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書籍詳細

セカンドオピニオンから学ぶ乳がん診療

セカンドオピニオンから学ぶ乳がん診療

岩田広治 著

A5判 138頁

定価2,970円(本体2,700円 + 税)

ISBN978-4-498-06082-1

2015年07月発行

在庫なし



 医療においてセカンドオピニオンを受けることは,患者さんにおける当然の権利として認められるようになり,医療者もセカンドオピニオンを希望する患者さんを特別視することなく,対応していただける時代になりました.私は,愛知県がんセンター中央病院乳腺科部長に就任後,当院のセカンドオピニオン外来を担当し,既に延べ1,000人以上のセカンドオピニオンを受けています.数年前から,当科のレジデントを対象に,私がセカンドオピニオンを受けた患者さんを題材に,週1回の勉強会を開催していました.セカンドオピニオンで受け取った紹介状から,レジデントに自分ならどのような治療を選択し,どのように患者さんに説明するかを自ら発言し,最後に私がどのように答えたかを渡しています.セカンドオピニオンの内容は多岐にわたり,乳がんの診断から,手術方針,術前・術後薬物療法の考え方,再発治療まで,乳がん診療全般にわたります.1回3〜4例を題材にしますが年間100例を超える症例を経験することになり,レジデントには貴重な勉強の機会のようであり,是非この勉強会の題材を本にしたらどうかと提案がありました.そして,今回出版社から,先生監修での本を出さないかと提案をいただき,この企画を話したところ,快くお受けいただき,今回の出版に至りました.
 本書は,セカンドオピニオンを出す側の先生,受ける側の先生,そしてこれから乳がんを専門にされようとする先生,今乳がんを専門にされている全国の先生方すべてにお役に立てるようにと構成させていただきました.
 また,セカンドオピニオンに対する私の回答は,その時点で実際に回答した内容を記載させていただきました.時代によって,承認された薬剤やエビデンスの蓄積によって,現時点での標準的な考え方と,若干相違があることは承知いただきたいと思います.また回答の内容は,あくまで私のセカンドオピニオンとしての意見であり,保険診療や,エビデンスとは若干ずれがあるかもしれません.ガイドラインとは異なることを承知の上で,一読いただければ幸甚です.

2015年6月
岩田広治

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目次

第1章 セカンドオピニオンの基礎
 A.はじめに
  1.セカンドオピニオンとは
  2.セカンドオピニオンを受けるにあたり
  3.セカンドオピニオンを受けた後
 B.セカンドオピニオンを担当する先生へ
 C.セカンドオピニオンを紹介する先生へ

第2章 実際のセカンドオピニオンから学ぶ
 Case 1.術後治療,情報が足りないケース[症例:46歳]
 Case 2.術前針生検で,DCISなら術前治療はあり得ない[症例:45歳]
 Case 3.病理レポートと実際に齟齬があるか?[症例:32歳]
 Case 4.ベースラインリスクとリスクリダクションの考え方[症例:43歳]
  コラム ベースラインリスクとリスクリダクション
 Case 5.再発の意味を伝えることが大切[症例:53歳]
  コラム どうして再発するのか?
 Case 6.ベースラインリスクとリスクリダクションの考え方(HER2陽性)[症例:50歳]
 Case 7.術前化学療法後の胸壁・鎖骨上照射について,明確なエビデンスのないところ[症例:47歳]
 Case 8.術前化学療法の意義を問う[症例:46歳]
 Case 9.再発の診断をまずは正確に[症例:62歳]
 Case 10.骨シンチで鑑別困難な疾患[症例:58歳]
  コラム 骨転移と鑑別が難しい疾患
 Case 11.原発性肺がんと乳がん肺転移の鑑別は難しい[症例:68歳]
  コラム 原発性肺がんと乳がん肺転移の鑑別
 Case 12.原発性乳がんで肺に小病変あり,術前化学療法の適応は?[症例:50歳]
 Case 13.全身状態が悪く,他がんの合併が疑われる高齢者の治療[症例:76歳]
  コラム ER測定方法の変遷
 Case 14.高齢者原発性乳がんに対する治療方針[症例:84歳]
 Case 15.オカルト乳がんの治療方針[症例:56歳]
 Case 16.センチネルリンパ節転移に対する対処,局所再発と生存率[症例:47歳]
  コラム 乳房内再発4:1理論
  コラム 再発治療のセカンドオピニオン
 Case 17.ホルモン陽性再発治療選択[症例:34歳]
  コラム ホルモン陽性再発乳がんの基本的考え方
 Case 18.HER2陽性再発治療選択[症例:56歳]
  コラム Primary resistanceとacquired resistance
 Case 19.ホルモン陽性骨転移典型例の治療選択[症例:34歳]
  コラム Life threateningの定義
 Case 20.再発乳がんでホルモン治療から抗がん剤への変更のタイミング[症例:79歳]
 Case 21.再発治療における腫瘍マーカーの意義[症例:57歳]
 Case 22.何が契機で再発が起きるのか?[症例:57歳]
  コラム Dormancyながん細胞
 Case 23.StageIV乳がんの治療に術前化学療法という概念はない[症例:43歳]
 Case 24.紹介状の情報不足,TAMのE2作用は[症例:42歳]
  コラム TAM撤去反応(withdrawal response or rebound regression)
 Case 25.HBOCを疑う原発性乳がん患者の術式選択[症例:49歳]
  コラム BRCA遺伝子異常
  コラム HBOCに対する対応
 Case 26.HER2陽性再発乳がん治療,タキサン系抗がん剤の運動性末梢神経障害に注意
     [症例:(再発)61歳]
 Case 27.炎症性乳がん型再発[症例:(再発)56歳]
  コラム 炎症性乳がん型再発
 Case 28.ホルモン治療による副作用[症例:40歳]
 Case 29.B型肝炎患者への抗がん剤[症例:73歳]
 Case 30.タキサン系薬剤の副作用[症例:66歳]
  コラム ステロイドの作用メカニズムを知っていますか?
 Case 31.細胞診や針生検でのがん散布の可能性[症例:45歳]
 Case 32.局所・領域再発に対する治療選択?[症例:48歳]
 Case 33.局所・領域再発に対する治療選択?[症例:48歳]
 Case 34.乳房内再発はtrue recurrenceかnew primaryか[症例:39歳]
 Case 35.局所・領域再発に対する治療選択?[症例:45歳]
 Case 36.局所進行乳がん,完治の可能性があるかどうかの見極めが重要[症例:74歳]
 Case 37.若年者乳がんの薬物治療で考慮すること[症例:32歳]
  コラム 抗がん剤に伴う閉経(chemotherapy induced amenorrhea)
 Case 38.HER2陽性異時性両側乳がんに対する2回目の術後治療の選択[症例:31歳]
 Case 39.妊娠期乳がんへの対応[症例:28歳]
  コラム 妊娠期の抗がん剤治療
 Case 40.特殊型(TN乳がん)に対する術後治療?[症例:54歳]
 Case 41.特殊型(TN乳がん)に対する術後治療?[症例:58歳]
 Case 42.血性乳頭分泌症例に対するアプローチ[症例:44歳]
  コラム 異常乳頭分泌症例に対する乳管造影の有用性
 Case 43.悪性葉状腫瘍の再発?[症例:45歳]
  コラム 葉状腫瘍の局所治療
 Case 44.悪性葉状腫瘍の再発?[症例:37歳]
 Case 45.終末期への対応[症例:51歳]
  コラム 終末期に向けての医師の対応
 Case 46.抗がん剤拒否の再発患者(治験への登録)[症例:37歳]
  コラム 治験への参加
 Case 47.術前の予想に反した病理結果に対して[症例:44歳]
 Case 48.残存乳房内再発手術後の全身治療[症例:60歳]

最後に

索 引

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