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書籍詳細

Annual Review  呼吸器 2016

Annual Review 呼吸器 2016

【編集】 編集 / 永井 厚志  東京女子医科大学名誉教授 編集 / 巽 浩一郎  千葉大学教授 編集 / 桑野 和善  東京慈恵会医科大学教授 編集

B5判 238頁

定価10,780円(本体9,800円 + 税)

ISBN978-4-498-13024-1

2016年01月発行

在庫なし

注目すべきトピックを厳選し,その分野の第一人者が内外の文献を踏まえて最新の進歩を展望する.定評あるシリーズの最新年度版である.





2015年は,箱根や桜島の火山活動,地球温暖化に関連するかのような集中豪雨や気候の変動,相変わらずのPM2.5,そしてイスラム国によるテロ事件など,天災,人災はことのほか多く,2015年の漢字「安」は不安の安の意味合いが強いとのことである.しかし,スポーツ界では,プロ野球のトリプルスリー,ラグビーワールドカップでの日本代表の歴史的な活躍,体操ニッポンの金メダルなど,東京オリンピックを控えて各界で盛り上がりつつある.そして,医学界では,大村教授のノーベル賞受賞が燦然と輝いた年であった.呼吸器領域でもノーベル賞級の発見を期待したいものである.
呼吸器領域は,肺癌,呼吸器感染症,気管支喘息,COPD,間質性肺疾患といった多彩で,かつ難治である疾患を抱えているためか,内科の中でも病態がよくわからない,したがって根本的な治療法がなく,苦手な疾患が多いという学生や研修医によく遭遇する.もちろん,「それは違うよ,Annual Reviewを読んでごらん,すぐに理解できるよ」,と断言できるほどに,呼吸器疾患の治療は大きく発展を遂げているのは言うまでもない.PD-1抗体による癌免疫療法,IgE,IL-5, IL-13に対する抗体を用いた喘息の治療,ニンテダニブという分子標的治療薬によるIPFに対する治療などは,分子病態の解明によって有望な創薬が実現された代表格である.感染症におけるバイオフィルム対策,COPDにおける細胞老化を標的とする新規治療薬の開発など,これからも新たな治療法が開発されるであろう.これまでのAnnual Reviewの内容をざっと一覧しても,呼吸器疾患がいかに広い範囲にわたるか一目瞭然である.しかも,疾患ごとに進歩している病態解明のためのスキルは,他の領域にも共通して有用な手法である.呼吸器疾患の理解のため,病因・病態といった基礎的側面と,診断・治療といった臨床的側面からの統合的なアプローチによって,疾患の本質が解明されてきた.しかしそれでもまだ十分に病態が解明されていない疾患が多い呼吸器領域は,たゆまない研究が必要である一方,ノーベル賞を受賞するチャンスは多いかもしれない.ますます呼吸器内科医によるトランスレーショナルリサーチの必要性を痛感する.
『Annual Review 呼吸器2016』は,進歩し続ける呼吸器疾患の各分野で注目される重要な事項の最新知見をまとめ,明日の臨床と研究に役立てていただくことを目的に編纂されている.全ての分野の最新かつ必要な情報を提供し,呼吸器疾患の解明と治療の進歩に本書が有用であることを願っている.


2015年12月
桑野和善

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I.呼吸器の生物学

1.肺の炎症と癌の共有分子の探索
〈長谷川好規〉
  炎症と癌
  肺の病態におけるEMTの役割
  PTEN
2.IPFに対するRNAi創薬の可能性
〈小林 哲 ガバザ・エステバン〉
  核酸医薬について
  siRNAについて
3.細菌性肺炎と肺上皮細胞免疫
〈山本和子〉
  肺上皮細胞
  肺上皮細胞とNF-κB RelA
4.ヒストンH2Aバリアントによる細胞機能制御
〈堀越直樹 有村泰宏 胡桃坂仁志〉
  ヒストンバリアントの細胞核内における機能
  肺癌細胞におけるヒストンバリアントの異常
5.呼吸器疾患におけるインテグリンαvβ8の役割
〈皆川俊介 荒屋 潤 桑野和善〉
  αvβ8によるTGF-β活性化
  αvβ8と肺癌
  αvβ8と気管支喘息
  αvβ8とCOPD
  αvβ8の構造的特徴
  αvβ8をターゲットとした気道炎症線維化病態の治療
6.iPS細胞と呼吸器再生医療
〈後藤慎平〉
  ヒト多能性幹細胞から内胚葉系への分化促進
  ヒトiPS細胞関連技術の呼吸器領域への応用


II.疾患の病因と病態

1.呼吸器と全身のクロストーク
〈木村 弘 吉川雅則〉
  閉塞性睡眠時無呼吸症候群
  慢性閉塞性肺疾患
2.肺癌におけるドライバー遺伝子の最新知見
〈齋藤元伸 河野隆志〉
  ドライバー遺伝子変異の検索・治療と診断
  ドライバー遺伝子変異と癌の進展
3.特発性肺線維症とGWAS解析
〈石井健男〉
  IPFの病態探索:GWASを中心に
4.難治性気道疾患のフェノタイプとエンドタイプ
〈檜澤伸之〉
  喘息
  分子標的治療薬に対する反応性
  COPD
  COPDに対するICSの効果と肺炎
  Asthma COPD オーバーラップ
5.誤嚥性肺炎予防に役立つ呼吸と嚥下の生理学
〈越久仁敬〉
  呼吸と嚥下の生理学
  嚥下機能の評価法
  呼吸器疾患と嚥下障害
  誤嚥性肺炎を予防するための嚥下機能改善法
6.TRALI TACOの病態と診断
〈岡崎 仁〉
  TRALIの病態解明の進歩および対策の現状
  TACOの病態と診断
  TRALIとTACOの鑑別診断
7.慢性過敏性肺炎の疾患感受性
〈宮崎泰成 岡本 師 稲瀬直彦〉
  家族集積性
  過敏性肺炎の疾患感受性遺伝子
  線維化に関わる遺伝的要因
8.気管支喘息とバイオマーカー
〈松坂雅子 浅野浩一郎〉
  喘息の病勢と病型を反映するバイオマーカー
  代表的な喘息のバイオマーカー
9.EGFR-TKI耐性と癌幹細胞
〈高橋史行 村上朗子 高橋和久〉
  肺癌幹細胞
  上皮間葉転換(EMT)と低酸素環境 EGFR-TKI耐性と幹細胞およびEMTの関与


III.診断の進歩

1.IGRAの臨床的重要性
〈金子有吾 中山勝敏 桑野和善〉
  IGRAについて
  IGRAの感度,特異度
  IGRAの臨床への応用
  IGRAの課題と展望
2.デジタルPCRの原理と臨床腫瘍学での有用性
〈赤松弘朗 洪 泰浩 山本信之〉
  悪性腫瘍におけるcf DNA研究
  なぜデジタルPCRがcf DNA解析に有用なのか?-原理と特徴-
  NSCLCにおけるcf DNAの意義
3.アレルギー診療におけるMolecular-based allergy diagnostics
〈福冨友馬〉
  Molecular-based allergy diagnostics(MA-D)とは何か?
  粗抽出抗原を用いたアレルギー診療の問題点
  抗原抗体反応の特異性と特異的アレルゲンコンポーネント
  交差反応性アレルゲンコンポーネントとは何か
  ダニアレルギーにおけるMA-D
  真菌アレルギーにおけるMA-D
4.肺癌の経過観察におけるFDG-PET/CTの役割とPETに関する新技術
〈大塚秀樹〉
  肺癌の経過観察におけるFDG-PET/CTの役割
  PETに関する新技術
5.フィジカルサインとしての肺聴診
〈長坂行雄〉
  肺聴診の用語について
  呼吸音:肺胞音と気管支音
  連続性ラ音と断続性ラ音
  ウィーズとロンカイ,ランブル
6.ACOSを巡る新しい話題
〈玉田 勉 一ノ瀬正和〉
  ACOSの病態
  COPDと喘息の発症に共通する危険因子
  ACOSの診断と有症率
  ACOSの治療
7.肺癌におけるコンパニオン診断の現状と問題点
〈光冨徹哉〉
  コンパニオン診断薬と医事法制
  one-drug, one-diagnostic model
  EGFR-TKIとCODX
  同等性試験
  次世代シーケンサーによるコンパニオン診断
  臨床検査のエラー要因とコンパニオン診断
8.Omalizumab治療における血清free IgEモニタリング
〈権 寧博 伊藤玲子 橋本 修〉
  Omalizumab療法の適応と治療効果
  Omalizumab療法と血中総IgE値との関係
  Omalizumab長期投与のIgE産生能への影響
  抗IgE自己抗体
  Omalizumab療法と血清free IgE値の測定の意義
  Omalizumab抗体存在下でのfree IgE測定法
9.肺腺癌の新WHO分類
〈矢野陽子 野口雅之〉
  肺腺癌の新WHO分類
  上皮内腺癌(AIS)と異型腺腫様過形成(AAH)微少浸潤性腺癌(MIA)
  浸潤性腺癌
  特殊型腺癌
  生検診断
  肺腺癌の分子生物学的背景


IV.治療の進歩

1.PD-1抗体によるがん免疫療法
〈岩井佳子〉
  がん免疫療法の歴史
  免疫チェックポイントとは
  PD-1による免疫抑制のメカニズム
  CTLA-4とPD-1の作用点の違い
  PD-1とPD-L1,PD-L2の発現の違い
  PD-1/PD-L1抗体による抗腫瘍効果
  基礎から臨床へ
  ASCO 2015
  今後の展望
2.ピルフェニドン:ASCEND試験と国内外の実地臨床における使用経験
〈坂東政司〉
  ピルフェニドンの作用機序
  臨床試験からみたピルフェニドン
  国際ガイドラインにおけるピルフェニドンの位置づけ
  実地診療におけるピルフェニドンの使用実態
  今後の課題
3.Nintedanib:国際共同試験結果
〈谷口博之〉
  ニンテダニブの作用機序
  第II相国際共同試験
  第III相国際共同試験
  処方の実際と注意点
4.ワクチンによる肺炎球菌感染症制御 PPSV23 vs PCV13
〈川上健司 大石和徳〉
  わが国の肺炎球菌ワクチン
  PPSV23とPCV13について
  PPSV23の臨床効果と費用対効果
  PCV13の臨床効果
  血清型置換について
  肺炎球菌ワクチンの免疫原性およびPCV13とPPSV23の連続接種について
  定期接種と「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方」について
5.呼吸と情動
〈本間生夫〉
  情動と身体機能
  情動と呼吸
  情動と呼吸法
6.世界と本邦の肺移植
〈岡田克典〉
  世界の脳死肺移植の現状
  本邦における肺移植の現状
7.リンパ脈管筋腫症におけるシロリムスの使い方
〈瀬山邦明 安藤克利 江花弘基〉
  mTORシグナル伝達系とシロリムス
  LAMに対するシロリムスの国際共同試験(MILES試験)
  MILES試験以外のLAMに対するシロリムスの治療効果
  日本人LAM患者に対してシロリムスの安全性を検討した多施設共同医師主導治験(MLSTS試験)
  LAMに対するシロリムス治療の今後の課題
8.細胞老化と創薬
〈桑野和善 荒屋 潤 原 弘道〉
  慢性閉塞性肺疾患 (COPD)
  特発性肺線維症(IPF)
  細胞老化を標的とする治療戦略
9.肺癌における効果的なEGFR-TKI併用療法
〈清家正博 弦間昭彦〉
  EGFR-TKI耐性メカニズムと克服に向けた治療戦略
  EGFR-TKI併用療法の意義
  EGFR-TKI併用療法の臨床試験


索 引

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執筆者一覧

【編集】  編集
永井 厚志  東京女子医科大学名誉教授  編集
巽 浩一郎  千葉大学教授  編集
桑野 和善  東京慈恵会医科大学教授  編集
高橋 和久  順天堂大学教授  
【著者】  
長谷川好規  小林 哲  ガバザ・エステバン  
山本和子  堀越直樹  有村泰宏  
胡桃坂仁志  皆川俊介  荒屋 潤  
桑野和善  後藤慎平  木村 弘  
吉川雅則  齋藤元伸  河野隆志  
石井健男  檜澤伸之  越久仁敬  
岡崎 仁  宮崎泰成  岡本 師  
稲瀬直彦  松坂雅子  浅野浩一郎  
高橋史行  村上朗子  高橋和久  
金子有吾  中山勝敏  赤松弘朗  
洪 泰浩  山本信之  福冨友馬  
大塚秀樹  長坂行雄  玉田 勉  
一ノ瀬正和  光冨徹哉  権 寧博  
伊藤玲子  橋本 修  矢野陽子  
野口雅之  岩井佳子  坂東政司  
谷口博之  川上健司  大石和徳  
本間生夫  岡田克典  瀬山邦明  
安藤克利  江花弘基  原 弘道  
清家正博  弦間昭彦  

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