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書籍詳細

インターネットで医楽しよう

インターネットで医楽しよう

諏訪邦夫 著

A5判 250頁

定価(本体3,000円 + 税)

ISBN978-4-498-04812-6

2013年10月発行

在庫あり

血液ガス研究の泰斗がおくる珠玉の論集

インターネットにかかわりのある医学・呼吸器学・科学などに関する話題を幅広く取り上げ,著者一流の軽妙洒脱な解説を加えた書.それぞれの記述はインターネットという巨大空間に続き,読者を悠久の知的冒険へと誘うであろう.タイトルの「医楽(いがく)」は,「医学を楽しむ」という思いを込めた著者の造語.雑誌『呼吸』連載「インターネットでみる『呼吸器』」をベースに大幅に加筆した.血液ガス研究の泰斗がおくる珠玉の論集.

プロローグ

 本書には際立った特徴が一つあります.通常の書籍は,中身の記述で情報が完結している場合が多いでしょうが,本書ではインターネットという巨大空間に開いており,本書を手掛かりにして膨大な情報への糸口となるはずで,私自身もその意識で書いています.元来そのつもりで書いた記事から採用したもので,それとのかかわりが大きくて当然です.他に一部,書籍紹介の文章を含めましたが,これも内容や記事がインターネットにかかわっているものを中心に選びました.
 数年前から,「呼吸」という雑誌に,「インターネットでみる『呼吸器』」という記事を連載しています.本書の原稿は基本的にそこから採用しました.内容の大部分は医学一般に関するもので,呼吸器の要素は最後の章に少しだけ加えました.私は血液ガスつまり酸素と二酸化炭素の問題を学んでいるので,呼吸器とはいっても医学一般に近い故もあり,その意味でも採用しやすい気持ちでいます.個々の病気の詳細な議論は避けています.
 タイトルにつかった「医楽」は,私が今回初めて採用した造語です.少し以前からこの仕事が「本当に楽しい」と感じるようになってきました.特に2011年11月に山道で滑落事故を起こし,それ以来脊椎骨の圧迫骨折の後遺症で体力のパワーもスタミナも低下しています.幸いにして,四肢の麻痺や頭脳の異常は,少なくとも自覚的にはありません.でも,スタミナの低下がはなはだしく,その能力の恢復の遅れに一時は苛立ちましたが,「まあ残った機能がかなりあるから,それをうまく使おう」という気持ちに落ち着いてきました.身体を動かすことに,以前ほどは時間とエネルギーを費やせない点も,そんな気持ちを助けているようです.
 なお,「呼吸」の記事には英語のタイトルをつけてあり,これはそのまま残しました.必要はないのですが,せっかく存在するものを除去するのももったいなく,読者の参考になるかも知れないと感じました.また書籍紹介の記事は,一般記事風に書き換えたことをお断りします.
 また,最初に調べた時点では存在したURLで,現在は消滅したもの,当初はオープンアクセスだったのに現在は有料のものなどがあります.判明したものは加えましたが,手の及ばないもののある点をお詫びします.

2013年 初夏
諏訪邦夫

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目次

第1部 医学一般のもの
1.高齢者のがん検診:果たして割に合うことなのか
  基本の考え方:積極治療で期待できる余命
 「がん死を防ぐべきだ」という論理は間違い!
  記事を探して:大腸がんの評価
  評価の困難さの表明

2.長寿は何で決まるか
  1921年に始まった研究を基礎に
  気楽はダメ,真面目が重要
  学齢を早めるのは不利
  「運動バカ」と「がり勉」を比べて
  寿命の男女差は「性差」だけではない
  テストで調べる提案

3.安楽死と尊厳死
  尊厳死と病気との関係
  尊厳死協会の宣言と内容
  宣言は理解するが疑問も大
  尊厳死と安楽死の関係と諸外国の事情
  法制化に反対する立場
  文学作品と英単語の問題など

4.運動と歩行
  貝原益軒の『養生訓』から
  歩行を勧める文章の2種
  読みにくい論文への不満
  自分の問題に関連して

5.山中伸弥氏に関連する書籍
  山中伸弥氏に感心する点のいろいろ
  本の内容の一部を紹介:「理論的に可能なら実現」など
  第二部の意義
  今回のノーベル賞の楽しい点

6.剽窃,とくに自己剽窃の問題
  自己剽窃の頻度が極端に高い
  他人の論文を盗み見る
  人間の欲望と「科学論文の原則」との乖離
  「呼吸」+「剽窃」で検索した結果
  手法の考案者に敬意

7.アスペルガー症候群と偉人たち
  呼吸器とは無縁,遺伝子も不明
  アスペルガー症候群の特徴と診断基準
  自閉症との関係
  アスペルガー症候群と偉人・有名人
  イチローをアスペルガー症候群と考える理由
  「アスペルガー症候群か」と勝手に思う人

8.橋本病:報告から認知,そして自己免疫疾患とされるまで
  橋本病は自己免疫疾患の代表格
  橋本病の原論文
  “Hashimoto’s Thyroiditis”と命名されるまで
  自己免疫疾患としての認識の確立
  論文を読むきっかけと手順

9.名著『蘭学事始』に関して:原典・創作・現代語訳など
  有名な割に読まれない?
  外国語をマスターしていく過程
  原文の公開と現代語訳と
  蘭学事始との縁

10.日本の医学古典の電子テキスト
  情報が外国の人にも入手しやすいのが条件
  みつかった作品のリスト
  『北越雪譜』
  貝原益軒の『養生訓』
  『舎密開宗』
  『北槎聞略』

11.オートプシー・イメージング
  オートプシー・イメージングの基本
  オートプシー・イメージングの特徴と利点
  用語の問題(英語の問題)
  海堂尊氏との関係
  Aiが有用だった実例
  費用を誰が負担するか
  この問題に関する私の意見

12.トムラウシ山遭難の分析でわかったこと
  大量遭難の経過は戦場の記述のよう
  ガイドの証言と気象の問題
  低体温症と縦走に伴う体力の問題
  会社が募るツアー登山の問題

第2部 科学一般
1.酸素の発見:ラヴォアジエの『化学原論』(英訳)から
  翻訳の所在など
  第I章─熱の発生と弾性のある気体ないしガスの産生
  第II〜IV章─大気の組成・酸素の特徴など

2.シュレージンガーの生命論
  古典物理学者の生命把握
  生命体は負のエントロピーを食して生きる
  翻訳と原書,影響について

3.地球に人が住める条件
  紹介したかった本と使用する資料
  居住可能な惑星の登場
  地球と火星の居住可能性の歴史
  地球の水の起源
  水と水蒸気による安定
  大気の生成と生命の誕生
  木星の役割

4.科学の論争の頁
  まず論争の例を
  論争の頁の紹介
  海王星を発見する手順:発見者は誰か

5.田中耕一氏のノーベル化学賞の業績
  タイトルの素晴らしさ
  読んで快い本です
  本書の構成とインターネットの情報

6.個人に極端に似たロボットを造って判明したこと
  著者の研究と2つのジェミノイド
  俳優は操作が上手なのは演技者だから
  アンドロイドが恋人になるか

7.賢いコンピュータとは:その現状を探る
  まず夢物語と「賢い買い方」など
  考えるコンピュータ2題
  将棋のソフトウェアの現況
  コンピュータで星 新一類似の作品を書く
  連想プロセッサとその実現性  
  おわりに  

8.光るクラゲがノーベル賞をとった理由  
  執筆者は若い研究者達  
  医学研究での役割など  
  エピローグの研究者インタビュー

9.『理科系の作文技術』を利用する方法  
  インターネットにある情報  
  本書の内容と読書の履歴  
  パラグラフの問題と重点先行主義  
  事実と意見は分けて書く  
  逆茂木型の文章を避ける  
  字面の白さ  
  本書を薦める理由と執筆のお願い  

第3部 その他:言語学・歴史・電子本など
1.富岡製糸工場の世界遺産候補で表に出た作品  
  『富岡日記』と製糸工場の世界遺産  
  松代から富岡までの道中  
  富岡製糸所での業務  
  富岡製糸所での生活  
  電子本が公開されている
  
2.お金で買えるものと買えないもの  
  命名権と行列の問題  
  インセンティブと道徳の締め出し  
  市場と道徳と生と死を扱う市場  

3.印刷体の書籍と電子書籍は補い合う:宇宙と時空の書籍から  
  印刷体の書籍と電子書籍とを知った経緯  
  物理的データと読み方  
  内容と興味を惹かれた点  
  ビッグバンとアインシュタイン  
  ひも理論の解説など  
  その他の本書の利点と欠点  
  おわりに  

4.デザイナー 水戸岡鋭治氏の鉄道車両デザイン  
  水戸岡鋭治というデザイナーの存在  
  成功の原因と「デザイナー」という職種  
  本書の役割  

5.英語をどんどん読むには  
  英語を100万語読むアプローチ  
  内容が興味深いことと辞書を引かないで済ますこと  
  出版社が努力している  
  感覚や意見のずれも  
  ウェブサイトとの関係
  
6.日本語情報と英語情報の比較:深部静脈血栓を例に  
  件数と性格と  
  詳細度による分類:大学のファイルと学会のファイル  
  英文の総説とガイドラインが充実  
  治療法の紹介  
  深部血栓の予防  
  一般医向けガイドライン  
  おわりに  

7.「検索」の問題点:検索で見逃すもの  
  インターネットで得られないもの  
  検索してみつからない  
  紙の情報と電子情報は質が違う?  
  インターネットでは感激しにくい  
  検索の狙いの一つは「思い出す」きっかけ
  
8.漂流記各種  
  I 実録の作品  
  II 創作作品  

9.講義を面白くする工夫の話:北川智子女史の書籍から  
  数学者が日本史を教えるまで:カナダ,プリンストン,ハーバード  
  “Lady Samurai”の概念と提示:花形教師になる  
  課目“KYOTO”とアクティブラーニング  

第4部 呼吸器学
1.ICUはどう始まったか:イプセン氏によるICUの創設  
  ウエスト(West JB)の紹介の文章  
  イプセンの知識と経験:ICUの創始  
  先駆経験としての破傷風の治療経験  
  ポリオに気管挿管して陽圧式人工呼吸を  
  イプセンの寄与:二酸化炭素貯留は呼吸の不足  
  モニターの急速な改良  

2.「在宅酸素」の著書(ぺティ氏のもの)が無料で電子公開  
  “OXY-PHILE”の内容─I 自分自身の事柄  
  酸素吸入を楽しみ励ます  
  “OXY-PHILE”の内容─II 他の人の文章の紹介  
  “OXY-PHILE”の内容─III その他の事柄  
  “Oxy-Phile 2”の内容を簡単に
  
3.ハイポキセミアの傷害はエネルギー代謝以外にも:
  サイトカインを含む各種化学反応  
  エネルギー代謝だけの問題ではない  
  身体を損なう物質が増える  
  間欠性ハイポキシアは持続的ハイポキシアと違う?  
  身体を守る物質が減る  
  傷害を防止する物質も  
  COPDと火傷と:悪液質とアディポネクティン
  
4.呼吸器を外す問題:国内世論の動向が定まっていない  
  記事になった事件の例  
  明確な主張の例  
  亀田総合病院の検討と提案  
  臨死状態における延命措置中止の法律案  
  気に入らなかった点  
  新聞記事公開は続かない  

5.呼吸・呼吸器領域のハイパーテキスト  
  ハイパーテキストはいくつかに分類できる  
  大規模なハイパーテキストの例  
  日本生理学会の充実した頁  
  ハイパーテキストによる自分史  

6.キリンの気管:必要な駆動圧が高すぎる?  
  データから計算を試みる  
  計算の結果  
  駆動圧の計算  
  死腔測定のデータ  
  圧負荷をどう解決するか  
  一応の結論  

7.呼吸器学の代表誌と引用の問題  
  論文の基本:きっかけからセットアップまで  
  研究費請求と軍から諜報を疑われた話  
  血流分布測定と換気力学への重力の影響  
  気道閉塞の発見  
  研究の当初の狙いと派生所見,研究の因子分析  
  Ballの論文自体の要点  
  このBallの論文に関する思い出 
 
8.エベレストの事故死と書籍:“Into Thin Air”  
  登頂者の5%以上が遭難死  
  “Into Thin Air”の梗概  
  いよいよ登頂へ  
  下山中の事件  
  その後の事柄  
  後日談:本書とは別の事柄を少し. 
 
9.航空機と宇宙船に関係するハイポキシア  
  コメット機の開発と失敗  
  与圧が破れたことによる事故  
  ヘリオスの事故の記述  
  「2001年宇宙の旅」の映画の議論:突然周囲が真空になると 

10.ハイポキシアでアルコールが効くようだが,
  そのメカニズムは?  
  ハイポキシアで意識喪失までの時間をアルコールの有無で比較 
  アルコールでハイポキシアが起こるか?
  アルコールで「酔う」メカニズム  
  パイロットと乗客のアルコール制限  
  ピモニダゾール  

エピローグ  

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諏訪邦夫 帝京短期大学教授 著

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   定価3,240円(本体3,000円 + 税)
   2013年10月発行
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