逃げるのぞみにて
志馬伸朗

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目次

  ×ちょっとあかん ××かなりあかん ×××めっちゃあかん

I ER診断
  ×【1】低リスクの軽症頭部外傷患者に対する頭部CT〈田中寛大 石丸裕康〉
  ×【2】合併症のない頭痛患者に対する画像診断〈田中貴大 石丸裕康〉
 ××【3】意識障害の診療ですぐにCTを撮像する〈田中寛大 石丸裕康〉
  ×【4】失神患者への安易な画像診断と帰宅指示〈渡邉宏樹 小尾口邦彦〉
  ×【5】単純型熱性けいれんに対する頭部画像診断〈福島正大 井上信明 
      石丸裕康〉
 ××【6】めまいを安易にMénière病や末梢性めまいと診断する〈田中寛大
      石丸裕康〉
  ×【7】検査前確率の低い患者での肺塞栓画像診断〈石丸裕康〉
  ×【8】下痢=胃腸炎と診断する〈渡邉宏樹 小尾口邦彦〉
  ×【9】小児の虫垂炎疑いに対する腹部超音波検査を先行させないCT検査
     〈福島正大 井上信明 石丸裕康〉
  ×【10】非特異的急性腰痛で,赤旗徴候のない患者に対する画像診断〈石丸裕康〉
 ××【11】妊娠はありえません,をうのみにする〈渡邉宏樹 小尾口邦彦〉
  ×★COLUMN(1) DNARと「なにもしない」ことは同一ではない〈田中寛
    大 石丸裕康〉

II ER治療
  ×【1】腹痛に対する安易なブスコパン使用〈石丸裕康〉
 ××【2】アルコール依存症患者への安易な帰宅判断/アルコール依存症や原因
     不明の代謝性アシドーシスに対してビタミンB1投与を忘れる〈蒲池
     正顕 小尾口邦彦〉
  ×【3】薬物大量内服時の胃洗浄〈渡邉宏樹 小尾口邦彦〉
  ×【4】4歳未満の小児に対する感冒対症療法〈福島正大 井上信明 石丸
      裕康〉
  ×【5】熱性けいれんに対する安易な解熱薬投与〈福島正大 井上信明 石
      丸裕康〉

III ICU基本的管理
  ×【1】収縮期のみの血圧評価〈濱中訓生 志馬伸朗〉
 ××【2】バイタルサインとしての呼吸数をみない〈濱中訓生 志馬伸朗〉
 ××【3】発熱に対するルーチンの解熱指示〈江木盛時〉
 ××【4】低体温を気にしない〈江木盛時〉
  ×【5】ICUでの毎日の採血〈石丸裕康〉
  ×【6】ICUにおけるルーチンX線写真〈濱中訓生 志馬伸朗〉
  ×【7】術後48時間以内の患者に対するfever workup〈志馬伸朗〉
  ×【8】安定した自己排尿可能な患者に対する3日を超える膀胱留置カテー
      テル使用〈石丸裕康〉
  ×【9】人工呼吸中患者に対する肺炎予防目的での機械的口腔ケア〈志馬伸
      朗〉
  ×【10】ポビドンヨードによる創部,体腔の消毒〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
  ×【11】ゲンタマイシン軟膏による創感染予防〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
  ×【12】ドレーン排液の培養〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
  ×【13】観血的動脈圧測定の加圧バッグ液中のヘパリン添加〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
  ×【14】静脈血液ガス分析での乳酸値評価〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
×××【15】動脈ラインを素手で挿入する〈志馬伸朗〉

IV 呼吸
×××【1】挿管時の肩枕〈志馬伸朗〉
 ××【2】呼気CO2検出のみにより食道挿管を否定する〈蒲池正顕 小尾口
      邦彦〉
 ××【3】胸部X線写真のみで気胸を除外診断する〈宮崎勇輔 小尾口邦彦〉
 ××【4】両側肺野の透過性低下を即ARDSと診断し治療する〈宮崎勇輔 小
      尾口邦彦〉
 ××【5】呼吸性アルカローシスを放置する〈江木盛時〉
 ××【6】pH7.2以上での重炭酸使用〈石丸裕康〉
  ×【7】呼吸パターンの増悪にも かかわらず「SpO2が良好だから」といっ
      て人工呼吸を行わない〈宮崎勇輔 小尾口邦彦〉
 ××【8】SpO2を100%で管理する〈宮崎勇輔 小尾口邦彦〉
 ××【9】動脈血二酸化炭素分圧の正常化を目的とした人工呼吸設定〈江木
      盛時〉
 ××【10】auto PEEPを発生させる頻呼吸を許容する〈江木盛時〉
  ×【11】蛇管に貯留した水をチャンバーに戻す〈江木盛時〉
  ×【12】人工呼吸管理下患者の深い鎮静〈石丸裕康〉
  ×【13】血液ガスが良好という所見のみで抜管を試みる〈江木盛時〉
  ×【14】回路リークを気にするあまりNPPVマスクフィッティングを強くしす
   ぎる 〈宮崎勇輔 小尾口邦彦〉
  ×【15】NPPV開始後,改善傾向がないのにNPPVを継続する〈宮崎勇輔 小
   尾口邦彦〉
 ××【16】気胸や胸水の急速吸引〈江木盛時〉

V 循環
  ×【1】乳酸値高値を許容する〈江木盛時〉
  ×【2】肺動脈カテーテルの使用〈濱中訓生 志馬伸朗〉
  ×【3】心臓がよく動いているので心不全でないと評価する〈加藤之紀
      小尾口邦彦〉
  ×【4】CVPを指標とした輸液療法〈江木盛時〉
  ×【5】体液量評価を絶対視する〈加藤之紀 小尾口邦彦〉
  ×【6】循環管理の際に末梢温度を気にしない〈江木盛時〉
  ×【7】ショック患者に22Gや24G留置針による末梢血管路を確保する
      〈加藤之紀 小尾口邦彦〉
 ××【8】血圧低下に対する第1選択としてドパミンを用いる〈江木盛時〉

VI 神経
  ×【1】意識障害のない頭部外傷患者でのルーチンフォローCT〈田中寛大
      石丸裕康〉
  ×【2】意識障害,失神,麻痺患者において急性大動脈解離を意識しない
     〈加藤之紀 小尾口邦彦〉
  ×【3】くも膜下出血を安易に除外する〈加藤之紀 小尾口邦彦〉
 ××【4】活動型せん妄の患者をICU症候群としてICUを退室させる〈江
      木盛時〉
  ×★COLUMN(2) 不眠やせん妄に対するベンゾジアゼピン系薬物治療
          〈青山紘希 小尾口邦彦〉
  ×★COLUMN(3) 離脱せん妄を除外せずにせん妄を薬物治療する〈青山
           紘希 小尾口邦彦〉

VII 感染/敗血症
 ××【1】ポビドンヨードによるカテーテル挿入部の消毒〈吉田浩輔 志馬
      伸朗〉
 ××★COLUMN(4) 血液培養採取時のポビドンヨードによる皮膚消毒〈吉
           田浩輔 志馬伸朗〉
 ××【2】SIRS,という診断〈志馬伸朗〉
  ×【3】感染症診断における総白血球数の使用〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
 ××【4】カテーテル敗血症/カテ熱,という診断〈志馬伸朗〉
×××【5】抜去記念培養〈濱中訓生 志馬伸朗〉
  ×★COLUMN(5) ルートの必要性の評価や日々の観察を怠る〈宮崎勇輔
           小尾口邦彦〉
 ××【6】血液培養1セット〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
 ××【7】3日以上入院中患者での便培養検査〈志馬伸朗〉
  ×【8】術後2日目の高CRP値で抗菌薬を変更する〈江木盛時〉
  ×【9】β-Dグルカン高値に対する抗真菌薬投与〈青山紘希 小尾口邦彦〉
  ×★COLUMN(6) カンジダ治療のピットフォール〈青山紘希 小尾口
           邦彦〉
×××【10】第3世代経口セフェム抗菌薬の投与〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
  ×【11】化膿性脊椎炎を疑う患者に抗菌薬を安易に投与する〈浜崎幹久 小尾
   口邦彦〉
  ×【12】腎機能低下症例に対する初回抗菌薬の減量〈浜崎幹久 小尾口邦彦〉
 ××【13】敗血症に対するステロイドパルス療法〈江木盛時〉

VIII 体液・電解質
  ×【1】生理食塩水の大量輸液〈江木盛時〉
  ×【2】小児患者の初期輸液としての1号輸液〈志馬伸朗〉
  ×★COLUMN(7) 電解質異常におけるピットフォール〈浜崎幹久 小尾
           口邦彦〉
  ×【3】血管内容量不足を脱水と称する〈石丸裕康〉
 ××【4】くも膜下出血や外傷性脳挫傷後の多尿時の輸液不足〈蒲池正顕
      小尾口邦彦〉
  ×【5】軽度〜中等度脱水の小児に対しての,経口補液のトライアルなし
      での経静脈輸液〈井上信明 福島正大 石丸裕康〉
  ×【6】低アルブミン血症に対するアルブミン製剤補充〈石丸裕康〉

IX 腎・血液浄化
×××【1】乏尿に対するフロセミド〈濱中訓生 志馬伸朗〉
 ××【2】腎庇護目的でのドパミン〈江木盛時〉
  ×【3】FENaの使用〈石丸裕康〉

X 栄養/消化器
 ××【1】重症患者に対するインスリンの皮下注射〈江木盛時〉
 ××【2】血糖値変化をみない血糖値毎の持続インスリン増減指示〈江木盛時〉
  ×【3】簡易型血糖測定器による血糖測定〈江木盛時〉
×××★COLUMN(8) IVHという言葉〈志馬伸朗〉
  ×【4】経胃経管栄養の中止/量変更基準としての胃残渣量の測定〈濱中訓生
     志馬伸朗〉
  ×【5】経腸栄養をGFOから開始する〈濱中訓生 志馬伸朗〉
  ×【6】すべてのICU患者への抗潰瘍薬の投与〈吉田浩輔 志馬伸朗〉
 ××【7】重症急性膵炎に安易に大量輸液をする〈小尾口邦彦〉
  ×【8】高アンモニア血症=肝性脳症と診断する〈蒲池正顕 小尾口邦彦〉
  ×【9】糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)治療においてインスリン投与を
      優先する〈蒲池正顕 小尾口邦彦〉


Ⅺ 血液・凝固
 ××【1】ICUでの貧血に対する鉄剤投与〈濱中訓生 志馬伸朗〉
  ×【2】Hb値のみを目標とした輸血療法〈江木盛時〉
 ××【3】DICを適切に診断しない〈浜崎幹久 小尾口邦彦〉

■薬剤関連■
 I.副作用
××1.NSAIDsの多彩な副作用〈浜崎幹久 小尾口邦彦〉
××2.投与前・投与中に腎機能をチェックすべき薬剤〈浜崎幹久 小尾口邦彦〉
 ×3.ヘパリン,ワルファリンのリバース〈蒲池正顕 小尾口邦彦〉
××4.せん妄治療薬の使い分け:禁忌・副作用に注意〈浜崎幹久 小尾口邦彦〉
 ×★COLUMN(9) 静注ステロイドと経口ステロイドの使い分け〈加藤之紀
          小尾口邦彦〉
 II.電解質異常
××1.薬剤性高K血症・低K血症〈浜崎幹久 小尾口邦彦〉
 ×2.メイロン,グリセオール,アルブミンに伴うNa負荷〈加藤之紀 小
    尾口邦彦〉
 III.配合その他
 ×1.アンカロン®やアレビアチン®の生理食塩水による希釈〈加藤之紀 小
    尾口邦彦〉
 ×2.持続ヘパリン投与量の決定にACT値を用いる〈小尾口邦彦〉
 ×3.新薬に安易に飛びつく〈小尾口邦彦〉
 ×★COLUMN(10) 薬剤情報を適切に受け入れるには?〈小尾口邦彦〉


索 引

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執筆者一覧

志馬伸朗  広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門医学分野救急集中治療医学教授 総編集
小尾口邦彦 大津市民病院救急診療科・集中治療部部長 編集
江木盛時 神戸大学医学部附属病院麻酔科 編集
石丸裕康 天理よろづ相談所病院脳卒中センター・神経内科 編集
大下慎一郎 広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 救急集中治療医学 広島大学病院 高度救命救急センター・集中治療部 編集
田中寛大  天理よろづ相談所病院総合診療教育部/救急診療部/副部長 
渡邉宏樹  福井県立病院救急救命センター副医長 
福島正大  天理よろづ相談所病院小児科 
井上信明  国際医療研究センター国際医療協力局人材開発部研修課 
蒲池正顕  大津市民病院救急診療科・集中治療部医長 
濱中訓生   京都医療センター放射線科/救命救急センター 
吉田浩輔  恩賜財団済生会横浜東部病院救急科 
宮崎勇輔  大津市民病院救急診療科・集中治療部 
加藤之紀  大津市民病院救急診療科・集中治療部副医長 
青山紘希  大津市民病院外科 
浜崎幹久  京都民医連中央病院総合内科 

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ER・ICU 100のdon'ts−明日からやめる医療ケア
   定価4,180円(本体3,800円 + 税)
   2016年12月発行
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