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書籍詳細

高次脳機能障害 2版

高次脳機能障害 2版

その評価とリハビリテーション

武田克彦  編著 / 長岡正範  編著

B5判 196頁

定価(本体5,200円 + 税)

ISBN978-4-498-22805-4

2016年05月発行

在庫あり

高次脳機能障害におけるリハビリテーションの具体的な技術や方法までを読みやすくコンパクトに解説した書の改訂第2版.ただのマニュアル本とは一線を画し,リハビリそのものの考え方にも言及.簡潔かつ分かりやすい解説はそのままに,近年の進歩を踏まえて,さらに内容を充実させた.現在まさに現場で活躍しているエキスパートがまとめ,医師のみならずリハビリに携わる全てのスタッフにおすすめ.実地で活躍できる1冊である.

2版のまえがき
 

 2012年に本書が上梓されて4年が経過しました.局所診断学として発展してきた狭義の高次脳機能障害と広汎な病巣に伴う新しい定義の高次脳機能障害とが広く医学の中で認められてきています.治療についてはまだ,手探りのものが少なくありませんが,評価については多くの施設で実施可能になっています.
 今回の改訂を経てさらに多くの読者に,患者さんの神経心理学的反応を踏まえた医療サービスが展開できるようになること,本書がその一助となることができれば幸甚と考えます.
 

2016年4月 茶崖にて
長岡正範 

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まえがき


 高次脳機能障害とは,失語・失行・失認を指す言葉であると従来考えられてきた.失語症に関するBrocaの研究では,脳の機能(その障害)とそれを担う脳の構造の対応を示しており,脳の局在論について重要な方向性を示した.失語症以外でも,失行,失認についても臨床病型の分類とそれを説明する脳の局在論が繰り広げられた.一方,これらの症状が回復するのかどうかという点では,大きな進展はなく医学的な興味は,診断学・症候学のレベルでとどまっていた.
 脳の器質的病変がもたらす脳の働きについて,失語・失行・失認の古典的な高次脳機能障害以外にも問題が指摘されていた.小児科領域では,学習上の問題や認知機能の問題が,高齢者の領域では,認知症にからんで記憶障害が,外傷性脳損傷では古典的神経心理症候群の範疇に収まらない広範囲の認知機能障害や社会的な行動障害が話題となっていたことがそれである.
 医学では病因−病理−発現の因果関係のなかで病因を治療する方法が採られてきた.一方,リハビリテーションでは,機能障害(臓器がもたらす症状)の回復が困難と考えられた場合には,代償機能や環境を調整して能力低下(個人が通常行っている機能の制限)の軽減を図る方策が取られていた.最近では,生活機能を高め社会的な役割をどう再獲得するかを目的とする対応まで取られるようになった.
 このような時代の変化に伴い,大脳連合野の機能障害についてもリハビリテーションの対象とする下地が形成されてきた.診断学・症候学として蓄積された診断法や理論的解釈を用いて,症状自体は治癒しないまでも,どのような対応を個々の患者で検討すべきか,残された機能を用いて生活をどのように営むことができるかといった広い視野に立った治療の段階に至ったということができる.
 昨今,「高次脳機能障害」をタイトルに冠する医学書がたくさん発行されている.本書では,局在症状の理解,評価方法,その治療法(リハビリテーション)を具体的に記述している.何よりも,障害を負った患者が示すであろう心理学的な反応まで踏み込んだアプローチ−神経心理学的アプローチが述べられている.高次脳機能障害は,内科医・神経内科・精神科医・脳神経外科医・小児科医など医師や看護師,リハビリテーションに関わる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床心理士・医療ソーシャルワーカーなどたくさんの職種が関与する必要のある問題である.これまで何の苦労もなく行ってきたことが,突然,上手くゆかなくなって戸惑っている患者さんが,再び居場所を見出すことができるような対応が可能なレベルまで,我が国の医療サービスの質が変化してきたことは感慨深いものがあり,本書の内容が関連職種の方々の日々の仕事に少しでも役立てば幸である.
 外傷性脳損傷患者の広範な高次脳機能障害のリハビリテーションに関わってきたが,武田克彦先生から本書の企画について相談を受け,このような形で実現できたことに深謝します.


2012年8月 茶崖にて
長岡正範 

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目 次


§1. 神経心理学の歴史 〈武田克彦〉
  A.Broca以前
  B.Broca
  C.Broca以後の局在論
  D.全体論について
  E.その後の展開
§2. リハビリテーションの歴史 〈長岡正範〉
  A.リハビリテーション全般の歴史−高次脳機能障害との関連で
  B.医学モデル,障害モデルから国際生活機能分類へ
    1 医学モデル
    2 障害モデル
    3 国際生活機能分類
  C.リハビリテーションの定義
  D.高次脳機能障害のリハビリテーションに関する歴史
    1 欧米での取り組み
    2 我が国の取り組み
§3. 神経心理学とは,神経心理学的アセスメントとは 〈武田克彦〉
  A.神経心理学の学問的な目的
  B.病巣研究
  C.認知神経心理学
  D.認知神経心理学における仮定
  E.単一症例の重視
  F.神経画像研究
  G.神経心理学の臨床的な目的
  H.神経心理学的アセスメント
    1 実際の場面
    2 患者から病歴をとる
    3 神経学的診察
    4 神経心理学的診察
    5 神経心理テスト
§4. 高次脳機能障害リハビリテーションの考え方 〈長岡正範〉
  A.欧米でのシステム−モデル事業で手本にした仕組み
  B.高次脳機能障害は回復するのか? −高次脳機能障害者支援モデル事業の成績から
  C.モデル事業で実施された訓練の内容について
    1 異なるセッティングでのリハビリテーション
    2 医学的管理がどのプログラムでも大切
    3 具体的な訓練の内容
    4 医学的リハから生活訓練,職能訓練への移行
  D.モデル事業以降のわが国における成果
§5. 高次脳機能障害を生じる疾患 〈水野智之〉
  1.脳血管障害
    1 無症候性脳血管障害
    2 一過性脳虚血発作
    3 脳出血
    4 くも膜下出血
    5 脳梗塞
    6 血管性認知症
    7 高血圧性脳症
  2.頭部外傷による脳損傷
    A.外傷性頭蓋内血腫
      1 急性硬膜外血腫
      2 急性硬膜下血腫
      3 慢性硬膜下血腫
      4 外傷性脳内血腫
      5 外傷性くも膜下出血
    B.脳挫傷
    C.びまん性脳損傷
  3.脳炎
  4.低酸素脳症
  5.脳腫瘍術後
  6.変性疾患
    1 アルツハイマー病
    2 前頭側頭葉変性症
    3 びまん性レビー小体病
    4 多系統萎縮症
§6. 高次脳機能障害のための画像診断 〈渡邉 修〉
  A.ブロードマンBrodmannの脳地図と脳回
  B.前頭葉損傷が主体となる高次脳機能障害
    1 前頭葉挫傷例
    2 下垂体腫瘍術後例
  C.頭頂-側頭葉損傷が主体となる高次脳機能障害
    1 右下頭頂小葉を中心とする挫傷例
    2 左中大脳動脈領域の梗塞例
  D.視床損傷が主体となる高次脳機能障害
    脳底動脈解離例
  E.被殻損傷が主体となる高次脳機能障害
    左被殻出血例
  F.離断症候群による高次脳機能障害
    前大脳動脈の閉塞による脳梁離断例
§7. 注意障害のリハビリテーション 〈本田哲三〉
  A.「注意」障害の分類
    1 選択性注意と障害
    2 容量性注意と障害
    3 持続性注意と障害
    4 注意の転動性(変換)と障害
  B.注意の評価法
    1 臨床的評価法
    2 机上評価法
  C.注意障害のリハビリテーション
    1 全般的刺激(6週間プログラム)
    2 注意に特化した訓練プログラム
    3 代償的介入法
    4 環境調整
§8. 知覚障害のアセスメント,リハビリテーション 〈衛藤誠二,川平和美〉
  A.感覚経路と体性感覚野
  B.感覚の検査
  C.触覚失認について
  D.末梢神経損傷後の知覚リハビリテーション
  E.中枢性感覚障害のリハビリテーション
§9. 失認のアセスメント,リハビリテーション 〈早川裕子,鈴木匡子〉
  A.失認のアセスメント
    1 失認であることの確認
    2 失認の特徴を掘り下げる
    3 失認の検査
  B.失認のリハビリテーション
    1 視覚性失認の回復経過
    2 失認そのものへの治療的介入
    3 残存能力の利用・代償的方法の導入
    4 環境の調整
§10. 失行のアセスメント,リハビリテーション 〈板東充秋〉
  A.失行のアセスメント
    1 失行の定義
    2 検査方法
    3 合併症状
    4 行為の知識と失行
    5 失行の分類法
  B.リハビリテーション
§11. 記憶障害のアセスメント 〈海野聡子〉
  A.記憶の過程とその分類
  B.記憶の神経基盤
  C.記憶障害の臨床像
    1 記憶障害の症候
    2 病変部位による記憶障害の内容
  D.アセスメントの手順
    1 記憶障害はあるか?
    2 記憶障害の内容は何か?
    3 記憶障害の重症度はどうか?
§12. 記憶障害のリハビリテーション 〈岩永 勝,蜂須賀研二〉
  A.記憶障害のリハビリテーションの実施概要
  B.記憶障害のリハビリテーション・ストラテジー
    1 環境調整
    2 学習法の改善
    3 代用手段の利用
    4 グループ訓練
§13. 遂行機能障害のアセスメント,リハビリテーション 〈穴水幸子,三村 將〉
  A.遂行機能障害とは
  B.遂行機能障害のアセスメント
  C.遂行機能障害の認知リハビリテーション
    1 TTT訓練の教示の与え方
    2 TTT訓練の作品,言語による説明
§14. 半側空間無視のアセスメント,リハビリテーション 〈前島伸一郎,大沢愛子〉
  A.無視の検出法
  B.日常生活活動の観察
    1 視野障害と半側空間無視
    2 無視の病巣
    3 無視の機能予後
    4 無視のメカニズム−無視のタイプ
  C.リハビリテーション
    1 トップダウンとボトムアップ
    2 無視を呈する患者のリハ
§15. 言語障害のアセスメント,リハビリテーション 〈藤原加奈江〉
  A.失語症のアセスメント
    1 インテーク面接
    2 鑑別診断検査
    3 掘り下げ検査
    4 訓練効果のアセスメント
  B.失語症のリハビリテーション
    1 急性期のリハビリテーション
    2 回復期のリハビリテーション
    3 維持期のリハビリテーション
  C.小児失語症のアセスメントとリハビリテーション
  D.発語失行のアセスメントとリハビリテーション
§16. 読み書き障害のアセスメント,リハビリテーション 〈宮崎裕子〉
  A.読みの障害
    1 臨床神経心理学的分類
    2 認知神経心理学的分類
    3 読み障害のリハビリテーション
  B.書字の障害
    1 臨床神経心理学的分類
    2 認知神経心理学的分類
    3 書き障害のリハビリテーション
§17. 高次脳機能障害のリハビリテーションの遂行など に影響を与える精神症状 〈浦上裕子〉
  A.急性期の意識障害の症状と対応,治療
    1 症状
    2 対応
  B.情動と認知機能の神経基盤
  C.脳損傷による情動と認知機能の変化
  D.回復期にしばしば出現する精神症状:評価と治療
    1 精神症状
    2 社会的行動障害という考え方
    3 器質性精神障害という考え方
    4 障害認識とかかわる症状
  E.リハビリテーションの考え方と対応
    1 認知機能障害の一部として生じる場合
    2 包括的に対応することの重要性


索引

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執筆者一覧

武田克彦  文京認知神経科学研究所所長 編著
長岡正範  順天堂大学大学院リハビリテーション医学特任教授 編著
水野智之  高仁会  戸田病院精神科・神経科 
渡邉 修  東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科教授 
本田哲三  前  昭和伊南総合病院リハビリテーション科科長 
衛藤誠二  鹿児島大学大学院リハビリテーション医学講師 
川平和美  鹿児島大学大学院リハビリテーション医学前教授 
早川裕子  横浜市立脳卒中・神経脊椎センターリハビリテーション部担当係長 
鈴木匡子  山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学教授 
板東充秋  東京都立神経病院脳神経内科部長 
海野聡子  浴風会病院内科・リハビリテーション科 
岩永 勝  東筑病院リハビリテーション科部長 
蜂須賀研二 労働者健康安全機構九州労災病院門司メディカルセンター院長 
穴水幸子  国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科講師 
三村 將  慶應義塾大学医学部精神神経科学教授 
前島伸一郎 藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学II講座教授 
大沢愛子  国立長寿医療研究センターリハビリテーション科 
藤原加奈江 東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科教授 
宮崎裕子  宮?ゆうこクリニック院長 
浦上裕子  国立障害者リハビリテーションセンター病院第1診療部医長 

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   2016年05月発行
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