第2版の序
『肺癌化学療法レジメン 実践と工夫』が刊行されて2年余が過ぎましたが,多くの皆さまのご好評をいただき,このたび,第2版を企画できますことになりました.感謝の念に絶えません.
初版刊行にあたり,化学療法に対する支持療法の進歩やshort hydrationなど利便性の追求が進み,受ける患者の苦しみの軽減や安全性の向上が得られている状況で,この肺癌薬物治療のノウハウを熟知し上手に治療を行うために,治療法別に,特徴,選択する基準,副作用の対処,投与のコツなどを整理し,臨床上で日常的に直面する治療の機会に際し,迅速に正確な情報を伝えるマニュアルを提供することを目的としました.具体的には,網羅的に理解しやすいように,「標準的投与方法」,「EBMと本治療の位置づけ」,「薬剤と保険適応」,「投与期間」,「選択基準および除外基準」,「効果」,「主な副作用」,「投与に際しての留意点」を項目立てし,また,専門薬剤師や看護師の立場から,「日常の工夫」も大胆に執筆いただきました.
この目的や構成に変更はありませんが,最近の薬剤開発や位置づけなどの肺癌診療の変化に対応するために,大規模な改訂が必要となり,このたびの改版となりました.
今回の改版に際しまして,それぞれリーダーの方々に,最新の情報や豊富な経験を織り込んで執筆いただくよう改めてお願いしました.その結果,現在の肺癌診療の現場で大いに参考にしていただける内容の一冊になったと確信しております.幅広い皆さまにご活用いただいて,再び,皆さまのお役に立てることを願います.
最後に,初版の繰り返しになりますが,医師,薬剤師,看護師など,幅広い医療従事者の皆さまにご活用いただいて,皆さまの「薬剤の効果を十分に引き出す診療の実践」のお役に立てることを願います.
2015年7月
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野主任教授
弦間昭彦