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書籍詳細

新 移植免疫学

新 移植免疫学

藤原大美 編著

B5判 266頁

定価(本体7,800円 + 税)

ISBN978-4-498-00656-0

2000年10月発行

在庫なし

自己と非自己の認識という,免疫学の本質的な課題を問いかける移植免疫学は,基礎研究の進展と新時代を迎えたわが国の移植医療の進歩とがあいまって,新たな段階を迎えている.本書では自己・非自己認識システムの進化,主要組織適合抗原の構造と機能,拒絶反応のメカニズム,移植抗原特異的免疫抑制などさまざまな知見と臨床移植の現況を多角的に解説した.



 機能を喪失した臓器を健常な臓器と置換する臓器移植は理論的には根本的な医療となる.しかしながら,我々の身体には生体防御機構としての免疫反応,すなわち,体外から侵入した異物を非自己と認識して,これを体外に排除し生体の恒常性を維持する機構が備わっているため,移植臓器が免疫反応の標的とならないはずはなく,この免疫反応が拒絶反応として臓器置換を困難にしてきたことは言うまでもない.
 手術手技の進歩により,いまでは移植医療の最大の課題は術後の拒絶反応をいかに制御するかにかかっている.それでも近年,卓抜した効果を示す免疫抑制剤が開発され,その恩恵を受け臓器移植の症例が急増し,またその移植成績も飛躍的に向上した.わが国でも臓器移植法が制定され,最近8例の脳死移植も行われるに至った.この場合も,やはり免疫抑制剤により拒絶反応がうまく制御されている.このように移植成績は年々向上しているが,そのことは長期生着移植臓器にみられる慢性拒絶反応等の新たな問題点を明示することにもなってきた.“免疫”という生体恒常性維持機構の存在を考えると,宿主が移植臓器を拒絶しようとするのは自然の摂理であろう.したがって,新たに発生してくる問題に対する対策に加え,根本的に拒絶反応の制御法を再考することが常に求め続けられることになる.
 本書では移植免疫の原点に戻って,拒絶反応の標的となるMHC抗原をはじめ組織適合抗原が,生物界において,個体間で異なることの必然性から述べ始め,組織適合抗原の異なる個体間でみられる拒絶反応機構の複雑さ,多様性について詳述される.そして複雑な拒絶反応を特異的にまたは非特異的に制御することを企図した最近の知見をまとめるとともに,拒絶反応という難問を抱えつつも臨床医が移植医療においていかに努力を積み重ねてきたかについて紹介されている.免疫学の基礎として拒絶反応およびその制御の理解に,またそのような基礎免疫学の知見を包含した移植医療向上への研鑽に本書が少しでも役に立てば幸いである.

2000年9月
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目 次

1.自己・非自己識別システムの進化  大田竜也,笠原正典
 A.適応免疫システムを構築する主要な分子群の起源と進化
  1.抗原受容体--B細胞抗原受容体とT細胞抗原受容体
  2.MHCの進化と起源
 B.自然免疫システムを構築する分子群の起源と進化
  1.補体系
  2.NK細胞による細胞傷害
  3.Toll受容体
 C.無脊椎動物で観察される組織適合性
  1.海綿動物における組織適合性
  2.ホヤにおける組織適合性

2.主要組織適合抗原の構造と機能--抗原提示  篠原信賢
 A.MHC遺伝子
  1.主要組織適合性遺伝子複合体
  2.クラスI遺伝子
  3.クラスI分子の立体構造
  4.その他のクラスI様遺伝子
  5.クラスII遺伝子
  6.クラスIIMHC分子の立体構造
  7.MHC内に存在するMHC分子構造遺伝子以外の遺伝子
 B.MHC分子の機能: 抗原提示
  1.Ir遺伝子とMHC拘束
  2.Ir遺伝子
  3.T細胞抗原認識のMHC拘束
 C.ペプチド断片とMHC分子との複合体形成
  1.クラスII MHC分子とペプチド断片との親和性
  2.クラスI分子とペプチド断片との結合
 D.MHC分子の細胞内合成,会合とペプチド提示
  1.クラスI提示経路とクラスII提示経路
  2.クラスI MHC分子の合成,輸送および細胞内ペプチドの結合
  3.クラスII分子の合成,輸送と細胞外抗原の提示
  4.MHC分子とペプチドの結合の特異性
 E.アロ抗原のT細胞による認識
  1.同種移植拒絶反応に関与する細胞
  2.アロMHC抗原の認識
  3.マイナー移植抗原

3.移植抗原認識機構と急性拒絶反応  榊田 悟,藤原大美
 A.宿主T細胞による移植抗原の認識
  1.移植抗原とは
  2.移植抗原としてのMHCとT細胞の強いアロ反応性
  3.非主要組織適合性抗原(マイナーH抗原)
  4.移植抗原の直接認識(direct recognition)と間接認識(indirect recognition)
  5.in vivo移植片拒絶反応におけるアロ抗原認識経路の意義
    --in vitro反応はin vivoの結果を予測するか?
 B.急性拒絶反応のメカニズム
  1.生体内で移植抗原提示を行う細胞とは?
  2.移植抗原感作の場―所属リンパ組織か移植臓器か?
  3.近年急速に集積される樹状細胞の起源,分化,生体内動態に関する新知見
    --樹状細胞活性化は免疫応答(拒絶反応)のマスターキーか?
  4.MHCを認識するT細胞のフェノタイプと機能
    --拒絶反応におけるT細胞間相互作用
  5.T細胞のリンホカイン産生能の分極化と拒絶反応
    --拒絶反応におけるTh1/Th2パラダイムの行方?
  6.T細胞以外のエフェクター機構

4.慢性拒絶反応と異種移植片拒絶反応  榊田 悟
 A.慢性拒絶反応
  1.慢性拒絶反応とは--その臨床的病態と組織学的特徴
  2.移植後細動脈硬化症(TVS)とその病理
    --慢性拒絶反応におけるresponse to injury modelとその実験的検証
  3.慢性拒絶反応とT細胞のアロ免疫応答
  4.臨床的慢性拒絶反応の治療戦略に求められるもの
 B.異種移植片拒絶反応
  1.ブタからヒトへの異種移植と超急性拒絶反応 hyperacute rejection(HAR)
  2.遅延型異種移植反応 delayed xenograft rejection(DXR)
  3.異種移植におけるT細胞応答の可能性
  4.臨床利用に向けた異種移植拒絶反応制御の試み
  5.異種移植における移植免疫以外の問題--xeno-zoonosis

5.移植抗原特異的免疫抑制  藤原大美
 A.T細胞活性化機構
  1.T細胞活性化
  2.副刺激シグナル
 B.副刺激シグナル修飾による免疫寛容誘導
  1.抗原提示細胞の機能
  2.副刺激不在下でのTCR刺激により誘導される負の応答
  3.アナージーとアポトーシスの関係
 C.移植免疫応答における免疫寛容
  1.ドナーB細胞の前感作による免疫寛容誘導
  2.ドナー細胞を用いたアロ抗原提示による免疫寛容誘導の限界とその原因
  3.T細胞アポトーシス誘導理論に基づいた移植免疫の寛容導入
 D.キメリズムと免疫寛容誘導
  1.キメリズムの誘導
  2.臓器移植後に観察されるキメリズム
  3.免疫寛容誘導におけるpassenger leukocyteの役割
  4.キメリズムの誘導,passenger leukocytesの役割および免疫寛容の相互関係

6.免疫抑制剤  大塚一幸,広井 純,妹尾八郎
 A.開発の歴史
 B.免疫抑制剤の分類
 C.主な免疫抑制剤とその作用機序
  1.purine核酸合成阻害剤
  2.特異的情報伝達阻害剤
  3.リンパ球表面機能阻害
  4,その他

7.HLA抗原タイピングと臨床移植における意義  成瀬妙子,猪子英俊
 A.HLA抗原を構成する遺伝子
  1.HLA抗原とは
  2.HLA遺伝子領域
 B.HLA抗原タイピング
  1.血清学的検査法
  2.細胞学的検査法
 C.HLAのDNAタイピング
  1.HLA遺伝子のDNAタイピング
  2.HLA DNAタイピング方法
  3.HLA DNAタイピングの利点
  4.日本におけるHLA DNAタイピングの精度
 D.HLAタイピングの臨床移植における応用とその意義
  1.HLAタイピングの移植医療への応用
  2.骨髄移植とHLA

8.腎移植  田邉一成
 A.適 応
  1.生体腎ドナーの適応
 B.腎移植の現状とその成績
  1.腎移植の現状
  2.腎移植の成績
  3.免疫抑制法
 C.拒絶反応の病態生理
  1.超急性拒絶反応
  2.促進型急性拒絶反応
  3.急性拒絶反応
  4.慢性拒絶反応
 D.拒絶反応のモニタリング
 E.問題点,対策,将来

9.心移植  中田精三
 A.心移植の適応
 B.心移植の現状
 C.免疫抑制療法と拒絶反応
 D.心移植の成績と移植心の生理
 E.国内での心移植
 F.心移植の将来

10.肝移植  田中紘一,上本伸二
 A.適応疾患
 B.移植の現状
  1.脳死肝移植
  2.生体肝移植
  3.免疫抑制療法
 C.拒絶反応の病態生理
  1.急性拒絶反応
  2.慢性拒絶反応
  3.ABO血液型不適合移植における拒絶反応
 D.拒絶反応のモニタリング
  1.急性拒絶反応
  2.慢性拒絶反応
 E.今後の課題
  1.急性拒絶反応
  2.慢性拒絶反応
  3.ABO血液型不適合移植

11.肺移植  青江 基,伊達洋至,清水信義
 A.肺移植の歴史と現況
  1.歴 史
  2.保在方法,液
  3.免疫抑制剤
  4.生体部分肺葉移植
  5.本邦での現況
 B.適 応
  1.脳死肺移植
  2.生体部分肺葉移植
 C.成 績
 D.モニタリング
  1.呼吸機能
  2.経気管支肺生検
  3.体 温
  4.免疫抑制剤の血中濃度
  5.拒絶反応の治療
  6.サイトメガロウイルス感染
 E.現状での問題点と今後の対策

12.小腸移植  吾妻達生
 A.腸管免疫の特殊性
 B.腸管移植の適応
 C.腸管移植の歴史
 D.拒絶反応と移植片対宿主病 graft-versus-host disease(GVHD)
 E.腸管移植の現況
  1.国際小腸移植シンポジウムによる現況
  2.術後経過の特徴/慢性拒絶反応
  3.生体腸管移植について
  4.各移植施設における腸管移植
 F.臨床小腸移植の実際
  1.手術手技
  2.免疫抑制法ならびに拒絶反応
  3.術後感染症

13.骨髄移植とGVHD  平岡 諦
 A.移植の年次推移と多様化
 B.ドナー別,急性GVHDの頻度
 C.急性GVHDと生存率
 D.Hyperacute GVHD
 E.Minor histocompatibility antigen
 F.HLA不一致血縁者間移植とGVHD
 G.非血縁者間骨髄移植とHLA-C
 H.NK細胞とGVHD,GVL効果
 I.PBSCT,CBTのGVHD
  1.PBSCT(末梢血管細胞移植)
  2.CBT(臍帯血移植)
 J.急性GVHDの制御
  1.第一相の制御
  2.第二相の制御
  3.第三相の制御
 K.慢性GVHDの病態とautologous GVHD
  1.ラット・自家(同系)GVHDの発症機序
  2.ヒト自家GVHD
  3.慢性GVHDにみられる免疫異常
 L.graft-versus-leukemia効果
  1.GVL効果
  2.GVLとGVHDは分離できるか
  3.HLA-CとGVL効果
 M.新規の移植方法
  1.non-myeloablative transplantation(mini-transplant)
  2.haplo-identical transplantationとtolerance誘導
 N.免疫再構築と感染症対策
  1.CMV感染症
  2.EBVによるリンパ増殖症候群

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