序
昭和55年から腎臓内科の講義を担当するようになって35年になる.当初は1コマ100分で総論が7コマ,各論が15コマであったが,時代とともに授業時間数は減少し,腎臓内科の授業時間は1コマ90分で総論3コマ,各論8コマと全部で11コマになってしまった.授業時間が半分になっても教える内容はむしろ増えており,以前と同じレベルの内容を圧縮して講義するのが大変であった.本稿は特に腎臓内科学の総論,各論を網羅したものである.弘前大学における腎臓病学は意外に歴史は古く,昭和37年には腎生検,昭和40年代初めには腎生検標本について蛍光抗体法や電子顕微鏡による検索が行われており,また,人工腎臓の導入や腎移植も行われている.本稿で提示されている症例の大半は旧弘前大学第二内科で経験したものであり,症例を示しその疾患に対して簡潔に解説するという形式にしている.また,福岡大学医学部斉藤喬雄教授には身に余る本書の推薦文と貴重な症例の写真をご提供いただいた.心から感謝申し上げます.もとより腎臓内科学の進歩は著しく,35年間新しい知識を学生に伝えるべく努力してきたつもりではあるが不十分な部分も多々あると思われる.皆様のご批判を頂ければ幸いである.
平成26年11月
山辺英彰