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書籍詳細

もし大学病院の外科医がビジネス書を読んだら

もし大学病院の外科医がビジネス書を読んだら

海道利実 著

B6判 142頁

定価(本体1,800円 + 税)

ISBN978-4-498-04816-4

2013年11月発行

在庫あり

大学病院外科医の読書・人生経験をまとめたら…

ピーター・ドラッカー『マネジメント』などの代表的なビジネス書から,各界著名人の言葉まで.大学病院での毎日の合間を縫って,幅広く活字を愛読する外科医が,その読書体験,人生体験を通じて考えたことをまとめたらこうなった! 外科医にとってのマーケティングとは? 患者にとってのイノベーションとは? 仕事や人生が楽しくなるヒント満載の本書は,医療関係者のみならず,全ての人々に読んでほしい一冊である.

■著者略歴

海道利実(かいどう としみ)

 京都大学肝胆膵移植外科・臓器移植医療部准教授.
 1963年福井県福井市生まれ.1987年京都大学医学部卒業後,京都大学外科学教室入局.1996年京都大学大学院医学研究科博士課程修了.1999年京都大学腫瘍外科助手,2001年大津市民病院外科医長,2007年京都大学肝胆膵移植外科・臓器移植医療部助教を経て,2009年10月より現職.
 主な受賞歴として第19回日本肝胆膵外科学会理事長賞,第20回日本肝胆膵外科学会会長賞,平成24年日本静脈経腸栄養学会フェローシップ賞,日本肝臓学会第15回AJINOMOTO Award最優秀研究賞など.
 肝胆膵・移植外科領域全般の臨床や研究の傍ら,チーム医療,外科医のワークライフバランス向上,若手外科医の教育に取り組んでいる.
 2013年6月より雑誌「消化器外科」(へるす出版)に,「外科医の外科医による外科医のための学会発表12ヶ条」のタイトルで,“外科医以外にもためになる外科医らしくない”話を好評連載中.

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 「医者である前に、一社会人であれ!」
 これは、私がよく若い医師に言う言葉である。高校を卒業し、医学部に入学し、医師国家試験に合格すれば、医師免許を取得し、医師になれる。医師になると、患者さんからは「先生、先生!」と言われ、医薬情報担当者(MRさん)からは丁寧な挨拶を受け、あたかも自分は偉い! と錯覚する医師がいる。

 しかし、医師1年目は、社会人1年目である。これを理解していない新人医師が非常に多い。いや、新人医師に限ったことではないかもしれない。

 患者さんやMRさんは、治療を受ける立場、薬等を使ってもらう立場にあるから、そのような言葉遣いや態度をとらざるを得ないのである。一歩、病院を離れ、社会の中で見れば、新人医師はぺーぺーの新参者である。

 いつ頃からだろうか? 振り返ると、京都大学外科学教室の大学院に帰った頃から、ビジネス書に興味を持つようになったような気がする。医学系の大学院では、動物実験をしたり、研究室で細胞培養をしたり、遺伝子の解析をしたりと、研究生活に入る。今と異なり、インターネットの論文検索が普及していなかったので、皆、医学図書館で論文や参考書を検索して、勉強したものだ。

 私も、図書館によく通った。ただ、京都大学医学部の医学図書館にではなく(もちろんよく文献検索もしたが)、当時住んでいた京都市左京区の左京図書館にである。ある時、ホンダの創業者である本田宗一郎さんの本『得手に帆上げて』(三笠書房)を手にした。吸い込まれるように読み進んだ。「人生は『得手に帆上げて』生きるのが最上だと信じている」と書いてあった。

 そうだ、好きなこと、自分の得意なことを見極めてやっていこう!

 あまり出席しなかったが、大学や大学院の授業では、こんなことは教えてくれない。私にとっては、ビジネス書や人生における種々の経験が教科書だったのかも知れない。

 医者やコメディカルが参加する学会では、ランチョンセミナーという、お弁当を食べながら、講師の先生のお話を聞く時間がある。私も外科医になってから、学会に参加する度に数多くのランチョンセミナーを拝聴してきた。しかし、ランチョンセミナーの名のごとく、お昼ご飯を食べて講演を聴いていると、つい眠くなってしまうことが多かった。単調で難解な話をされるとなおさらである。そこで、もし将来、自分が演者になることがあったら、絶対に聴衆を寝かさない講演をしよう! と心に秘めていた。

 もちろん、私のような一介の外科医にランチョンセミナーの機会があるはずもなかった。ところが、市中病院から2007年に京都大学肝胆膵移植外科教室に帰学し、肝移植に携わるようになって以降、時々ランチョンセミナーの機会をいただくようになった。これもひとえに、上本伸二教授ならびに教室員やコメディカルの皆さんのお陰と、深く感謝している。

 私の決心通り、ランチョンセミナー前には、周到に準備し、講演の随所に著名人の名言等を引用して、聴衆に飽きさせない、眠くならない、外科医らしくない話をしてきた。

 そんな中、岩崎夏海氏の「もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)が2010年のベストセラーになった。2011年夏にはAKB48に在籍していた前田敦子さんの主演で映画化もされた。私はその映画をJALの機内で見たが(最近は、映画は映画館ではなく、機内で見ることが多い)、感動して涙を流した。私は涙もろく、大抵の映画を見て涙を流す。先日も、クリントー・イーストウッド主演の『人生の特等席』という、大リーグの老スカウトと弁護士の娘の映画を見て、人目をはばからず涙を流した。この映画はお勧めである。

 さて、それはさておき、2011年11月の第73回日本臨床外科学会で、ランチョンセミナーの機会をいただいた。今度は、どんなタイトルで講演しようか? と考えた。

 そうだ、今話題の「もしドラ」の“高校野球”を“大学病院”に、“マネージャー”を“外科医”に変えてみてはどうか? そうして、外科医をはじめとする医師やコメディカルの皆さんに、私やドラッカー、著名人の、仕事や人生に対する考え方や取り組み方を面白楽しくお話しようと考えた。

 しかし、このタイトルではたしてランチョンセミナーの席が埋まるのだろうか?

 当初、不安はあった。通常は、「肝臓外科の最前線」とか「名人が見せる腹腔鏡手術のテクニック」など、見ただけで内容がわかるタイトルをつけるものである。それに対して、私のタイトルでは、何の話をするか全くわからない。会場ががらがらになるのではないか? 一種の賭けでもあった。

 しかし、私には自信があった。会費を何千円か払って聞く講演なら、そのようなタイトルではきっと躊躇するであろう。私も聞かない。

 でも、ランチョンセミナーである。お弁当を食べながら、“タダ”で聞く講演である。ミステリー列車という行き先がわからない列車が一時ブームになったように、何を話すかわからないことに興味を抱いてくれる人も少なくないであろう。ましてや「もしドラ」は、ベストセラーの影響で、ブームとなって人口に膾炙していたし、映画化もされ、市民権を得ていた。きっと、多くの方に来ていただけるとの確信があった。

 さらに嬉しかったことに、ご依頼いただいた会社の担当の藤森孝幸さん(株式会社明治 栄養事業本部)は、快く私の申し出を了承していただいた。そればかりか、会社の会議で製品と関連づけた副題をつけてほしいとの要望があったが、藤森さんは私を信頼してくれ、副題なしでと主張していただいたそうである。

 そうして第73回日本臨床外科学会において、初めてこのタイトルで講演を行った。座長には、以前より親身にご指導いただいていた日本大学消化器外科の高山忠利教授にお願いした。

 最近、ランチョンセミナーは整理券方式になった。当日朝に整理券の配布を開始し、整理券を入手しなければ、弁当が食べられず、会場に入れない。ふたを開けてみれば、午前9時25分には、私のセミナーだけチケットがすべて売り切れた。大盛況だった。

 以前より友人から、講演の話を本にしたら、と言われたことはあった。しかし、「各界の著名人の言葉を多く引用している話なので、本にすることはできないよ!」と答えてきた。

 そんな中、2012年12月、中外医学社の五月女謙一氏から、私の講演での話を本にしてみては? とのお手紙をいただいた。驚いた。五月女さんは、わざわざ京都まで足を運んで下さった。

 今年は50歳となる節目の年である。そろそろ私の人生や仕事に対する考えや姿勢などを、本にして残す良い機会ではないか。そう考え、ありがたくお受けした。その後も同様の話があったが、最初にお話をいただいた恩義から丁重にお断りした。

 タイトルは、ドラッカーをはじめ松下幸之助氏、稲盛和夫氏など多くのビジネス書を読んで書いたことから、「もし大学病院の外科医がビジネス書を読んだら」にした。サブタイトルとして、私の思いを込め、〜仕事や人生が楽しくなる“深いい話”〜を加えた。

 しかし、お受けしてはみたものの、我々外科医の業務は、手術や外来、病棟業務、検査などの日常臨床に加え、学会発表、抄録作成、依頼原稿、英語論文作成など多岐にわたるため、なかなか原稿を書く時間を確保できない。そこで、本書は、主として国内出張の新幹線や国際学会に行く飛行機などの移動中の時間を利用して書いたものである。

 これまで、多くの人に出会い、多くの人にご指導いただき、多くの人にお世話になってきた。本著の中では、私の人生において、特にお世話になった方々について、お礼かたがた、実名を出してご紹介したい。

 医師に限らず様々な職種の方に「もしビジ」を読んでいただき、少しでも皆様の人生や仕事において参考になることがあれば、望外の喜びである。

海道利実

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目 次

成功のカギは「変革と創造」
 1 楽しく仕事しないと“人生の損”である
 2 年収2000万の人が一番勉強したのはいつ?
 3 社会人の勉強は、仕事に直結し、役に立つ
 4 一緒にドラッカーの勉強をしよう!
 5 マーケティングとイノベーション
 6 自由な校風の京都大学
 7 「最も変化に対応できるものが生き残る」 ダーウィン
 8 どうして富士フィルムが化粧品を?
 9 「会社の目的はファンを作ること、顧客を作ること」
    ファーストリテイリング社代表取締役会長兼社長 柳井 正氏
 10 「変化について行くのではなく、自ら変化を作り出せ!」
     日本マクドナルドHD会長兼社長 原田泳幸氏
 11 「変わらなきゃ!」 イチロー選手(マリナーズ→ヤンキース)
 12 「昨日と同じことをやることは作業である」 TOYOTA
 13 「成功する秘訣は、創意工夫を365日続けることである」 京セラ創業者 稲盛和夫氏
 14 「差別化を図れ」 海道
 15 「継続は悪、変化は善!」 小林製薬
 16 共通点は“変革と創造”である
 17 「与えられたポジションでベストを尽くす」 海道
 18 「すべては患者さんのために!」 海道

私の「変革と創造」
 19 大学卒業から肝移植と出会うまで
 20 肝移植との出会い
 21 京都大学肝胆膵移植外科に帰学して肝に銘じた3つのこと
 22 仕事を頼まれたら、断らずにチャレンジしよう!

マーケティングとイノベーション「患者編」
 23 患者さんのニーズは?
 24 移植後感染症の危険因子は?
 25 最も栄養状態が不良な時期に大手術
 26 肝移植患者が感染症にかかりやすい理由
 27 オーダーメード型栄養療法を!
 28 新たな栄養評価法を!
 29 1日3食ではなく、半日3食である
 30 イノベーションしやすい環境
 31 新たな栄養評価法の導入
 32 肝移植とサルコペニア
 33 できない理由より、できる理由を探してやってみよう!
 34 手術前夜からの絶飲食は間違い!
 35 たまたま出会った経口補水療法
 36 やるならspeedyに!
 37 良い連鎖は広がる! Give & Give!
 38 外科医にはない発想
 39 外科医も術前・術中経口補水療法!
 40 感染制御のためのイノベーション?術後早期経腸栄養
 41 感染制御のためのイノベーション?プロカルシトニン測定の導入

マーケティングとイノベーション「外科医編」
 42 部下のニーズを満たす最良の方法は、上司のニーズに応えることである
 43 外科医のニーズとは?

「手術したい」「手術が上手くなりたい」に対するイノベーション
 44 生体肝移植ドナー手術
 45 生体肝移植レシピエント手術
 46 外科医は皆、手術が好き! 手術したい!
 47 Sustainableな肝移植医療を作るには?
 48 “誰でもできる肝移植”は可能か?
 49 京大肝胆膵移植外科の新たな常識
 50 手術の“るるぶ”
 51 最初の生体肝移植ドナー手術前の教授との会話
 52 当科肝移植術者の2大原則
 53 上本教授と手術して驚いたこと
 54 認めて、任せて、ほめる、そして感謝する
 55 人は宝
 56 医者である前に、一社会人であれ!
 57 医師にもダイバーシティを!
 58 上司は楽で、部下は楽しい
 59 伸びる組織の方程式は“JJK”
 60 サプライズ人事は、所詮サプライズ

「学会発表や論文作成したい」に対するイノベーション
 61 学会発表のテーマの選び方
    〜その1「縦につながるテーマを持て!」
 62 学会発表のテーマの選び方
    〜その2「自分で汗をかいて徹底的にやれ!」
 63 学会発表のテーマの選び方
    〜その3「演題募集からテーマを選べ!」
 64 学会発表と論文作成は“1対1対応”
 65 抄録を書いたら、すぐに論文化
 66 大学病院ではなく関連病院で頑張っている人をほめよう!

「プライベートの時間もほしい」に対するイノベーション
 67 外科医もワーク・ライフ・バランスを
 68 ワークとライフの望ましいバランスは?

「給料を上げてほしい」に対するイノベーション
 69 ハイリスク・ローリターンを解消しよう!

「楽しく仕事したい」に対するイノベーション
 70 仕事や人生が楽しくなる“深イイ話”
 71 (1)仕事の取り組み方に関する“深イイ話”
 72 (1)仕事の取り組み方に関する“深イイ話”
    「アリ、トンボ、人間になれ」丹羽宇一郎氏
 73 (1)仕事の取り組み方に関する“深イイ話”
    「仕事に追われるのではなく、仕事を追っかけろ!」海道
 74 (2)好きな仕事ができる“深イイ話”
 75 (3)もっと仕事が好きになる“深イイ話”
 76 (4)成功するための“深イイ話”
 77 (5)リーダーに必要な“深イイ話”
 78 (6)明るく楽しく生きるための“深イイ話”
 79 (7)仕事で失敗した時の“深イイ話”仰木彬監督
 80 (7)仕事で失敗した時の“深イイ話”松下幸之助氏
 81 (7)仕事で失敗した時の“深イイ話”海道
 82 (8)清々しく生きるための“深イイ話”3 No’s 海道
 83 コストゼロで、即効性があり、明るくなる魔法
 84 川は低きに流れ、人は易きに流れる
 85 マネジメントの基本は真摯さである
 86 「Passionを持つ人のみが世界を変えられる」スティーブ・ジョブズ

あとがき

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執筆者一覧

海道利実 京都大学肝胆膵移植外科・臓器移植医療部准教授 著

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