序文
日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインは2000 年に初めて作成され,2014 年に最新のものが刊行された.その間に多くの臨床的エビデンスが報告され,2014 年版は大変明確な形でエビデンスレベルと推奨グレードが明記され,一層具体的なガイドラインとなった.しかし,実際の臨床現場では,患者の多様化や情報の多様化などにより,疑問点が全て解明されたわけではなく,依然として臨床現場ならではの疑問が残る.これらはあくまでも個別に対応すべき事柄であるが,それでも専門家の意見を参考にしたいとする現場の声が少なくない.本書では実臨床の場で持ち上がると思われる問題点をQ & A の形で,専門家に執筆いただいた.執筆くださった専門家は私の盟友であり,数十年にわたり高血圧の診断や治療で供に悩んできた方々である.このQ & A は必ずや第一線の臨床で活躍している先生方の高血圧診療の一助になると信じている.
2015 年8 月吉日
札幌西円山病院
浦 信行